合同会社

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合同会社(ごうどうがいしゃ)とは、日本における会社形態の1つである。G.K.(Godo Kaishaの略)またはLLCと称することがある[1]

  • 以下、会社法は条数のみ記載する。

概要[編集]

平成18年(2006年5月1日施行の会社法により新しく設けられた会社形態である。

平成18年4月30日以前の日本における会社組織は、商法第二編に規定されていた株式会社合名会社合資会社および有限会社法に規定されていた有限会社の4種類であった。
現代においては極めて特殊であるが、合名会社の社員(=出資者)および合資会社の無限責任社員(=出資者)は会社の債務に対し無制限・無条件に責任を負う。合同会社の社員はすべて会社債務に対し有限責任とされ、社員(=出資者)の有限責任が確保されている点が、合名・合資形態とはかなり異なっている。

これに対して新たに施行された会社法では、旧来の株式会社および有限会社を統合した株式会社と、合名会社・合資会社および新設の合同会社を包含する持分会社という2種類の会社類型が認められている。

合同会社の内部関係はシンプルな設計であり、社員全部が有限責任ということもあり、新規設立が認められなくなった有限会社に代わって今後多く設立されることが見込まれる会社形態である。

「合同」という名称だが、代表社員1名のみで設立登記することが可能である。

かつて有限会社が担っていた個人事業の法人成りは勿論、個人レベルから大企業、大学・研究機関等が参画するものまで、さまざまな規模の共同事業や子会社事業・ベンチャー事業等の設立が期待される。

制度開始から1年で約5000社が設立され、急激に増加している(合資会社は年約1600社、合名会社は年約100社である)。2009年3月末現在、約18,000社ある。

最低資本金制度の撤廃以後、小規模の営利法人を株式会社形態で設立するハードルは相当に下がったが、法人を設立する事そのもののコスト(法人登記費用)は合同会社に分がある(後述)。

アメリカ合衆国各州の州法で認められるLLC (Limited Liability Company) をモデルとして導入されたもので、日本版LLCともいわれる。法人名を英文表記する場合に「~.LLC」として使用が可能であり、英文社名として定款に記載する場合にも使用できる。

ただし、アメリカにおいてLLCが数多く設立されるようになった大きな理由の一つであるパス・スルー課税(法人の所得ではなく、出資者の所得への課税)は、日本では現在のところ認められていない(類似の制度で、パス・スルー課税ができるものとして「有限責任事業組合」(日本版LLP)がある)。また米国税法では旧有限会社と同じくパス・スルー課税の対象となる法人格であるため、有限会社法廃止以降に設立された米国企業の日本法人は法人格として合同会社を選択することが多い。また、既に株式会社として存在する米国企業の日本法人や、買収した子会社・関連会社を合同会社に改組(新設合併)するケースも存在する。

略記[編集]

合同会社の略記は「(同)」、銀行振込の際は「(ド)」が使われる。 金融機関のシステムによっては法人略称が存在せず、「ゴウドウガイシャ **」として登録されている法人口座も存在する。

旧来の会社法の下で、「(合)」では合名会社合資会社の区別が付かない為に2文字目の「(名)」「(資)」が使われていた事に倣い、合同会社は「(同)」となっている。

特徴[編集]

他の会社形態と比較した合同会社の特徴は、以下のとおりである。

なお、ここでいう社員とは会社の構成員=出資者のことであり、一般社会でいう社員(会社員、従業員)とは異なる。株式会社においては、会社の最高意思決定機関(株主総会)の構成員の地位(株主)と、会社の業務を執行したり会社を代表したりする機関取締役代表取締役等)は分離しているが、両者が原則的に分離していない、すなわち所有と経営が一致しているのが持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の社員である。

持分会社としての特徴[編集]

持分会社は、相互に人的信頼関係を有し日常的に会合できる少人数の者が出資して共同で事業を営むことを予定した会社類型であり、以下の特徴を持つ。したがって、合名会社・合資会社・合同会社に共通する。

