薬剤師

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
薬剤師
薬剤師を描いた絵画。1730年南ドイツ、作者不詳。

薬剤師(やくざいし)とは、調剤医薬品の供給、その他薬事衛生を司る医療従事者

名称[編集]

アメリカ合衆国等では Pharmacist という名称が用いられるが、イギリスを初めとする英連邦諸国では伝統的に Chemist あるいは、Dispensing chemist という名称が用いられる。

歴史[編集]

東洋では、薬が医療の中心であったため、「薬師如来」としてあるように医師と薬剤師の区別はなかった。

一方で、西洋では1240年フリードリヒ2世によって医師が薬局を持つことを禁止した法令が交付され、これが医薬分業と薬剤師の起源とされている。これは処方と調剤を分離し、自己の暗殺を防止することが目的であったという説が有力である。これは現在においても、医師の過剰処方による患者の薬漬けや処方ミスの防止を目的に世界的に行われている。

日本では古来からの医薬同一の医療体制を近代化するため、ドイツの医療制度を翻案し1874年明治7年)8月「医制」が公布され、近代的な医療制度が初めて導入された。これにより「医師たる者は自ら薬をひさぐことを禁ず」とされ、医師開業試験と薬舗開業試験が規定された。薬舗を開業するものは薬舗主とされ、これが日本の薬剤師の原形となった。さらに1889年(明治22年)には薬品営業並薬品取扱規則(薬律)が公布され、「薬舗」は薬局、「薬舗主」は薬剤師と定義された。

世界各国の薬剤師制度[編集]

英国[編集]

英国では、医薬品法で薬事の専門職として認められているのは薬剤師のみであり、病気治療健康管理への貢献から最も国民に身近な医療人として位置づけられている[1]。英国の病院薬剤部では、調剤補助員調剤や混注業務を行い、薬剤師はその業務の最終監査を行う[1]医薬品は可能な限り28錠や30錠の小包装で販売され、散剤軟膏剤水剤の混合は禁止されているが、そのことによって調剤ミスを防いでおり、調剤補助員による調剤を可能としている[1]

薬剤師資格は4年制の薬学教育と1年の必須実務研修を終了し薬剤師免許国家試験を通過した者に与えられる[1]。実務実習は学部生としてではなく登録前の薬剤師(Pre-registration pharmacist、通称「プレ・レジ」)としての雇用関係の中で行われ、学生の希望を考慮して地域薬局や病院で行う[1]。薬剤師となるためは実務実習の間に調剤補助員のすべての業務を習得する必要があり、これを実務実習の前半6か月で行う[1]。プレ・レジの指導は先輩の薬剤師のみならず調剤補助員も行う[1]。実務実習の後半は病棟での研修を行い、実習の10か月目に当たる6月には薬剤師免許国家試験を受験する[1]。なお、この国家試験に不合格でも9月に再度試験を受験できるが、2回不合格となった場合には3回目の受験までに6か月の実習が求められる[1]。実習の最後の2か月は病棟で担当を持ち病棟薬剤師監督下で業務を行うとともに、研修の仕上げとして調剤業務でも監査練習を行う[1]

また、1年間の実務実習中には、に1-2回、プレ・レジ勉強会に出席する必要がある[1]。この勉強会は、実務に役立つ知識から国家試験対策まで多岐にわたる学習を行い、国家試験模試の受験もある[1]。さらには、研究プロジェクトに参加し、薬剤部から与えられたテーマについてデータ収集及びレポートを行い発表する必要がある[1]

日本[編集]

薬剤師
英名 Pharmacist, Chemist, Dispensing Chemist
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 医療
試験形式 薬剤師国家試験
認定団体 厚生労働省
後援 薬学部
等級・称号 薬剤師
根拠法令 薬剤師法
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
テンプレートを表示

日本において、薬剤師とは、「調剤医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する任務者」であり(薬剤師法第一条)、医薬関係者(薬事法)・医療関係者及び医療従事者としての担い手である(医療法第一条の2)。現在日本でこの資格を得るには6年制の薬学部を卒業後、薬剤師国家試験に合格しなければならない。

日本で薬剤師になるには、学校教育法に基づく大学において薬学の正規の課程を修めて卒業し、薬剤師国家試験に合格しなければならない。その後薬剤師名簿に登録申請し厚生労働大臣より薬剤師の免許が与えられる。薬学の正規の課程は、2005年以前に入学した者は4年制、2006年以降に入学した者は6年制である。

