公費負担医療

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公費負担医療(こうひふたんいりょう,Publicly funded health care)とは、医療費の全額もしくは大部分を公的管理された基金が負担する医療制度

各国の制度[編集]

北欧諸国スペインイタリアでは、政府により管理・供給される公費負担医療制度が存在する。 カナダなどいくつかの国の制度では、薬は公費負担だが医療機関の多くは民営である。

ヨーロッパ[編集]

  • イギリスの医療においてはNHSの入院および外来診察は無料である[1]。処方薬については有料で定額制だが、60歳以上・16歳未満・16~18歳のフルタイム学生・妊婦および産後1年以内・指定病患者・身体障碍者・軍人年金・NHS入院患者・低所得者については無料[1]
  • イタリアの医療では、イギリスに類似した国民保健サービス(SSN)の公費負担医療である。
  • アイルランドの医療では、ミーンズテスト該当者はMedicalCardが交付され、全額公費負担となる。
  • ドイツの医療では、18歳未満は全額社会保険負担となり、また妊婦・出産については全額公費負担となる[1]

北欧諸国では高福祉高負担のノルディックモデル福祉国家として運営されている。

  • スウェーデンの医療においては地方によって異なるが、18歳以下は自己負担なし(一部の県では減額)となる[1]。妊婦についてはプライマリケアおよび健康診断が自己負担なし[1]
  • デンマークの医療においては、登録されたGPへの受診は自己負担なし。

北米[編集]

  • カナダの医療では、医師受診および入院は公費負担となり、政府は直接医療を提供せず民間医療機関が担っている。

日本の制度[編集]

制度区分別 日本の国民医療費(平成22年度)[2]
公費負担医療給付分 26,353億円(7.0%)
軽減特例措置 1,872億円 (0.5%)
後期高齢者医療給付分 116,876億円 (31.2%)
医療保険等給付分
178,950億円
(47.8%)
被用者保険
84,348億円
(22.5%)
協会けんぽ 41,936億円 (11.2%)
健保組合 31,906億円 (8.5%)
船員保険 190億円 (0.1%)
共済組合など 10,280億円 (2.7%)
国民健康保険 91,784億円 (24.5%)
労災など 2,818億円 (0.8%)
患者等負担分 50,151億円 (13.4%)
総額 37兆4,202億円

日本の医療における公費負担医療は、全額公費負担のものもある一方、医療保険制度が優先でその自己負担分のみに対して公費負担が適用されるものもあるなど、とても複雑なものとなっている。また、公費の国と地方自治体の負担割合も制度ごとに異なっている。

さらに乳幼児医療制度などに代表される市町村独自の公費負担制度は、実施の有無・名称・対象者・認定基準・窓口負担方法・負担金などの細部が自治体により異なっている。

種類[編集]

国の法律に基づく公費負担制度[編集]

法別番号 制度 負担割 根拠法
10 結核医療 感染症法第37条の2
11 結核入院医療 感染症法第37条
12 医療扶助 全額公費 生活保護法第15条
13 戦傷病者療養給付 全額公費 戦傷病者特別援護法
14 戦傷病者更生医療 全額公費 戦傷病者特別援護法
15 自立支援医療 (更生医療) 障害者総合支援法第5条
16 自立支援医療 (育成医療) 障害者総合支援法第5条
17 療育医療 児童福祉法第二章第一節
18 原爆認定医療 原爆被爆者援護法
19 原爆一般医療 原爆被爆者援護法
20 措置入院 精神保健福祉法
21 自立支援医療(精神通院医療) 原則1割 障害者総合支援法第5条
22 麻薬入院措置 医療保険優先 麻薬及び向精神薬取締法第58条の8
23 養育医療 母子保健法第20条
24 自立支援医療 (療養介護医療)
25 中国残留邦人 中国残留邦人等自立支援法
28 一類・二類・指定感染症 医療保険優先 感染症法
29 新感染症 原則全額公費 感染症法
30 心神喪失 心神喪失者医療観察法
38 肝炎治療特別促進事業
51 特定疾患など
52 小児慢性特定疾患 児童福祉法第21条の5
53 児童福祉施設措置医療 児童福祉法第50条
66 石綿健康被害救済制度 石綿による健康被害の救済に関する法律
79 障害児施設医療

このほか、公害医療、刑事収容施設被収容者(刑事収容施設法)、予防接種事故(予防接種法)などがある。

地方自治体の条例に基づく公費負担制度[編集]

障害者自立支援法に基づく自立支援医療の受給者証と自己負担上限額管理表の例(神奈川県川崎市)
  • 乳幼児医療費助成制度
  • ひとり親家庭医療費助成
  • 障害者医療費助成
  • 小中学生医療費助成

上記は、いずれも各自治体の条例に基づく制度であるため、名称や負担の内容等は各自治体により異なっている。

廃止された公費負担制度[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 泉眞樹子「医療費における自己負担と医療アクセス - 保険給付と高額療養費、難病対策その他の公費医療」、『レファレンス』第60巻第9号、国立国会図書館、2010年9月、 91-116,、 NAID 40017320355
  2. ^ 平成22年度 国民医療費の概況 (Report). 厚生労働省. (2010-09-27). http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/10/index.html. 

関連項目[編集]