手紙

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手紙(てがみ)とは、特定の相手に対して情報を伝達するための文書のこと。信書(しんしょ)、書簡・書翰(しょかん)、書状(しょじょう)などとも呼ばれる。古くは消息(しょうそく、しょうそこ)、尺牘(せきとく)とも呼ばれた。

広義には封書封筒に入れて送る書状)、はがき(封筒に入れずに送る書状)、特定の人に向けて回覧する紙片の全般を含むが、狭義には封書のみを指して用いることも多い[1]。英語では封書を意味するa letter、あるいは郵便物を意味するmailをあてるのが一般的である。

概要[編集]

渡す相手が特定されているものが「手紙」であり、不特定多数に見せたり渡したりする目的を持つものは「チラシ」に分類される。郵便によって宛名を指定して送るはがき封書が手紙の代表格であるが、小さな紙切れを相手に直接渡したり、指定された仲間内で回覧するものも手紙となる。

手紙に記される内容は礼状、招待状、ダイレクトメール、ファンレターなど、さまざまである。

手紙がコミュニケーション手段として利用されるには、受信側、発信側双方の識字率の高さ、用紙の入手のしやすさ、運搬者の確保などが必要である。

古称[編集]

中国ではの時代、1ほどの方形の木札に手紙を書いた[2]。この方形の木札を「牘」というため、手紙のことを尺牘と呼んだ[3]。日本で尺牘とは、漢文の書状をさす。女手によるものは消息といわれた。尺牘の名筆に、王羲之の『喪乱帖』や空海の『風信帖』などがある。

日本の手紙事情[編集]

手紙の歴史[編集]

手紙を書く和装女性

日本では古くは木簡を文字による通信伝達の手段として用いた。薄い細長い木の板に、墨をつけた筆で文字を記したものを離れたところに届けさせたものである。紙の製法はおそらく6~7世紀ごろ(曇徴以前)、紙自体はそれ以前より早く日本に入ってきていたが、木簡は依然として使われ続けた。平安時代になると、紙漉きが各地で行われるようになり、都の平安貴族の間では木の板に代わって和紙に文字を書いて送ることが盛んに行われるようになった。こうして木簡から書簡へと通信伝達手段が移り変わっていくのであるが、屋外で用いる荷札高札には耐久性などの理由もあって江戸時代になっても木の板が文字のキャンパスとして依然として用いられた。江戸時代には経済取引の活性化と広範化や飛脚の普及により書簡のやりとりも多くなり、当事者の在所の遠近、初対面や既知などの間柄、内容などにより多様な書式書札礼が存在し、それらの手本となる文例集も出現した。飛脚は近代以降の郵便制度と比較して費用も高額であったため、一般に書簡内容は案件をまとめて記されることが多い。

簡素な内容の場合は切紙などを用い封書を行わないウハ書や奥ウハ書の形態で送付され、長大な内容の書簡は継紙が用いられ、機密性の高いものは封書により送付される。書簡は飛脚などの配達運送業者を用いて送付されるが、経済的や儀礼上の理由で私的な使用人を用いて伝達されることもあった。

近代には郵便制度の発達やはがきの普及などにより書簡による情報伝達がさらに発達するが、同時に電報電話など新たな通信手段が普及し、戦後にはこれに加え、ファックス携帯電話電子メールなどの普及により、書簡を直接渡す方式の手紙の需要は低下している。

しかし各種契約などの重要な事柄は書面原本でやり取りされることが多く、その際には内容証明郵便などの書簡送達手段が用いられる。

また、はがきなどに季節の事物などの絵を描き、メッセージを添えた絵手紙も近年流行しており、これは用件を相手に伝えると言うよりは絵と文で相手を楽しませるために送付する目的がある。

手紙の構成[編集]

  • 前文
  • 主文
    • 起辞
    • 本文
  • 末文
    • 結語
  • 後付
    • 日付
    • 署名
    • 宛名
    • 脇付
  • (追伸)

戦国時代の構成[編集]

  • 袖(手紙冒頭)
  • 本文
    • 行間(追伸のようなもので本文と本文の間に書かれているため見た目は本文・行間・本文・行間・・・と書かれている)
  • 花押

読む順番は本文→袖→行間となる。

郵便法における信書[編集]

日本において、郵便法における信書は、第4条2項で「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」[4]と定められている。また、総務省は「信書のガイドライン」を定め、区分を行なうための基準を示している[5]

信書の送達[編集]

日本では信書の送達は郵便法により日本郵便株式会社が独占するとされている。また、日本郵便会社のほか、民間事業者による信書の送達に関する法律により、信書便事業への参入が許可された民間事業者が信書便を送達できる。

よって、それ以外の、総務大臣の許可を受けていない宅配便業者などが信書を配達することはできない。一般の宅配便、メール便は郵便事業、信書便事業には該当しない。また、日本郵便のサービスであっても、第一種・第二種郵便物(はがき)扱いではない方法(「エクスパック500」[6]や「ゆうパック」、「ゆうメール」等の荷物扱いによる送付)にて信書を送達することはできない。

ただし上記の例外として、「貨物の送付と密接に関連し、その貨物を送付するために従として添付される無封の添え状・送り状」は、荷物(貨物)に添付して送ることができる。例として次のような文書であって封をしておらず、荷物と従として添えられる簡単な通信文は添付することができる。[7]

  • 貨物の送付、授受やその代金につき、その処理や送付の目的、挨拶その他貨物に密接に関連し従として添えられる簡単な通信文

以上の事項に違反する行為は法律で禁止されており。違反した場合には、郵便法第4条4項により、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金(同法第76条)に処される。

(参考)

信書の秘密[編集]

大日本帝国憲法26条では法律に定められた場合を除いて信書の秘密が保障されていたが、日露戦争の後、内務省逓信省に通牒して極秘の内に検閲を始めた[8]。更に1941年10月4日には、臨時郵便取締令(昭和16年勅令第891号)が出されて法令上の根拠に基づくものとなった。また、被占領期にはGHQが信書の検閲を秘密裏に且つ大規模に行った。

その他[編集]

出典・参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 日本における郵便ポストの2つの差し入れ口は、左「手紙・はがき」 /右「その他の郵便」などと表記されているものが大半である。この場合、「手紙」は「はがき」以外の封書を意味して用いられている。
  2. ^ 20世紀初頭、オーレル・スタインによる中央アジア探検によってその実物が発掘されている(二玄社編(書道辞典) p.150)。
  3. ^ 二玄社編(書道辞典) p.150
  4. ^ 郵便法、2010年1月16日閲覧
  5. ^ 信書のガイドライン2010年1月16日閲覧
  6. ^ エクスパックと異なり、レターパック(500/350/プラス/ライト)は第一種郵便物扱いであり信書送達できる。
  7. ^ 郵便法第4条第3項、「信書に該当する文書に関する指針」
  8. ^ 郵政省『続逓信事業史』1961年、ほか。

関連項目[編集]