行政書士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
行政書士
資格種類 国家資格
分野 法律
試験形式 筆記試験
認定団体 総務省
等級・称号 行政書士
根拠法令 行政書士法
公式サイト 財団法人行政書士試験研究センター
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
テンプレートを表示

行政書士(ぎょうせいしょし)とは、行政書士法に基づき、官公署省庁都道府県市町村警察署保健所その他の行政機関等)に提出する書類及び権利義務事実証明に関する書類(契約書、議事録、会計帳簿、図面類等)の作成、提出手続きの代理、作成に伴う相談に応ずることなどを業とする日本国の国家資格者(隣接法律専門職)。

概要[編集]

行政書士法には、平成9年(1997年)に目的規定(1条)が追加され、行政書士制度の目的が明確化された。

  • 行政書士法第1条「この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。」

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)及び権利義務事実証明に関する書類に関して、法律に基づき作成、作成・提出を代理し、加えて、当該書類作成に伴う相談に応ずることを業とする。

行政書士法に基づき、行政書士が作成することができる書類は、その名称のごとく許認可等の申請書・添付書類など行政機関に対する書類の他に、契約など私人間(民間の個人や企業・団体の間)で交わされる法律的な書類(権利義務・事実証明に関する書類)もあり、数千種類に及ぶと言われる。

ただし、他の法律で制限されているものは扱えない。

資格・登録[編集]

行政書士となる資格[編集]

  • 行政書士試験に合格した者(行政書士法2条1号)。
  • 弁護士弁理士公認会計士税理士となる資格を有する者(行政書士法2条2~5号)。
  • 又は地方公共団体の公務員として「行政事務」を担当した期間及び特定独立行政法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員として「行政事務」に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(高等学校・大学等を卒業した者は17年以上)になる者。ここにいう「行政事務」とは、行政機関の権限に属する事務のみならず、立法ないし司法機関の権限に属する事務も含まれるが、単なる労務、純粋の技術、事務の補助等に関する事務は含まれず、文書の立案作成、審査等に関連する事務であることおよびある程度、その者の責任において事務を処理していることが必要とされる。「行政事務」を担当する者であるかどうかについて具体的な例示として(1)警察官消防吏員の庁内勤務は該当する場合が多く(2)地方公共団体の議会の議員は該当しないが書記は該当し(3)選挙管理委員監査委員教育委員農地委員等いわゆる行政委員会の委員は該当し(4)地方公共団体の経営する病院の医師で衛生行政に関与しない者は該当せず(5)教育公務員については一般に該当しないがいわゆる教育行政に関与する地位にある者すなわち学長校長教頭部局長教育長等は該当すると回答されている。(旧地方自治庁行政課長通知/昭和26年9月13日)。

欠格事由[編集]

次のいずれかに該当する者は、上記にかかわらず、行政書士となる資格を有しない。

  • 未成年者
  • 成年被後見人または被保佐人
  • 破産者で復権を得ない者
  • 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者
  • 公務員(特定独立行政法人または特定地方独立行政法人の役員または職員を含む)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  • 6条の5第1項の規定により登録の取消しの処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  • 14条の規定により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  • 懲戒処分により、弁護士会から除名され、公認会計士の登録の抹消の処分を受け、弁理士税理士司法書士もしくは土地家屋調査士の業務を禁止され、または社会保険労務士の失格処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から3年を経過しない者

登録[編集]

行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録を受けなければならない。なお、登録の際には登録料や会費として30万円前後が必要となり、その後も会費として毎年6万円前後が必要である。これらの金額は都道府県によって多少の差がある。登録を行わないと、行政書士としての業務を行ってはならないのはもちろんのこと、行政書士と名乗ることもできない。平成25年2月時点の登録者数は43,474名、355法人である。

徽章[編集]

行政書士の徽章コスモス花弁の中に篆書体の「行」の字をデザインしたものである。(素材は、純銀の台座に金メッキ貼り)。

なお、行政書士補助者は補助者登録を行うことで補助者徽章の交付を受けることができる(デザインはコスモス花弁の中に「補」の記載。素材は、合金製 光沢ニッケルメッキ)。

