核家族

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核家族(かくかぞく)とは社会における家族の形態のひとつ。拡大家族大家族、複合家族と対になる表現である。米国の人類学者であるジョージ・マードック人類に普遍的ですべての家族の基礎的な単位という意味で用い始めた"nuclear family"という用語の和訳である[1]

概要[編集]

核家族とは具体的に、以下である。

  1. 夫婦とその未婚の子供
  2. 夫婦のみ
  3. 父親または母親とその未婚の子供

のいずれかからなる家族を指す。日本では核家族世帯が60%近くを占める。

「核家族」が日本の家族の形態の中心であることは長い間変わっていない。その内訳は「夫婦のみ」が約20%、「夫婦と子」の形態が約30%、一人親家庭が約8%である[2]

大家族に比較して、転居や住居の改造など居住に関するフレキシビリティーが高く、親類間のプライバシーが維持しやすいが、多人数で同居する大家族と比べて、親子三世代による家事労働や育児、家内労働の分担がしづらくなる。

経緯[編集]

nuclear familyという用語について、メリアムウェブスター[3]は1947年が初出とする。日本では第二次大戦後、アメリカビキニ環礁核実験を行った頃から流通し始めた。

日本の場合、核家族率そのものは1920年(大正9年)に55%とすでに過半数を占めており、1960年代に急激に上昇し1963年(昭和38年)には流行語となった。その後1975年(昭和50年)の約64%を頂点としてその後は徐々に低下し始めている。

戦後問題とされてきた核家族化の焦点は、むしろ親世帯の単独世帯化と居住構造の変化である。1975年(昭和50年)以降、単独世帯、特に高齢者の単独世帯が急増しており、これは産業構造の変化(東京一極集中など)や人口の都市化、転勤などの物理的事情により、子ども世代が、長寿化してきた親夫婦と同居が困難になっている現状を示している[4]。別居している老親の長寿化にともなう介護問題、あるいは夫婦の共稼ぎの増加により下校後の子ども(小中学生前後)が家で独りきりになる問題が「核家族」が議論される原因の一つである。なお、現在では、さらにこういった傾向に加え、「一人暮らし世帯」、DINKS、「夫婦別姓の家族」など、さらに家族の多様化が進んでいる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 祖父江孝男『文化人類学入門・増補改訂版』(中公新書560)、中央公論新社、1990年、p.131。
  2. ^ 『現代用語の基礎知識』(2007年(平成19年版))、自由国民社。
  3. ^ [1]
  4. ^ 『少子化と家族』宮坂靖子(奈良女子大学助教授)情報誌「岐阜を考える」1998年秋号岐阜県産業経済研究センター[2]