日本の消防車

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消防車(しょうぼうしゃ)は、火災その他災害に際してその鎮圧や防御を行う際に使用される特殊な装備を持つ自動車である。日本では、赤色に塗られた(道路運送車両法に基づく)特種用途自動車の一つで、用途の関係から、緊急自動車の一つに指定されている。

消防車には、各地の消防本部が保有するものと、消防団で保有するもの、化学工業系の企業、空港、石油化学コンビナートなど危険物保有施設に置かれる自衛消防組織自衛防災組織原子力防災組織が保有するものなどがある。変り種機関では、皇宮警察本部が消防業務を兼務しており、警察でありながら消防ポンプ車を保有するほか、国会議事堂衛視も消防業務を行っている。

また、あらゆる事態に対応するためにエンジンを後方に積んだ車輌、キャビンが大きく前にせり出した特殊なシャーシを持つ車輌、クレーン車をベースとする車輌など、特徴が強い車輌が多い。

消防車(大阪市消防局鶴見消防署
左から、はしご車と小型タンク車など

呼称[編集]

日本では、消防法第26条に「消防車」と表記されている一方、消防庁告示の「消防力の基準」では「消防ポンプ自動車」となっている。(「消防自動車」という表記はない)。道路交通法によると緊急自動車の区分として「消防用自動車」という区分がある。救急車などをふくめての車両全体を「消防車両」という。

一般的な概念では通常火災に対応して出動するポンプ車が「消防車」と呼ばれる。

種類[編集]

消防ポンプ自動車・水槽付消防ポンプ自動車[編集]

略称P・T。通常は消防車と言えば揚水・放水機能を持つポンプ車を指す。ホース、吸管、小型の3連はしご、ホースカー(一部のみ)等を装備する。消火活動は、消火栓防火水槽に吸管を入れ、ポンプで水を吸い上げ、ホースから放水することが基本となる。地域によってはウインチ・救急キット(応急処置対応の医療器具や・除細動器)が装着されている車両もあり、火災以外の救助・救急事案等で、救急車や救助工作車が到着するまでに処置をとることが可能である。救急車より先にポンプ車が現場に到着するケースを想定している自治体も多い。(詳細は日本の救急車参照

放水の仕方には用途によって次の三種類を使い分けている。

  • ストレート注水 - 消火の基本。文字通り水をノズルで加速した上で放水する方式。
  • 噴霧注水 - ノズルで水を霧状にして噴射する方式。主として消防士を煙や熱から守るために使われる。
  • 俯瞰注水 - はしご車で火災の上方から注水する方式。

なお、同じ方式でも船上火災では呼称が異なり、例えば海上保安庁ではストレート注水を"直接放水"、噴霧注水は霧の形状により、さらに「高速水霧」(主として消火用)と「低速水霧」(隊員防護用)と使い分けられている。

消防ポンプ自動車の型式区分[編集]

  • 車体形状
    • ボンネット = B
    • キャブオーバー = C
  • 座席配置
    • シングルキャブ = S
    • ダブルキャブ = D
  • ホイールベース
    • 2 m 以上 = I
    • 3 m 以上 = II
ボンネット型[編集]
BS-I型
トヨタ・BH / FH型トヨタ・ランドクルーザーBJ型、20、40、55・56、60、70系、日産・ファイアーパトロール / パトロール4W60、60、160型等をベースとしたもの。これらの車種は、もとよりの悪路走破性の高さはもちろん、小回りの利くサイズながら、重量物の架装に都合のよい丈夫なはしごフレームを持ち、「A2級ポンプ」の長時間運転に都合の良い、大型トラック用の大排気量エンジンを装備していた点が評価されていた。60型パトロールには2輪駆動車も多い。大型車の必要の無い、地方署や分団などに多く配備されていたが、ランドクルーザー70の消防用シャーシの廃止に伴い、配備数の減少が予想される。廃止の理由は、排出ガス規制、道路舗装率の向上、消防装備の増加で、よりスペース効率の高いキャブオーバー型へと需要が移行したことなどがあげられる。
BS-II型
4tクラスの車両がベース。
BD-I型
BS-I型のダブルキャブ版。
BD-II型
4tクラスの車両がベース。
キャブオーバー型[編集]
CD-I型
いすゞ・エルフトヨタ・ダイナ日野・デュトロ日産・アトラス三菱ふそう・キャンター等、3tトラックシャーシをベースとしたポンプ車。
CD-II型
4t以上のトラックシャーシをベースとしたポンプ車。

水槽付消防ポンプ自動車の型式区分[編集]

通常1500リットル以上の水槽を積載し、現場到着後すぐに放水が可能である。この放水活動を即消活動という。

I-A型
I-B型
4、5tクラスのトラックシャーシに1500L(1.5t)水槽(まれに1700Lの車両もあり)を装備した型。
II型
最低でも5t〜10tのトラックシャーシに2000L(2t)〜8000L(8t)の水槽を装備した型。

消防団で主に使われる消防ポンプ自動車ももちろんこれと同じ分類のものである。また、通常、小型動力ポンプを積載し、自動車エンジンとは独立したエンジンをもつポンプを積むポンプ積載車は、区別する必要上「積載車」とよび自動車とは呼ばない慣例があるが、この分類である。

速消小型水槽車[編集]

ワンボックスカー改造による500Lの水槽を装備した小型消防車で、少量の水を有効活用できるよう高圧ノズルを搭載。積載水による放水可能時間は約5分間だが、消火栓や他ポンプ車からの中継による連続放水も可能。都市部などの住宅密集地でありながら、狭隘路地により通常のポンプ車等が進入困難な地域に対応するよう開発された新型。

2012年10月に京都市消防局が管内の上京消防署・東山消防署に各1台ずつ導入すると発表し、同年11月1日より運用を開始している[1]

京都市消防局のものはトヨタレジアスエースをベースに改造したオーダーメード車両であり、ホース延長しやすいようリール型収納器に25mm保形ホース2本を接続状態で収納してあるタイプで、積載動力はB3級可搬式小型ポンプ。送水中継口を備え、水槽補水や中継放水も可能な設計になっている。そのほか延長ホースや空気呼吸器も備え、狭い車内スペースで有効に資器材が収納できるよう工夫されている[2]

化学消防ポンプ消防車[編集]

