ホンダ・カブ

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カブ(Cub)とは、本田技研工業が製造・販売するオートバイのシリーズである。

概要[編集]

元々「カブ」は1952年昭和27年)から1958年(昭和33年)まで生産された自転車補助エンジンキットに採用された商標である。英語で熊など猛獣の子供を意味する「cub」に由来し、小排気量ながらパワフルなことをアピールした。

現在「カブ」の呼称は、1958年(昭和33年)から生産開始されたセミスクータ型のモペッドであるC100型以降のシリーズ名「スーパーカブ」を略した通称として定着している。

スーパーカブ製造数の推移
1958年 - 2008年

C100に始まるスーパーカブのシリーズは耐久性と経済性に優れており、2014年現在も数車種が継続生産され、世界各国で販売されている。20世紀のモータリゼーション史上、四輪自動車のT型フォードフォルクスワーゲン・タイプ1にも比肩しうる貢献を残した二輪車である。発売開始後50年以上を経ても多くの原設計を引き継ぎ改良を続けた上で製造・販売される人気車種であることは特筆すべき事実である。

ホンダによると本シリーズの累計生産台数は2014年平成26年)3月時点で8,700万台以上[1]に達し、輸送用機器の1シリーズとしては世界最多量産・販売台数を記録する[注 1][注 2]

スーパーカブ出現後の1960年代以降、類似形態のセミスクータ型モペッドとして、ライバルメーカーのヤマハメイトを、スズキバーディーを製造販売するようになり、結果として小型実用オートバイの市場にひとつのカテゴリを確立させたことから、類似車もまとめたカテゴリ名としても使われるようになった[注 3]

長らく日本国内および国外で生産が続けられていたが、2011年にホンダが小型二輪車の生産拠点海外移管計画を企画したことから、2012年のモデルチェンジでは日本国内での生産終了が発表された[2]。しかし後に方針を変更し一部モデルは2014年現在も熊本製作所での生産を続けている。

カブ(1952年)[編集]

補助エンジン「カブ-F」を装着した自転車
トヨタ博物館所蔵車

1952年から製造販売した自転車補助モーター(小型ガソリンエンジンキット)「F型」の愛称。

新興メーカーであったホンダは、1946年(昭和21年)に自転車補助モーター分野に進出した。当初は旧日本陸軍の小型発電機用エンジンの流用からスタートしたが、その後自社開発エンジンに移行。以後の通常型オートバイ分野への進出を助けた。

初期の補助モーター製品は、エンジン本体が本格的オートバイ同様にペダル付近に搭載されるため、女性の場合オイルなどでスカートを汚しやすい問題点を抱えていた。「カブ」はこれを解決すると同時に販路拡大を狙って開発された。

排気量49.9cc・最高出力1ps/3,600rpmの2ストロークエンジンは、最大の特徴として在来型補助モーターとは異なり後輪左側面に搭載され、駆動系統も全て後輪周辺で完結する構造を採用した。これによりオイル飛散による乗り手の足元汚れの問題が解決し、取り扱う業者にとっても、自転車への組み付け作業やメンテナンスの簡易化を実現した。純白の琺瑯処理タンクと「Cub」のロゴが入った赤いエンジンカバーから「白いタンクに赤いエンヂン」のキャッチコピーが付けられた。

製造面ではダイキャストを多用したことで生産性を向上させ、輸送面では、キット類をコンパクトな箱一つに収めて送り届けやすくするなどの配慮が為された。

販売面では、外交員に飛び込み営業させる従来の常道を取らず、日本全国に50,000軒ほど存在する自転車店に取扱を勧める営業ダイレクトメール(DM)を送る、当時としては画期的な拡販手段を展開させたことが特筆される。

  • 創業者本田宗一郎の右腕である営業・経理部門トップの藤沢武夫が自ら勧誘文章を練り、「1台の定価25,000円、卸価格19,000円。代金は前金で願いたい」という内容のDMを社員・代筆業者・取引銀行の担当者を総動員させ宛名書きした。「ホンダ」の知名度が低かった当時は詐欺とも誤解されかねなかったが、早々に5,000軒もの自転車店がほどなく反応し注文が殺到した。

その後数年間、カブFはホンダの経営を支える重要製品になると同時に、既存自転車店を自社製品のディーラー網として開拓して行くきっかけともなった。

スーパーカブ[編集]

CA100
スーパーカブC100輸出仕様
トヨタ博物館所蔵車

1958年(昭和33年)のC100に始まるシリーズで、世界最多量産の二輪車であり、同時に世界最多量産の輸送用機器である。

高性能と高耐久性により、それ以前の日本市場に存在していた同クラス小型オートバイのみならず、簡易な補助エンジン自転車と上位クラスのスクーター[注 4]との双方を一挙に圧倒する大成功を収めた。弁機構をOHVからSOHCへ、燃料供給をキャブレターからインジェクションへの変更など機構の改良は多岐にわたるが、基本設計の多くを半世紀あまり変えずに、2000年代に至るまで製造販売を継続した。

開発・製造の経緯[編集]

1950年代中期に至ると、初期ホンダの経営を支えた自転車後付け式のエンジンキットも同クラスの類似競合製品が増加し、前述のカブF型も原動機付自転車業界の先行製品として安穏としていられる状況ではなくなりつつあった。

また戦後復興が進んだ日本の二輪車市場において、簡易な自転車補助エンジンに不満を持つユーザーからは、富士重工業製「ラビット」・中日本重工業(現・三菱重工業)製「シルバーピジョン」に代表される125cc - 250ccクラスの上級スクーターが、運転しやすさや性能面のゆとりによって支持されるようになっていた。

このような市場趨勢をマネジメントの見地から考慮し、藤沢武夫はカブF型の後継モデルとなり得る廉価な実用的オートバイの開発・製造販売を考えた。藤沢は「(商品として)カブのような自転車に取り付ける商品ではなく、50ccのボディぐるみのもの(完成車)が欲しい」と本田宗一郎に訴えたが、本田は技術を担う立場からの判断で当初「(50cc完成車として)乗れる(性能の)ものは作れない」と一蹴していた。