日本の薬剤師[編集]

薬剤師の業務[編集]

薬剤師の業務は非常に多肢に渡る。なかでも薬剤師法で一番にあげられる「調剤」は最も基本的な薬剤師の業務である。

  • 調剤;薬剤師は、医師、歯科医師獣医師が作成した投与が必要な医薬品とその服用量、投与方法を記載した処方箋をもとに調剤をすることができる。

薬局等における安全性の比較的低い医療用医薬品の処方監査・投薬業務のほか、安全性の高い医薬品(OTC漢方薬など)の購入相談業務など内科医的な側面も併せ持つ。

一方で、病院・診療所勤務の薬剤師は、医師の指示のもとに業務を行うコ・メディカルとしての側面ももつ。特に2010年からチーム医療が推進され、医療の質及び医療安全の確保から、積極的に薬学の専門家として薬物療法に参加し[2]、医薬品に起因する問題を防止することがより一層求められている[3][4][5]

尚、薬局や製薬会社などで薬事業務に従事する薬剤師は独立した専門職である。例えば、薬局等の管理者は薬剤師でなければならない(薬事法第7条の2:医師等他の資格ではできない)。独立した医療系資格の医師、歯科医師、薬剤師を医療3師と呼ぶこともある。他の医療資格と異なり、業務の場が医療機関だけではないのが特徴でもある。

「医薬品の供給」に関する業務においては、開発・製造から、流通、販売におけるまでほぼすべての分野で関与している。また「その他薬事衛生」に関する業務においては、医薬品以外でも世界各国で推進されているセルフメディケーションに関与する唯一の国家資格者としての責任を負っている。

以下、厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査[6]薬剤師#統計)での薬剤師従事者分類に準拠して薬剤師業務の概要を述べる。

薬局[編集]

調剤専門薬局
在宅患者向けに無菌室を備えた薬局も増えつつあるなど、調剤も幅が広がっている。薬局における処方箋調剤において薬剤師から、医薬品についての説明の他、場合によっては疾患についても聞かれる場合もあるが、薬学的見地から医薬品の適性使用に不可欠のものである。プライバシーの問題等にどのように対応していくかが今後の課題である。なお、薬事法上は調剤専門薬局は存在せず、薬局として分類され、OTCの販売も義務化されている。
漢方薬局
患者の訴えに応じて調合した漢方薬・西洋薬を、薬局製造販売医薬品として製造販売する。

病院・診療所[編集]

病院内で働く薬剤師は医師の指示の下で働くのでコ・メディカルに分類される場合もある。病院内で処方箋に基づき調剤を行なう。薬局と異なり、注射剤などの調剤も多い。このほか、感染制御チーム治験審査委員会栄養サポートチームなどのメンバーとしての活動を行なうこともある。一定数の専属の薬剤師を配置しなければ原則として特定機能病院を開設することはできない(医療法第22条の2)。医療法等により病院等には医薬品の適正使用のために医薬品安全管理責任者の設置が義務づけられている。なお、医療法第18条では「病院又は医師が常時三人以上勤務する診療所にあつては」専属の薬剤師を配置する必要があるが、都道府県知事の許可を受けた場合はこの限りではない例外規定がある。

現在の薬は、薬効が強く出るため用量調節が難しいことがあるうえ、一昔前であれば、死亡していた重篤な疾患(腎不全肝不全など)を合併している患者への投与が必要になることがある。このような場合には、薬物動態理論臨床薬理に関する膨大かつ専門的な知識が必要となる。このため、薬を処方するためだけの専門家が必要になりつつある。米国では、すでに、日本型(旧来型)の薬剤師の養成は中止しており、変わりにen:Pharm.D. と呼ばれる新たな薬剤師を薬学部が養成して、医師とほぼ同じ給与で病院に送り込み、医師の負担を大幅に軽減している。これは、時代の流れと共に、内科医が呼吸器科循環器に分かれてきた流れと同じである[疑問点 ]。 。実際、現在、看護師団体が、処方の補助を申し出ており、米国でも最高ランクの看護師は、簡易的な処方権を有している。内閣府に所属する日本学術会議は、日本の薬剤師も現在の役割だけでなく、将来は医師の処方を補助する専門家にもなるべきであると結論を出している[7]

医薬品関係企業[編集]

