全国健康保険協会

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全国健康保険協会
Japan Health Insurance Association
種類 特別の法律により設立される法人
略称 協会けんぽ・健保協会
本社所在地 日本
東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷東急ビル9F
設立 2008年10月1日
業種 公的医療保険
事業内容 健康(船員)保険事業(保険証発行・給付等)、保健事業(健康診断)、医療費の分析等
代表者 小林 剛
従業員数 2150人(常勤)
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全国健康保険協会(ぜんこくけんこうほけんきょうかい)は、被用者保険者のひとつ。健康保険法に基づき、2008年10月1日に設立された厚生労働省所管の特別の法律により設立される法人(公法人)である。日本最大の保険者(医療保険引受人)である。


概要[編集]

制度区分別 日本の国民医療費(平成22年度)[1]
公費負担医療給付分 26,353億円(7.0%)
軽減特例措置 1,872億円 (0.5%)
後期高齢者医療給付分 116,876億円 (31.2%)
医療保険等給付分
178,950億円
(47.8%)
被用者保険
84,348億円
(22.5%)
協会けんぽ 41,936億円 (11.2%)
健保組合 31,906億円 (8.5%)
船員保険 190億円 (0.1%)
共済組合など 10,280億円 (2.7%)
国民健康保険 91,784億円 (24.5%)
労災など 2,818億円 (0.8%)
患者等負担分 50,151億円 (13.4%)
総額 37兆4,202億円

民間企業に使用される者のうち、所定の要件(健康保険#被保険者を参照)を満たす場合には社会保険加入の義務が発生する(健康保険#適用事業所)。勤務先企業が健康保険組合に加入していない場合は、保険の引受者は全国健康保険協会(愛称「協会けんぽ」)となる。従来、自前で健保組合を持てない中小企業の従業員やその家族を対象としていて、現在では加入する事業所の約8割が従業員10人未満の中小・零細企業であるが、近年は大企業であっても健保組合を持たない、あるいは健保組合を解散して協会けんぽに移行する例が増えている。

また船員保険についても協会が管掌している。なお、日雇特例被保険者については、協会のみがその保険の保険者となり、健康保険組合が保険者となることはない。

被保険者証の保険者番号は8桁の番号からなり、管掌健康保険が01、日雇特例被保険者が03、日雇特例被保険者特別療養費受給者が04から始まる。

健康保険法に基づく保険者 (平成25年)[2]
保険者 加入者数 組合数
加入者計 本人 家族
全国健康保険協会
(日雇特例被保険者以外)
34877千人 19631千人 15246千人 N/A
全国健康保険協会
(日雇特例被保険者)
18千人 12千人 6千人 N/A
健康保険組合 29504千人 15533千人 13951千人 1443組合


歴史[編集]

事業所の業態別・規模別事業所数
及び被保険者数(平成23年)[3]
被保険者数 事業所数
1~4人 960,667 (59%)
5~9 305,934 (19%)
10~19 181,303 (11%)
20~29 63,801 (4%)
30~49 49,518 (3%)
50~99 37,050 (2%)
100~299 21,377 (1%)
300~499 3,304 (1%以下)
500~999 1,788 (1%以下)
1000人以上 718 (1%以下)
総計 1,625,460 (100%)

協会の理念は「協会は、保険者として健康保険及び船員保険事業を行い、加入者の健康増進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるようにし、もって加入者及び事業主の利益の実現を図る」としている。

2008年9月30日までは同様の業務を政府管掌健康保険(政管健保)として国の直営(社会保険庁)で実施していた。2007年の厚生労働白書によれば、2006年3月時点で約3565万人が政管健保に加入している。

一連の医療保険制度の改革や社会保険庁の諸問題発覚による廃止・解体などから2008年10月1日より政府管掌健康保険は国を離れ、協会による全国健康保険協会管掌健康保険に移管された。協会は健康保険(政府管掌健康保険)事業を非公務員化し、自主自立運営かつ事業の合理化・効率化を目指すために設立された。それゆえ協会は全国単位の非公務員型の特殊法人とし、業務の合理化・効率化を推進する(健康保険法第7条の3)。

