財政

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財政(ざいせい、: public finance)とは、国家地方公共団体がその任務を遂行するために営む経済行動で、総体収入の取得のための権力作用と、取得した財・役務の管理・経営のための管理作用とがある。これらの現象を学ぶ学問が財政学である。

財政の定義と機能[編集]

経済学では、経済循環における1つの経済主体である政府の経済的行動として「財政」を定義している。財政には以下のような機能を有する。

資源配分機能
財政は、その活動により市場を通じては供給が過少になりがちな公共財を必要量供給できる。公共財にはインフラストラクチャー学校教育国防などがある。
所得再分配機能
仕組みにも寄るが、累進課税雇用保険制度により所得格差の緩和が可能になる。
需要創出効果
財政赤字の経済学的な効果としてマクロ経済学の立場からは乗数効果による有効需要の創出があげられる。ヨーロッパでは財政赤字に対して規制をおこなっている。恣意的な財政政策による需要調整に対しては、有効であるとする立場、無効であるとする立場などがある。
経済は、もし財政が存在しなければ非常に不安定であり、恐慌や、不況に見舞われることがある。その際に財政は、自由に歳出を伸ばすことによって財政赤字を生み出し、有効需要を創出する。その後に景気回復が起こった場合に税収が多くなることを期待して赤字財政とすることは経済安定効果の面からも正当化されるという主張がある。公債はそのような意味での経済安定効果を持つと考えられてきた。
一方ではマネタリストなどが恒常所得仮説により、そのような効果を持つことはないと批判している。この学派によれば財政政策よりも金融政策の方が有効な景気対策である。一方、ヨーゼフ・シュンペーターの経済学では、景気変動はただ景気の波によるのであって、自由競争による創造的破壊こそが有効な景気変動への対策であるとされている。
財政の経済安定化機能(ビルト・イン・スタビライザー)
財政自体の効果として経済の自動安定化機能がある。

財政の歴史[編集]

財政の歴史は、ほぼ「歳入不足・歳出過剰」の歴史となっている[要出典]。また、歳入と歳出のあり方は、国の構造や方向性に大きく影響した。

3世紀頃のローマ帝国は、膨大な社会資本維持や異民族侵入防御のための歳出により、都市の財政負担が膨張し荘園化による帝政崩壊の一因となった。

16世紀になると、スペインポルトガルは、南米からの莫大な収入により、莫大な浪費を続け欧州に価格革命をもたらした。また、は、未熟な紙幣を流通させることに失敗し、一条鞭法によって銀収入に統一した。

17世紀にはイギリスフランスなど、絶対王政の国々は対外侵略に明け暮れ、莫大な国債残高を抱えていた。

日本明治維新後、現物が中心だった歳入を地租改正によって貨幣経済に合わせた。

20世紀[編集]

ケインズ経済学誕生前夜、イギリスなどの多くの国の大蔵省・財務省は、支出を税収に一致させる均衡財政主義を採用していた[1]。20世紀にはいるとアメリカは、世界恐慌に際して、均衡財政主義を破り積極的な歳出増額により失業者救済を図った。1942年に日本は、米ドル建て国債(ソブリン債)のデフォルトに陥っている[2]

1947年(昭和22年)、戦後混乱期の日本では日本国債の発行額が税収を上回り、それが戦後インフレーションの原因になったという反省から財政法が制定され、赤字国債の発行と日銀の赤字国債引き受けを禁止して、均衡財政主義を取ることとなった。戦後の日本は、世界銀行からの借り入れにより、大規模なインフラストラクチャー建設を実施。産業開発と高度経済成長により得た歳入で、期日どおり利付きで世界銀行へ返済した。日本が延滞や棒引きを起こさなかったことは世界銀行を驚かせた。1965年(昭和40年)には日本で赤字国債の発行が再開され、1990年にはバブル景気の税収増によりいったん発行額ゼロになるも1994年には再開された。

1998年には、アジア通貨危機を受けてロシア財政危機が発生。ロシアは債務不履行(デフォルト)状態になった。

21世紀[編集]

2001年には、アルゼンチンデフォルトとなった。

2007年、アメリカの住宅バブル崩壊に端を発した世界金融危機が発生してからは、世界各国・各地域で財政危機も発生している。

2008年10月には、カリフォルニア州が財政危機表面化した。

2010年にはギリシアの財政状況からソブリン・リスクが意識され、欧州ソブリン危機が発生した。スペインポルトガルイタリアアイルランドなどユーロ加盟諸国(PIIGS)への波及が懸念され、各国が危機を回避するよう対策をとっている。

2013年、韓国は家計企業政府の負債総額(2012年末時点)が3607兆3000億ウォン(約307兆8200万円)に達し、2012年の名目国内総生産(GDP、1272兆5000億ウォン)に対する負債総額比率は過去最大の283%%となった[3]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]