しかし藤沢は、欧州視察旅行の往路旅客機中で50cc級完成車の件を再び本田に持ちかけた。本田は最初はうるさがっていたが、藤沢の熱心さにようやく関心を持ち始め、結果として道中でクライドラーランブレッタなどの欧州製スクーター・モペッドなどを見かけると「これはどうだ」と藤沢に尋ねるようになった。問答を重ねるうち本田は藤沢の求める商品性の高い新製品のイメージを膨らませるようになった。そのコンセプトからは、もはや従来のカブや欧州製モペッドの多くのような自転車式のペダルは排除されていた。

こうして帰国後、本田の陣頭指揮により新型モペッドの開発が開始された。特に耐久性の高い高回転4ストロークエンジンと変速を容易化するクラッチシステムの実用化には技術陣は苦心を重ね、約1年後に無段変速機付スクーターにこそ及ばないが変速操作を容易にした自動遠心クラッチ式変速機と、50ccクラスながら既存の上位排気量車にも比肩する高出力を絞り出すエンジンが完成した。

本田から研究所へ呼び出された藤沢は、自転車取付式エンジンと足漕ぎペダルを排除したスマートなモペッドの模型とスペックを示された。藤沢はその場で「これなら30,000台は売れる」と述べた。本田や開発陣は「年間でか」とその見積もりのスケールに感嘆したが、藤沢は「月間で」と真意を補足し、一同をさらに驚嘆させた。

  • 当時のホンダ主力商品となる「ドリーム」・「ベンリィ」合算で月産6,000から7,000台。さらに日本全国の二輪車販売台数が2万台程度だったため、藤沢の見積もりであれば、競合メーカー同級車種を圧倒するばかりか、市場そのものを一挙に押し広げることも意味した。

スーパーカブ発売から数年で、当時大小数十のメーカーが群雄割拠状態だった日本の小型オートバイ・スクーター市場からは、中堅・零細のアッセンブリー・メーカーが一掃された。生き残った大手・中堅メーカーも相次いでスーパーカブ「もどき」の類似モペッドを製造販売し、可能性を高く評価した藤沢の予見は事実となった。月産30,000台体制を実現するため、多額の投資によって新たに鈴鹿製作所が建設されたが、当初の「過剰設備ではないか」との危惧も数年のうちに杞憂に終わり、同製作所はやがてフル稼働することになった。

発売当時の画期的な試みとしてレッグシールドやカバー[注 5]など随所のパーツに大型プラスチック素材(ポリエステル)が使われ、軽量化や組み立て合理化に役立った[注 6]

その完成度は、生産から50年以上経つ最初期モデルであっても、充分に整備されていれば現在でも業務用として使用しても何ら支障の無いレベルである。

車体[編集]

ホンダ・スーパーカブ50
(リトルカブ50)
Supercub50fi.jpg
2007年式スタンダード
基本情報
排気量クラス 原動機付自転車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体形式 JBH-AA01
エンジン AA02E型 49cc 
内径x行程 / 圧縮比 39.0mm x 41.4mm / 10:1:1
最高出力 2.5kW 3.4ps/7000rpm
最大トルク 3.8N・m 0.39kgf・m/5000rpm
車両重量 79(リトルセル81)kg
      詳細情報
製造国 日本の旗 日本(熊本製作所)
製造期間 1952年 (1958年) -
タイプ ビジネスバイク
設計統括
デザイン
フレーム バックボーン式
全長x全幅x全高 1800(1775)mm x 
660mm x 
1010(960)mm
ホイールベース 1175(リトル1185・セル1190)mm
最低地上高 130(115)mm
シート高 735(705)mm
燃料供給装置 燃料噴射装置
始動方式 キック式
潤滑方式 圧送飛沫併用式
駆動方式 チェーンドライブ
変速機 常時噛合式3段リターン
(セル仕様車は4段)
サスペンション テレスコピック式
スイングアーム式・片側チェーンケース兼用
キャスター / トレール 26.30(26)° / 75(47)mm
ブレーキ 機械式リーディング・トレーリング
機械式リーディング・トレーリング
タイヤサイズ 2.25-17 33L
(2.50-14 32L)
2.25-17 33L
(2.75-14 35L)
最高速度
乗車定員 1人
燃料タンク容量 3.4L
燃費 110(リトル109・セル113)km/L
カラーバリエーション
本体価格 204750円(2007年STD・税込)
210000円(2013年リトル・税込)
231000円(2013年リトルセル・税込)
備考 数値の()はリトルカブ
先代
後継
姉妹車 / OEM
同クラスの車 ヤマハ・メイト
スズキ・バーディー
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太いパイプとプレス鋼板で構築されたフレームに、耐久性に富み低燃費な自然空冷49cc4ストロークSOHC(初期はOHV)単気筒エンジンを水平に近い前傾80°に搭載。自動遠心式クラッチを組み合わせた常時噛合式3段変速機とフルカバードされたチェーンドライブで後輪を駆動する。一部車種には4段変速機搭載車もあるが、いずれも変速方式はロータリー式(初期は変則リターン式)を採用する。なお自動遠心クラッチによりハンドレバーによる操作は不要のため、日本の自動車運転免許制度では自動二輪車のオートマチック限定免許でも運転が可能である。

ウインカースイッチは一般的なオートバイと異なり、スロットルグリップがある右手側に上下動作式のスイッチが装備された。

車体には射出成形プラスチック製大型レッグシールドが装備され、風防効果を上げている。専用のシュラウド(冷却用外覆)や強制空冷ファンを持たない自然空冷エンジンを両側から抱え込むような形状は、前方に傾斜したエンジンゆえ走行風に相対していないシリンダー部に冷却のため走行風を誘導する役割も担う。

車輪は前後とも17インチ径を採用した。それまでのオートバイは主に18インチもしくは16インチを採用しており、イレギュラーな規格ということで開発当時はタイヤメーカーから製造を断られたこともあったが、性能から割り出されたこの車輪径は一時ビジネスバイクのデファクトスタンダードにまでなった。

  • 現在はライバル他車だけでなくカブ一部車種で14インチも採用する。

全体に軽量化されているため、例えば古い商店の玄関などで外と土間の間に少々高い敷居があっても、自転車同様に人手で乗り越えさせ、簡単に屋内に乗り込ませることが可能である。

