国民健康保険
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国民健康保険(こくみんけんこうほけん)は、日本の国民健康保険法に基づき、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して、医療の給付又は医療費等の支給をする社会保険である。主に地方公共団体が運営し、被用者(民間のサラリーマン)の健康保険や公務員等の共済組合などとともに、日本における医療保険制度の根幹をなすものである。略称は国保(こくほ)と言われ、被用者保険は社保(しゃほ)と呼ばれる。
埼玉県旧越ヶ谷町(現越谷市)が1935年に発足させた一般住民を対象とした日本初の健康保険制度「越ヶ谷順正会」は1938年の国民健康保険法(旧法)施行よりも3年早く発足している。このため越谷市は「越ヶ谷順正会」を「国民健康保険の発祥」と称しており、国民健康保険法施行10周年を記念して、1948年には「越ヶ谷順正会」を顕彰する「相扶共済の碑」が現在の市役所敷地内に立てられている。
制定された1938年当時は、農山漁村の住民を対象としていた。官庁や企業に組織化されていない国民が対象となったのは1958年であり、1961年には国民すべてが公的医療保険に加入する国民皆保険体制が整えられた。
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[編集] 保険者
被用者(民間のサラリーマン)や一般の公務員、75歳以上の後期高齢者医療等以外の地域住民を対象とし、その加入者から徴収した国民健康保険料(又は国民健康保険税)と国庫負担金等の収入によって、保険加入者が疾病、負傷、出産又は死亡したときに、保険給付を行う事業主のことを保険者という。
[編集] 保険者の種類
- 既存の国民健康保険組合(全国国民健康保険組合協会)
- 北海道医師国民健康保険組合、青森県医師国民健康保険組合、岩手県医師国民健康保険組合
- 宮城県医師国民健康保険組合、秋田県医師国民健康保険組合、山形県医師国民健康保険組合
- 福島県医師国民健康保険組合、茨城県医師国民健康保険組合、栃木県医師国民健康保険組合
- 群馬県医師国民健康保険組合、埼玉県医師国民健康保険組合、千葉県医師国民健康保険組合
- 東京都医師国民健康保険組合、神奈川県医師国民健康保険組合、新潟県医師国民健康保険組合
- 富山県医師国民健康保険組合、石川県医師国民健康保険組合、福井県医師国民健康保険組合
- 山梨県医師国民健康保険組合、長野県医師国民健康保険組合、岐阜県医師国民健康保険組合
- 静岡県医師国民健康保険組合、愛知県医師国民健康保険組合、三重県医師国民健康保険組合
- 滋賀県医師国民健康保険組合、京都府医師国民健康保険組合、大阪府医師国民健康保険組合
- 兵庫県医師国民健康保険組合、奈良県医師国民健康保険組合、和歌山県医師国民健康保険組合
- 鳥取県医師国民健康保険組合、島根県医師国民健康保険組合、岡山県医師国民健康保険組合
- 広島県医師国民健康保険組合、山口県医師国民健康保険組合、徳島県医師国民健康保険組合
- 香川県医師国民健康保険組合、愛媛県医師国民健康保険組合、高知県医師国民健康保険組合
- 福岡県医師国民健康保険組合、佐賀県医師国民健康保険組合、長崎県医師国民健康保険組合
- 熊本県医師国民健康保険組合、大分県医師国民健康保険組合、宮崎県医師国民健康保険組合
- 鹿児島県医師国民健康保険組合、沖縄県医師国民健康保険組合
- 北海道歯科医師国民健康保険組合、宮城県歯科医師国民健康保険組合、秋田県歯科医師国民健康保険組合
- 山形県歯科医師国民健康保険組合、福島県歯科医師国民健康保険組合、茨城県歯科医師国民健康保険組合