略称:C。水による消火が不可能か危険な場合に、高密度の泡を吹きつけて酸素遮断・窒息させる化学消火薬剤噴霧・泡消火剤放射で消火する(「燃焼物が発火温度を超える」・「可燃物がある」・「酸素がある」が燃焼の原因なのでどれか一つを除去すればいい)。ダブルキャブ車をベースとすることが多い。少量危険物火災を想定した軽化学車、化学工場火災を想定した重化学車、石油コンビナート、航空機火災を想定した大型化学車、大型化学車に鋼鉄製の装甲、銃眼付ウィンドウカバー等を艤装した装甲化学車がある。

はしご自動車各種[編集]

  • はしご付消防自動車
  • はしご付消防ポンプ自動車
  • 屈折はしご付消防自動車
  • 屈折はしご付消防ポンプ自動車

略称:L。高所の消火及び救助に使用される。日本では最低10メートルから最大50メートル(規格地上高50.3メートル)の高さまで届くものもある。メーカーによってラインナップは異なる。なお国内最長は2014年現在、金沢市消防局配置の54.7メートルが最長である。 更新時期は地域によって異なり、早い所では10年弱・遅いところでは20年超とばらつきがある。長期にわたり使用するためメーカーにオーバーホール(大幅な分解修理・改造)が新規配置後7年、以降5年ごとに義務付けられている。

はしごが長くなるにつれ車体が大きくなり、道が狭いところには小さなはしご車しか進入出来ない。市レベルの自治体では平均で30メートルから40メートルのものが広く配備されている。また、高層ビル・マンションのある地域は40から50メートル級が、道の狭い地域や小規模のニュータウンを管轄する地域には10から20メートルのタイプが配備されている。

はしごの角度は仰角のみではなく、俯角、すなわち斜め下方向にはしごを伸ばす機能を有するものもあり、例えば水難事故等で、はしご車の部署した位置よりも低い位置に要救助者がいる場合に有効である。

はしご部分には、人を乗せる機構として、バスケットやリフターが設けられている。リフターは、はしご部分を上下するリフトであり、はしごを目的とする位置に一度セットすれば、連続的に消防隊員を送り込んだり、要救助者を救出することが出来る。バスケットは、はしご先端部につけられた籠であり、2〜3人乗りが標準的である。消防隊員の搭乗や活動のしやすさ、要救助者の安心感はあるが、人員の乗り降りには、毎回、はしごを縮めて、はしご先端のバスケットを地上まで動かす必要があり、非効率な面もある。最近では、バスケットとリフターを併設するはしご車もある。

最近、先端屈折機構を有するはしご車がメーカー各社から発売された。はしごの先端部分、バスケットの手前数メートルの位置ではしごが屈折することにより、電線等の障害物を避けて、はしごを目的とする位置に接近させることができる。はしごの部分が、横から見て、「へ」の字型に変形すると考えるとイメージしやすい。

また、この他にはしごを屈折させる屈折はしご車(シュノーケル車。標準型、Σ型、先端屈折型)、はしごではなく、先端に放水銃と窓ガラス破砕用クラッシャーを装備して隊員が近付けない場所への放水が可能な屈折放水塔車(スクアート車)があり、ダブルキャブ車をベースとすることが多い。これらの車両は高所放水車とも呼ばれる。屈折放水塔車は、福島第一原子力発電所事故で東京消防庁による使用済み核燃料プールへの放水活動に使用され活躍した。近年は高所放水車の機能と大型化学消防車の機能を併せ持つ大型化学高所放水車も登場している。大型化学高所放水車は高所放水車をシングルキャブ車にして化学消防車の機能を搭載するスペースを確保していることが多い。

近年は配備されるケースは少なくなったが海外輸入のはしご車を導入する消防本部もある。自治体消防発足後に配備されていた車両はすべてドイツのイヴェコ・マギルス製の車両である。40メーはしご装置のみを輸入して国産車台に架―巣は装する場合もある。優れた国産はしご車があるのにもかかわらずわざわざ輸入するのは、イヴェコ・マギルス製のはしご車がはしご長の割に小型で、狭隘な道路上でも消火活動を行いやすい特殊な装備を持つためで、繁華街など消防上対応が難しい地域を抱える大都市圏を中心に配備されている。

近年では国内メーカーのモリタ社製のはしご車が目立つようになってきた。モリタからは先端が屈折するタイプの「先端屈折式はしご車」が登場し障害物を避けて上からに接近する事が可能なほか、水難事故等ではしご車の位置よりも低い位置にいる要救助者の救助も可能とした。同社は日野自動車と共同ではしご車専用シャーシ「MH型」を開発した。 また、同社は従来は消火活動のため梯子車に接続した布ホースが邪魔となっていたがはしごの動きに合わせて動作する伸縮水路を、はしご本体下部に装備した「水路付はしご車」を開発した。

救助工作車[編集]

略称:R。人命救助活動に使用され特別救助隊(レスキュー隊)が運用する。交通事故などで車両に閉じ込められた人を助けることが多く、エアカッター、油圧式拡張機(スプレッダー、俗称ジョーズ)などを搭載している。クレーン・ウインチを装備していることが多い。近年は震災対策・広域応援のために緊急消防援助隊制度の発足や消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)・特別高度救助隊など高度な救助部隊の創設された事や各本部の規模や地形、用途によりⅠ型からⅣ型まで種類があり、バス型やハイルーフ型、高床型と低床型などタイプも豊富である。詳しくは救助工作車に記す。

大型水槽車・動力ポンプ付き水槽車[編集]

大量の水をタンクに詰め消火栓等の水利が無い火災現場での支援を主目的にした車両。小型動力ポンプを搭載するため、本来の移動水利としての用途のみならず初期消火へも対応可能。

以前は水利が少ない地域での配備が殆んどだったが、阪神・淡路大震災を教訓に都市部での配備が急速に促進された。これは、大規模断水時にタンクの水を飲料水として利用できるため(貯水タンク部分はステンレス製)で、そのような車両は給水車としての働きも兼ねられるよう運用されている。

タンクローリーのような赤いタンクを後方に搭載するものが一般的であるが、タンクが銀色の車両や灯油配達車の様な角型の水槽を搭載している車両もある。シングルキャブ車をベースとすることが多い。 なお、搭載するタンクの水量によって2種類の規格が存在するが、現在は国庫補助の対象とはならない。

また、同じような車両で消火用薬剤を積載し化学消防自動車や高所放水車に消火薬液を送る泡原液搬送車や小型で燃料を積み他の車両へ燃料を補給でき、消防庁が配備を進めている燃料補給車がある。

