公的扶助
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公的扶助(こうてきふじょ)とは、国等の公的機関が主体となって、一般租税を財源にして、貧困者に最低限の生活を保障するために行う経済的援助。社会保険とともに社会保障制度の大きな柱の一つである。
目次 |
[編集] 概要
公的扶助の成立前には、もっぱら私的扶助が行われたり、貧困を個人の素行等の道徳的問題としてとらえる消極的な施策にとどまっていた時代があった。しかし、貧困が個人のレベルでは解決しきれない広がりと深さをもってきたことが社会の共通認識となってきたことから、国家が客観的・無差別平等に、権利としての扶助を行うという現代的な公的扶助の制度が成立した。
公的年金、雇用保険、労災保険などの社会保険制度も、貧困対策の機能を有する。これらの社会保険制度と比較してとらえると、公的扶助とは「国家が、最低生活保障を目的として、貧困状態にある者を対象に、(貧困の事実認定を行うための)資力調査(ミーンズテスト)を課し、公費を財源として行う制度」といえる。
所得保障制度は、事前の拠出を伴う社会保険制度と、無拠出だが資力調査を伴う公的扶助と、そのいずれにも当てはまらない社会手当とに分類される。社会手当のうち、日本において最も普遍的なものは児童手当であり、その他に児童扶養手当、特別児童扶養手当がある。日本で2000年代に話題にのぼるようになったベーシックインカムも社会手当の一種である。
[編集] 各国の公的扶助
公的扶助の概念・制度は国によって異なる。
- 日本
- 申請権者の申請により、生活保護法に基づき、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類が、単給または併給として行われる。
- イギリス
- 2012年現在、公的扶助の主な施策は所得援助、求職者手当があり、就労可能性ないし稼働能力の有無に応じていずれかを受ける。
- アメリカ合衆国
- 80以上の公的扶助事業が存在するが、代表的なものとして、補足的保障所得、フードスタンプ、貧困家庭一時扶助がある。
- フランス
- 公的扶助(assitance publique)という用語をスティグマ感がつきまとっていたことから1953年以降、社会扶助という用語に変更しており、それに加え、家族手当、家族係数などの家族給付および社会ミニマムといった多種多様な社会手当が公的扶助の制度体系の中で重要な役割を果たしている。
[編集] 参考文献
- 杉村宏・岡部卓・布川日佐史 編 『やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ よくわかる公的扶助』 ミネルヴァ書房、2008年。ISBN 978-4-623-05039-0。