監督[編集]

行政書士に対する懲戒は、都道府県知事が行う(行政書士法14条)。

都道府県知事は、行政書士会につき、報告を求め、または勧告することが出来る(18条の6)。

非行政書士の取り締まり[編集]

後述する独占業務を行政書士または行政書士法人でない者が業として報酬を得て行うと、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の適用がある。(行政書士法19条)
なお、次の場合は除かれる。

  • 他の法律で別段の定めがある場合(行政書士法19条但書)
  • 定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合(行政書士法19条但書)
  • 正当な業務を行うために付随して行われる場合(昭和39年7月7日自治省事務次官通知、昭和62年6月19日行政課長回答)
  • 官公署に提出する書類に匹敵する対外的に意味のある書類以外の書類作成(平成22年12月20日最高裁判所第一小法廷判決)
  • 官公署に提出する書類の記載事項の一部を有料で記載すること(昭和41年11月24日警察庁運転免許課長宛行政課長回答)

業務[編集]

独占業務[編集]

(行政書士法第1条の2)

  • 官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること(第1項)

非独占業務[編集]

(行政書士法第1条の3)

  • 官公署に提出する書類の提出手続について代理すること(第1号)
  • 官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為について代理すること(第1号)
  • 前条の規定(1条の2)により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること(第2号)
  • 契約その他に関する書類を代理人として作成すること(第3号)
  • 行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること(第4号)

※但し、第2号の業務は当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(「特定行政書士」)に限り、行うことができる。(行政書士法第1条の3第2項)また行政書士法上罰則規定はないが、この業務は弁護士法の法令の別段の定めにあたるため無資格者(特定行政書士の付記がされていない行政書士も含む)が行った場合には弁護士法違反となる(弁護士法第72条)

税理士との共管業務[編集]

税理士法51条の2 行政書士等が行う税務書類の作成 )

  • 行政書士又は行政書士法人は、それぞれ行政書士又は行政書士法人の名称を用いて、他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税その他政令で定める租税に関し税務書類の作成を業として行うことができる。

(同施行令14条の2 行政書士が税務書類の作成を行うことができる租税)

  • 法第五十一条の二 に規定する政令で定める租税は、石油ガス税、不動産取得税、道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)、市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)、特別土地保有税及び入湯税とする。

社会保険労務士との共管業務[編集]

(行政書士法昭和55年改正附則2項)

  • この法律の施行の際(昭和55年9月1日/原文に記載なし)現に行政書士会に入会している行政書士である者は、「当分の間」、この法律による改正後の行政書士法第一条第二項の規定(行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行う事ができない/原文に記載なし)にかかわらず、他人の依頼を受け報酬を得て社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号及び第二号に掲げる事務(労働、社会保険法令上の申請書等・帳簿書類の作成/原文に記載なし)を業とする事ができる。

その他の共管業務[編集]

(弁護士との共管業務)

  • 弁護士法72条に反しない契約書その他書類の作成(弁護士法3条、同72条、行政書士法第1条の2、同第1条の3)
  • 検察審査会に提出する不起訴処分に対する審査申立書作成業務(昭和53年2月3日自治省行政課決定)
  • 自動車損害賠償法第15条による保険金の請求手続(昭和44年10月25日自治行発第82号行政課長回答)
  • 特定行政書士が行う行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続についての代理及びその手続について官公署に提出する書類の作成(弁護士法3条、同72条、行政書士法第1条の3第2号)
  • 司法警察機関への告訴・告発状作成(弁護士法3条、行政書士法第1条の2)

(司法書士との共管業務)