I型
5~8tの水を積載。中型シャーシを用いる場合が多く、狭隘路などの多い地域で有効。
II型
10tの水を積載。一般的な大型水槽車。3軸10tシャーシが比較的よく用いられる。

指揮車(指令車)[編集]

指揮車は災害活動の現場で指揮を執る「大隊長(=署長・分署長)」「指揮隊」が搭乗する車両で、各消防署の「指揮隊」(指揮統制のみを行うので“消火をしない消防隊”とも言われる)によって運用されている。関係機関や現場で活動中の各中隊小隊と情報交換ができるように、電話自動車電話)・ファクシミリ・使用している全ての消防無線を送受信できる無線機などの通信機器、住宅地図帳、作戦図板になる折り畳み式テーブルを搭載している。大型の車両では“移動通信指令室”と言えるような物もある(東京消防庁本庁警防部に所属する「本部指揮隊車」、及び同庁第8消防方面本部保有の「移動無線電話車」。実際に、無線端末5台を組み込んだ指令卓が搭載されている)。また、車両によっては大型のLEDボードや幕、サイドオーニング(収納式テント)を装備している。活動中は「現場指揮本部」・「現場本部」の幟を立てて目印とする。1BOXタイプの車両については、東京消防庁では「救助先行車」と呼称していた。

指揮車に青色点滅灯を装備する車両が全国的に増加してきた。これは、消防本部によっては青色灯を現場指揮本部の目印として扱うためである。現場で活動する際に発光させることで指揮本部の設置場所・車両がより明確になる。伸縮式のポールに青色灯を装備し、現場で駐車中に高く伸ばす車両も見受けられる(写真)。この場合被視認性はさらに向上する(本部表示の幟は高さが2メートル弱しかないので多数の車両が集まると隠れてしまう)。

平成17年、消防庁の消防力整備指針により、消防本部・消防署の指揮隊・指揮車の配備基準が定められた。これにより、従来は広報車、人員搬送車などと混用していた本部も多かったが、車両更新を機に新たに指揮車を配備する本部が現れ始めた。これにより、全国的に指揮車の配備が増加すると考えられる。

出動と同時に現場の詳細、出動隊の状態など多くの情報を取り入れる指揮隊は、「原因調査車」の行う役割と近いものがある。このため、本部によっては、指揮隊のメンバーに調査部門の職員を加え、「原因調査車」と兼用していることがある。そのような車両は、スモークガラス、調査資機材などを装備している。ワンボックスカーが多い。

「指揮車」「指令車」の違いは各消防本部によって委ねられている。大規模な消防本部では「指揮車」、指揮隊が存在しない小規模な消防本部及び消防分団で使用される車輌には「指令車」と呼ばれることが多い。 「指揮車」「指令車」の両方が存在する消防本部では、指揮隊が使用する車両を前者、署長や当務責任者(当直司令)が現場に赴く際の車両を後者としているようである。

司令車[編集]

上記「指揮(指令)車」とは違い、消防長消防署長等の幹部の出動(公務)用車両。主に大災害や視察時などに現場に向かう時に運用される。英語で「Chief car」と呼ばれる車両。車両はセダン型の上級、高級車が多いが、本部によってはステーションワゴン型、SUV型などもある。赤色灯を装備した朱色の緊急走行ができる車両と、黒塗りの公用車然とした車両に大別できる。また消防本部によっては司令塔車と言われるが俗名である。

二輪消防車[編集]

戦後の消防自動二輪は、1960年代に導入された大阪市消防局の赤バイが先駆けとなったが、導入当時は高度経済成長期であった上に自動車の登録が増加、隊員が交通事故などの被害に遭うなどの理由で十数年後に大阪市は赤バイ隊を廃止した(現在の大阪市の都市計画などを見ても、今後は復活の見通しはないように見られる)ほか、1969年〜76年にかけて東京消防庁にも赤バイ隊がおり、火災現場に一番乗りした赤バイ隊員が要救助者を救助したことがあったが結局廃止にいたった経緯がある。

その後、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災において、オートバイが機動力を生かして情報伝達や収集活動で活躍したという実績が全国の消防関係者の注目を大いに集めた[3]ことから、全国各地で二輪車を導入する消防機関が増えてきている。

1997年1月、千葉県八千代市消防本部に2台一組で行動する「消防機動二輪部隊(通称ファイヤーバスターズ)」が配備された。HONDAナイトホーク250を使用し、水タンク、水を霧状にして火元に叩きつけて消すフォグガンを装備する。この「消防二輪」は大阪市が廃止して以来の復活である。2007年、装備及び車体の老朽化により退役・廃止、現在は活動当時を偲ばせる機材として展示にのみ活用されている。

1997年12月、東京消防庁YAMAHAセロー225に消防資機材を搭載した消防活動二輪隊『クイックアタッカー』の運用を開始した。この部隊は2台1組となり、1号車には可搬消火器具(かつては『インパルス』、現在は『ポータブルCAFS 武蔵』)を、2号車には、油圧式救助器具『ユニツール』を装備している。震災時の初動を任務とするほか、渋滞する高速道路での交通事故救助活動、山岳救助等に活躍している。

2004年11月、千葉県四街道市にタンク装備の“放水が出来る二輪ポンプ車”が初めて配置された。(日本機械工業製、車名:ミストドラゴン[4]、250ccスクーターにサイレン、容量60リットルのタンク、ポンプを搭載)宮崎市消防局にも配置されている。

他にも、横浜市消防局の消火装備を有しない震災時情報収集部隊『消防機動二輪隊』や、東京消防庁東久留米消防署群馬県太田市消防本部の『救命ライダー』(救急バイク[5]HONDA CB400SUPER FOUR)などが導入されている。 東久留米市消防本部当時の救急バイクは東久留米市が東京消防庁に消防業務を事務委託したことに伴い廃止され展示用として民間団体に貸与されている

特殊災害対策車[編集]

HAZ-MAT車とも呼ばれ化学物質漏洩災害等いわゆるNBC災害に対応する消防車。毒劇物防護服や各種分析機器、除染機器を備えている。当初は本部によって「特殊化学車」「化学救助工作車」等の名称が用いられていた。近年配備されている特殊災害策車の多くは汚染物質の流入を防ぐため、空気浄化装置により車内を陽圧にできる機能も有する。