- 全国歯科医師国民健康保険組合、群馬県歯科医師国民健康保険組合、埼玉県歯科医師国民健康保険組合
- 千葉県歯科医師国民健康保険組合、神奈川県歯科医師国民健康保険組合、静岡県歯科医師国民健康保険組合
- 愛知県歯科医師国民健康保険組合、三重県歯科医師国民健康保険組合、大阪府歯科医師国民健康保険組合
- 兵庫県歯科医師国民健康保険組合、奈良県歯科医師国民健康保険組合、和歌山県歯科医師国民健康保険組合
- 広島県歯科医師国民健康保険組合、愛媛県歯科医師国民健康保険組合、福岡県歯科医師国民健康保険組合
- 佐賀県歯科医師国民健康保険組合、長崎県歯科医師国民健康保険組合、熊本県歯科医師国民健康保険組合
- 大分県歯科医師国民健康保険組合、宮崎県歯科医師国民健康保険組合、鹿児島県歯科医師国民健康保険組合
- 北海道薬剤師国民健康保険組合、埼玉県薬剤師国民健康保険組合、千葉県薬剤師国民健康保険組合
- 東京都薬剤師国民健康保険組合、神奈川県薬剤師国民健康保険組合、新潟県薬剤師国民健康保険組合
- 福井県薬剤師国民健康保険組合、静岡県薬剤師国民健康保険組合、愛知県薬剤師国民健康保険組合
- 三岐薬剤師国民健康保険組合、京都府薬剤師国民健康保険組合、大阪府薬剤師国民健康保険組合
- 兵庫県薬剤師国民健康保険組合、紀和薬剤師国民健康保険組合、中四国薬剤師国民健康保険組合
- 広島県薬剤師国民健康保険組合、福岡県薬剤師国民健康保険組合、長崎県薬剤師国民健康保険組合
- 建設土木
- 全国土木建築国民健康保険組合、全国建設工事業国民健康保険組合、神奈川県建設業国民健康保険組合
- 新潟県建築国民健康保険組合、静岡県建設産業国民健康保険組合、愛知建連国民健康保険組合
- 京都府建設業職別連合国民健康保険組合
- 上記以外の一般業種
- 関東信越税理士国民健康保険組合、東京理容国民健康保険組合、東京芸能人国民健康保険組合
- 文芸美術国民健康保険組合、東京料理飲食国民健康保険組合、東京技芸国民健康保険組合
- 東京食品販売国民健康保険組合、東京美容国民健康保険組合、東京自転車商国民健康保険組合
- 東京青果卸売国民健康保険組合、東京浴場国民健康保険組合、東京写真材料国民健康保険組合
- 東京都弁護士国民健康保険組合、神奈川県食品衛生国民健康保険組合、福井食品国民健康保険組合
- 静岡市食品国民健康保険組合、名古屋市食品国民健康保険組合、京都芸術家国民健康保険組合
- 京都料理飲食業国民健康保険組合、京都府酒販国民健康保険組合、京都市中央卸売市場国民健康保険組合
- 京都市食品衛生国民健康保険組合、京都府衣料国民健康保険組合、京都花街国民健康保険組合
- 大阪府整容国民健康保険組合、大阪府小売市場国民健康保険組合、大阪文化芸能国民健康保険組合
- 大阪中央市場青果国民健康保険組合、大阪府浴場国民健康保険組合、大阪府食品国民健康保険組合
- 大阪府たばこ国民健康保険組合、大阪質屋国民健康保険組合、近畿税理士国民健康保険組合
- 大阪市公設市場国民健康保険組合、大阪木津卸売市場国民健康保険組合、大阪衣料品小売国民健康保険組合
- 兵庫食糧国民健康保険組合、明石浦国民健康保険組合、神戸中央卸売市場国民健康保険組合
- 兵庫県食品国民健康保険組合
この他に全国国民健康保険組合協会に加盟していない全国左官タイル塗装業国民健康保険組合、全国建設労働組合総連合(全建総連)傘下の国民健康保険組合、日本建設組合連合(建設連合)傘下の建設連合国民健康保険組合などがある。
[編集] 事業内容
- 保険の給付
- 保険料(税)の賦課及び徴収
- 被保険者証の発行
- 保健事業活動
[編集] 被保険者
国民健康保険の加入者で、疾病、負傷等の保険事故が発生した場合に、保険給付として医師・歯科医師の診療・治療等を受けることができる者をいう。
