郵便

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郵便(ゆうびん)とは、郵便物を送達する(送り届ける)制度のことである。また、郵便物のこと。

1803年ロンドンの中央郵便局内の様子 カナダのとある局の設備群と郵便物(2006)
1803年ロンドンの中央郵便局内の様子
カナダのとある局の設備群と郵便物(2006)

概説[編集]

広辞苑では「信書(書状、はがき)その他 所定の物品を国内・国外へ送達する通信制度」と説明している[1]。つまり、郵便とは郵便物を送達する仕組み・制度のことであり、(俯瞰してみれば)通信制度(通信システム)のひとつである、というわけである。

また「郵便」は郵便物の略称として用いられることもある[1](略称的用法、つまり郵便物に関しては「郵便物」を参照すればよいので、この記事では本来の郵便制度に重きを置いて説明する)。

各国の郵便で基本となっているのは、定められた寸法や重量を守った郵便物に宛先を明記し、郵便局等において、寸法や重量のカテゴリごとに一定の料金を支払うと、郵便事業者が宛先へと配達してくれる、というものである。また同様に、通常の速さ(日数)で送るはがき封書などは、わざわざ郵便局に足を運ばなくても、郵便物に料金相当分の切手を貼付し郵便ポストに投函すれば、郵便事業者がポストを定期的に巡回しておりそれを集めて郵便局へ運び、その後は郵便局であずかった郵便物と同様に、宛先まで送達する、という仕組みもかなり一般的である。[注 1]

郵便物の宛先(送達先)は、企業などの所在地、個人の住所などが指定されることが一般的で、その場合、企業や個人の郵便受けに届けられる。また宛先には、郵便局の私書箱が指定される場合があり、この場合は、郵便物は特定の郵便局の特定の箱に届けられることになり、受け取り人のほうが適宜(受取人の都合のタイミングで)その箱へと出向いて郵便物を受け取ることになる。

郵便システムのひとつの特長として(かつてしばしば)指摘されたことは、距離にかかわらず、遠方であっても料金が一定だということである。「10kmだと安いが、500kmだとその50倍の値段をとる」といったシステムは採用していない、ということも特長だとしばしば指摘されていた。[注 2]

各国の事情に応じて郵便事業が行われるようになりそれぞれ別のものであったが、国境を越えて配達できないようでは不便(国境を超えられればとても便利)であるので、郵便事業体間で郵便物を相互にやりとりする試みがあったが、郵便料金をどのように設定するのかとか、事業体間でどのようにお金の決済をするのか、という、いささか難しい問題を解決する必要もあった。1874年には万国郵便連合が発足し、現在、これに加盟している郵便事業体間であれば郵便物を送り届けられるようになっている。

歴史

世界初の郵便は、ドイツ・イタリアの名門一族の人物フランチェスコ・デ・タシス (伊表記 Francesco de Tassis(子孫と区別し一世と明記して「Francesco I de Tassis」とも)、独表記 Franz Taxis)が、Thurn und Taxisを設立・運営する中で1516年から行ったものであり、ヨーロッパ全域を対象に開始したものである。

1657年にイギリス政府は郵便を国営事業にした。だが経営危機に陥り、ローランド・ヒルが改革を行うことになった[2]。2006年に万国郵便条約が発効。

各国の郵便事業体[編集]

各国の主たる郵便事業体(事業主)は次に示すようになっている。ただし、国ごとに国営/民営の割合は異なっている。もっぱら国営という国もあれば、郵便のほとんどが民営の企業によって運営されているという国もある。

日本の郵便[編集]

日本では「民間事業者による信書の送達に関する法律」(通称・信書便法)の条件を満たせば民間が参入することもでき、高付加価値型の郵便サービスである特定信書便については404事業者(平成25年7月5日現在)[3]が参入している。英語で言うpostal serviceつまり一般概念としての"郵便"を民間企業も行うようになっている。

なお、"全国全面参入型"の一般信書便には参入する事業者がなく、もっぱら日本郵政グループが行っている。

なお、過去のいきさつもあり、実質的にpostal service(つまり郵便)を行っているにもかかわらず、日本で「郵便」と(商標的に)表記できるのは今のところ日本郵政グループのみ、となっている。