1995年の地下鉄サリン事件以降、各地の消防機関に配備され、特別高度救助隊を持つ政令指定都市には配備が義務付けられ2010年からは消防庁から『特殊災害対応自動車』として貸与も行われている。また、2007年には後述の大型ブロアー車、ウォーターカッター車に続いて大規模消防に消防庁からの貸与の形でNBC災害の被害者に付着した有毒物質の除染を行う大型除染システム車が配備された。大型除染システム車については後述の工作車等に記す。

東京消防庁では、9消防署・主張所に化学機動中隊を配置し、第三消防方面本部及び第九消防方面本部消防救助機動部隊(いわゆるハイパーレスキュー)は、NBC災害対応殊部隊として編成されている。

第三方面本部消防救助機動部隊の特殊災害対策車(大型)は陽圧機能の他に放射線の透過を防ぐため車体が鉛板や水槽で覆われており、日本で唯一の放射線災害にも対応した車両であり福島第一原子力発電所事故でも活躍した。同部隊には特殊災害対策車(大型)に加えて脱衣兼シャワー室などを完備し被害者に付着した有毒物質の除染を行う特殊災害対策車(除染車)C-130 (航空機)に積載可能で車両外部に各種分析装置を設置し、遠隔探査ロボットも積載し車内でモニタリングを行う事が行える特殊災害対策車(偵察車)が配備されている。偵察車は同部隊の福島原発での活躍を知った台湾からの義援金1億円により作成された[6]。第三方面本部では大型(CS1)・除染車(CS2)・偵察車(CS3)の3種類の特殊災害対策車で都内や国内でのNBC災害に対応している。

更に東日本大震災の教訓から第九消防方面本部消防救助機動部隊が発足し大型(CS1)・除染車(CS2)・高踏破偵察車(CS3)の3種類の特殊災害対策車が配備された。高踏破偵察車いすゞ・フォワードの7t級・高床4WDのFTSをベースに6輪駆動に改造され、悪路に対する高い走破性を誇ると共に車内陽圧機能を持つ他、車両外部に各種分析装置を設置し、車内でモニタリングを行う事ができ現場の偵察活動や人員・資機材の搬送等を行える。同車両が置かれる八王子市には山間部も多くNBC災害のみならず土砂災害や山林火災などへの対応も期待される。 又、現在は第三方面本部及び第九方面本部を含め全消防救助機動部隊に除染車(CS2)が配備されている。

支援車[編集]

長期の災害現場で消防隊員への後方支援を目的とした車両。阪神・淡路大震災を契機に、消防の後方支援体制の充実を図るために、大都市消防を中心に配備されてきた。これらや、従来からの支援車と同様の任務を担う車両は、その本部独自の装備・名称であった。しかし、緊急消防援助隊の設置後、全国各地の消防本部の度重なる広域派遣によってその重要性が高まり、2006年になってI型とII型に分離された。これで、支援車という新たな規格が誕生し、緊急消防援助隊の明確化と共に、広域派遣の際の消防体制の充実化がなされたといえる。さらに、2007年にはIII型とIV型という規格も生まれた。このような流れから、車両の置換え時に支援車の規格で代替する本部も多い。

I型
おにぎりカップ麺レトルト食品程度を作れるキッチンシステム、シャワートイレなどを装備する消防のキャンピングカー。テーブル・椅子・エアコン、大容量の電気炊飯器、こんろなどの基本的な設備と共に、様々な災害に対応できる資機材を搭載しているため、II型に比べ充実している。その分購入・運用費など負担も大きく、大〜中規模消防本部が保有するのが一般的である。また、救助隊の予備車や水難救助車として運用する本部もあり、支援車という任務に囚われない、車両を生かした柔軟な運用がされている。

当初は緊急消防援助隊の支援車両という位置づけであったが、大規模災害・広域応援時のみならず一般火災でも隊員の一時休息のため(熱中症予防の観点から)出場させる本部も多い。

前述のとおり、阪神大震災を契機に消防庁によって47都道府県全部に1台ずつの配備が進められ、徳島県に最後の一台が配置された直後、東日本大震災が発生。大いに活用された。消防庁が所有し自治体に貸与・管理させる車両には所属消防本部名とは別に「総務省消防庁 (配備先都道府県名)」のネームが入れられている。

II型
後述の資材搬送車の中でもコンテナ式や有蓋車型がこれに当たる。器具や補給物資を輸送する。複雑且つ巨大なI型と異なり安価で済み、資機材の搬送能力も高い。このような点から、小規模の消防本部にも無理なく配備できる支援車規格であるといえる。
III型
主にマイクロバスが対象となる型。20名以上の乗車人員と、車両後部に資機材搬送用のスペースを確保すること、4輪駆動車であることなどが規定されている。従来は人員搬送車と資機材搬送車で行っていた活動を兼務できるものとなっている。
IV型
無線・通信系を強化した車両と定められている。主にSUVクロスカントリー型の車両に複数の無線やファクシミリ等の設備を充実させたものとなっており、小型で機動力のある無線通信・統制車として運用するのが目的とされる。

これらは補助対象として定められた支援車規格であり、実際は装備の差異、配備時期などで規格外の車両が多数である。トラックの荷台に簡易的なキャビンを設置したものや、バスを改造したものなど、各地に様々な支援車がある。

指揮車と同様に青色灯を装備する車両があるが、これも同様の理由による。広域派遣時には、支援車を現場指揮本部としての運用も想定されているためで、そのような車両は屋根に装備した指揮台を活用することになる。現に広域派遣時や訓練などでは、異なる都道府県の大量の消防部隊を支援車が率いて活動する姿が見られる。

工作支援車等[編集]

