トライク
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トライク(Trike)とは、三つの車輪を持つ車両のうち、特定の構造(後述)を採用している車両を指す名称。
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[編集] 概要
ラテン語で3を表す tri と、輪(ここでは車輪のこと)を表す cycle との合成語のtricycleが語源と言われる。やがて二輪の自転車やオートバイのことを表す Bicycle の略称である bike と同様、 trike という略称で呼ばれるようになった。
広義のトライクは三つの車輪を持つ乗り物(三輪車)全般を指すが[1]、一般に「トライク」と呼ばれるのは前輪または後輪のどちらかを二つにし、上から見て左右対称な二等辺三角形に配置したオートバイ[2]や自転車である。
三つの車輪を持つ乗り物で、他の種類については「三輪車#三輪車の種類」を参照
[編集] 特徴
[編集] 長所
二輪より停止時のバランスに優れており、特に遅い速度で走る時は有利である(ただし「転倒しない」ということではない)。
身体障害者が手軽に乗れる乗り物としても注目されている。パラリンピックでは重度及中度の脳性痲痺の選手が使用する(中度の場合2車の使用も可)。
前一輪後二輪のトライクは積載能力に優れていることから、後部に座席を設けて乗客を乗せる自転車タクシー(輪タク)に用いられていた。日本国外では現在もよく見られる。
また箱根駅伝などのマラソン中継で、機動性と安定性が両立できる面からオートバイのトライクがカメラ撮影用に使用されることがある。また、電動トライクが空港や大規模駅舎内において旅客や従業員の移動に使用されることがある。
[編集] 短所
停止時と低速時のバランスには優れているが、カーブでの安定性は運転者の技量によって安全性が変わってくる。二輪に比べ車体が大きく重いため機敏な動きがしづらい。二輪よりも高価である。オートバイのトライクは運転免許の法律に微細な判定部分があるため、よく把握しておく必要がある。
[編集] 自転車のトライク
英語圏では人力を動力とするものも原動機を持つものも共に trike と呼び、前後の文脈から区別するか、特に必要な場合は人力のものに Human-powered を付けて Human-powered-trike とするか、原動機を持つものに motor を付けて motor-trike として区別する。しかし日本では自転車のトライクは「三輪自転車」と呼ぶのが一般的であり、「トライク」の呼称を用いるのは欧米製の輸入車の愛好家など一部に限られている[3]。
法的な立場としては、道路交通法の1978年改正により、基準を満たしたものは普通自転車の扱いとなり、二輪の自転車と異なる扱いはされず、所定の歩道を通行することも可能となっている。
[編集] 前一輪後二輪
日本の場合、昔から作られているものは前一輪後二輪のものが多く、現在でも多数を占めている。これらは2本の後輪のあいだに大型の荷台もしくは荷乗せカゴを持つ、実用性を重視した製品がほとんどである。
前輪直結のペダルを直接回す小児用の三輪車とは異なり、一般的な二輪自転車と似た構造で後輪をチェーンにより駆動させている。 しかし後輪の片側だけを回す構造のものが多く、路面の状態によりスリップや走行不安定になることもあるため、最近では後二輪ともに駆動力を与えられるものも作られている(宮田工業「スカーフウィンディ」など)。
古くは前輪のハンドル部分しか曲げることが出来ず、旋回時の安定性が悪いという欠点があったが、1970年代前期頃から、前輪だけでなくフレーム主要部と後輪部分との間に「スイング機構」を追加して車体を傾けられるようにすることで、2輪車と遜色ない旋回特性が得られ、なおかつ同機構に組み込まれたばねの復元力によって、ある程度の自立補助が得られるように改良されたものが主流となった。ただし、なんらかの理由で自らバランスを取ることが困難なユーザーのために、あえてスイング機構を固定または動作制限してしまうオプションが選べる物が多い。この場合、上述のとおり旋回時の安定性が低下するため、カーブに入る前に充分に速度を落とさなければ横転事故に至る危険があることを、運転者は充分に理解しておかなければならない。
