福祉

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OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(公費および私費)[1]

福祉(ふくし、: Welfare)とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福社会的援助を提供するという理念を指す。

分類[編集]

OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(%、種類別)

OECD Social Expenditure Databaseに於いては、福祉を以下の9分類にて集計している[2][3]

高齢者(Old-age)
老齢年金、早期退職年金、在宅介護および施設サービス
遺族(Survivors)
遺族年金および葬儀支出
障碍者(Incapacity-related benefits)
ケア、障碍者援助、労災傷病援助、傷病手当金
保健(Health)
外来および入院ケア、医療用品、疾病予防
家族(Family)
児童手当と融資、育児支援、育児休業支援、片親支援
積極的労働政策(Active labour market policies)
雇用サービス、職業訓練、障碍者就業支援、直接雇用創出、起業支援
失業(Unemployment)
失業手当、早期退職支援
住宅(Housing)
住宅手当、賃貸住宅補助金
その他(Other social policy areas)
その他、低収入家庭への補助、食料補助金など

社会福祉[編集]

社会福祉(social-welfare)は、未成年者高齢者障害者で生活上なんらかの支援や介助を必要とする人、経済的困窮者ホームレスなどに対し、生活の質を維持・向上させるためのサービスを社会的に提供すること、あるいはそのための制度や設備を整備することを指す。

狭義には、障害者一人親家庭(父子家庭、母子家庭)[4]など社会的ハンディキャップがあると考えられる国民に対して公的な支援を行う制度を指し、児童福祉法身体障害者福祉法などで規定される社会保障の一分野である。。

社会保障のなかの社会福祉[編集]

いわゆる福祉国家政策を展開した国を中心に「社会福祉」については、社会保障と公衆衛生の政策を含んで理解や定義されることが多い。国によっては教育も含む場合がある。日本においても「広義の社会福祉」とした場合、社会保障と公衆衛生の政策を含み、それを「公共の福祉」と説明する場合がある。

ただ、法律や政策上では、狭義の「社会福祉」として、社会保障の一分野として捉えられており、具体的には、福祉六法(後述)やそれに派生、関連した政策を指す

社会保障(しゃかいほしょう、social security)とは、本来は個人的リスクである、老齢病気失業障害などの生活上の問題について、貧困の予防や生活の安定などのため社会的に所得移転を行い、所得医療を保障、社会サービスを給付すること、またはその制度を指す。体系としては日本国憲法第25条に記された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)」等が根拠である。日本の社会保障制度は社会保障制度審議会(現:経済財政諮問会議・社会保障審議会)の分類によれば、社会保険公的扶助社会福祉公衆衛生及び医療老人保健の5本の柱から成っているとされ、広義ではこれらに恩給と戦争犠牲者援護を加えている。

社会福祉の歴史[編集]

日本の社会福祉の歴史は、聖徳太子が建立し現在もその名が残る「悲田院」などの救済施設まで溯ることができる。また律令時代には天皇による賑恤(賑給)制度も存在した[5]

ただ当時は貧民救済の性格が強く、福祉という言葉は使われていなかった。その後仏教的な精神(慈悲など)を背景として、僧侶による救済や共同体での相互扶助が行われてきた。一方、ヨーロッパ大陸ではキリスト教の精神(アガペー友愛など)により古くから慈善事業が行われてきた。

国連は、1981年国際障害者年とすることを決議した(1980年1月30日)。テーマは「完全参加と平等」とされた。障害に対する考え方を「助けるもの」から「自立を支援するもの」への大転換を目指すものであった。1983年から1992年を国連障害者の10年とし、その行動計画を充実させ、さらにアジア・太平洋各国は1993年から2002年までをアジア太平洋地域障害者の10年としてその定着を進めた。この中で、福祉の理念の一つとしてノーマライゼーションという言葉が強調され始めた。その後、インクルージョン(包摂)という言葉が新しい理念として強調され始める。

供給主体[編集]

社会福祉の供給主体は「家族」「政府」「市場」があり、3つに大きく分けることができる。しかし、「家族福祉」という言葉があるように、福祉の供給の大部分を担っているのは「家族」である。家族や親族・近隣の相互扶助で機能を果たせなくなった部分を、制度や機構として政府などが担うようになってきた。

政府以外の担い手として、コミュニティ企業活動のうち収益活動以外の活動、生活協同組合労組社会福祉法人医療法人宗教団体NPO、その他の公益法人ボランティアなど多様な主体があるが、捉え方や位置づけは、国によって異なる。

  • アメリカを始めとするアングロサクソン諸国では、それらは市場の一員とみなされる。公共部門が嫌悪され、民間が賛美される風潮がある上に、財源が寄附金で賄われているということも大きい。
  • 北欧諸国では、それらは福祉国家の代理であるとみなされる。高福祉政策に肯定的な雰囲気とともに、財源が国家財政に依存していることもある。
  • 大陸ヨーロッパ諸国では、4番目のカテゴリーとして市民社会の一員であるとされる。
  • 日本では、家族とまとめて「共助・互助」カテゴリーを構成する。

各国の制度[編集]

課題[編集]

社会福祉分野においては、政策を行うにあたっての財源の確保が大きな課題である。「小さな政府」を指向する先進諸国では、税収が増えないなかでの人口の高齢化による義務的経費の増加により、今まで必要なサービスを受けられていた人間が、逆に十分なサービスを選択したり受けられなくなるという「対象の空洞化」「逆選択」の問題が深刻化している。

年表[編集]

  • スウェーデン、ケアの質と技術の開発委員会(Kompetensstegen)

脚註[編集]

  1. ^ OECD Social Expenditure Statistics (Report). OECD. (2011). doi:10.1787/socx-data-en. http://www.oecd.org/els/soc/expenditure.htm. 
  2. ^ Indicators on Social Spending, 1980-2012; and a Manual to the OECD Social Expenditure Database (SOCX) You or your institution have access to this content (Report). OECD. (2011-02). Chapt. II.2.1. doi:10.1787/1815199x. 
  3. ^ 社会保障給付費(平成21年度) (Report). 国立社会保障・人口問題研究所. (2011-10). 付録、OECD基準の社会支出の国際比較. http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/kyuhuhi-h21/kyuuhu_h21.asp. 
  4. ^ 2010年秋、父子家庭にも母子家庭同様の手当てが導入され、待遇を性別で差別してしまうという明らかな憲法違反状態は、解消する方向で動きつつある。ちなみに最近の日本では、男性と女性で収入を比較すると若年層(20代など)ではむしろ女性のほうが収入が高い、という事実、社会構造として収入が逆転しつつあることが統計により明らかになっており、その意味でも母子家庭だけに限定して手当て等を出すのは社会の現状に合致しておらず不当だと指摘されることがある。
  5. ^ 日本の社会福祉史・時代区分による特徴。2012年8月8日閲覧、http://www.kbc.gr.jp/ai/study/rekishi.htm
  6. ^ www.yofuen.com/profile/history.html 陽風園のご案内 / 沿革
  7. ^ www.hiruda.or.jp/outline100.htm 社会福祉法人 聖ヒルダ会
  8. ^ 高齢者介護研究階報告書「2015年の高齢者介護」厚生労働省老健局総務課企画法令係

関連項目[編集]

外部リンク[編集]