ただし、被保険者資格の取得・喪失、保険料の納付等に関する手続は、厚生年金保険と一体になっているため、引き続き(旧)社会保険事務所→(現)年金事務所が窓口となっている(「任意継続被保険者に関する手続を除く」とされているが、任意継続被保険者の資格取得申出については、その性質上厚生年金から国民年金への切り替え手続も同時に行う必要がある場合が多いことから、需要が多いため、全国健康保険協会の要員を配置し受け付けている年金事務所も一部存在する)。

組織[編集]

  • 協会けんぽの事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う(健康保険法第5条2項)。協会は以下の業務を行う(健康保険法第7条の2)。
  1. 保険給付に関する業務
  2. 保健事業及び福祉事業に関する業務
  3. 1,2のほか、協会が管掌する健康保険の事業に関する業務であって厚生労働大臣が行う業務以外のもの
  4. 1~3の業務に付帯する業務
  5. 船員保険法の規定による船員保険事業に関する業務(同法の規定により厚生労働大臣が行う業務を除く)、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金及び退職者給付拠出金並びに介護納付金の納付に関する事務
  • 主たる事務所(本部)は東京都に置かれ(健康保険法第7条の4)、都道府県ごとに従たる事務所(支部)がある。
  • 協会の本部には、役員として理事長1人、理事6人以内、監事2人が置かれる(健康保険法第7条の9、第7条の10)。
    • 理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命するが、理事長の任命にあたってはあらかじめ運営委員会の意見を聴かなければならない。理事は理事長が任命する(健康保険法第7条の11)。
  • 運営委員会は、事業主及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るために、本部に設置される。運営委員会は、事業主3名、被保険者3名、学識経験者3名の計9名により構成し厚生労働大臣が任命する(健康保険法第7条の18)。
    • 定款の変更、事業計画・予算・決算・重要な財産の処分・重大な債務の負担等、重要事項については、理事長はあらかじめ運営委員会の議を経なければならない(健康保険法第7条の19)。
  • 評議会は、都道府県ごとの実情に応じた業務の適正な運営に資するために、支部ごとに設置される。委員は事業主、被保険者、学識経験者から支部長が委嘱し、当該支部の業務の実施について意見を聴く(健康保険法第7条の21)。
  • 協会けんぽにおいて、保険料の徴収は厚生労働大臣が行うこととされているが、厚生労働大臣は、協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができるとされる(健康保険法第181条の3)。これにより協会が徴収したときは、その徴収した額に相当する額については、政府から協会に対し、交付されたものとみなされる。

財政運営[編集]