この形式のものは、車体前半部の構造が二輪の自転車と同様であり、スイング機構によって操縦感覚も二輪車と似ているが、あくまでも三輪車であるため、後輪の通る軌跡が二輪車とは異なる。これを忘れて2輪車の感覚で走行した場合、内輪差により曲がり角の障害物に内側後輪を引っ掛け、または乗り上げたり、段差や側溝に片側後輪を脱輪するなどして、激しく転倒し大事故に至る危険があることを、運転者は充分に理解しておかなければならない。
なお、イタリアのDi Blasi社では、車体をコンパクトに折り畳めるユニークな製品を作っている(Di Blasi製 TRICYCLE R31)これにはスイング機構は付いていない。
日本においてスイング機構を持つ三輪自転車が発達したのは、狭く混雑した道路環境により車幅の広い自転車は使いにくいこと。また普通自転車の規定に合致させることが利便性の面で有利であるため、車幅を広げることで安定性を確保する手法は避けられ、代わりに車体を傾けることで旋回安定性を確保する手法が求められたためである。
[編集] 前二輪後一輪
日本の場合は、古くは小型の貨物自動車が普及する以前の時代に、実用車の車体前半部を取り払い、代わりにリヤカーを前後逆に取り付けたような重量物運搬用自転車もあったが、これは国内ではめったに見られなくなった。日本国外では、クリスチャニア[4]・Zigo・nihora・JERNHESTEN等があり、目が届くことから子守に使用されることも多い。
前二輪型は車体のもっとも幅広い部分が運転者の視界の中に位置するため、後二輪型よりも車幅感覚がつかみ易い利点があり、これに着目したものも造られている(ブリヂストンサイクル製 ブリヂストン・ミンナ)、これもカーブを曲がるときに車体が傾かずバランスが取れなくなる弱点があるが、前二輪に特殊なリンク機構などを加えて傾かせることを可能とし、普通の自転車に準ずる旋回性を与えた車両も存在する(アバンテク「trikeシリーズ」やランドウォーカー「ランドウォーカー」など)。
[編集] リカンベントトライク
欧米では、極端に車高を低くし、寝そべるような乗車姿勢とすることで重心位置を下げると共に、左右輪の間隔(トレッド)を広く設定することで安定性を確保し、さらに低い車高にともなう前面投影面積の縮小による空気抵抗削減の効果もあわせて、高速走行を可能とするもの(リカンベントトライク)が作られており、熱心な愛好家が存在する。
詳細は「リカンベント」を参照
[編集] 電動アシストタイプ
三輪の自転車は二輪のものより重量が重くなるため、電動アシスト自転車としての機能の恩恵が大きい。2005年の愛・地球博では、場内タクシーとしてこのタイプのトライクが3種類活躍した。
代表的な市販車
- ヤマハ発動機製 PASワゴン
- ブリヂストンサイクル製 アシスタワゴン
- パナソニック サイクルテック製 かろやかライフEB
- アバンテク製 trike typeSE
[編集] オートバイのトライク
トライクは、既存の二輪車の後輪部分を改造したものが多い。構造はシャフトドライブや独立懸架を用いるなど自動車の技術を応用したものが多い。逆に、リアエンジン・リアドライブ(RR)自動車の動力ユニットを用い、前半をオートバイに似た1輪構造にしたタイプもある。元々はアメリカで流行したものであり、日本国内でも近年は業者による改造が盛んになってきた。
車体全体を車室(ボディ)が覆う車両、運転席がまたがり式座席でない車両、バーハンドルでない車両、荷台を有する貨物用の車両は、日本では小型三輪自動車登録(乗用は7ナンバー、貨物は6ナンバー)になる。
1990年代までの全地形対応車(ATV)は三輪のトライクタイプが一般的であり、本田技研工業ではATC(ALL TERRAIN CYCLES)という通称で販売していた。しかし転倒例が多く、アメリカでは訴訟に発展したことから、日本のオートバイメーカーによる生産は全て4輪に切り替えられ、トライクタイプのATVは急速に衰退した。
[編集] 法律的要件
当初はオート三輪の法律に従って車両製作を行っていたため、7ナンバーの「三輪幌型自動車」として扱われ、税金や車庫証明などで自動車と同じ扱いだった。やがてトライクの法的位置付けが問題視されるようになり、OTO(市場開放問題苦情処理体制)への提訴がきっかけで、1999年(平成11年)に当時の運輸省より『50cc超のトライクは道路運送車両法上では側車付二輪車(サイドカー)・道路交通法上では普通自動車とみなす』という見解が出され、これにより同年7月16日以降、車両登録とナンバープレートは二輪車になって、運転免許は普通自動車免許であると明確化された。
詳細は内閣府OTOデータベース「二輪自動車の基本構造を有する三輪自動車の分類の法令による明確化」を参照