また何度かのモデルチェンジで基本フォルムは保ちながらも、デザインの修正は実施されており、これによってモデルイヤーを判別する基準にもなっている[注 7]

動力系[編集]

自動遠心クラッチとロータリー式変速機構を備えた構成は、本田宗一郎が示した「蕎麦屋の出前持ちが片手で運転できるようにせよ[注 8][3]」という条件に応え、左手のクラッチレバーを廃した結果であり、つま先の掻き上げ操作に適さない雪駄などの履物でも変速操作を可能とするため、シフトペダルにはかかと用の踏み返しが付けられた。この形式のシフトペダルは競合各社も追随採用し、その形状から日本市場で「シーソーペダル」と呼ばれるようになる。

  • 1960年(昭和35年)12月までの日本では50cc以下の原動機付自転車は運転免許が必要なかった。片手運転や雪駄履き運転も想定せざるを得なかった当時のおおらかさとの裏返しともいえるが、独特の変速機構は結果として乗り易さに大きく寄与した。

エンジン[編集]

実用型ながら8,000rpm以上の高回転を許容する設計で、耐久性が高いだけでなく経済性にも優れ、定期的なオイル交換のみで長期の使用に耐える。

また排気量の割に大容量のマフラー[注 9]を装着し、オートバイとしてはエンジン騒音を特段に低下させた。

50ccモデルの1958年製造開始時の最高出力は4.3ps(≒3.16kW)で、当時における競合車各車のほぼ2倍という突出した性能を誇った。その後の改良で1980年代前半には最高出力は5.5ps(≒4.05kW)まで向上したが、1980年代半ば以降は自主規制や環境対策から最高出力を落とし、開発の方向を馬力向上から実燃費向上へと転換した。厳しい排ガス規制の影響を受けて2007年9月のAA02E型では過去最低の3.4ps(≒2.5kW)まで落ち込むが、技術改良を進めることで2012年5月のAA04E型では3.7ps(≒2.7kW)と僅かなら上昇した。

前傾80°シリンダーを持つことから横型エンジンとも呼ばれ、空冷4ストローク単気筒エンジンという基本設計は当初から変更されていない。また内径x行程を変化させることによる排気量バリエーションを構成する。以下で現在までの大きな設計変更について解説する。

動弁機構
当初はOHVであったが、1964年12月発売のC65(排気量63cc)でSOHCを初採用。以後は排気量ごとで順次SOHC化が実施され、主力の50ccモデルは1966年5月に変更。
燃料供給装置
2007年9月21日に平成18年度排気ガス規制へ適合させるマイナーチェンジを行ない、カスタムを含む50ccシリーズ全車でキャブレターからPGM-FI 電子制御燃料噴射システムに変更を実施。シリーズ初採用となった。また同時に三元触媒のエキゾーストパイプ内に装着も実施された。
  • この変更でエンジン型式名がAA01EからAA02Eに変更されるとともにクランクケースの黒塗装化が実施された。
内径x行程
50ccモデルでは一貫して39.0x41.4(mm)を採用してきたが、2012年のAA04E型へのモデルチェンジで37.8x44.0(mm)と初めて変更された。

燃費については、非常に低燃費であることも知られており、50ccモデル30km/h定地走行テストの過去最高値は1983年2月23日に発売された50スーパカスタムの180km/Lである。この数値は環境対策などから、キャブレター最終モデルのAA01E型では146km/L、それ以降のAA02E型では110 - 116km/Lに低下した。

  • 数値は燃費テスト用のベストな条件を整えた場合の非現実的な物で、実際の50ccモデル公道走行燃費は、法定30km/hを遵守した運転で60 - 90km/L、アクセル全開や高速での走行などラフな使い方で45 - 60km/L程である。この現状を差し引いても、内燃機関動力の陸上車両では特に燃費効率に優れる存在と言える。
  • ホンダ主催の低燃費競技会「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」(通称:エコラン)では、スーパーカブ50を市販車状態でエントリーする市販車クラスで最高541.461km/L[4]、カブのエンジンを元にした専用競技用車両では3,000km/Lを越える記録が樹立された[5]

また本エンジンはモンキー・ゴリラと共通する部品が多いこと、タイではカブが広く普及していること、海外生産パーツも豊富[注 10]なことから各種チューニングも多数実施されている。

耐久性[編集]

開発当時の日本の道路は悪路が多く過積載などの無茶な運転も横行しており、それらを考慮して設計製造が行われていた。さらにはビジネスユースという点からも耐久性が重視されていることから、走行距離にして何十万キロ耐えられるのかはホンダでさえも「想像が付かない」との見解を下している[6]

またエンジンオイルの代わりに天ぷら油灯油でも問題無く走行するという都市伝説が存在する。ホンダ開発陣の見解は「公式に実験や確認を行った訳ではないながらも恐らく事実である」としている。これは各部が受ける圧力が小さく、エンジンオイルへの負担が少ないという点に起因するものである。

過去にDiscovery Channelでスーパーカブの耐久性を検証するテレビ番組が放映されたが、エンジンオイルの代わりにハンバーガーショップの使用済みフライヤー油脂[注 11]を使用し、山ほどのスイカピザを積載し街中を走ってもトラブルを起こさず、あげくビルの屋上から投げ捨てられた後もエンジンがかかり、改めてタフネスぶりを証明した結果となった。

  • これは一時的な現象に過ぎず、長期間問題なく稼働させるためには定められたSAE規格API規格をクリアした潤滑油を用いる必要がある。植物性油脂は数日で分解(変質)し、流動性も失われるため各部が固着する結果焼きつきを起こす。

日本でのユーザー層[編集]

出前機装着車
出前機装着車
スーパーカブ90(交番用警察仕様)
スーパーカブ90
(交番用警察仕様)

ビジネスユースでは、出前などの小口配送・電力会社銀行等の集金営業・近距離の巡回輸送など広範に用いられる。17インチ大径タイヤと耐久性を重視した構造が悪路にも耐えることから、農村を中心とした地方の高齢者にも愛用者は多く、を荷台にくくりつけて農作業の足代わりと使用されるケースも確認できる。