競合サービスとして民間企業(運輸会社各社等)のメール便(宅配便)がある。

日本の郵便の歴史[編集]

近代日本の郵便制度は前島密により東京~京都~大阪間の政府の手紙等の配達に毎年1500両支出していたのを政府の手紙配達に民間の手紙配達を併せて配達し利益を出す提案から1871年(明治4年)4月20日にイギリスから導入され、東京~大阪間62箇所の郵便取扱所で官吏が引き受け・管理・配送時間厳守で始まり、従来の飛脚が東京~大阪間144時間だったのを78時間に短縮した。翌1872年には全国展開が図られ、江戸時代に地域のまとめ役だった名主をほとんど無報酬で要請・任命し自宅を郵便取扱所として開放させ1873年(明治6年)には全国約1100箇所の名主が新たな国の役割を担える郵便取扱所として快諾した。飛脚かごに取って代わる。

日本の郵便物[編集]

日本郵便が取り扱うその他の郵便サービス[編集]

JAPANPOST-DSC00250.JPG日本の郵便配達の様子

日本の郵便関連[編集]

郵便を題材とした作品[編集]

Category:郵便を題材とした作品を参照。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 郵便に十分な人員が当てられていない国などでは、郵便ポストはほとんど設置されていない場合もある。
  2. ^ 素人や子供が考えると、例えば「10kmの配達に対して500kmは50倍の料金をとるようにしたほうが理にかなっているのでは?」と考えてしまうが、そうはしなかったところに郵便の良い点があるという。 遠距離でも近距離と同様の一定の料金、とするシステムにした理由は、この郵便の歴史の初期の段階で これを考案した賢い人が、実際に事務量・総労働量がどのようなものになるのか、あらかじめ検討・比較してみて、適切なほうを選んだ、と指摘されている。郵便料金を、距離や地域ごとに計算するとなると、郵便局の窓口では、お客が郵便物を持ちこむたびに、広大な地図および膨大なマトリックス表をひろげては(そしてかつてであればコンピュータも無いのでそれをほとんどすべて手計算で)複雑な計算をし、料金を告げ、お客はその料金を聞いておもむろにお金を用意して支払う、などというとても面倒な作業を繰り返すことになる。もしも はがき一枚一枚に対して、そのような対応方式を採用すると、窓口の計算業務がとてつもなく膨大になり、全従業員のほとんどが朝から夕方までその計算ばかりやらなければ対応しきれない状態になり、肝心の郵便物の運送・配達にまわせる人員が全然足らなくなることが予想できたという。経営者的によくよく検討・比較してみると、遠方でも一定の料金で請け負ったほうが、かえって全従業員の総労働量が圧倒的に減る(経営者から見ると、人件費なども含めた総経費が膨張しすぎず、経営を成立させやすい)、というものであったのである。また郵便物の送達距離分類を統計的に考えても、比較的近距離の送達が統計的には多かったので、その面からも正解だったようである(実際にやりとりの全体数の中での距離の統計的分布に着目すると、同一市内や近隣市の人・商店・会社同士のやりとりの数が圧倒的に多く、それに比べると数百km~千km離れた関係はかなり少ない。なので統計を踏まえた上で経営的(費用的)に検討してみると、全体としてさほど負荷にはならず、遠距離送達はユーザに対する一種の「おまけ」的にサービスを提供しても大丈夫だった)。 また郵便を使う側の人々にとっても、計算があまりに複雑では、支払う「郵便代」の内訳の大半が実は「窓口でその郵便代を計算する人の事務代金(人件費)」という事態になり、しかも料金も高くなり、とても理不尽となる。利用者から見て、一定料金にしてもらったほうが、結果として安上がりでしかも分かりやすい、ので、利用者にとってもやはりこれで正解だった、というわけである。
出典
  1. ^ a b 広辞苑第六版「郵便」
  2. ^ 北岡敬『そこが知りたい【事始め】の物語』雄鶏社
  3. ^ 総務省|信書便事業者一覧” (日本語). 総務省 (2013年). 2013年8月15日閲覧。

外部リンク[編集]