  • 会社の内部関係(社員相互間および会社・社員間の法律関係)の規律については原則として定款自治が認められ、その設計が自由である。株式会社の取締役執行役のような機関は置かれず、原則として全社員が自ら会社の業務執行に当たる(590条第1項)。ただし、定款の定めによって業務を執行する社員を(さらにその中で会社を代表する社員を)限定することも可能である。
  • 原則として定款の作成・変更には全社員の一致を要する(575条637条)。つまり、社員一人一人がこれらの事項について拒否権を有していることになる。(⇔株式会社の場合、非公開会社でも株主総会特別決議で定款を変更できる)。
  • 社員の持分の譲渡、新たな社員の加入も他の社員全部の同意を必要とする(585条604条第2項)(⇔株式の譲渡は非公開会社でも株主総会の決議で足りる)。
  • 利益分配、議決権分配も、出資割合とは切り離して自由に認められる(⇔非公開会社たる株式会社では、機関設計は自由だが、株主平等原則がある。旧有限会社とも異なる)。

合同会社として固有の特徴[編集]

以下の点は、合名会社・合資会社とは異なる。

  • 社員は全て有限責任社員であり(576条第4項)、また社員は間接有限責任のみを負う(580条第2項)(=株式会社、旧有限会社)。
  • 各社員は出資義務を負い、信用や労務の出資は認められておらず、また設立の登記をする時までに全額払い込みを要する(578条)(=株式会社、旧有限会社)。
    • 社員になろうとする者は、原則として、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない(578条)。
  • 持分の払戻しは請求できず、また、退社に際しての払戻しは規制される(632条)(=株式会社、旧有限会社)。
  • 持分の全部又は一部を譲り受けることができず、取得した場合には、消滅する(587条)。
  • 任意清算が認められない(668条1項)。・・・合名・合資会社と異なり無限責任社員がおらず、債権者保護手続きが必要となるため。

以上、「持分会社としての特徴」に鑑みると、合同会社は、基本的には非公開の株式会社よりもさらに閉鎖性を有している。反面「合同会社として固有の特徴」をみると、株式会社の特徴をもふまえた会社形態だと言える。

会社法の趣旨として、一方で旧有限会社のうち閉鎖性の高いものを合同会社(持分会社)とし、他方で、閉鎖性の低いものを株式会社として整理をさせようとしていると思われる。

社員[編集]

社員の種類[編集]

代表社員
業務を執行する社員は原則として会社を代表する。ただし、定款または定款の定めに基づく社員の互選によって業務を執行する社員の中から会社を代表する社員を定めることも可能である。株式会社における代表取締役兼株主に相当する。更に、定款に定めることによって、代表社員から法人代表者(会長社長理事長など)を定める事ができる。
業務執行社員
持分会社の社員は原則として業務を執行する。ただし、定款の定めによって業務を執行する社員を限定することも可能である。株式会社(取締役会非設置会社)における取締役兼株主に相当する。
社員(上記以外)
定款の定めによって業務を執行する社員を限定した場合のそれ以外の社員は、定款には記載されるが、登記事項ではないため登記簿には載らない。株式会社における株主に相当する。

また、法人が代表社員となることもできる。この場合、法人は職務執行者を置かなければならない。これは業務執行社員とは別物である。

加入と退社[編集]

社員が新しく加入する時には、出資によるものと持分譲渡によるものがある。社員が退社する時には、任意退社と法定退社の類型がある。

電子定款の活用[編集]

合同会社は、株式会社等を設立する際に必要な公証人による原始定款の認証が不要であり、トータルコストが抑えられている。

しかし、通常の紙ベースで定款を作成し、法務局へ提出すると、印紙税法により、定款に4万円の収入印紙を貼付しなければならない。 電子定款で作成し、設立の登記の際に提出することで印紙貼付が免除される。

電子定款には、電子署名を行うことが必要であり、手数料を支払って行政書士司法書士が定款の電子署名を行うことが多い。定款の作成、電子署名、登記を一括して依頼することもできるし、自身で定款を作成し、電子署名のみ依頼、以後の手続はまた自身で行う、といったこともできる。なお、電子署名は、設備(ICカードリーダと電子証明書内蔵の住基カード)があれば、設立時社員本人でも可能。

電子定款は、PDFファイルで、フロッピーディスク又はISO9660レベル1で記録したCD-Rで提出する。

紙ベースの定款に貼り付ける収入印紙の他に、設立登記申請の際に、登録免許税として登記申請書に貼付する6万円分の収入印紙が必要である。これは紙ベースの定款・電子定款に関係なく必要である。(ただし、登記申請をオンラインで行う場合は平成25年3月31日までは租税特別措置法第84条の5により3千円分の登録免許税が減免される)

株式会社に比べ資本金の絶対額が低額であることが多いので、電子定款を活用する合同会社の申請比率は高い。

合同会社の例[編集]

合同会社の一覧を参照。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]