上述した出前用途では、自転車用として開発された出前機が多数転用され大量に普及した副次効果も確認できるほか、郵便新聞の配達業務では特化したバリエーションとして、MDシリーズやプレスカブも開発された。

納入先の要求による仕様変更にも対応しており、交番配備のパトロールバイクとして導入している警察仕様では、取り外して簡易盾としても使用できる透明ハンドル付きのウインドシールド・警棒収納ケース・書類を入れるスチール製ボックスなどを装備する。さらにかつては食糧庁(現・農林水産省食料産業局・生産局穀物課)納入車の小豆色、電電公社(現・NTTグループ)納入車の若竹色などの専用塗装車が製造された。

個人ユースでは、市街地移動から耐久性と低燃費から長距離ツーリングやアドベンチャーランまで様々であるが、趣味的観点からドレスアップパーツやチューニングパーツで改造を楽しむ層もおり、海外製パーツも特にカブが普及しているタイ製などが輸入可能で日本国内に専門店もある。さらに近年の傾向として市街地での駐車違反取締強化や石油価格高騰の影響によりスクーターを含めた原付一種・二種(小型自動二輪車)の所有使用者が増加する傾向があり、カブでも同様な現象が確認される。

また珍しい例としては、種子島では高校生の通学用バイクに指定されている。

過去の販売車種[編集]

スーパーカブC100
スーパーカブC100
スーパーカブ70輸出仕様
スーパーカブ70
輸出仕様
スーパーカブ90カスタム輸出仕様
スーパーカブ90カスタム
輸出仕様

排気量別を含めて多数のモデルが製造された。本項では日本国内で販売されたモデルについて解説を行う。

  • スーパーカブC100
1958年8月発売の50ccOHVエンジン搭載モデル。
  • スーパーカブC105
1961年8月発売。2人乗車を可能とするため54ccエンジンを搭載したモデル。
  • スーパーカブCM90
1964年10月発売。89ccエンジン搭載モデル。
  • スーパーカブC65
1964年12月発売のC105モデルチェンジ車。最初のSOHCエンジン搭載モデル。
  • スーパーカブ50(型式:C50→AA01)
1966年5月発売。2012年製造終了。
  • スーパーカブ70(型式:C70)
1968年1月発売。スーパーカブ50用49ccエンジンをボアアップさせた72ccSOHCエンジンを搭載する。1998年12月に発売された1999年モデルを最後に製造終了。
  • スーパーカブ90(型式:C90→HA02)
1968年12月発売。型式C90は89ccSOHCエンジンを搭載する。
1980年3月のモデルチェンジで型式をHA02に変更。スーパーカブ50用49ccエンジンをボア・ストロークアップさせた85ccSOHCエンジンを搭載する。2008年製造終了。
  • カブ100EX・スーパーカブ100
タイホンダマニュファクチュアリング社製輸入車。スーパーカブ90の85ccエンジンを97ccに排気量アップしたSOHCエンジンを搭載する。
1988年1989年モデルはカブ100EX(型式:HA05)。
1993年1995年モデルはスーパーカブ100(型式:HA06)。
  • スーパーカブ110・スーパーカブ110PRO(型式:JA07)
スーパーカブ90の後継モデルとして2009年 - 2011年に製造されたモデル。詳細は後述

派生車種としては、スポーツカブ・ポートカブハンターカブなどが存在する。

グレード

C50・C70・C90以降のモデルでは、装備品などの違いにより以下のグレードが設定された。

  • スタンダード
ロータリー3段トランスミッションを搭載する最もオーソドックスなモデル。
1980年モデルからは事故防止の観点から、走行中に3速からニュートラルへシフトチェンジを防止するドラムロックプレートがミッション内部に追加装備された。
  • デラックス
スタンダードの豪華版でメタリック塗装を採用。
  • スーパーデラックス
1982年にスタンダードの上級仕様として発売された仕様。丸みを帯びたスタンダードと異なり、全般的に角ばったデザイン・角型ヘッドライト・大型スピードメーターを採用。燃料計はスピードメーター内に装備する[注 12]
スーパーカブ70(72cc)・スーパーカブ90(85cc)はセルスターター・キックスターター併設。セルスターター機構以外は電圧に6V・12Vの相違点はあるが、基本的にデラックスと同スペックのエンジンを搭載する。
スーパーカブ50はセル・キック併用仕様とキックのみの2仕様が設定された。なお同モデルは4段トランスミッションのほか、エンジンもスタンダードと異なる4サイクルエコノパワーエンジン(最高出力5.5ps/9000rpm)を搭載した。
  • スーパーカスタム(後にカスタムに改称)
スーパーデラックスの名称を変更し1983年から販売された仕様[注 13]
50ccモデルはフロントサスペンションにアンチリフト機構を追加し、ギア比ならびに4サイクルエコノパワーエンジンの最高出力を5.0ps/8000rpmへ変更。
  • カスタム
スーパーカスタムの名称を変更し1986年から販売された仕様。
50ccモデルはキックスターター仕様を廃止。セル・キック併用仕様のみとなり、スタンダードと同スペックのエンジン(最高出力4.5ps/7000rpm)搭載に変更。
  • ビジネス
1985年 - 1998年に50ccモデルのみで販売された。ミッション内のドラムロックプレートを排し、走行中に前シフトチェンジで3速からニュートラルへシフト変更可能にしたビジネス仕様。
トランスミッション変速比はスタンダードと共通だが、スプロケットを変更し2次減速比をカスタムと同じ数値に変更。
  • ストリート
2001年にスタンダードの1バリエーションとして追加されたモデルであるが、好評のため2002年からストリートとして正式に独立。2007年まで製造販売された。
スタンダードの車体にリトルカブ用のカラフルなカラーリングやリヤキャリアを装備する。

新聞配達用特化モデル[編集]

以下の2モデルが製造・販売された。

プレスカブ50
ニュースカブ90

1971年3月15日発売。

  • 防水性バッグ・大型キャリアを標準装備。
  • 電装を12V化しセルスターターを搭載。
  • ブレーキライニング材質・サイドスタンドを強化。
  • リヤウインカー移設
プレスカブ50(型式:C50→AA01)