医薬品製造販売業・製造業
薬事法第17条により、医薬品の製造販売にあっては薬剤師を置かなければならず、これは医師・歯科医師・看護師獣医師など他の者が代わることができない。従って、法令上薬剤師は日本の医薬品供給に不可欠である。この規定から製薬メーカーでは、薬事法の規定で工場ごとに薬剤師を置いている。なお、製薬メーカーが医療機関への営業活動の際に商品に関する専門的な情報提供を行う医薬情報担当者(MR)と呼ばれる職種があるが、この職種で薬剤師が占める割合は1割程度で、文系出身者および他の理系出身者がその大半を占めている [8]
医薬品販売業
2008年度まで
処方箋による調剤を行う「薬局」のみならず、調剤を行わず一般用医薬品のみを販売する「一般販売業」(2009年度より「店舗販売業」)においても、営業時間内は店舗に薬剤師を配置することが薬事法及び「薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令」によって義務付けられている。薬剤師の配置が義務付けられているにもかかわらず、一般販売業における営業時間内の薬剤師の不在という違法事例が頻発したため、1998年に厚生省から禁止を徹底させる局長通知が出された。但し、ドラッグストアの一部にある薬種商販売業や、乗り物酔いや簡便な医薬品を販売する空港・港湾の売店や離島などの特例販売業、そして配置販売業には配置義務はない。薬剤師配置義務のないものは医薬品の安全管理ができないため、販売できる医薬品が制限される。
2009年度より
一般用医薬品は第一類、第二類、第三類に分類され、販売できるのは薬局、店舗販売業、配置販売業のみとなった。店舗販売業において第一類医薬品を販売する際には、薬剤師が常駐して対面販売し、書面で情報提供することが義務化されたため、薬剤師でなければ販売することができない。第二類、第三類についても薬剤師又は登録販売者が常駐しなければ販売できない。尚、一般従事者及び登録販売者による販売及び授与は第一類医薬品は薬剤師の管理・指導の下で可能である。又、一般従事者による第二類医薬品及び第三類医薬品の販売及び授与は薬剤師又は登録販売者の管理・指導の下で可能である(薬事法施行規則第159条14の1及び2)。
なお、厚生労働省が委託した薬局・店舗販売業者に対する覆面調査によると、第一類医薬品に関する情報提供について「文書を用いて詳細な説明があった」のは50.5%、「文書を渡されたが詳細な説明がなかった」のは7.1%、「口頭のみでの説明があった」のは22.5%、「説明がなかった」のは19.8%で[9]、半数近くが情報提供義務違反であった。また一部では販売資格等の無理解から改正薬事法に抵触するケースも確認された。この調査は「一般用医薬品販売制度定着状況調査」として行われ今後も継続される。
卸売一般販売業
医薬品の卸売業にも薬剤師の配置が薬事法により義務付けられている。

学校薬剤師[編集]

学校保健安全法の定めにより大学を除く学校に置くことが義務づけられている。専任の場合は殆どなく、薬局などの薬剤師が兼務している。水質・照度・空気の検査や給食施設の衛生管理等を行うほか、薬物乱用防止教育などを行う場合もある。

その他[編集]

このほか薬剤師免許は必須ではないが、以下のような所で薬剤師としての知識と技能を生かして働く者もある。

  • 麻薬取締官
  • 厚生労働省医系審議官
  • 薬学部教員
    • 薬学教育、薬剤師国家試験対策、薬剤師養成などに従事する。
    • 6年制薬学部においては、大学設置基準に実務の経験を有する専任教員数の規定があり、おおむね5年以上薬剤師として実務経験を有する者(実務家教員)を、専任教員の6分の1以上配置する事が義務付けられている[10])。
  • 新薬の研究開発
    • 新薬の研究開発は総合科学であらゆる学部出身者が関わっており、薬学出身者の数が飛び抜けて多い訳ではないが、薬剤師も積極的に新薬の研究開発に関わっている。なお、新薬上市前の治験業務は臨床現場の薬剤師・医師・看護師等が中心となって推進される。
  • 保健所職員
    • 薬局や病院の開設許可業務、食品衛生監視業務や環境・衛生に関する分析業務などを行う。
  • 科学捜査研究所所員
  • 高等学校教諭

薬剤師に付与される資格[編集]

医薬分業の進展[編集]