  • 帰化申請書作成(昭和37年5月10日自治丁行発第29号行政課長回答)
  • 検察審査会に提出する不起訴処分に対する審査申立書作成業務(昭和53年2月3日自治省行政課決定、昭和36年10月14日民事甲第2600号民事局長回答)
  • 行政書士法に定める業務を行うために必要とされる法人登記事項証明書・法人印鑑証明書の法務局への交付請求手続(昭和52年2月7日民事三第855号民事局第三課長回答)
  • 行政書士法に定める業務を行うために必要とされる不動産登記事項証明書等の法務局への交付請求手続(昭和41年2月23日法務省民事局第三課長宛行政課長回答)
  • 登記申請書に添付する限度においての官公署提出交付請求書(租税、公課等の証明願、戸籍及び住民票の謄抄本交付請求書等)の作成(昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答、昭和35年11月10日自治省行発第44号行政課長回答)

(弁理士との共管業務)

  • 弁理士法施行令第8条に定める書類以外の書類作成(弁理士法第4条3項、同75条)

(海事代理士との共管業務)

  • 内航海運業法及び船員職業安定法に基づく諸手続(海事代理士法附則第19条)

(土地家屋調査士との共管業務)

  • 登記申請書に添付する限度においての官公署提出交付請求書(地目変更登記のための非農地証明願、戸籍及び住民票の謄抄本交付請求書等)の作成(昭和51年4月7日法務省民三第2492号法務省民事局長回答)

(建築士との共管業務)

  • 1ヘクタール未満の開発行為の設計図書を含む開発許可申請書作成(昭和53年2月13日自治省行政課決定)
  • 農地転用許可申請手続(平成5年3月17日建設省住宅局建築指導課回答)
  • 住宅金融公庫法に基づく住宅融資申請手続及び現場審査申請等一連の手続(昭和57年7月13日建指発9号建設省住宅局建築指導課長回答)
  • 建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当する工作物を除く工作物に係る確認申請手続(昭和53年4月7日建第20号静岡県都市住宅部建築課長回答)

出入国管理法に規定される行政書士業務(申請取次業務)[編集]

弁護士又は行政書士が外国人に代わって下記の入国管理局の手続きをするときは、一定の手続きについて、依頼した外国人の出頭を要さない(出入国管理及び難民認定法施行規則 6条の2第4項、19条第3項、59条の6第2項)とされている。なおこれらの業務を行うためには一定の研修・考査を受け申請取次の認定を受けなければならないため、すべての行政書士がその資格に基づいてできるわけではない。

  • 出入国関係申請取次業務(出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)第七条の二第一項 、第十九条第二項、第十九条の二第一項、第二十条第二項、第二十一条第二項、第二十二条第一項、第二十二条の二第二項(第二十二条の三において準用する場合を含む。)及び第二十六条第一項に規定する申請に関し申請書、資料及び書類の提出並びに書類の提示を行う業務をいう。)(行政書士法施行規則第12条の2第1号)

業務制限[編集]

上記業務に外形上含まれる業務であっても行政書士は、他の法律により制限される業務は行えない。(行政書士法第1条の2第2項)

  • 他の法律により制限される業務は弁護士法、公証人法、司法書士法、海事代理士法、公認会計士法、税理士法、社会保険労務士法、建築士法等が該当する。(昭和26年3月1日地自乙発第73号各都道府県知事宛地方自治庁次長通知)

記名義務[編集]

行政書士は、その作成した書面について記名しその職印を押印しなければならない(行政書士法施行規則第9条第2項)。

特定行政書士[編集]

日本行政書士会連合会が実施する研修課程を修了した行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することができるように特定行政書士の付記がなされる。 (行政書士法第1条の3第2項・第7条の3)

行政書士に関する組織[編集]

行政書士法人[編集]

行政書士法人とは、業務を組織的に行うことを目的として行政書士が共同して設立した法人をいう。

  • 行政書士法人の社員は行政書士でなければならない(行政書士法13条の5)。
  • 行政書士法人は、政令で定めるところにより、登記しなければならない(13条の7)。
  • 行政書士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会の会員である社員を常駐させなければならない(13条の14)。

行政書士会(単位会)[編集]

