宅急便
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宅急便(たっきゅうびん)とは、ヤマト運輸が提供する宅配便サービスの商品名である。クロネコをトレードマークにしている。
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[編集] 宅急便の誕生
元々、当時の大和運輸(現・ヤマトホールディングス)は三越や松下電器産業(現パナソニック)などの専属配送業者であったが、1960年代、全国に高速道路が整備され他社が長距離運送に参入していく中で大和運輸は乗り遅れ、ここにオイルショックが重なり経営危機が噂されるほど業績が低迷した。
1971年に社長になった小倉昌男は、当時の運送業界の常識であった「集荷・配達に手間がかかる小口荷物より、大口の荷物を一度に運ぶ方が合理的で得」という理屈が誤りだと気付く。小倉は「小口の荷物の方が、1kg当たりの単価が高いのだから、小口貨物をたくさん扱えば収入が多くなる」と確信した。
また、当時、個人が荷物を送るには郵便局に持参する郵便小包があったが重量は6kgまでであった。一方鉄道を利用する「チッキ」という制度がありこちらは30kgまで送れたが、差出はしっかりと梱包し紐で縛って小荷物取り扱い駅に持参し、受取人は駅に取りに行かなければならないという制度であった。どちらも現在のように一つ一つの荷物を番号管理もしておらず、いつ届くのかさえわからないサービスであった。小倉昌男はこの状況を見て、サービスを向上させて参入すればライバルは存在せず、必ず成功すると確信した。
そして1975年の夏「宅急便開発要項」を社内発表、若手社員を中心としたワーキンググループが新商品開発を進めた。76年1月20日「電話1本で集荷・1個でも家庭へ集荷・翌日配達・運賃は安くて明瞭・荷造りが簡単」というコンセプトの商品『宅急便』が誕生した。1日目の取扱量は11個だったが、その後急速に取扱量が増え、他社も同様のサービスを開始した。全国津々浦々を網羅する営業所を作るには、警察が通報を受けて駆けつけるのと同じくらいの距離に営業所を置くのがよいとの考えから、1200署あった警察署の数を目標とし、取次店は郵便ポストの数を目標としたというエピソードがある。 現在では、駐車禁止の規制強化とエコロジーの両面から、首都圏などでは数kmおきに営業所を設置、営業所までトラック輸送した後、そこから先は自転車で配達している。それ以前からも東京銀座地区など一部ではリヤカーで配達している。
「宅急便」の名称は『魔女の宅急便』(角野栄子の児童文学および、それを原作としたスタジオジブリのアニメ映画)というタイトルにも利用されるなど、しばし宅配便の総称として使われるほど、ゆるぎない地位を確立した。
[編集] 宅急便の種類
- 宅急便
- スキー宅急便
- ゴルフ宅急便
- 国際宅急便
- クール宅急便
- 空港宅急便
- 往復宅急便
- 超速宅急便
同一あて先に2個以上の荷物を同時発送する場合、専用伝票を用いれば割引を受けられる制度がある(通常の宅急便の扱いでかつ元払いの場合)。
なお、「らくらく家財宅急便」というサービスがあるが、これはヤマト運輸が提供するサービスではなく、引越事業を行う子会社のヤマトホームコンビニエンスという別会社が提供するサービスであり、宅配便商品ではなく引越商品である(元々は「小さな引越便」という名称で、家具や大型家電を単品で送るサービスである)。また、メール便は民間事業者による信書の送達に関する法律による制限があるため郵便に変わるサービスではなく、あくまで宅配便の受領印をもらわずポスト投函するというサービスである。そのため送れる物に制限がある。
[編集] 宅急便の名称の誤解
一般に宅配便の総称として使われてることが多いが、宅急便はヤマト運輸の登録商標であり、ヤマト運輸以外の宅急便は存在しない(例えば、かつて日本通運(日通)が行い、現在はJPエクスプレスが提供する宅配サービスは「ペリカン便」であり、「日通(もしくはJPエクスプレス)の宅急便」という物は無い)。
JR系の労働組合であるJR連合が主催した「モーダルシフトと鉄道貨物問題について勉強会」において、講師に招いた国土交通省の専門家ですら「東京~大阪間のスーパーレールカーゴ(SRC)で佐川急便が"宅急便"を運送しているケースは大きな成功例」と講演するほど、誤解が多い。(他社が連絡輸送するケースはあるが)佐川急便のスーパーレールカーゴで宅急便は輸送されておらず、完全な誤解である。