前述のように政府は医師による調剤を禁止して欧米式の完全な医薬分業へ移行しようとした。しかし急激な移行は薬剤師の不足からうまくいかず、医師の自己調剤を認めざるを得なくなった。これにより日本では医師より薬剤を交付されることが当然のこととなり、国民は他の先進国では当たり前の医薬分業の意義を知らずにきた。院内処方を受けた方が利便性が高い上、自己負担が低いために過剰に薬剤を処方されても薬剤料に対する負担感が希薄で、一般用医薬品を購入するより安く済むことすらあることも医薬分業が浸透しなかった一因である。

しかし現在の健康保険制度のもとでは高齢化社会の到来により国民全体の医療費増大が懸念されるため、薬剤の過剰な処方を防ぐためにも処方箋料の増額、かかりつけ薬局制度の推進などで金銭面から医薬分業への誘導が進められ、現在の医薬分業率は60%を超えている[11]

専門性の向上[編集]

医療技術の高度化に伴い薬学的側面から処方の提案や監査が必要となり、病棟で医師、看護師と一緒に医療チームとして働く病棟薬剤師が配属されるようになり、入院患者に対する指導料も大幅に増額となった。こうした変化に対応するため、他の先進国並の薬学部6年制が導入され、薬剤師認定制度の充実も進んでいる。 さらに薬局においても、後発医薬品スイッチOTCの普及が推進されているため、医薬品適正使用に関する専門知識が求められる場面が増えている。

そのための基本的な情報源として、最新の添付文書医薬品インタビューフォームは重要であり[2]、それ以外にも最新のエビデンスレベルの高い情報を提供することが求められている[2]

薬剤師の過剰予想[編集]

医薬分業の進展により薬局等での需要が増えているが、医薬分業率は70から80%で頭打ちになると予想されること、2009年登録販売者制度の導入により第二類および第三類一般用医薬品を販売するには登録販売者がいれば薬剤師の常駐が不要となること、等から薬剤師の需要は頭打ちになるのではないかとの意見がある。もともと、人口1000人あたりの薬剤師数は1.21と、先進国中では最も高い[12]厚生労働省は「薬剤師問題検討会」を組織し2002年に「薬剤師需給の予測について」の報告書をとりまとめた[13]。その後の「粗い試算」によれば、2027年には薬剤師は40万人となるが、需要は29万人として11万人の余剰が出ると予測されている[14]

一方、2003年就実大学九州保健福祉大学が約20年ぶりに薬学部を開設、その後も学生数を確保するため薬学部を新設する大学が相次ぎ、2007年までに新たに26大学・学部が新設された。その結果、2007年の薬学科の入学定員は12010人となり、5年間で5000人以上増加した [15]。薬学部の新設はその後も続いている(ただし、2009年度は薬学部を設置した大学はない)。厚生労働省では「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」[16]を組織しているが、こうした現状に関係者から懸念が表明されている。

チーム医療推進策[編集]

2010年厚生労働省は医療スタッフの協働・連携の在り方等について検討した報告書 [17]を元に、「チーム医療において薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加する」ため現行法令により実施可能な薬剤師業務として下記の9点をあげ都道府県知事に周知方通達した(医政発0430第1号)[18]

  1. 薬剤の種類、投薬量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダーについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。
  2. 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を提案すること。
  3. 薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。
  4. 薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。
  5. 薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること。
  6. 外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。
  7. 入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するなど、当該患者に対する薬学的管理を行うこと。
  8. 定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤すること。
  9. 抗がん剤等の適切な無菌調剤を行うこと。

従来の「調剤」「服薬指導」「薬学管理」のみならず、事前プロトコールに基づく独自の「処方設計の実施」、あるいは提案権に基づいた「処方設計の提案」まで言及する内容となっている。

ハイリスク薬の情報提供や副作用の状況を把握した際の診療報酬加算も追加され、仕組みのレベルからチーム医療への参加が求められている[4][5]

薬剤師認定制度[編集]

処方箋・調剤等に関する例外規定[編集]

薬剤師法第19条の規定により、原則的に薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならないこととされている。ただし例外として以下の場合における医師・歯科医師や、獣医師は、自己の処方箋により自ら調剤を行うことができることとされている。