行政書士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。

  • 会則を定め都道府県知事の認可を受けなければならない(行政書士法16条の2)。
  • 組合等登記令により登記しなければならない(行政書士法16条の3)、登記を怠ったときは、代表者が30万円以下の過料に処せられる(行政書士法24条)。
  • 毎年1回、会員の事務所の所在地等を都道府県知事に報告しなければならない(行政書士法17条1項)。
  • 行政書士として登録を受けたとき、その行政書士会の会員となる(行政書士法16条の5)。
  • 会員に対して会員証を交付しなければならない(行政書士法施行規則13条,会員証は、業務中、官庁や役所の窓口で提示する身分証明書となる)。

日本行政書士会連合会[編集]

日本行政書士会連合会は都道府県単位に設立された行政書士会の上部組織である。詳しくは日本行政書士会連合会を参照。

行政書士試験[編集]

  • 受験資格に制限はない。
  • 毎年度11月第2日曜日に、全国47都道府県で行われる。
  • 総務大臣が定めるところにより都道府県知事が行う。都道府県知事は総務大臣の指定する指定試験機関に委任することができ、現在は財団法人行政書士試験研究センターが試験を実施している。具体的には総務大臣が試験期日、試験科目、試験の方法、合格発表期日、合格証、試験の公示等の試験の骨子を定め、都道府県知事が合格の決定に関する事務(合格基準の設定)を行い、指定試験機関が試験問題の作成、答案の採点、試験会場の確保、試験監督などを行っている。
  • 試験科目は、業務に関する法令等として憲法民法行政法商法会社法、基礎法学があり、業務に関する一般知識等として政治経済社会情報通信個人情報保護文章理解がある。また、平成17年度まで試験科目であった行政書士法戸籍法住民基本台帳法労働法税法等も一般知識等として出題され得る、としている。試験問題は、毎年度4月1日現在施行の法律に準拠して出題される。
  • 出題形式は、5つの選択肢から1つを選ぶ択一式と、40字程度の記述式(法令等科目のみ)の組合せである。
  • 合格基準は、全体で60%以上の得点をしつつ、法令等科目で50%、一般知識等で40%の得点をしていることである(すなわち、全体で(300点満点中)180点以上の得点をしつつ、法令等科目で(244点中)122点以上、かつ、一般知識等で(56点中)24点以上の得点をしていることが必要)。ただし、問題の難易度により、補正的措置が採られることがある。平成26年度試験において行政書士試験研究センターは「試験問題の難易度を評価」し、補正的措置を新試験制度開始(平成18年度)後初めて行い、合格基準点を(300点中)166点(法令等科目(244点中)110点以上、かつ、一般知識等(56点中)24点以上)とした。これにより特に100点満点に換算した場合、総合得点で55点、法令科目については45点で合格したことになり、問題難易度の設定が適切であったか疑問視されている。
行政書士試験合格率[1][2]
年度 申込者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成元年度 21,167 2,672 12.62%
平成2年度 22,406 2,480 11.07%
平成3年度 26,228 3,092 11.79%
平成4年度 30,446 2,861 9.40%
平成5年度 35,581 3,434 9.65%
平成6年度 39,781 1,806 4.54%
平成7年度 39,438 3,681 9.33%
平成8年度 43,267 36,655 2,240 6.11%
平成9年度 39,746 33,957 2,902 8.55%
平成10年度 39,291 33,408 1,956 5.85%
平成11年度 40,208 34,742 1,489 4.29%
平成12年度 51,919 44,446 3,558 8.01%
平成13年度 71,366 61,065 6,691 10.96%
平成14年度 78,826 67,040 12,894 19.23%
平成15年度 96,042 81,242 2,345 2.89%
平成16年度 93,923 78,683 4,196 5.33%
平成17年度 89,276 74,762 1,961 2.62%
平成18年度 88,163 70,713 3,385 4.79%
平成19年度 81,710 65,157 5,631 8.64%
平成20年度 79,590 63,907 4,133 6.47%
平成21年度 83,819 67,348 6,095 9.05%
平成22年度 88,651 70,576 4,662 6.60%
平成23年度 83,543 66,297 5,337 8.05%
平成24年度 75,817 59,948 5,508 9.19%
平成25年度 70,896 55,436 5,597 10.10%
平成26年度 62,172 48,869 4,043 8.27%

関連項目[編集]

外部リンク[編集]