協会けんぽ 平成25年度
都道府県単位保険料率(%)[4]
北海道 10.12 滋賀県 9.97
青森県 10.0 京都府 9.98
岩手県 9.93 大阪府 10.06
宮城県 10.01 兵庫県 10.0
秋田県 10.02 奈良県 10.02
山形県 9.96 和歌山県 10.02
福島県 9.96 鳥取県 9.98
茨城県 9.93 島根県 10.0
栃木県 9.95 岡山県 10.06
群馬県 9.95 広島県 10.03
埼玉県 9.94 山口県 10.03
千葉県 9.93 徳島県 10.08
東京都 9.97 香川県 10.09
神奈川県 9.98 愛媛県 10.03
新潟県 9.9 高知県 10.04
富山県 9.93 福岡県 10.12
石川県 10.03 佐賀県 10.16
福井県 10.02 長崎県 10.06
山梨県 9.94 熊本県 10.07
長野県 9.85 大分県 10.08
岐阜県 9.99 宮崎県 10.01
静岡県 9.92 鹿児島県 10.03
愛知県 9.97 沖縄県 10.03
三重県 9.94
全国平均 10.04%
  • 都道府県単位の財政運営を基本とする。
  • 都道府県ごとに財政の均衡を保つことができるよう、地域の医療費を反映した保険料率を設定する。
    • 全国健康保険協会の健康保険の保険料率は2009年9月分より全国一律から都道府県ごとに変わる。これにより都道府県ごとに加入者の医療費の違いに反映される[5]
    • 都道府県単位保険料率では、一般に年齢構成の高い県ほど医療費が高く保険料率が高くなり、また所得水準の低い県ほど同じ医療費でも保険料率が高くなることから、都道府県支部間で年齢調整・所得調整を行う。これにより、結果的には地域の医療格差のみが保険料率に反映されることとなる。
  • 保険料率の上下限(発足当時66~91‰)は健保組合と同様とし、30~100‰に改める。
    • 2010年の健康保険法改正により、保険料率の上限は120‰となった(健保組合も同様)。
  • 保険料率の変更については、協会が行おうとする場合はあらかじめ当該都道府県支部長の意見を聴いたうえで運営委員会の議を経なければならない。支部長は、意見を求められたときのほか、必要と認めるときは評議会の意見を聴いたうえで理事長に対し、意見の申出を行うものとする。厚生労働大臣は、事業の健全な運営に支障があると認めるときは、相当の期間を定めて協会に対し保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができ、申請がないときは社会保障審議会の議を経て当該都道府県単位の保険料率を変更することができる(健康保険法第160条)。
  • 協会は毎事業年度、予算及び事業計画を作成し、当該年度開始前に厚生労働大臣の認可を受けなければならない。また、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに事業報告書、決算報告書を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2ヶ月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
  • 2年ごとに(平成24年度までは毎事業年度ごとに)、翌事業年度以降5年間の協会が管掌する健康保険事業の収支の見通しを作成し、公表するものとする。
  • 当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の1事業年度あたりの平均額の12分の1に相当する額を、剰余金のうちから準備金として積立てなければならない。
  • 借入金は大臣認可にする等の規制を行うとともに、借入金には政府保証を付すことができるものとする。
  • 当分の間、主な保険給付費及び前期高齢者納付金の納付に要する費用の額に給付費割合を乗じて得た額の合算額(一定の額を除く)の13%(平成22~26年度については16.4%)を国庫が協会に対して補助する。

健保組合の財政悪化[編集]

後期高齢者医療制度支援金の負担等により、財政窮迫組合(一般的に、協会けんぽの料率を超える組合をいう)に陥る健保組合も増加しており、組合を解散して協会けんぽに移行するケースが発生している。大規模な組合ではセイノーホールディングス傘下の西濃運輸などで構成される西濃運輸健康保険組合(被保険者57,000人)が2008年8月1日付けで解散し、政管健保に移行した[6]。また、2008年9月1日付けで吉野家ホールディングス傘下の京樽も健康保険組合を解散し政管健保に移行した[7]

また、協会けんぽの財政状況も非常に厳しく、支出の約4割が後期高齢者医療制度への拠出金が占めている。これは現行制度の拠出金の算出方法3分の2が加入者割で各保険者に割り振られていること(協会健保は日本最大の保険者である)、また協会の被保険者の標準報酬の平均は、2008年度385万円だったものが2011年度には370万円へと減少していて、公務員共済・大企業中心の健保組合と比較し、著しく低いことなどが原因である。

脚注[編集]

  1. ^ 平成22年度 国民医療費の概況 (Report). 厚生労働省. (2010-09-27). http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/10/index.html. 
  2. ^ 平成25年版 厚生労働白書 (Report). 厚生労働省. 資料編 p26. 
  3. ^ 健康保険・船員保険被保険者実態調査 平成23年10月, 総務省統計局(e-stat GL08020103)
  4. ^ 協会けんぽ (平成25年02月20日). “平成25年度の協会けんぽの保険料率は据置きとなりました”. 2013年9月23日閲覧。
  5. ^ 読売新聞 2009年9月1日1面政府広報厚生労働省
  6. ^ 高齢者医療の拠出重荷、健保を解散 西濃運輸、政管へ(アサヒコム、2008年8月21日
  7. ^ 京樽:健康保険組合を解散…新高齢者医療導入で負担増毎日新聞、2008年9月10日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]