活動支援に使用される各種工作支援車。

排煙高発泡車
地下街火災などに対応する。煙などを吸出す蛇腹チューブ付排気排煙機(換気扇)を搭載し、発泡した消火剤を火元に大量に送り込み窒息消火する車両。なぜ泡かというと、地下では水による消火を続けると放水された水が排水されず徐々に溜まり消防隊員の活動などを妨げることや、他の店舗や設備に水損被害を与えないようにするため。1980年に発生した静岡駅前地下街爆発事故を教訓に開発されたといわれている。
やや古い機種では、吸気(排煙)機能がないものもある。
近年は排煙高発泡と照明電源の機能をまとめた車両も登場している。
大型ブロアー車
上述の排煙高発泡車が煙を『吸い出す』のに対し、こちらは煙や可燃性ガスなどの気体を、後部に設置した巨大“扇風機”で『吹き飛ばす』車両。なお、『吹き飛ばす』といっても、実際に風で吹き飛ばすのではなく、ファンで空気を送り込むことによる気圧差を利用し気体を『押し出す』。ファンにホースを連結すれば噴霧もできる。2005年に同機構を搭載したものとしては日本初となる車両が豊田市消防本部に配備された。その後、JR福知山線脱線事故の際、ガソリンが漏洩による気化ガス等の有毒ガスの充満した事例を教訓として、2007年に総務省消防庁からの供与の形で政令指定都市消防で特別高度救助隊が設置されている東京消防庁札幌市消防局名古屋市消防局大阪市消防局福岡市消防局の5消防局にウォーターカッター車と共に貸与配備された。市川市消防局も排煙高発泡車の更新に伴い導入している。
ウォーターカッター車
ウォーターカッターを用いて障害物を切断する車両。JR福知山線脱線事故の際に車両からのガソリン漏洩によって気化ガスが充満し、引火を避ける目的や被害者の安全のためにバーナーやエンジンカッターなど火花が発生する救助資機材が使用できなく救助が難航した事例を教訓とし、上述の大型ブロアー車と共に2007年に特別高度救助隊が設置されている東京消防庁札幌市消防局名古屋市消防局大阪市消防局福岡市消防局に貸与配備された。
特別高度工作車
大型ブロアーとウォーターカッター機能を兼ね備えた車両で、大型ブロアー車のように煙を排除でき、ウォーターカッター車のようにウォーターカッターで障害物を切断できる。2009年に政令指定都市消防で特別高度救助隊が設置されているさいたま市消防局横浜市消防局新潟市消防局広島市消防局仙台市消防局の5消防局に総務省消防庁からの貸与の形で配備された。2010年に神戸市消防局京都市消防局堺市消防局千葉市消防局岡山市消防局川崎市消防局静岡市消防局浜松市消防局北九州市消防局、2012年には相模原市消防局熊本市消防局にも貸与した。
大型除染システム車
NBCテロや科学工場事故など化学薬剤等で汚染された負傷者に除染措置をするための車両で、車両後部コンテナに資機材を積載している。負傷者が多数の場合でも迅速に除染措置が行えるよう大型のテント内に除染シャワー室や脱衣室の他、歩行困難者をバックボードに固定したまま除染措置が行える設備を有している。総務省消防庁が政令指定都市の消防局などに貸与した。
重機及び搬送車
大規模災害時に障害物の除去や道路啓開を行うための重機と搬送車の事。重機は多くがカタピラを履いた装軌車両で、高速走行が苦手なので出動の際は専用のトラックに搭載して移動する。阪神淡路大震災の教訓から東京消防庁が消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)を創設し道路啓開用の重機及び搬送車が配備された。現在、東京消防庁には遠隔操作も可能な大小のドラグショベル(パワーショベル)とトラクターショベル(ホイールローダー。以前はブルドーザー)を保有している。
また、東京消防庁第六消防方面本部消防救助機動部隊川崎市消防局は2本のアームを持っているパワーショベル双腕重機」を配備している。横浜市消防局特別高度救助部隊もホイールローダーを保有している。
さらに2013年より東日本大震災を教訓に緊急消防援助隊の装備強化として総務省消防庁が遠隔操作が重機(可能なショベルカー)及び搬送車を全国各地に貸与配備した。岡崎市消防本部には60センチの段差や水深1・2メートルまで走行でき荒れ地や雪上、がれき、浸水地域などのあらゆる災害現場に人や物資を運搬する事ができる全地形対応車を貸与配備した。
クレーン車
各本部で呼び名が異なるが、クレーンを装備し(移動式クレーンである)、救助活動などの邪魔になる重量物の排除や震災時の道路啓開などを行う車両というのが任務である。
東京消防庁消防救助機動部隊はかつて20トンの吊り上げ能力を持つトラッククレーンを運用していたが現在はラフタークレーン(16トン吊り2台、20トン吊り1台)に更新した。
また、横浜市消防局特別高度救助部隊は36のトン吊りのレッカー車(けん引工作車)、名古屋市消防局特別消防隊は20トン吊りのトラッククレーンを保有しどちらの車両も車輌などをけん引するレッキング装置が備わっている。
破壊工作車
クローラタイヤ駆動方式のショベルカーベースが多い。ショベルバケットではなくグラップル(破壊用マジックハンド)を装備する。基本的に、消防分団には救助工作車を配備できなかったので、破壊工作車と言われる車両が消防分団に配備されている地域もある。横浜市消防局など「排除工作車」等と呼称する消防機関もある。有名な車両が、北海道旭川市消防本部で隊員の殉職を教訓に導入されたありま号。車名の由来は殉職者を偲び、姓を頂いたもの。
照明電源車
夜間の災害時、現場の明かりを確保する車両である。大型発電機と大きいものでは10基以上のハロゲンライトがついた伸縮式照明塔を搭載。照明全点灯で数百メートル先でも新聞を読むことが可能である。また、この発電能力を生かして、停電時の病院などへの電源供給も可能といわれている。昔の車両は大型で、かつ照明塔が剥き出しの武骨なスタイルだったが、現在は照明装置の高性能化により装置自体が小型化し、車両も小型化してきている。
近年は排煙高発泡と照明電源の機能をまとめた車両も登場している。
ボンベ搬送車・空気充填車
広義では、火災活動時に消火隊員のボンベの空気を補給する車両である(酸素ではない。純粋な酸素を使ったら火点で爆発してしまう)。「搬送車」が空気ボンベの搬送に専従する単なるトラックなのに対し、「充填車」はコンプレッサーを積んでいて、現場でも空のタンクに空気を詰められる。逆に多数の空ボンベを積む事は出来ない。これらは主に大都市消防に配備されているが、それでも出動頻度は他車と比べると高くはない。そのため、他の特殊車両の機能を併載した車両も見受けられる(神戸市消防局の空気充填照明車など)。なお、資機材搬送車にもボンベを僅かながら搭載した車両があるが、そのような車両はあくまで資機材搬送車である。
広報車
広報車は住民に災害時の対応などを報告・告知をする車両である。また、大規模建築物の防災設備を監査する査察(立入検査)業務や、署員の移動に使われることも多く、消防車両の中では汎用的な任務に就くことが比較的多い。この他にも、資機材搬送車のようなボンベの運搬、トリアージ時の軽傷者の搬送、後述の原因調査車としての任務や、広域派遣時などでの、人員、資機材搬送など、その役割は本部によって大きく異なり多岐に及ぶ。このような点から、消防団が所有している場合も多い。多くは市販車をベースとしているがセダンやライトバン、SUVなど本部と重視する用途によって形は様々である。消防車両特有の朱色ではなく市販車のワインレッド系塗色である車両も少なくない。塗装に関係なく、緊急用装備を搭載している車両とそうでない車両に分類されるが、広報車の名が示す通り、スピーカーと車載アンプを有しているのが一般的である。宝くじ号としての寄贈車もある。