  1. 患者又は現にその看護に当たつている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合
  2. 暗示的効果を期待する場合において、処方箋を交付することがその目的の達成を妨げるおそれがある場合
  3. 処方箋を交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合
  4. 病状の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合
  5. 診断又は治療方法の決定していない場合
  6. 治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合
  7. 安静を要する患者以外に薬剤の交付を受けることができる者がいない場合
  8. 覚醒剤を投与する場合
  9. 薬剤師が乗り組んでいない船舶内において薬剤を投与する場合

この規定の一方で、「患者が申し出ていないにもかかわらず、医師等から薬剤を交付される」「診察を受けた医師等とは違う医師等から薬剤を交付される」「看護師や事務員より服用方法を指導される」「歯科医院で会計の時、鎮痛剤抗菌薬を手渡しされる」といった例外規定を逸脱した行為が行われている場合がある[疑問点 ]

なお、医師歯科医師は、医師法第22条歯科医師法第21条の規定により、投薬の必要があるときは、患者等が交付を必要としない旨を申し出た場合や、上述の例外規定による自己の処方箋により自ら調剤する場合を除き、処方箋の交付をしなければならない。これにも罰則も設けられている。

薬剤師資格確認検索[編集]

厚生労働省では2008年4月より「良質な医療を提供する体制の確立を図るため、平成18年に薬剤師法が改正され、国民による薬剤師の資格の確認及び医療に関する適切な選択に資するよう、薬剤師の氏名等を公表することとなりました。」として薬剤師資格の確認検索を可能にするシステムを運用している[19]

統計[編集]

薬剤師法では、2年ごとの年に薬剤師届出(薬剤師名簿登録番号、氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項の届出)が義務づけられている。平成22年現在の届出薬剤師数の概数は次の通り[6]。なおこの調査は医師、歯科医師についても同時に行われており、人口10万対薬剤師数は215.9人、医師数は230.4人、歯科医師数は79.3人となっている[6]

  • 総数 276,500人
  • 薬局の従事者(開設者、法人代表者、勤務者) 145,600人
  • 病院・診療所の従事者(調剤・検査・その他業務) 52,000人
  • 医薬品関係企業の従事者(医薬品製造販売業・製造業、医薬品販売業) 47,200人
  • その他(大学の従事者、衛生行政機関・保健衛生施設の従事者、その他業務の従事者、無職) 31,700人
全国の薬剤師数推移
薬剤師数における業種別割合(%)
調査年 薬剤師数 薬局 病院・診療所 医薬品製販・製造業
1955(昭和30年) 52,418 35,504 16,914 39.0 15.3 -
1960(昭和35年) 60,257 37,867 22,390 38.7 15.9 -
1965(昭和40年) 68,674 40,040 28,634 35.2 16.5 -
1970(昭和45年) 79,393 42,327 37,066 34.9 18.4 -
1975(昭和50年) 94,362 46,373 47,989 32.3 20.6 10.6
1980(昭和55年) 116,056 52,678 63,378 31.6 23.3 9.6
1984(昭和59年) 129,700 56,862 72,838 32.5 25.1 9.7
1986(昭和61年) 135,990 59,220 76,770 32.2 25.6 10.4
1988(昭和63年) 143,429 61,109 82,320 32.0 26.7 10.6
1990(平成2年) 150,627 62,901 87,726 32.4 27.4 11.2
1992(平成4年) 162,021 67,089 94,932 32.2 26.8 12.8
1994(平成6年) 176,871 72,461 104,410 34.4 25.8 14.8
1996(平成8年) 194,300 79,069 115,231 36.0 25.2 15.2
1998(平成10年) 205,953 82,950 123,003 39.4 23.8 14.3
2000(平成12年) 217,477 86,357 131,120 43.6 22.1 13.1
2002(平成14年) 229,744 90,827 138,917 46.5 20.7 12.9
2004(平成16年) 241,369 94,794 146,575 48.2 19.9 12.4
2006(平成18年) 252,533 98,802 153,731 49.6 19.4 11.9
2008(平成20年) 267,751 104,578 163,173 50.7 18.8 11.5
2010(平成22年) 276,517 108,068 168,449 52.7 18.8 11.5
2012(平成24年) 280,052 109,264 170,788 54.6 18.8 11.2

薬剤師の年収[編集]

平成23年厚生労働省「賃金構造基本統計調査」による統計データによると、2011年度の薬剤師の平均年収は500万円。平均月収35万円に対してボーナスが84万円と一般企業に比べて高い年収になっている。