1988年2月25日発売。スタンダードとグリップヒーターを装備するデラックスの2グレードが製造された。スーパーカブ50と共通のマイナーチェンジを実施したが2012年に製造中止。

  • 大容量フロントバスケット・大型リヤキャリヤを標準装備。
  • 積載量に応じてハンドルトップ⇔フロントバスケット前に切換可能なヘッドライト
  • サイドスタンド・スイングアーム・リヤサスペンションを強化。
  • リヤブレーキ径を130mmに大型化。
  • 完全に停止しなくても3速→ニュートラルへのチェンジが可能なロータリー式3段トランスミッションを搭載。

スーパーカブ110(JA07)[編集]

スーパーカブ110
スーパーカブ110
スーパーカブ110 PRO
スーパーカブ110 PRO
メーターパネル
メーターパネル
開発・製造の経緯[編集]

90ccシリーズが2008年(平成20年)9月の自動車排出ガス規制強化に伴い生産終了となったことから、原付二種(小型自動二輪車)クラス後継車種の販売再開が熱望された。しかし90ccが日本国内のみの生産だったこと、日本国外で生産されているシリーズ車種が100 - 125cc中心だったことから、後継車種の開発はスケールメリットの点から日本国外生産車両と仕様共通化させることになり設計開発されたのが本モデルである。

このためエンジンおよびパーツの6割は、日本国外シリーズ車種の生産中心地となっているタイから輸入されており、全体的な車体の組み立ては熊本製作所で行われた。

車種別解説[編集]
スーパーカブ110

2009年6月19日発売。型式名EBJ-JA07。車体番号JA07-100****・110****・120****。

車体はタイホンダマニュファクチュアリング社のドリームをベースにしたことから、国内仕様としては初となるパイプおよびピボットプレートの組み合わせによるフレームとフロントサスペンションにテレスコピック式を採用。外装はプラスチック部品を多用しながらもカブのイメージを最大限に残したデザインとした。

エンジンもドリーム同様のウェーブと部品を共通化させた109ccエンジンを採用。最高出力は日本国内の規制に適合させた上で90ccより1.2ps(≒0.88kW)向上させた 8.2ps(≒6.03kW)をマーク。

トランスミッションも同様に2段クラッチ方式の4段変速機を搭載し、変速方式は停止時のみロータリーとなる変則リターン式が採用された。

またカブシリーズでは初採用となるマルチリフレクターヘッドライト・左側プッシュキャンセルウインカー・メインスイッチ一体型ハンドルロックなどが装備された。

車体色は当初コスタブルーとアバグリーンの2色を設定。2010年2月18日にコルチナホワイトを、同年8月20日にプコブルーとバージンベージュを追加し計5色とされた。

スーパーカブ110 PRO

2009年10月16日発売。型式名は同じで車体番号はJA07-300****。

新聞配達や宅配用途に特化させた1人乗り専用設計とされ以下の変更が行われた。

  • フロントキャリアに大型バスケットとリアキャリヤを搭載。
  • ヘッドライトとフロントウインカーをフロントバスケット前面に移設。
  • 前後ホイールサイズを14インチ化。
  • 専用強化サスペンションを装着。
  • 車体色はコスタブルーのみの設定。

また郵政仕様となるスーパーカブ110MDのベース車両[注 14]でもあり、装備品は一部を除き共通化された。

JA07型スーパーカブ諸元
車名 スーパーカブ110 スーパーカブ110 PRO
型式 EBJ-JA07
全長x全幅x全高(m) 1.810x0.715x1.045 1.845x0.715x1.040
ホイールベース(m) 1.190 1.205
最低地上高(m) 0.140 0.105
最小回転半径(m) 1.800 1.900
シート高(m) 0.735
車両重量(kg) 93 104
乗車定員 2人 1人
50㎞/h定地走行燃費[注 15] 63.5km/L 66.2km/L
エンジン型式 JA07E
構造 空冷4ストロークSOHC単気筒
総排気量 109cc
内径x行程(mm) 50x55.6
圧縮比 9.0
最高出力 8.2ps(6.0kw)/7,500rpm
最大トルク 0.86kg・m(8.4N・m)/5,500rpm
点火方式 フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料供給 電子式燃料噴射(PGM-FI)
始動方式 セルフ・キック併用
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 4.3
クラッチ 自動遠心
変速方式 リターン(停止時のみロータリー)
トランスミッション 常時噛合4段
1速 2.615
2速 1.555
3速 1.136
4速 0.916
1次減速比 4.058
最終減速比 2.428 2.142
フレーム形式 バックボーン
サスペンション テレスコピック
サスペンション( スイングアーム
キャスター 26°50′ 27°20′
トレール 77.0mm 64.0mm
タイヤ(前) 2.25-17 33L 70/100-14 M/C 37P
タイヤ(後) 2.50-17 43L 80/100-14 M/C 49P
ブレーキ(前) 機械式リーディングトレーリング
ブレーキ(後) 機械式リーディングトレーリング
標準現金価格 \249,900 \289,800

現行販売車種[編集]

以下の4シリーズが現行モデルとして製造・販売される。

2012年モデル[編集]

2011年にホンダは一部二輪車の生産拠点海外移管計画を発表。本シリーズは50cc・110ccモデルを中華人民共和国の新大洲本田摩托有限公司に生産移管と同時に2012年モデルへのチェンジを実施することになり、製造販売されるのが本モデルである。

ベースは2011年にタイで発表された ドリーム110i で、以下の日本向けとされた仕様・特徴がある。

  • 車体を50ccモデル・110ccモデルで共用化。
  • 本来の2人乗りシートからシングルシート+リヤキャリアに変更。
  • 尾灯およびテールウインカーのデザインを変更
  • メーターからギアポジションインジケーターを廃止しスピードスケールを変更。

