原動機付自転車

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日本の運転免許 > 原動機付自転車
二輪のスクーター(ホンダ・トゥデイ
三輪のスクーター(ホンダ・ジャイロX
電動スクーター(ヤマハ・パッソルL

原動機付自転車(げんどうきつきじてんしゃ)とは、日本の法規における車両区分のひとつである。道路交通法では50cc(0.6kW)以下、道路運送車両法では125cc以下(1.0kW)の原動機を備えた二輪車が該当し、法規上の条件を満たせば三輪、あるいは四輪のものもこの区分に該当する場合がある。省略して原付(げんつき)と呼ばれることも多い。

概説[編集]

原動機付自転車の起源は、自転車に小型のガソリンエンジンを付けたモペッドと呼ばれる乗り物であった。

現在の原動機付自転車はオートバイの一種としての認識が広く浸透し、一般には運転免許の区分ともなっている50cc以下のものを指す場合が多い。自転車の俗称であるチャリンコと組み合わせた「原動機付チャリンコ」の意味で、略して「原チャリ」「原チャ」といった俗称も広く用いられる。報道では「ミニバイク」と呼ばれることが多い。

ここでは一般に「原付」として認識されている50cc以下のオートバイについて主に記す。

公道上で運転するために必要な免許は原付免許で、16歳から取得が可能であるが、(高校生~大学・専門学校生の場合)風紀上の理由から、校則で

  • 原付免許の取得はバス・鉄道での通学が困難な場合のみとする
  • 自動二輪・原付二種免許の取得は禁止
  • 通学以外での乗車を禁止
  • 通学先の学校名を表示する(学校名の記載されたシールをナンバープレートのそばに貼り付けるなど)

などが規定されている場合があり、学校によっては、運転免許を取得した者の卒業まで学校が運転免許証を預かる例もある。試験は学科試験のみであるが、事前または事後に運転免許試験場、警察署、指定自動車教習所などが主催する技能講習を受けなければならない。事前に技能講習を受講しなければ学科試験の申し込みができない地域もある。なお、小型特殊免許以外の運転免許でも運転できる。[1]

他の自動車と比べた場合の大きな違いは、運転技能の試験無しで免許が取得でき、政令で定める最高速度が30km/hで[2]二段階右折が義務づけられる点である。[3]

ヘルメット着用は1986年より義務づけられた。1970年代後半から、ヘルメット着用義務のない手軽な乗り物としてスクーターを中心に急速に普及したが、それに伴い交通事故が増えたことにより着用が義務づけられることとなった。

エンジン2サイクルエンジンが主流であった。しかし、1998年9月から原付も自動車排出ガス規制の適用を受けることになり、2007年9月からはこの規制が強化され、排気ガス中の公害物質が多い安価な2サイクルエンジンを採用した上で排気ガス対策をすることはコストメリットが無くなり、4サイクルエンジン燃料噴射装置三元触媒を搭載する車種の発売が続いている。かつては業界の取り決めによってエンジンの最高出力の上限を7.2ps(約5.3kW)とする馬力規制も行われていたが、2007年7月に撤廃された。

1980年代後半には日本メーカー全体で20車種ほどのMT車が同一時期に国内で販売されていたが、近年の厳しい騒音規制の影響もあり、2012年現在、日本国内で生産されている原付のMT車はホンダ・エイプおよびホンダ・モンキーの2車種のみである。

電動機のみで走行可能な立ち乗りスクーター電動自転車なども原動機付自転車もしくは自動二輪車とみなされるため、法的要件を満たさずに公道を走れば「動力を切った状態でも」法規違反となる。電動車いすシニアカーは速度の上限を設けた上で歩行者として扱われる。

2001年度の交通白書によると、二輪車全体における交通事故の割合において、第1種原動機付自転車が過半数を占めることが報告されている。その後も、その他の二輪車よりわずかに下回ったものの、ほぼ半数を占めるとされる。しかしながら日本自動車工業会によると、二輪車全体の年間販売総数(約40万台)のうち、およそ8割以上(第一種原動機付自転車が約25万台、第二種原動機付自転車を含めれば約34万台に上る)が原動機付自転車のみで占められており[4]、比例的に鑑みれば、原動機付自転車であるから危険ではなく、むしろ、その他の二輪車と比して原動機付自転車の事故発生率は低い[5]傾向にあるといえる。

道路運送車両法等による登録の必要がないリヤカーを牽引して走行することが認められている。ただし、積載量・幅・長さならびに最高速度の制限や地域の条例による条件がある。

自動車保険(任意保険)において、自動車の契約に付随したファミリーバイク特約を付帯する場合、原動機付自転車は125cc以下とされているため、原付1種、原付2種ともに補償の範囲に入る。

法律上の定義[編集]

日本では道路交通法または道路運送車両法により異なる定義で区分されている。運転免許の区分は道路交通法によって定められ、50cc超125cc以下の自動二輪車は原付免許や普通免許では運転できない。高速道路自動車専用道路を総排気量が125cc以下のオートバイミニカーが走行できない理由は、高速自動車道路法ならびに道路法における「自動車」の定義が道路運送車両法にしたがうことによる。自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律(通称、自転車法)では「自転車等」の定義として、道路交通法に規定する原動機付自転車を含むことから、50cc以下の原付を対象とした駐車場の整備は他のオートバイと比べて古くから整備が進められてきた。

道路交通法[編集]

50cc(0.60kW)以下の二輪またはミニカーを除く50cc(0.60kW)以下の三輪、あるいは20cc(0.25kW)以下の四輪のものを原動機付自転車とする。