査察車
査察車は防火査察執行や職員の移動用に用いられる車両である。本部や消防署に配備されている。査察車には、緊急車両と一般車両の二つがあり、緊急車両は塗装が朱になっている。一方、一般車両の塗装は車両のもともとの色のまま使うこともある。消防本部名を入れるところと入れないところがある。
資機材搬送車・資器材搬送車
機材を搬送する車両。その機材とは、救助工作車などに搭載される装備からゴムボートや土嚢までさまざまである。通常のトラックに赤色灯・サイレンを付けている型が多いが、大都市の消防本部を中心にコンテナ換装式の型も増えている。これにより、予め準備された多彩なコンテナ・荷台を災害によって使い分けられる。東京消防庁に配備されている資材搬送車を例に取ると、一般救助型・化学火災型・林野火災型・平ボディ型の4種類を使い分けている。現在では、支援車II型規格が制定されており、その車両規格はコンテナ換装式の資材搬送車と近いものであるが、装備品は異なる。また札幌市消防局では支援工作車大型トレーラー型(Σシステムという)を配備している。
除雪車
一般の除雪車と同様で、豪雪地帯での火災の際に水利確保及び消防車両の通路確保に使われている。PA連携で出動することも珍しくない。ホイールローダーが多い。
人員輸送車・災害対応多目的車
大規模な災害が発生した際など、多数の傷病者を搬送する場合や、隊員を搬送する際に使われる車両。活動現場での隊員の簡易休憩所にもなる。一般的には市販のマイクロバスが多いが、大都市消防本部では中、大型のバスもある。一部の車両は車体塗装の変更や赤色灯・サイレン等の緊急走行用の装備をしている。緊急消防援助隊として派遣されることもあるため、当初から広域派遣を想定した四輪駆動の車両も見受けられる。大阪市消防局に救助器材車という類似の車両がある。
火災原因調査車
出火原因を調べるための“動く別室”。建物所有者から事情聴取を行ったり、原因調査官が現場で会議したりする場合に使用される。車両後部は関係者からの事情聴取にも用いられるよう、プライバシーガラスやスモークフィルムの処理が施されている場合が多く、車内には座席の他に原因調査のための資機材が積載されている。ワンボックス型の車両が一般的である。
補給車・給食車
消防活動が長時間にわたる場合や、広域災害派遣などで、自炊・炊き出しの必要性に迫られた時に、簡易な食事を消防隊員に提供する車両。役割としては支援車が行うものと類似しているが、大きく異なるのが車両が給食活動専用に造られている点である。しかし作られるものはあくまでおにぎりカップ麺などで、それらを多く作ることができる。類似した車両に、機動隊のキッチンカーがある。
トイレ・シャワー等も備わった支援車の配備が進み、限定的な用途しか持たないため東京消防庁大阪市消防局千葉市消防局などごく一部の消防機関にしか配備されていない。
水難救助車
主に水難事故に出動し、救助活動を行う車両。ボート船外機ウェットスーツ等の各種水難救助用機材を搭載する。一般的には、ウェットスーツや装備品の着装が容易にできる必要があり、隊員が立ったまま乗車できる車両も多い。従来はマイクロバスが主流だったが、現在ではトラックベースや1BOX(救急車ベース)がある。冬季活動時の隊員支援や汚染物除去を目的としてシャワーを装備した車両もある。
山岳救助車
主に山岳事故に出動する車両。バスケットストレッチャー、登降器、登山用のヘルメット、靴、カラビナなどの各種山岳救助用資機材を搭載している。山間部での悪路走破性を考慮し、四輪駆動車が多く用いられている。種車にはSUV,ミニバン型の車両が比較的多く用いられる。現在では、四輪駆動であれば走破性も問題ないとして、救助工作車等を山岳救助車として兼任運用する消防本部もある。
林野工作車
林野火災に対応した車両。林野火災の持つ特殊性を考慮し、専用の車両・資機材で対応する。これについては、水利が無いことを考慮したジェットシューターや、延焼拡大を防止するためのチェーンソーなどが当てはまる。また、林野火災の発生場所上、悪路走破性の高さは重要で、四輪駆動車が多いのも大きな特徴である。車両はトラック型が一般的だが、前述の理由から、高床・四輪駆動が多い。
遠距離大容量送水装置(スーパーポンパー):ホース延長車
ポンプ車等に搭載されている「ホースカー」を大型化させた車両[7]。阪神・淡路大震災の際に上水道の切断により消火栓が使えず消火活動に大きな支障をきたし火災の延焼を止められなかった教訓から開発され東京消防庁の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)が運用開始した。総延長2000メートルにもおよぶ送水用の大口径(直径15cm)ホースを分割搭載しており、後述の送水車などと連携して湖沼、河川等の規模が大きい水利から現場へ送水する。ちなみに配備されている消防本部によってはコンテナ式とし資材搬送車としても運用できる。
遠距離大容量送水装置(スーパーポンパー):送水車
通常型ポンプ車を大幅に超える揚水・送水力のポンプを装備した車両。前述のホース延長車と連携して送水作業を行う。消防本部によっては運用上強力なポンプを装備している大型化学消防車にこの任務を請負わせホース延長車だけ新規購入するケースもある。また、堺市消防局に「多目的水利システム車」と呼ばれる同種の車両もある。2011年の東日本大震災では東京消防庁が気仙沼の大火災及び福島第一原子力発電所事故の放水活動に投入し活躍した。ホース延長車と共に政令指定都市消防本部に配備が進められている。
無線統制車
大規模な活動現場において混線する消防無線を指令・統制するなどの支援を行う車両。複数の無線装置やファクシミリ等を装備し、ヘリコプターテレビ画像伝送装置を装備する車両もある。マイクロバス型以上の車両が比較的よく採用されているが、多くが1980〜1990代年初期の車両であり、当時の通信機器の大きさから車両も大型の車両が用いられていた。現在では通信機器の小型化が進み、更新配備される際には支援車IV型に代替されるものもあると考えられる。
燃料補給車
消防車用の燃料を補給するタンクローリー。広域災害時の車両支援用として2009年に総務省消防庁からの貸与の形で東京消防庁と札幌市・仙台市・名古屋市・京都市・大阪市・広島市・福岡市の各消防局に配備した。さらに2011年の東日本大震災での教訓から総務省消防庁は30台の燃料補給車を貸与することを決め全国に配備される予定。
情報通信工作車
東京消防庁情報通信課に所属する車両。無線統制車同様、無線有線の通信機能のみに特化されている他、出動先で無線機の整備も行えるよう工具も搭載されている。
指揮統制車
#指揮車(指令車)と同様な車両で、数台の指揮車や多数の指揮隊を更に統制する指揮車のことである。前述の無線統制車と似ておりパラボアアンテナや特殊無線処理、移動司令本部キット等を装備し、消防庁や都道府県庁消防防災部門と連携を取る場合にも活動する。東京消防庁(警防本部)や消防組合、消防局など大規模消防自治体に配備されている。この車両が行動する事はめったになく(東京消防庁ではホテルニュージャパン火災で管内全部隊の出動により動いた例がある程度)、動いた場合は複数の市町村にまたがる大災害が起きたと考えて差し支えない(広域緊急援助の被災地指揮隊車となる)。