また男性の平均年収が572万円、女性の平均年収が473万円と男性の方が年収が高い。[20]

登録販売者について[編集]

2009年施行の改正薬事法により薬剤師以外の医薬品販売者として登録販売者の資格が設けられた。登録販売者は一般用医薬品のうち比較的リスクの低い第二類医薬品及び第三類医薬品を販売出来る。尚、第一類医薬品の販売及び授与は薬剤師の管理・指導の下で可能である。この改正に伴い従前の薬種商販売業の資格は消滅し、一般販売業と薬種商販売業は店舗販売業に統合された[21]

著名な薬剤師・薬学者[編集]

日本[編集]

日本以外[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 寺脇康文・飯島康典・寺脇大・小林大高・坂巻弘之 『世界の薬剤師と薬事制度』 ムイスリ出版、2011年、1-14頁。ISBN 978-4-89641-188-1
  2. ^ a b c 橋田亨(編集)、西岡弘晶(編集) 『薬剤師レジデントマニュアル』 医学書院、2013年、v、17-18。ISBN 978-4-260-01756-5
  3. ^ 嶋根卓也「ゲートキーパーとしての薬剤師 医薬品の薬物乱用・依存への対応」 (pdf) 、『日本薬学会』第133巻第6号、2013年、 617-630頁、 NAID 130003361957
  4. ^ a b 日本薬剤師会 (2011-04-15) (pdf). 薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン (Report) (第2版 ed.). 日本薬剤師会. http://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2011/05/high_risk_guideline_2nd.pdfline.pdf 2014年5月22日閲覧。. 
  5. ^ a b 日本病院薬剤師会 (2013-02-09) (pdf). ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver.2.1) (Report). 日本病院薬剤師会. http://www.jshp.or.jp/cont/13/0327-1.pdf 2014年5月22日閲覧。. 
  6. ^ a b c 厚生労働省. “医師・歯科医師・薬剤師調査”. 2011年12月15日閲覧。
  7. ^ 日本学術会議 薬学委員会 専門薬剤師分科会 (2008年8月28日). “専門薬剤師の必要性と今後の発展-医療の質の向上を支えるために- (PDF)”. 2009年11月14日閲覧。
  8. ^ 公益財団法人MR認定センター (2011年9月). “2011年版 MR白書-MRの実態および教育研修の変動- (PDF)”. 2012年3月4日閲覧。
  9. ^ 一般用医薬品販売制度定着状況調査平成21年度調査結果概要 (pdf)”.  厚生労働省医薬品食品局総務課 (2010年6月). 2010年7月11日閲覧。
  10. ^ 文部科学省. “中央教育審議会 初等中等教育分科会 教員養成部会 専門職大学院ワーキンググループ(第12回)議事録・配付資料[資料5-3]”. 2009年11月14日閲覧。
  11. ^ 日本薬剤師会. “医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)”. 2011年7月31日閲覧。
  12. ^ WHO. “World Health Statistics 2007 - Health systems (PDF)” (英語). 2009年11月14日閲覧。
  13. ^ 厚生労働省 (2002年9月). “薬剤師需給の予測について(全体版) (PDF)”. 2011年8月17日閲覧。
  14. ^ 厚生労働省 (2007年6月). “薬剤師需給の予測について(粗い試算) (PDF)”. 2011年8月17日閲覧。
  15. ^ 厚生労働省 (2008年6月). “第3回薬剤師需給の将来動向に関する検討会 資料7. 薬科大学(薬学部)の数と入学定員・入学者数の推移 (PDF)”. 2011年6月26日閲覧。
  16. ^ 厚生労働省 医薬食品局 (2008年6月). “第3回薬剤師需給の将来動向に関する検討会 議事次第”. 2011年8月18日閲覧。
  17. ^ 厚生労働省 (2010年). “チーム医療の推進について (チーム医療の推進に関する検討会報告書) (PDF)”. 2010年5月23日閲覧。
  18. ^ 厚生労働省 (2010年). “医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について (PDF)”. 2010年5月21日閲覧。
  19. ^ 厚生労働省 (2008年4月1日). “資格確認検索”. 2012年9月1日閲覧。
  20. ^ 平成23年厚生労働省「賃金構造基本統計調査」による統計データ集計
  21. ^ 厚生労働省. “薬事法の一部を改正する法律の概要 (PDF)”. 2010年8月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]