探偵

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探偵(たんてい)とは、他人の秘密をひそかに調査したり、犯罪を犯した者を突き止めたりする者、またはその行為である。現在の探偵は人(法人又は個人)からの依頼を受けて、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により、特定人の所在又は行動についての情報を収集し、その結果を依頼者に報告する。

日本で探偵業を営むには「探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法)」によって、営業所の所在地を所轄する警察署を通じて所轄公安委員会への届出が必要となっている。全国で探偵業者として公安委員会へ届出をしている業者数は、平成24年末で5546件。警察は発生した事件を解決するのに対し、探偵は問題の予防対策を仕事とし、民事上の不法な行為を暴くことなどを業とする。

目次

探偵の歴史 [編集]

1889年(明治22年)頃、イギリスで現在の探偵と呼ぶ職業が始まり、その後19世紀終わり、アメリカでも現在の探偵の職業が開始された。

日本国内では1891年(明治24年)5月21日付けの当時の『朝日新聞』に帝國探明會という企業が「詐欺師や盗人の所在を調べる。他人の行動調査を実施する。」との旨の広告を出稿していた事実が国立国会図書館の蔵書より確認されている。

日本の探偵 [編集]

業務 [編集]

日本では、2007年6月に探偵業法が施行されるまで明確にはされなかった探偵業者の業務であるが、探偵業法の施行により、探偵業務について「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」と探偵業法第2条第1項で定義され、報道機関の依頼を受けて報道の用に供する情報を収集するために行う調査は適用除外とすることが探偵業法第2条第2項において規定された。

日本における探偵の業務の内容については、「他人の依頼を受けて、特定人を対象に行われる調査」及び、相談業務、鑑定業務等の関係する業務が付随することとなり、素行・浮気調査や人探し調査、法人や個人の信用状況の調査など、企業や個人からの調査依頼が多くを占めている。「情報を扱う専門家」として企業の防諜を始め、情報管理、情報漏洩対策、危機管理、プライバシー防衛等に関する助言を行うこともある。

また、業務の遂行においては、探偵業法で探偵業者には「人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。」(探偵業法第6条(探偵業務の実施の原則))とされ、調査契約の締結にあたっても依頼者から探偵業法第7条(書面の交付を受ける義務)に基づく「調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない」旨を示す書面の交付を受けなければならないことが規定されている他、業務上知り得た情報、収集した情報の記録物の取り扱いに関しても探偵業法第10条(秘密の保持等)において探偵業務に従事する者でなくなった後も守秘義務が課せられ、業務上収集した情報の記録物は、不正又は不当な利用を防止する必要な措置をとらなければならない。

また、個人情報取扱事業者の協力を得て、特定の個人の情報を取得する行為は不正競争防止法2条(営業秘密)にあたり、行政機関保有の個人情報を漏らした場合、国家公務員法100条及び地方公務員法34条(秘密を守る義務)違反となる。

なお、「別れさせ屋」、「別れさせ工作」などの工作業務について、警察本部では「探偵業務ではない」と回答しており、探偵業者が会員となる調査業協会では別れさせ工作などの根絶及び暴力団排除宣言を実施している。工作業務は民法90条公序良俗に反するものであり、同法119条に掲げる無効な行為の追認にあたるとして、同法709条の不法行為に係る損害賠償を求めて仙台地方裁判所民事部に提訴した事例や東京地方裁判所刑事部裁判長が元別れさせ屋社員の犯した刑法違反判決で別れさせ屋について、「不法のそしりや社会的非難を免れない」と指摘した判例がある。

「身辺警護」といわれる身辺警備業務は、警備業法2条1項4号に規定される警備業務であるため、公安委員会認定が必要。

探偵業務は違法行為ではないかと指摘があるが、探偵業法はじめ法令、判例、警察庁通達、調査業協会規則を厳守で調査を行っており、探偵業務自体が憲法はじめ国内法に違反する判例はない。