  • 「原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。」(道路交通法第2条第1項第10号)
  • 「道路交通法第二条第一項第十号の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については〇・〇五〇リツトル、定格出力については〇・六〇キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リツトル、定格出力については〇・二五キロワツトとする。」(道路交通法施行規則第1条の2)
  • 道路交通法施行規則第1条の2における「内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの」は「車室を備えず、かつ、輪距(二以上の輪距を有する車にあつては、その輪距のうち最大のもの)が〇・五〇メートル以下である三輪の車および側面が構造上開放されている車室を備え、かつ、輪距が〇・五〇メートル以下である三輪の車」(平成2年12月6日総理府告示第48号)であり、これ以外はミニカーという扱いになる。
  • また、道路交通法施行規則第1条の2における「その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リツトル、定格出力については〇・二五キロワツトとする。」を満たす四輪の原動機付自転車(ミニカー登録ではなく、原付免許で乗れるもの)も販売されている[6]

道路運送車両法[編集]

125cc(1.00kW)以下の車両を原動機付自転車とする。このうち50cc(0.60kW)以下のもの(道路交通法上の原動機付自転車とミニカー)を第一種原動機付自転車、50ccを超え125cc以下のものを第二種原動機付自転車という。

  • 「この法律で「原動機付自転車」とは、国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう。」(道路運送車両法第2条第3項)
  • 「道路運送車両法第二条第三項の総排気量又は定格出力は、左のとおりとする。
    一 内燃機関を原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあつては、その総排気量は〇・一二五リツトル以下、その他のものにあつては〇・〇五〇リツトル以下
    二 内燃機関以外のものを原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあつては、その定格出力は一・〇〇キロワツト以下、その他のものにあつては〇・六〇キロワツト以下」(道路車両運送法施行規則第1条)
  • 「前項に規定する総排気量又は定格出力を有する原動機付自転車のうち、総排気量が〇・〇五〇リツトル以下又は定格出力が〇・六〇キロワツト以下のものを第一種原動機付自転車とし、その他のものを第二種原動機付自転車とする。」(道路運送車両法施行規則第1条第2項)

税区分[編集]

125cc以下の原動機付自転車は市区町村へ届け出され、軽自動車税が課せられる。課税額は排気量または定格出力によって区分されて、排気量50cc(出力0.6kW)以下を一種、90cc(0.8kW)以下を二種乙、125cc(1kW)以下を二種甲として扱われる。それぞれの区分に応じた課税標識(ナンバープレート)が交付され、別表に示すように地色で区別される。課税標識のデザインは市町村が条例で定められ、2007年以降は独自のデザインのナンバープレートを導入する市町村が増えている。

課税標識の色
区分 ナンバープレートの色
(異なる市区町村もある)
第1種原動機付自転車 50cc以下または定格出力600w以下 白色
第2種原動機付自転車(乙)90cc以下または定格出力600w超800w以下 黄色
第2種原動機付自転車(甲)125cc以下または定格出力800w超1000w以下 桃色
ミニカー 水色

三輪の原付の扱い[編集]

50cc以下で三輪の車両は原付(または条件を満たせばミニカー)として扱われるが、50cc超250cc以下(125cc以下ではない)の三輪車両はいわゆるトライク、法律上は「側車付き軽二輪車」として扱われ、ナンバープレートは市区町村ではなく軽自動車協会によって交付される。このため、ホンダ・ジャイロ等の三輪の原付を50ccを超えるように改造した場合、二輪の排気量変更とは大幅に登録変更の手続きが異なる。ナンバープレートの形状は125ccを超え250cc以下の二輪車と同様のもので、51ccでも法規上、高速道路に進入できる。運転に必要な免許、その他法律上の取扱いについては、トライクの項目を参照。

サイドカー[編集]

「側車(サイドカー)付き」は道路交通法上、二輪車として扱われる。 50cc以下で一軸駆動のサイドカーは登録も原付一種となり原付免許で運転できるが、乗車定員、法定速度、二段階右折は原付の二輪車に準ずる。

原付の法規にまつわる世論[編集]

幹線道路において30km/hの法定速度を守って走ると危険であることから原付の法定速度を引き上げる要請[7]や、小型二輪免許を現行よりも簡略化して原付二種の普及を促進する提案がある[8]。あるいは原付免許を、簡略化した普通二輪免許(小型限定)と統合して小型の二輪車の売り上げの回復を計る提言もある[9]が、高出力エンジンを搭載する現代の原付オートバイが安価で簡単に入手出来ることや改造により高速で暴走する原付が存在すること、また技能教習や技能試験が無く運転技術が未熟な者の運転による危険性、車体点検が義務付けられていない危険性など、世論は様々である。

脚注[編集]

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  1. ^ 道路交通法第六章第三節より。
  2. ^ 道路交通法施行令第三章第十一条より。30km/hを超える最高速度が指定されている道路であっても、30km/h以下で走行しなければならない。
  3. ^ 道路交通法第六節第三十四条第五項より。
  4. ^ 日本自動車工業会「二輪車販売台数の内訳(2012年時点)」より
  5. ^ 原付ツーリングクラブ モナミ ご挨拶項より
  6. ^ 電動四輪スクーター「おでかけですカー」
  7. ^ 規制改革集中受付期間/全国規模での規制改革要望に対する回答への再検討要請(PDF-P.4「原動機付自転車の最高速度制限の緩和」管理コードZ0100070
  8. ^ 二輪車特別委員会の調査提言書「二輪車の利用環境デザイン」(PDF)
  9. ^ 八重洲出版 雑誌 モーターサイクリスト 2009年5月-11月号の集中連載記事「50ccはいらない?」第1回~第7回。二輪販売業関係者の提言は第5回と第6回、二輪車特別委員会委員長の免許制度の技能講習案の詳しい説明は第7回

関連項目[編集]

外部リンク[編集]