現行でない特殊な消防車両[編集]

耐熱装甲型救助車
火山噴火災害に備えて政府から北九州市消防局横浜市消防局に配備されていた。ベースはドイツ、ヘンシェル・ヴェアテクニク社製のTM-170装甲兵員輸送車で危険な災害現場における消防・突破救出活動を目的として6mmの耐熱板、車体を冷却する自衛噴霧装置、放水銃、空気が入っていなく外側のゴムが溶けても走行可能なコンバットタイヤ、障害物の排除を行うドーザー装置などを装備し、その名の通り600度の熱にも耐える。車内を陽圧にする機能も備わっており化学災害などBC災害にも対応できる他、総重量約13トンだが最高時速は100キロも出る。横浜市消防局に配備されていた同型車(2009年廃車)は、いかなる災害にもひるまぬ闘志や力強さのイメージを持ち、横浜市民327万人(当時の人口)を守る意味から「スーパーファイター327」と愛称が付けられ、2000年有珠山噴火災害の際、緊急消防援助隊として派遣され、警戒区域内に取り残された男性を救出したことで知られる。また、かつて東京消防庁にもウニモグベースの自衛噴霧装置や耐熱板を装備した「耐熱救難車」とさらにドーザー装置や20名収容可能な機能を加えた「防災機動車」が配備されていた事があり有珠山噴火災害や三宅島火山活動に派遣された。
水陸両用車
陸上では車両、水上ではモーターボートになる車両である。初代の車両は横浜市消防局に水難救助車として配備されていた。これは本当の船とも思える舟形の何ともユーモラスな造形の車両で、胴体下部が赤色、胴体上部(窓の周囲)が白であった。消防で最後まで水陸両用車を運用していたのが千葉県市川市消防局であった。ここに配備されていた車両は前述の横浜市消防局とは異なり、ドイツRMA製アンフィレンジャー2000であった。アンフィレンジャーは1990年前後に少数が官公庁向けに輸入・販売された車両で、市川市消防局は1991年に同車を導入した。ちなみにこの車両は鎌倉市消防本部や警視庁機動隊にも水難救助車として導入されていたがいずれも廃車となった。ボートをトレーラーで引いて行く必要がないことや、市川市が江戸川下流と東京湾に面し、水難救助の重要性が高いことも導入の理由であった。一般車と同様に道路を走り、そのまま河川敷の浅瀬から進水できる同車は、主に川での水難救助を主任務としていた。車内には当時最新の水難救助資機材を搭載してあり、その珍しいスタイルから子供向けの本に載ったこともある。愛称も「しぶき号」と命名され、車体側面後部、後部にそれが書かれていた。しかし導入から12年が経過した2003年、老朽化の進行や、メンテナンスコストの上昇等もあり同車は引退した。なお他官公庁所有の車両も、特殊な輸入車で生産中止車なので、維持には苦しんでいるようで、現在は消防以外では全国に数台が残るのみと思われる。なお進水した際には船舶扱いとなるため小型船舶操縦士免許が必要である。
レスキュータワー車
垂直に伸びる四角錐鉄塔型梯子(これが梯子と呼べるかは議論の余地があるが)を装備した車両。通常型はしご車が活動出来ない狭隘路での低中層建築物救出に使用されていた。最上部にはステージとはしご車同様のバスケットがあり、救助者は救助袋や別の梯子を使って下へ降りる。この最上部は指揮台としても利用が可能であった。この名を持つ消防車両で最も有名な車両が、東京消防庁丸の内消防署有楽町出張所の車両であろう。同車はいすゞ・フォワードをベースとし1974年に導入。完成間もない有楽町出張所に配備され1988年まで運用されていた。やはり、その特異な姿が注目され小児用の本などにも記載されているためか、まったく馴染みのない名前でもないようである。現在、模型ではあるが消防博物館でその姿を見ることができる。さらに1982年には、松山市消防局も西消防署に同名の車両を配備している。こちらはポンプを搭載し、前出の車両よりやや大型であった。当時、バスケットなどを搭載した空中作業能力の高い車両の配備が進んでいなかったので、このようなエポックメイキングな車両が登場したと考えられる。現在では、はしご車へのリフターやバスケットの搭載が一般化し、またΣ型アームの屈折はしごつき消防自動車をはじめ、多くの高所活動車両の障害物回避能力も当時より遥かに発展している。よって、同様またはそれ以上の能力を持つ車両で代替可能なため、この装備、名称を持つ車両は確認されていない。しかし近年、大型バスケットを装備した12~15mクラスの高所作業車相模原市消防局奈良市消防局神戸市消防局加古川市消防本部釧路市消防本部に配備されており、レスキュータワー車の亜種とも考えられる。画像リンク
ガス対策車
ガス漏れ事故等に出動し危険物を取り除く、あるいは、火災の際ガス検知などを実施する車両だが、現在では民間のガス会社や普通の消防自動車にも小型の検知器が積載されたため、等で現在では存在しないと思われる。
放射能対策車
過去に東京消防庁にあった、放射能対策隊が運用していた。査察広報車として使われていたようなジープ型車両を使用していたが詳細は不明。現在ではHAZ-MATとして後続している。
排水ポンプ車
河川や下水道などからの水の汲み上げ等で水利確保する車両で大型ポンプ2基搭載等している車両で過去に北海道内の赤平市消防本部に「特殊消防対策車」という名称で配備されていた。現在、排水ポンプ車については国土交通省の各地方整備局が排水に特化した、1台で一般的な消防自動車約10台分の排水が可能な(分かり易く言うと、30立方メートル/分の排水能力を持ち、小学校の25mプールなら約10分で空にすることができる)ポンプ車を多数保有している。東日本大震災での仙台空港の排水や、平成23年10月〜11月のタイ王国での浸水地区の排水に活躍している。
耐煙救出車
通称「モグラ」。地下街での火災における要救助者救出の為、大阪市消防局北消防署に昭和49年に2両配置された。バッテリー駆動でレーダーと触知装置を持ち、濃煙の暗がりの中で自由に行動でき、超低圧の特殊タイヤが左右に12個ついており、階段の昇降ができるカートの様な車両である。担架2つと空気ボンベを搭載。公道走行はできないため、現場までは専用搬送車で輸送される。