また、「ヤマト運輸の宅配便」であることからオークションサイトなどで出品者が発送方法に「ヤマト便」と記載していることも多いが、ヤマト運輸には宅急便では扱えないサイズの荷物を送るヤマト便という輸送サービスが存在する。
そのため「ヤマト便で発送」と記すと、どんな小さな物でも25kg超の料金区分で発送すると言っている事になるため、注意が必要である。
[編集] 輸送補償
宅急便は輸送時に万が一破損した場合、宅急便約款に基づき30万円までの実害額を補償する制度がある。この制度は出荷人とヤマト運輸の間で締結されるものである。そのため、オークションサイトなど「届いたときに壊れていた場合は運送会社に言え」という対応は誤っている。本来は契約関係がある、ヤマト運輸が出荷人に賠償し、出荷人であるオークションの出品者が落札者に代金を返金すべきである。
また、この制度はいかなる破損も補償するという制度ではなく、あくまでヤマト運輸に過失がある場合に限定される。宅急便輸送約款第5条で出荷人は輸送に適する荷造りをしなくてはならないと定められている。そのため輸送に耐えない状態で出荷し破損した場合、ヤマト運輸に賠償義務はない。素人はエアキャップ(いわゆるプチプチ)を巻けば十分に耐えうると過信しているが、新品の製品は衝撃をどのように伝達するかを考慮し梱包資材を設計しているのと対照的である。エアキャップを数回巻いた程度では十分な梱包とはみなされない。
しばしオークションサイトで「簡易包装」などと表記している方がいるが、簡易な包装で破損した場合は宅急便輸送約款第5条に基づきヤマト運輸に賠償義務はない。一方で受取人もその事を十分に認識し、「過剰梱包だ」などと騒ぎ立てない事が必要である。
[編集] 宅急便に関連するエピソード
- 宅急便のロゴのうち、「急」の一部が「急ぎ足」のようにデザインされている。
- ヤマト運輸はトレードマークの「ネコ」に大変な愛着がある。そのためか、情報システムの名称も「NEKO(New Economical Kindly Online)」と名づけているほどである。社員も送迎バスを「ネコバス」と呼び、社員用の風呂のことも「ネコ風呂」と呼んでいるほどである。2008年後半からスタートした広告のキャッチコピーも「宅配はネコである」。CMも尻尾の生えたネコのような配送車が登場するなど、ネコへの愛着がうかがえる。
- 『魔女の宅急便』が童話や映画としてヒットしたが、題名が「ヤマト運輸の商標権に触れて問題になった」というのは誤解である。原作者も映画制作者も、新しい宅配便サービスを始めようとしたわけではない。日本では「本や映画の題名」に商標権は設定されておらず(特許庁)、また裁判の判例でも認めていない(映画は、著作物として著作権法の対象であるが、一般的に『著作物の題名』には著作権は及ばないと判断)。したがって著作物の題名に「宅急便」を入れることは自由であり、当然『魔女の宅急便』というタイトル自体は法的には問題がない。
- むしろ『魔女の宅急便』のスタッフロールにはヤマト運輸が協力と記されており、ヤマトのキャラクターとして『魔女の宅急便』を採用していた時期もあるなど、相互の協力関係が存在する。
- なお同映画をもとに、登録商標「魔女の宅急便」 はスタジオジブリが取得している。
- 同映画で登場する黒猫・ジジはヤマト運輸のトレードマークとは関係ある。このトレードマークは宅急便の開始以前から存在した。
- 2000年(平成12年)から台湾統一速達とのライセンス契約により、海外進出した。台湾でもセブンイレブンが取り扱い代理店となっているが、これはセブンイレブンを経営するのが、同じ統一グループだからである。
- 中国には日本に留学経験のある社長が宅急便に感銘し模範にした「宅急送」というサービス名の宅配便がある(北京宅急送快運公司が運営、ヤマト運輸とは無関係)。微妙に文字が違うのは中国語で宅急便と書くと「急いで家に帰ってトイレに駆け込む」という意味にとられかねないからである。
- 社内で「マルトク」と呼ばれる荷物があるが、これは暴力団事務所関係の荷物であり、破損などがあるとスーパークレーマーとなるため、極めて慎重に扱われる。
- ヤマト運輸の環境CM「ふたつのモーダルシフト篇」には画面正面にヤマト運輸新東京主管センター(JR貨物エフプラザB棟)が映っているが、右には佐川急便大井SRC(JR貨物エフプラザA棟)が映っている。
- 1990年にアメリカの貨物航空会社大手UPSと提携、合弁会社「UPSヤマトエクスプレス」を設立をした際にヤマト運輸の営業所から海外に配送する「UPS宅急便」(現地ではUPSのドライバーが配達)というサービスもあったが、2004年に合弁解消と同時に終了した(海外輸送に関しての提携は継続)。現在では「国際宅急便」が代替サービスとして提供している。