この結果、型式は50ccモデルがJBH-AA04、110ccモデルがEBJ-JA10となり以下のスケジュールで発表・発売された。

スーパーカブ110

2012年2月20日発表、同年3月16日発売。前モデルからは以下の変更を実施。

  • フレーム剛性の見直し。
  • ホイールベースを20mm延長。
  • エンジンを低中回転トルク重視の特性に変更。

車体色はスマートブルーメタリック・パールシルキーホワイト・パールバリュアブルブルー・バージンベージュ・パールプロキオンブラックの5色を設定。

スーパーカブ50

2012年5月17日発表、同月25日発売。110との差異は多少あるものの基本的には共用する同一車体である。このことから50ccモデルでは54年の歴史で初めて車体構造とエンジンの内径x行程が完全に刷新され、パイプ・ピボットによるバックボーンフレームやテレスコピック式フロントサスペンションの装備、セルフスターター・4段トランスミッションが標準搭載とされたが、車体は上位車種のものであることから車両重量は大幅に増加した。

スーパーカブ50プロ スーパーカブ110プロ

2012年7月17日発表、同年9月15日発売。110ccモデルは先代JA07型のフルモデルチェンジ、50ccモデルはプレスカブからの発展的統合の位置づけとされた。

JA07型からは、サスペンションストロークのアップ・メーターケースに作業灯設置・フロントバスケットのフロントマウント化などの改良を実施。車体色はパールバリュアブルブルーのみの設定。

なお、このモデルチェンジにより\20,000強 - \50,000弱の販売価格引下げも実施された。

2012年モデル諸元
車名 スーパーカブ50
(スーパーカブ110)
スーパーカブ50 プロ
(スーパーカブ110 プロ)
型式 JBH-AA04(EBJ-JA10)
全長x全幅x全高(m) 1.915x0.700x1.050 1.900x0.720x1.050
ホイールベース(m) 1.215(1.210) 1.225
最低地上高(m) 0.135 0.130
最小回転半径(m) 1.900
シート高(m) 0.735
車両重量(kg) 95(98) 106(107)
乗車定員 1人(2人) 1人
定地走行燃費 110.0km/L(30㎞/h)
(63.5km/L(50㎞/h))
95.0km/L(30㎞/h)
(66.0km/L(50㎞/h))
エンジン型式 AA04E(JA10E)
構造 空冷4ストロークSOHC単気筒
総排気量 49cc(109cc)
内径x行程(mm) 37.8x44.0(50x55.6)
圧縮比 10.0(9.0)
最高出力 3.7ps(2.7kw)/7,500rpm
(8.0ps(5.9kw)/7,500rpm)
最大トルク 0.39kg・m(3.8N・m)/5,500rpm
(0.87kg・m(8.5N・m)/5,500rpm)
点火方式 フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料供給 電子式燃料噴射(PGM-FI)
始動方式 セルフ・キック併用
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 4.3
クラッチ 自動遠心
変速方式 リターン(停止時のみロータリー)
トランスミッション 常時噛合4段
1速 3.181(2.615)
2速 1.705(1.555)
3速 1.190(1.136)
4速 0.916(0.916)
1次減速比 4.058
最終減速比 3.538(2.500) 3.307(2.142)
フレーム形式 バックボーン
サスペンション(前) テレスコピック
サスペンション(後) スイングアーム
キャスター 26°30′
トレール 71.0mm(73.0mm) 57.0mm
タイヤ(前) 60/100-17 M/C 37P
(70/90-17 M/C 38P)
70/100-14 M/C 37P
タイヤ(後) 60/100-17 M/C 37P
(80/90-17 M/C 44P)
80/100-14 M/C 49P
ブレーキ(前) 機械式リーディングトレーリング
ブレーキ(後) 機械式リーディングトレーリング
標準現金価格 \187,950
(\228,900)
\208,950
(\249,900)

リトルカブ[編集]

リトルカブ・2007年モデル

1997年8月8日発売。型式名A-C50。おしゃれに乗りたい若者・女性ならびに年配の扱いやすさを求めていたセグメントを意識しつつ、シャリィ販売中止に伴う代替も考慮し開発された。

エンジンは排気量50ccのみとし、キック始動のみの3段トランスミッションモデルとセル・キック併用4段トランスミッションモデルの2車種を設定する。標準車との相違点を以下に示す

  • ホイール径を17インチから14インチに変更しシート高を30mm下げた。このため全長もやや短縮するなど車体がよりコンパクトになった結果、小回りの効きと扱いやすさの向上が図られた。
  • カラフルなカラーリングをラインナップ。
  • フレームはスーパーカブ50と同じであるが、装着するパーツは随所に丸みを持った独自の装飾デザインを採用。ハンドル周り・フロントフォーク・前後ウインカー・チェンジペダル・ブレーキペダル・ステップバー・サイドカバー・レッグシールド・フロントフェンダー・マフラー等は専用部品である。シートやリヤキャリアも車体に合わせて一回り小型化されているが、これらはスーパーカブ50と互換性があり相互で交換が可能である。

発売後は以下のマイナーチェンジを実施している。

  • 1999年9月:1998年の排出ガス規制[注 16]に対応するためキャブレターセッティング変更・ブローバイガス還元装置の搭載を実施した1999年モデルに移行。型式名をBA-AA01に変更。
  • 2007年10月:2007年の排出ガス規制[注 17]に対応するため燃料供給装置をインジェクション化した2007年モデルに移行。型式名をJBH-AA01に変更。

2012年5月にはホンダの小型二輪車日本国外生産移管計画により一旦は生産終了となったが、方針の見直しにより同年9月から熊本製作所での生産を再開。2014年現在も引き続き上述した2007年モデルが継続生産されている。限定車として2008年にカブシリーズ誕生50周年記念モデルが、2013年に同55周年記念モデルが発売された。

クロスカブ[編集]

クロスカブ
クロスカブ

2012年11月11日に「カフェカブ青山 2012」でCT110(ハンターカブ)の実質的後継としたコンセプトモデルとして初公開[7]されたクロスオーバータイプである。

2013年5月22日発表・同年6月14日発売[8]。2012年モデルをベースにしており、新大洲本田摩托有限公司による生産ならびに型式も共通のEBJ-JA10であるが、車体番号はJA10-400****に区分される。

MDシリーズ[編集]