消防車共通の装備[編集]

消火器[編集]

サイレン等[編集]

サイレンおよび拡声器を装備する。 サイレンの音は火災の現場に急行する場合には「ウー カンカンカン!!」とサイレンと鐘の音を鳴らし救助など火災以外の現場に急行する場合には「ウー ウー!!」とサイレンだけを鳴らすことが一般的)。これはモーターサイレンと半鐘を併用していた名残。 消火活動を終えて消防署に帰る時には騒音防止と緊急出動と間違いを防ぐために赤色灯をつけるだけの自治体が多いが「カン カン カン」と鐘の音だけを鳴らす場合もある。また、消防団の消防車は年末年始など火災の多い時期に火災予防を呼びかけるため鐘を鳴らしながら巡回することがある[8]

警光灯[編集]

緊急自動車として、

を装備する。 ストロボ灯は夜間の視認性に優れるが、昼間は場合によっては回転灯より大きく劣ることもある。そのため、ストロボと回転灯の併用型もある。近年はハロゲンバルブを用いる回転灯より省電力で視認性にもすぐれるLEDフラシュを使った警光灯を艤装する例が多い。

行灯[編集]

主に車両の所属を表示するもので、通常は黄色である。消防署の名前を表記したものも多く見受けられるが、「東消防署」や「西」など消防署名もしくはその略称になっている場合、また「分署」や「分遣所」などの簡易表記もある。車両種別や部隊名もあり、これらを複数表記している車両も少なくない。消防団の車両は団名称や所属分団の数字のことが多い。

近年は、緊急消防援助隊等による広域的な出動に対応して、可動式の行灯も誕生している。この場合、出動場所によって「**消防本部(消防局)」、「**県」などのより大きな区分に変更して表示させることが可能。設置される場所は、車両の上部に剥き出しで取り付けられるもの、赤色灯と一体型のもの、車両に埋め込んであるものなど様々である。

車体塗色[編集]

原則として赤色、法令[9]上の呼称では「朱色」である。地域によっては白色の帯などを張っている。日本において朱色となったのは、最初に輸入された英国製の蒸気ポンプ車が朱色でそれに統一したものと考えられている。ちなみにドイツは紫、米国は朱・白・黄・青など様々である。

なお、乗用車ベースの指揮車、広報車などはコストダウンを目的に市販車の赤色で導入される車両もある。

蛍光色
名古屋市消防局[10][11]松本広域消防局(本部:長野県松本市)や福井市消防局が最近導入している蛍光朱赤色(スカーレット)[12]がある。名古屋市の場合は市内の自動車の交通量が多く、車両同士の事故防止を目的とした事情などからこの塗色が採用されている。イタリア・イヴェコ社製の「マギルスはしご車[13]」の一部でも蛍光色が導入されている[14]
黄色
関西国際空港には、黄色の消防車(フランス・シデス社製)が配備されている[15]。公道を走行しないため、塗色の法規制は適用されない(運用範囲は制限区域たる空港敷地内だけなので、車検の義務もなく、ナンバープレートも取得していない。あるのは空港内でのみ通用する「ランプステッカー」だけ)。

対空標示[編集]

消防車のキャブ上部には、消防防災ヘリコプター等による誘導や、現場状況の把握を行いやすくするために、所属や部隊名が表示されている。 従来は消防ヘリを保有する大規模消防本部に限られていたが、緊急消防援助隊制度など広域応援の機会が増えたことから、現在では多くの消防本部で導入されている。

主な消防車メーカー[編集]

歴史的消防車[編集]

重要文化財荒井家住宅(矢板市)に展示されていた消防ポンプ付き大八車(製作年代不明)。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 京の狭い路地 消火OK 上京・東山に小型消防車京都新聞 2012年10月26日
  2. ^ 速消小型水槽車の運用開始について京都市消防局 2012年10月26日
  3. ^ 上田市消防団バイク隊
  4. ^ 日本機械工業 - ミストドラゴン
  5. ^ 太田市|車両の紹介
  6. ^ 特殊災害対策車を公開 台湾の義援金で製造
  7. ^ ただし戦前までは水管(ホース)の輸送を行う『水管車』があった
  8. ^ 読売新聞ものしり百科2瀬戸市オフシャルサイト秋田市消防本部柏市消防局東京都羽村市消防団第2分団ブログ
  9. ^ 運輸省令第49条第2項
  10. ^ 『日本の消防車2009』(イカロス・ムック) pp.96-97
  11. ^ 遠くでも夜間でもくっきり名古屋市内に蛍光色の消防車11台導入(リンク切れ) - 中日新聞、2004年6月29日
  12. ^ 消防自動車用蛍光塗料 - シンロイヒ
  13. ^ 日本のはしご車 消防車両紹介 - FIRE RESCUE EMS
  14. ^ ・消防車の車体塗色 - office119
  15. ^ 関西国際空港|関空探検隊がいく 8 かっこいい消防車を見かけましたが?

外部リンク[編集]