被用者保険と異なり、自営業、無職(専業主婦、専業主夫、学生など)、未成年者等も、被保険者となる。
被保険者の属する世帯の世帯主は、保険料(又は国民健康保険税)を納付する義務がある。世帯主が他の医療保険の被保険者(国民健康保険の被保険者ではない)であって、その世帯内に国民健康保険の被保険者がいる場合は、その世帯主を国民健康保険の被保険者である世帯主とみなして保険料または保険税の納付義務者とする。この場合における世帯主を、実務上「擬制世帯主(ぎせいせたいぬし)」または略して「擬主(ぎぬし・ぎしゅ)」という。
[編集] 対象者
市町村の区域内に住所を有するもので、次に該当しない者はその意思のいかんにかかわらず、全員が自動的にその市町村の国民健康保険に加入することになる(国民健康保険法第5条、第6条)。
かつては自営業者を加入者の代表例とする場合が多かったが、最近は退職者など無職者が加入者の過半数を超えている。なお、外国人登録を行い在留資格がある外国人も原則として被保険者となるが、渡航目的や在留期間などにより被保険者とならない場合がある。
[編集] 加入手続き
上記の1~3の対象でなくなった場合、その日から14日以内に現在住んでいる市町村で加入の手続きをしなければならない。
[編集] 退職被保険者等
被保険者のうち、厚生年金や共済年金などの被用者年金制度の老齢(退職)年金を受給している者(退職被保険者)及びその被扶養者は、退職者医療制度の対象となる。なお、通算老齢(退職)年金受給者については、被用者年金に20年以上又は40歳以後10年以上加入している者が対象になる。
- 被保険者証の保険者番号は、67から始まる8桁の番号となる。
- 65歳に達した月の末日をもって終了する。
退職者医療制度はあくまでも国民健康保険の中に含まれる。一般の健康保険と比べると
- 診療時の一部負担金:一般、退職者医療制度ともに3割で同じ
- 保険料額の計算方法:一般、退職者医療制度ともに同じ
- 財源:退職者医療制度では、一部負担金と保険料の他に、職域の健康保険などからの拠出金が財源
- 被保険者証:世帯内の一般の被保険者とは別に発行
となっている。
[編集] 財源
国民健康保険の主な財源は、国、都道府県及び保険者(市区町村)の負担金及び世帯主からの保険料(税)からなっている。内訳は以下の通りである。下記4つの方式の全部又は一部が採用されるが、自治体によりその組み合わせや所得割の掛け率、世帯ごとの保険料の上限は異なっている。他の保険制度と比べ所得に対する負担率が高いが、個人事業者には従業員の有無と関係なくより重い負担を求める制度になっている自治体が多い。自治体ごとには国から、退職被保険者等の医療費については、被用者保険(健康保険・共済組合など)から、交付金が交付される。
- 所得又は住民税に比例した所得割
- 世帯当たりの平等割
- 加入人数による均等割
- 資産割
なお、国民健康保険における保険料(税)納付義務者は、世帯主であり、個々の被保険者ではない。また、加入や脱退等の届出義務者も世帯主である。また、世帯主自身が国民健康保険の被保険者でなくても、世帯の構成員に被保険者がいる場合は、世帯主が保険料(税)の納付義務を負うことになっている。したがって、保険料(税)の通知や被保険者証などは世帯主宛てに送付されることになっている。介護保険や国民年金などの保険料の第一次的納付義務者が被保険者であるのと異なっている。
[編集] 現物支給
- 療養の給付
- 一部負担金(療養にかかる費用のうち下記の割合)
- 葬祭の給付-条例または規約の定めるところにより葬祭費の支給と選択して行うものとする。
[編集] 現金給付の種類