オート三輪同様に公道でヘルメットを装着せずに走行が認められる。有料道路の料金は車両法によるためオートバイ扱いで軽料金となるが、駐車場では普通自動車の扱いとなる。
- 道路交通法上はオート三輪に準ずるものとして扱われ、運転免許は普通自動車免許以上が必要。また高速道路の最高速度は80km/hとなる。
- 道路運送車両法上は、排気量250ccを超える車両は側車付の小型2輪自動車となる。車検証の車体の形状欄には「側車付オートバイ」と記載される。
[編集] トライクタイプの二輪車について
2008年10月に一部のトライクに対し自動二輪車の保安基準を適用する旨の基準改正が公示された。
- 道路運送車両の保安基準等の一部改正について 平成20年10月15日PDF
- 国土交通省では、自動車の安全・環境基準の拡充・強化を進めるとともに、自動車の安全・環境性能の確保に関する国際的な整合性を図るため、平成10年に「国連の車両等の型式認定相互承認協定」に加入し、これに基づく規則(協定規則)について段階的に採用を進めているところです。(中略)また、近年開発された前二輪・後一輪を有する一定の要件を満たす自動車について、基準の適用を整理し、二輪自動車の基準を適用することとしました。これらの改正により、より安全・環境性能の高い自動車が普及するとともに、自動車・同装置の国際流通の円滑化、生産・開発コストの低減等がより一層図られることにより、効率的な車両安全対策が推進されることが期待されます。
- 3個の車輪を有する自動車に適用する保安基準(細目告示第2条の2関係)PDF
- 【改正概要】
- 3個の車輪を有する自動車又は原動機付自転車であって、左右の車輪の間隔が460mm未満であるなどの一定の構造を有するものは、二輪車の保安基準を適用します。一定の構造として次の要件を規定します。
- 3個の車輪を備えるもの
- 車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に備えられているもの
- 同一線上の車軸における車輪の接地部中心の間隔が460mm未満であるもの
- 車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有するもの
- 【適用時期】
- 施行日より適用します。
この改正により基準が適用される車両は、車検における保安基準が自動二輪車と同一になり、車両の常時点灯などが必要となる。なお現時点での適用車はピアジオ・MP3などの輸入車に限られており、日本メーカーの車両に該当するものはない(輪距の狭い旧モデルのホンダ・ジャイロなどを改造した場合に適用されるのみ。460mmより輪距の広い車両は適用されない)。
2009年3月27日に警視庁より法改正意見公募案件が公示され、これによると警視庁は上述項目の当該車両における免許区分を上記に併せ、正式に自動二輪車免許へ区分を変更する法案の意見を募集した[5]。当初2009年6月1日施行の予定であったが、警察庁に多数の意見が寄せられたことから、それらを踏まえた上で改めて再検討されることになったため、施行は延期となった[6]。
この件に関し、三輪スクーター輸入元に「三輪スクーターの運転免許改正案の修正について」の先行通知があり[7]、同年6月22日に警察庁より『「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等について』が正式公布された[8]。以下に要約を記す。
- 2009年9月1日施行
- 乗車用ヘルメットの装着が必要となる。
- 二輪免許を受けてから1年又は、普通自動車免許で三輪スクーターの運転を始めてから1年を経過しない者は、二人乗りができなくなる(高速道路を運転する場合は3年)。
- 2009年8月31日時点において普通自動車免許で乗っているユーザーのみ、経過措置として2010年8月31日まで普通自動車免許で運転可。また、試験場において特別試験が2010年8月31日までの期間限定で実施され、該当者のみ受験可能で試験に合格すれば限定免許が交付される。
- それ以外の者は運転の際、該当する二輪免許(大型二輪免許・普通二輪免許)が必要となる。
- 2010年9月1日変更
- すべての者において運転の際、該当する二輪免許(大型二輪免許・普通二輪免許・限定免許)が必要となる。
としている。
なお、現時点では道路運送車両法の車両登録における区分変更(側車付2輪登録→2輪車登録)については公示されていない。
[編集] サイドカータイプのトライクについて