Postal SuperCub.jpg
MD90(上)スーパーカブ110MD(下)
MD90(上)
スーパーカブ110MD(下)

1972年8月に当時の郵政省(現・日本郵政)と共同開発した郵便配達用に特化させたバリエーションである。

MDはメイル・デリバリー(郵便配達)の略称もしくは型式・バリエーション名であり、ホンダ社内ではスーパーカブ・デリバリー、一般的には郵便カブまたは郵政カブとも呼ばれる。車体色は専用の「郵政レッド」である。

集配および貯金保険業務用営業かばんの装着用にフックが着いたフロントキャリア・積載に対応する大型化リヤキャリやハイマウントタイプのヘッドライトとウインカー・バーハンドル・サスペンションならびにサイドスタンドの強化・狭小路での取り回しを考慮した前後14インチタイヤ・グリップヒーター(一部暖地向けは省略)・寒冷時始動性向上およびアイシング防止用キャブヒーターなどの特化装備が施される。

集配用・貯金保険用の区分も存在する。郵政民営化以後は郵便事業株式会社が集配業務、郵便局が貯金・保険に分割されたが、両者は制服・荷台箱の識別番号・社名ロゴで識別が可能である。

2008年には2011年から後継車両として電動スクーターEV-neoを製造販売する計画を発表。日本郵政も導入を検討していることが報道された[9]が、法規制や耐久性などの実用面をクリアする必要があり、従来からの郵政仕様車を存続させる方針が採られた[2]

注意点[編集]

郵政との共同開発による特化仕様車のため、一般個人・法人への販売はされておらず新車での購入は不可能であるが、用途廃止となった放出中古車の入手は可能[注 18]であり、専門に取り扱う販売店も存在する。

また日本郵政では内規によりそのままの車体色で払い下げることを禁止している[要出典]ことから、廃棄時にはスプレーなどで赤色以外にペイントされる。払下げ後に郵政レッドの車体色へ復元しての登録や公道走行に法的規制は無いが[注 19]、郵便マーク(〒)を除去しない場合は刑法第166条(公記号偽造及び不正使用等)に抵触する。

遍歴[編集]

MD採用前の1968年頃にC90Z郵政省向特別車」が製造納入された。同車はC90一般仕様に以下の変更を実施たものである。

  • 大型特製キャリアをフロント・リアに装備。
  • ヘッドライトをハンドル上部に移設。
  • 車体色を赤に変更。

その後1971年にC90と輸出仕様のCT90をベースにテレスコピック式フロントサスペンション・アップハンドル・前後輪17インチタイヤ・フロント特製キャリヤ・リヤ大型キャリヤを装備した型式名MD90(K0)を生産開始。

続いて1972年に以下の変更を実施したMD90(K1)に移行した。

  • アップハンドル装着。
  • ステアリングステム上部メーター内蔵型ヘッドライト。
  • 前後輪14インチ化。
  • 前後キャリアを大型化。
  • サイドスタンドを強化。
  • フロントフェンダー・シートの形状変更。
  • 集配用・貯金保険用の区分。

また、MD90に引き続き原付免許所持者でも乗れるMD50(K0)や70ccエンジンを搭載するMD70(K0)の生産が開始され、MDシリーズは50cc・70cc・90ccのラインナップとなった。以後の大きな変更を以下に示す。

フロントフェンダー・キャリアの形状変更。
標準・寒冷地・沖縄の仕向け地別仕様の設定。
スーパーカブがフレーム内蔵燃料タンクへ変更後も別体タンク旧フレームを継続。
スーパーカブ90が85cc新設計エンジンに換装されるもMD90ではCS90をベースとした旧C90系のエンジンを継続。
点火方式をCDI化・電装12V化・MFバッテリーの搭載。
排気ガス規制対策を実施。
  • 2004年
MD70の製造終了。
  • 2007年
MD50の燃料供給をインジェクション化。
  • 2008年
MD90の製造終了。
  • 2009年
MD90のモデルチェンジ車としてスーパーカブ110PROをベースにしたスーパーカブ110MD[10]の生産を開始。同車は共通設計のため型式はEBL-JA07となる。
  • 2011年
MD50・スーパーカブ110MDの製造終了。
  • 2012年
ベース車のスーパーカブモデルチェンジにより、50cc・110ccモデルの共通車体化を実施。郵政向け仕様は、一般向けPROをベースにしたスーパーカブ50MDスーパーカブ110MDに移行。型式は一般向け同様のAA04型・JA10型であるが、MDシリーズのみ組立は中華人民共和国で行わずに引続き熊本製作所で行われる。

姉妹車種[編集]

搭載される横型単気筒エンジンは汎用性の点で流用され、以下の姉妹車とも呼ぶべき車種が生産された。

現行販売車種[編集]

モンキー(特別限定車)
モンキー(特別限定車)

過去の販売車種[編集]

海外での評価[編集]

CT110
CT110
EX5 マレーシア仕様タイ仕様はDreamC100日本仕様は1988年発売のカブ100EX
EX5 マレーシア仕様
タイ仕様はDreamC100
日本仕様は1988年発売のカブ100EX
ウェーブ125iカブシリーズでPGM-FI初採用
ウェーブ125i
カブシリーズでPGM-FI初採用

耐久性・経済性において卓越した実用小型オートバイであることから、世界各国への輸出および現地生産が行われた。

1959年アメリカ合衆国に輸出が開始され、「バイクはアウトローの乗り物」という社会的イメージの強かった同国で払拭すべく「良識ある市民の実用的使用」をマーケティングイメージとした「YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA」というキャッチフレーズで軽便バイクとして人気を得た。

  • これによりオートバイのイメージ向上にも貢献し、『HONDA』という企業のアメリカでの認知度と社会的評価を高めた。
  • 1964年にはザ・ビーチ・ボーイズが、タイアップなど皆無のままスーパーカブを走らせる楽しさを歌った「リトル・ホンダ」というナンバーを制作し、アルバム「オール・サマー・ロング」に収録した。この中では加速するカブのシフトアップまで描写されている。