- 療養費 保険医療機関でない医療機関で診療を受けた場合、又は緊急その他やむをえない理由により被保険者証(いわゆる保険証)の提出ができなかった場合に、保険者(市区町村、国保組合)が必要と認めたとき、療養に要する費用の額から被保険者の一部負担金を控除した額を基準として保険者の定める方法により支給される。他に、マッサージ、コルセットなどを医療機関以外の業者から受ける必要が生じ、医師がこれを認めた場合なども「療養費の給付」に含まれる。
- 特別療養費 保険料滞納者に償還払いとして支給
- 高額療養費 同じ被保険者が同じ月に同一の医療機関に支払った医療費の自己負担額が高額になったときに、自己負担の限度額を超えた分が、被保険者からの申請により後から高額療養費として支給される。
- 高額介護合算療養費 介護保険の自己負担金と合算して、自己負担の限度を超えた分を支給。
- 出産育児一時金 被保険者が出産したとき保険者の条例又は規程の定めにより支給される。
- 葬祭費の支給 被保険者が死亡したとき、葬祭を行った者に支給される。
- 移送費の支給 被保険者が療養給付などを受けるために移送されたとき、保険者が必要と認めた場合に支給される。
- 傷病手当金の支給 (国民健康保険組合の大部分では)被保険者が私傷病により休業したときに支給される。
[編集] 保健事業
医療保険は、本来、発生した保険事故(疾病、負傷、出産、死亡など)に対する医療給付を基本としているが、国民健康保険における保健事業は、より積極的な事前の措置として、傷病の発生を未然に防止し、あるいは早期発見により重症化・長期化を防止し、被保険者の健康保持及びその増進を図るため、健康教育、疾病予防、健康診断、母性及び乳幼児の保護、栄養改善、レクリエーション等の活動を実施するとともに、療養の給付を行うための国保病院、国保診療所を設置するなどの活動と施設の全体を総称している。
[編集] 第三者行為と保険給付
交通事故や傷害事件など第三者(加害者)から受けた傷病による医療費は、原則として加害者の負担となる。しかし、その弁償が不十分であったり遅延したりしている場合には、保険者に「第三者行為による傷病届」を提出すれば国民健康保険で治療が受けられる。この場合、保険者が加害者に代わり一時的に治療費を立替えて支払うことになり、後日加害者にその立替え分を請求することとなる。
[編集] 市町村国保の財政危機
制度発足当初は、サラリーマンでない自営業者や農業従事者の医療保険制度として発足したが、産業構造の変化や高齢化の進展により、年金生活者や失業者等の無職者の割合が半数以上を占めている。また保険料の納付方法が、給料からの天引きではないため、収納率の低下が深刻な問題となっている。自治体においては、一般財源等により補填を行っているが、自治体の財政状況により多分な負担ができなくなっている。
[編集] 海外での医療費
2001年の法改正により、日本国外における医療費に対しても海外療養費として、国内の医療費と同じように国民健康保険が適用されるようになった。これにより国民健康保険加入者は、保険の対象となっている海外の医療費についても、後で相応の差額を請求することができるようになった。高額療養費の支給も利用することができる。ただし、一旦は全額を自己負担しなければならず、日本での標準的な医療費よりも高額だった場合、日本での標準的な医療費を基準として払い戻し金額が算出される。また、海外療養費は一時的に海外にいる場合のための制度であり、1年以上継続して海外に在住する場合には、原則として国民健康保険から(海外在住期間は)脱退しなければならず、国民健康保険制度を利用した治療目的のための渡航も認められていない。
[編集] 関連項目
[編集] 関連書
- 岡本悦司著 国民健康保険 : 加入者のための本、1989.3