  • 調査業務
    • 行動調査 - 浮気調査、素行調査等がこれにあたる。
    • 行方調査 - いわゆる「人探し調査」。家出人、失踪者、債務者、恩師、旧友、初恋等の行方を調査する。但し、ペット(愛玩動物)は、除く。
    • 信用調査 - いわゆる「与信調査」。企業、個人の信用調査がこれにあたる。
    • 身辺調査 - いわゆる「身上調査」。雇用、結婚における調査がこれにあたる。
    • 保険調査 - 各種損害保険(火災保険、自動車保険等)及び各種生命保険・医療保険の保険金支払請求に係る事実確認調査。
    • 犯罪調査 - 日本では犯罪防止を目的としたいじめ・嫌がらせ対策、ストーカー対策、ドメスティツクバイオレンス・ファミリーバイオレンス対策の調査が主となる。アメリカ合衆国では司法取引の材料を集める依頼もある。
    • その他の調査 - 企業における産業スパイ調査・M&Aに関する調査、公益通報、市場調査、資産調査、権利侵害対応調査、海外調査等
  • 調査業務以外の業務
    • 鑑定・分析 - 調査業務に付随する収集した科学的情報の分析、もしくは単独の依頼によって生じた指紋、声紋、筆跡、DNA鑑定、ポリグラフ検査、画像解析等。
    • 相談 - 個人・法人の話を傾聴する。
    • 一般業務 - 総務・人事を始めとする労務管理、機材の維持管理、広報等。
    • その他 - 探偵学校の運営及び講師の派遣、情報管理・情報漏洩対策・危機管理・プライバシー防衛、裁判証拠収集、盗聴器・盗撮器発見。

労働 [編集]

日本の探偵業における待遇等は、労働法に規定する使用者・事業主にあたる探偵業を営む代表者、労働法に規定する労働者であるかで変わってくる。

労働法に探偵業を適用除外とする規定がないことから、労働契約を締結し、賃金の支払いを受けて業務に従事する者は労働者であり、使用者・事業主は労働法で規定される給与・休日・福利厚生を最低限保証しなければならない。また、女性の雇用も増加傾向にあり、男女共同参画基本法その他関係法令に基づき、男性同様の待遇等を受け、業務に従事している。

また、探偵業法11条及び探偵業法等の解釈運用基準第11に基づき、探偵業務に従事する労働者を雇い入れた探偵業者は義務の履行を担保するために教育計画書を作成し、同計画書に従い、探偵業法、個人情報保護法、関係法令、調査方法、資料、情報の取扱い方法等の教育を実施し、教育実施記録簿に記録をしなければならない。

調査料金 [編集]

日本において、探偵業者が行う調査の料金は、探偵業界として料金体系を統一することが独占禁止法2条6項に規定する「不当な取引制限」にあたるため、業界団体が目安の料金表示、料金について会員に指導することはできない。よって、探偵業者それぞれにおいて料金基準を設け、調査の実情に合った見積りを行う。

金銭の支払い時期及び方法等は探偵業法8条(重要事項の説明)に基づき、調査内容、調査方法、調査料金、調査期間等を依頼者へ書面を交付して説明しなければならない。

また、高額な調査料金、解約金の請求は、消費者契約法9条及び10条違反により無効の差止請求の提訴が可能。

行政処分 [編集]

探偵業の業務の適正化に関する法律15条に基づき、都道府県警察では行政処分(営業停止、営業廃止)を受けた探偵業者の名称を公表している。これにより、悪質な探偵業者の排除と探偵業者の適正化を図っている。

世界の探偵 [編集]

アメリカ合衆国の場合 [編集]

アメリカ合衆国では、州レベルで武器の保持も許される公的資格制度があり、事情に通じた元警察職員が転職したり個人開業したりする。また、探偵の特権ではないものの、正当防衛を目的とした小型武器の所有が認められている。

ピンカートン探偵社(世界探偵協会加盟)は北米最大の法人探偵社であり、他にもシカゴの「ハーグレーブ・シークレットサービス」がある。

例として、カリフォルニア州では、各種の法執行官として一定の実務経験を有する者が、試験を通過して保証金を納めると許可状・身分証・身分章(バッジ)を交付されて開業できる。

国際探偵協会 [編集]

  • World Association of Detectives 世界探偵社協会(通称"WAD")
  • Association of British Investigators イギリス調査組合(通称"ABI")
  • COUNCIL OF INTERNATIONAL INVESTIGATORS 国際調査協議会(通称"CII")

フィクションの探偵 [編集]

探偵を主人公とする小説は欧米の探偵小説がルーツで、事件捜査の中心人物とされることが多く、名探偵とも呼ばれ、日本における現実の探偵の実態とはかけ離れた存在である。

日本では、主人公が探偵業務を行う小説は、かつて「探偵小説」と呼ばれたが、推理をする人間が必ずしも探偵を職業にしているとは限らないため、現在は「推理小説」と呼ばれている。

関連項目 [編集]