エルザタワー55

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エルザタワー55
エルザタワー55の位置(日本内)
エルザタワー55
エルザタワー55
エルザタワー55の位置(埼玉県内)
エルザタワー55
エルザタワー55
施設情報
所在地 332-0011
埼玉県川口市元郷2丁目15-1
座標 北緯35度47分48.5秒 東経139度43分54秒 / 北緯35.796806度 東経139.73167度 / 35.796806; 139.73167座標: 北緯35度47分48.5秒 東経139度43分54秒 / 北緯35.796806度 東経139.73167度 / 35.796806; 139.73167
状態 完成
建設期間 1994年10月 - 1998年7月[1]
用途 共同住宅
地上高
最頂部 塔屋2階
高さ 185.8m
各種諸元
階数 地下1階 地上55階[1]
敷地面積 18,551 [1]
建築面積 6,269 [1]
延床面積 75,820 [1]
構造形式 CFT構造[2]
エレベーター数 7台
戸数 650戸[1]
駐車台数 650台
関連企業
設計 竹中工務店東京一級建築士事務所[1]
施工 竹中工務店・埼玉建興鹿島建設共同企業体[1]
デベロッパー 大京[1]
管理運営 大京アステージ
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エルザタワー55埼玉県川口市元郷にある超高層マンション

1998年日本ピストンリング川口工場の跡地に建設され、2004年に東京都港区汐留H街区超高層棟(アクティ汐留)が建設されるまでは住居としての建造物では日本最高(185.8m)であった(現在の順位は超高層マンションを参照)。

概要[編集]

吉永小百合主演の映画『キューポラのある街』(1962年公開)以来、川口市は鋳物の街として知られ、エルザタワー55の立地する元郷地区周辺には鋳物工場が集積していた。だが、次第に鋳物工場は新郷地区等への移転や廃業によって減少。マンション適地が続々と生まれていった[3]

1982年大京が元郷地区において、とりわけ広大だった日本ピストンリング川口工場跡地約5.6ヘクタールを大規模総合開発を目的に買収。翌年に超高層マンションやショッピングセンター等を整備する総事業費約540億円を投じた「ライオンズスクエア」プロジェクトをスタートさせる[4]

プロジェクトにおいて最初に分譲されたマンションである「エルザタワー55」は、地下1階、地上55階建て。1994年10月に着工し、1998年7月に竣工した。総戸数は650戸。販売価格は最高で最上階55階・5LDKの1億7680万円。平均価格4000万円台で「日本一」の金看板で即日完売した[3]

これまでの超高層住宅には、街がもつべき「コミュニティ形成に必要な場」が不足していたとして、設計を手掛けた竹中工務店がその反省を踏まえ、エルザタワー55では超高層住宅を垂直に広がる街として捉えた「立体コミュニティ」を提案した[5]。立体コミュニティは、120戸から180戸を一単位とした「近隣区」に住棟を分け、それを縦に積み重ねて構成する。それぞれの近隣区に相当する階には、廊下の手摺などの色を塗り分けて識別できるようにした。さらに近隣区ごとに「コミュニティコア」と呼ばれる用途を特化した共有施設を配置した[5]

1階のアトリウムロビーには各種サービスを提供するフロント係を置き[6]エレベーターシースルー型とし、吹き抜け空間に躍動感を与え、シースルーエレベーターにすることで住人の目が届きやすいようにした[5]。建物の足元には中高木約1000本、低木1万2000株を植え、シンボル広場、森のリビング、わんぱく広場等を設けた。また建物外周には修景池を整備。この池は住棟からの落下物で人がケガをしないよう、建物下に人を近づけない役目も持たせた[7]

大規模修繕工事[編集]

建設から15年以上が経過した2013年頃から、管理組合が議論を始め、設備の劣化が進んでおり修繕が必要と判断し、清水建設の子会社、シミズ・ビルライフケアを施工業者に選定。2015年3月から修繕に着手し、外壁の塗装、ベランダの防水工事のほか、ビル外壁の継ぎ目や隙間を埋めるシーリング材の打ち替えなどを約2年かけ行った。工事費約12億円は全額を修繕積立金で賄った[8][9]

構造[編集]

1階はアトリウムロビー、2階は駐輪場で、3階より上のフロアが住居となる。居住者の交流の場として、またサークル活動の場として10階、20階、29階、36階、43階、55階に以下のコミュニティコアが設けられている。

  • 10階 - キッズライブラリー
  • 20階 - クラフトルーム
  • 29階 - 和室サロン
  • 36階 - スカイスタジオ
  • 43階 - ゲストルーム
  • 55階 - スカイラウンジ

7台のエレベーターのうち6台はシースルーエレベーターであり、11人乗りの高速エレベーターがそれぞれの階層に2台ずつ設置されている。残りの1台は非常用エレベーターである。エレベーターの乗り換え階である29階と43階は、居住者の憩いの場としてタウンプラザが設けられている。

周辺[編集]

近接して商業施設棟「ライオンズスクエア川口」(サミット川口エルザタワー店・ダンロップスポーツクラブ川口元郷店などが入る)が整備され[10]、保育園(レオ保育園)・医療施設(川口第一クリニック)が誘致されたほか、2002年1月にはエルザタワー32(地下1階、地上32階、389戸)が竣工した[3]。ほかに、川口市に敷地の一部を学校建設用地として提供した(2011年4月川口市立元郷南小学校が新築移転)[11]

立地[編集]

エルザタワー55がある南平地区、元郷は東京都との境である荒川から程近く、京浜東北線川口駅国道122号に近い。また2001年に国道122号の地下に埼玉高速鉄道線が開通し、最寄り駅は川口元郷駅である。川口駅からは「元郷・エルザタワー循環」という系統のバスが運行されている。

交通[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 『日経アーキテクチュア』1998年11月30日号 71頁
  2. ^ 杉林秀夫, 鈴木清丈, 小黒卓「CFT構造による55階建て集合住宅の設計と施工」『コンクリート工学』第36巻第2号、日本コンクリート工学会、1998年2月、27-31頁、doi:10.3151/coj1975.36.2_27ISSN 03871061 
  3. ^ a b c 「日本一のワケ 高層マンション 鋳物の街から「東京24区」に埼玉県川口市」『毎日新聞』2002年4月1日
  4. ^ 『近代建築』2002年3月号 94頁
  5. ^ a b c 『日経アーキテクチュア』1998年11月30日号 66頁
  6. ^ 『日経アーキテクチュア』1998年11月30日号 68頁
  7. ^ 『日経アーキテクチュア』1998年11月23日号 63 - 64頁
  8. ^ 「55階建て本格修繕 川口のマンション 12億円 積立金で 工法や費用負担 先進事例」『日本経済新聞』地方経済面 埼玉 2015年6月12日
  9. ^ 実績紹介 エルザタワー55大規模修繕工事”. シミズ・ビルライフケア. 2019年11月23日閲覧。
  10. ^ ライオンズスクエア川口 (Z-12)”. いちごオフィスリート投資法人. 2019年11月23日閲覧。
  11. ^ 「特集 役立つ住宅情報 高さ日本一!55階建て 川口に総合開発型マンション」『毎日新聞』1998年7月16日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]