アメリカ市場での成功を受け、続いて1961年より中華民国(台湾)で現地生産を開始。1960年代以降の東南アジアでは、カブのみならずビジネスバイク全体を普及させる端緒ともなり、扱いやすさや経済性のみならずメーカーの想定範囲や先進国の安全常識では到底考えられない異常な酷使、過積載[注 20]にも耐えてしまう高い信頼性により、オートバイを生活の道具として重要視する発展途上国の大衆ユーザーたちから強い支持を得た。

  • 国内外に類似デザイン・類似設計の後発競合車種も多数存在するが、知名度の点でも圧倒的に優る。ベトナム社会主義共和国ではオートバイは全て、一般名詞として「ホンダ」と呼び「ヤマハのホンダ…」といった使われ方がされる。

20世紀末期以降の海外市場では、タイなどでの現地生産車を含めたカブシリーズの中心は実用性向上や税制・運転免許制度などの理由から派生車種であるドリームやウェーブなどの100-125ccクラスへ移行しており、日本の主力となる50ccモデルは海外では極めて少数で90ccは日本のみの生産となっていた[11]

なおアメリカ向け輸出は終了しており、2008年時点でも対米正規輸出は行われていない。

競合車種[編集]

日本国内では以下の車種が該当する。

これら4車は、カブと揃って郵政省(→郵政公社→現・日本郵政)に納入された実績を持つ。

コンセプトモデル[編集]

EV-Cub
EV-Cub
EV-Cub


受賞[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 発売開始年だけでも9万台売れたという記録がある。
  2. ^ 乗り物に関する世界一の一覧」も参照。
  3. ^ あるカテゴリを確立した商標がカテゴリ名称としても使われる「製品名の代名詞化」や「商標の普通名称化」などと呼ばれる現象で、他にも以下の例がある。
  4. ^ 当時は90 - 200cc級が主流。
  5. ^ デザインに関しては藤沢の妻がかつて「本田さんの作る製品はどれも素晴らしいけど、エンジンがむき出しなのが鳥の臓物みたいで気持ちが悪い」と言ったことがあり、本田はそれを気にとめていてエンジンなどをカバーにすっぽり収めたデザインを考案した。
  6. ^ これは1954年(昭和29年)に鳴り物入りで大々的に発表しながら商業的に大失敗したプラスチックボディの大型スクータージュノオからフィードバックされたものである。当時としては先進的な試みを実施したが、冷却不良や重量過大などの問題を抱え売上不振により早々に生産中止となった。その後プラスチック素材研究開発部門は直接的な製品開発からはずされており、開発陣の処遇を本田や藤沢は折に触れ気にかけていた「彼らの努力が結実し、スーパーカブが誕生した」と後年に藤沢は述べた。
  7. ^ 一例としてポジションランプがヘッドライト下に独立して装備していた時期があり、このモデルを「行灯カブ」と呼称するケースがある
  8. ^ 1960年の週刊誌掲載広告では、東京都世田谷区の蕎麦店「兵隊家」(2012年時点でも現存)でロケーションし、出前持ちの若者がせいろを担いでスーパーカブと並んだ写真に「ソバも元気だ おっかさん」という生活感あふれるキャッチコピーを添えて実用性をアピールしている。
  9. ^ マフラーは随時改良やデザイン変更が実施されており、1970年代後半には排気口部分が絞られた形状(通称:モナカ)からメガホンタイプに、2009年のスーパーカブ110ではそれまでのスチールメッキを廃止し耐熱ブラック塗装+メッキ製ヒートガードへの変更が実施された。
  10. ^ カブそのものが海外生産されたこともあるが、ホンダでは1980年代東南アジア各国に対しODAとして技術支援を行ったこともあり、本エンジンをベースにしたコピーも存在し基本設計が同一で互換性も高いことから、換装や流用が多数存在する。
  11. ^ おそらくショートニングと思われる。
  12. ^ スタンダードは燃料計をシート下の給油口に装備。
  13. ^ スーパーカスタムをベースにした赤一色の車体色が特徴的な特別仕様車「赤カブ」も販売された。なお「赤カブ」は1983年にバンダイから1/12スケールでプラキット化されている。
  14. ^ 車体番号はJA07-308****・309****・310****・311****。
  15. ^ 110は2人乗車、110PROは1人乗車で計測。
  16. ^ 同一新型式継続生産車両は1999年9月1日から施行。
  17. ^ 同一新型式継続生産車両は2007年9月1日から施行。
  18. ^ かつては個人へ1台単位での直接払下げも行われていたが現在では殆ど行われておらず、廃棄となる車両を業者が数十台 - 数百台単位で入札する方式が主流である。
  19. ^ ただし日本郵政では、なるべく車体色を換えて使用するようオーナーに依頼している。
  20. ^ 100kg単位の重貨物搭載や子供まで含めての3人・4人乗りといった曲乗り状態も珍しくない。
出典

参考文献[編集]

  • 「ウルトラ「カブ」ヒルズに登場 - ホンダが発売50年イベント」『東京新聞2009年(平成21年)6月26日(金) 12版 経済 8面

関連項目[編集]

  • モペッド
  • スーパーカブ (映画)
  • 水曜どうでしょう北海道テレビ放送制作) - 「原付東日本縦断ラリー」「原付西日本制覇」「原付日本列島制覇」の企画内で登場、それぞれ東京 - 札幌を4日間で、京都 - 鹿児島をのべ6日間、東京 - 紀伊半島 - 高知を6日間で走破している。ベトナムで「ハノイ→ホーチミン 原付ベトナム縦断1800キロ」という企画も放送されたが、こちらはスーパーカブではなくドリームIIが使われた。
  • ザ・ビーチ・ボーイズ - 詳細は上述。
  • トップギア - (BBC制作)シリーズ12「ベトナム・スペシャル」にて、出演者の一人ジェームズ・メイが現地で購入したものに搭乗。同企画は15,000,000ドン(当時の相場で1,000アメリカドル相当)で購入できる車両=二輪車を現地で調達し、サイゴン(ホーチミン)→ハロン間を8日間かけて移動する企画。上記のLittle Hondaをジェームズが口ずさみ、またBGMとしても使用されている。
  • ペルソナ4 ザ・ゴールデン

外部リンク[編集]