従来のオートバイの側面に一輪を増やしたサイドカーも、オートバイを改造したという成り立ち上はトライクの一種であったと言う説もある。どちらも現在の日本の法律では側車付二輪の一種とみなされ、構造によって四輪免許か二輪免許に分かれている。
過去に、外観はサイドカーだが、側車側の車輪も駆動された車両を、ヘルメットを着用せずに運転して違反とされたが、後に警察側が「トライクであった」と間違いを認め違反を取り消した事例がある。
このようにサイドカーでも下記のようにトライクと見なされる場合、自動二輪免許で乗れないものがある。サイドトライク・サイドトライカーとも呼ばれる。
- 側車を分離したときオートバイとして単独で運転できない車両
- 運転席側の側面が開放でない(ドアがある)車両
- 走行軌跡が3本になる車両
をトライクとみなし、普通自動車免許が必要となる。 具体的に、以下のものもトライク扱いになる。
- 二輪駆動(2WD)のサイドカー:2輪を駆動させるサイドカーは「フルタイム型」「パートタイム型」共にトライク扱い。ウラル型2WDサイドカー、ドニエプル、BMW-R75(戦時中のビンテージモデル)、ゼウス等。
- 二輪操舵(2WS)のサイドカー:本車の後輪を操舵できる場合はトライク扱い。サイドバイク社のゼウス等。
- 一体型のサイドカー:設計時点から一体構造のフレームで、二輪のオートバイの構造をもたないためトライク扱い。サイドバイク社のゼウス等。
- 例外:この基準があてはまらない車種も存在する。「クラウザー・ドマニ」はレーシングニーラーのサイドカーに性質が近く、バイクの操縦感覚がない四輪自動車免許のみの運転者が乗ると危険であるため正式な二輪車認定車種になっている。
- 標準的なサイドカーに一体型ボディーをかぶせたものでは、側面開放なら二輪免許扱いになる。外観が似ていても免許が異なり無免許運転やノーヘル運転につながるため、注意が必要である。
[編集] トライクの特徴を生かした実用例
身体障害者が手軽に乗れるオートバイとして注目されている。
積載能力に優れていることから、後部に座席を設けて人を乗せられる(荷台になっているものは日本ではトライクとは呼ばれず、伝統的にオート三輪と呼ばれている)。
箱根駅伝などのマラソン中継で、機動性と安定性が両立できる面からトライクがカメラ撮影用に使用されることがある。
電動トライクが空港や大規模駅舎内において旅客や従業員の移動に使用されることがある。
[編集] レンタルトライク
- 2006年より、日本ではマツダレンタカーが試験的に一部店舗で導入した。
[編集] メーカー
- 自転車のトライク
- 日本国内
- 日本国外
- Di Blasi
- オートバイのトライク
- 日本国内
- トライクジャパン
- サクマエンジニアリング
- サンダートライクス[9]
- ボスホスサイクル東京
- GORDON
- GARAGE BOSS
- VegasMotor Cycles
- BLIZZARD JAPAN
- 日本国外
[編集] 関連項目
- 自転車のトライク
- オートバイのトライク
- 原動機付自転車
- オート三輪
- サイドカー
- オートバイ
- 原動機付自転車
- ミニカー (車両)
- ATV
- ターレットトラック
- 青木拓磨 -元オートバイ・レーサー。脊椎損傷による引退後、トライクの普及に力を入れている。
[編集] 参考文献
- 雑誌『別冊 MOTOR CYCLIST』八重洲出版(連載記事より引用)
[編集] 脚注
- ^ 「ハンググライダーの翼とプロペラをつけた超軽量動力機」もトライクと呼ばれている。
- ^ まれに「三輪バイク」と呼ばれることもあるが、訳すと「三輪二輪車」となり意味が通じない。
- ^ その証左として、アバンテク社「トライク」 など、特定企業の特定製品の商品名として「トライク」が使用されている。
- ^ クリスチャニア
- ^ 詳細は「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集についての資料7を参照
- ^ 警察庁交通局・「三輪車の自動車の区分の見直し」に関する内閣府令案等について - 「三輪の自動車」と表記されている
- ^ 「三輪スクーターの運転免許改正案の修正について通知がありました」(成川商会公式サイト)
- ^ 「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等についてPDF 警察庁交通局 2009年6月22日
三輪の自動車の区分の見直しPDF - ^ サンダートライクス
- ^ VIRGO
[編集] 外部リンク
- トライク - 基礎知識

