四輪駆動

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近代的な四輪駆動車のさきがけとなったジープ (Bantam BRC40)

四輪駆動(よんりんくどう)とは、自動車などの駆動方法の一種。4つある車輪すべてに駆動力を伝え、4輪すべてを駆動輪として用いる方法のこと。泥濘積雪凍結路など不整地での駆動力が高まり、走行が安定する。

呼称[編集]

このようなタイヤを5つ以上持つ車の場合、AWDと呼ばれる

四輪駆動の自動車を四輪駆動車(よんりんくどうしゃ)と称し、略称は四駆(よんく)。英語の four-wheel drive の略で4WD、または all-wheel drive(総輪駆動/そうりんくどう、全輪駆動/ぜんりんくどうとも称する) の略でAWD欧州では、四輪のうち、四輪ともが駆動輪という意味で4x4( four-by-four、フォーバイフォー)とも呼ばれる。一般的な自動車が四輪であることから四輪駆動と呼び、五輪以上を装備する自動車では総輪駆動または全輪駆動 (AWD) と呼ぶことが多く、欧州流の表記では6x6、8x8などとなる。アメリカ国内にかつて「Four Wheel Drive」社が存在したことから、この固有名詞と区別するために同国を中心に「AWD」と表すことが多い。日本車ではスバル車と、トヨタ車のうちレクサスブランド車(トヨタブランド車は4WD、「グレード名+Four」の語が使われることが多い)がこの呼称を用いる傾向にある。 なお、日本語において「四駆」「4x4」「4WD」等の語は駆動方式としてのAWDの意味のみならず、特にSUVと言う語の浸透していない古い世代の人においてそれを指す言葉として使用されることも間々ある。

概要[編集]

一般的な二輪駆動と比べると、四輪が駆動力を発揮するため、牽引力は大きく向上する。特に、駆動力がタイヤのグリップ力(路面との摩擦力)を上回り、空転が発生しやすい路面では、各タイヤのトレッドにかかる駆動力を分散させることができる。このため空転を抑え、悪路での脱出性や高速走行性に優れる。同様に、エンジンブレーキによる制動力が四輪に分散されるため、タイヤロックまでの限界が高く、ロックからの回復も早いという利点がある。反面、二輪駆動に比べて駆動系が追加されるので、構造が複雑でコスト高となり、重量と抵抗が増えるため燃費は悪化し、ばね下重量の増加は乗り心地にも影響する。また、ドライブシャフトギアが増えるので、騒音の面でも不利となる。

車体が旋回する際、外側と内側のタイヤに回転差が発生するが、一般的な自動車はデファレンシャルギア(デフ)を備えており、1つのエンジン出力を2つの異なった回転速度に振り分けることにより、駆動輪の左右どちらかが強制的に路面とスリップを起こすことを防いでいる。二輪駆動車は左右一対の駆動輪のためにデフを1つ備えているが、四輪駆動車では前輪の一対および後輪の一対のために少なくとも2つ必要である。さらには前輪と後輪の間でも内輪差が生じるため、エンジン出力が前後のデフに向かう前に、前後輪の回転差を吸収するためのセンターデフを備えているものもある。この場合は、1つの出力を4つの異なった回転速度に振り分けていることになる。

センターデフを備えない車種では、旋回時に前後輪の内輪差によってどちらかが強制的にスリップを起こすため、ブレーキが掛かったような現象に見舞われる。これはタイトコーナーブレーキング現象と言われる。また、低速で小回りなどをした場合は小刻みにスリップが発生するため、車体全体が不快な振動に見舞われることがある。広く知られるジープのように、通常は二輪駆動で、滑りやすい路面など必要時にのみに四輪駆動に切り替えるパートタイム方式の四輪駆動車も存在する。この方式ではセンターデフを備えないが、四輪駆動での走行は滑りやすい路面であることが前提となっているため、上に述べた点は大きな問題とはならない。

歴史[編集]

最初の四輪駆動車は、1805年にアメリカメリーランド州オリバー・エバンスが製作した浚渫船(しゅんせつせん)だとされている。浚渫船を製造した工場から陸路を輸送するために、船に車輪が取り付けられ、蒸気機関の動力をベルトで前後輪に伝えることで走行した。それ以降も蒸気機関を使用した四輪駆動車は製造された。1824年イギリスロンドンでウィリアム・ヘンリー・ジェームズによって作られた蒸気自動車は、四輪それぞれにシリンダーを持ち、デフを用いず、各輪の回転差を吸収するようになっていた。

電気モーターを使用した四輪駆動車も1900年ごろ、フェルディナント・ポルシェによって作られている。この車は、後にインホイールモーターと呼ばれる、各輪のハブに駆動用モーターを内蔵する方式で四輪駆動としていた。

ガソリンエンジンを用いた初の四輪駆動車SPYKER

ガソリンエンジンを使用した四輪駆動車は、1902年オランダのスパイカー兄弟によって作られた「SPYKER」が最初である。この車は、前進3速・後進1速のトランスミッションと、2速のトランスファーおよびセンターデフを介し、四輪を駆動する設計で、現代のフルタイム式四輪駆動車と基本的に同じ仕組みとなっている。

1903年には、オーストリア・ダイムラー社で、四輪駆動装甲車が開発された。この車は装甲と37mm機関砲を装備した砲塔を持ち、前進4速・後進1速のトランスミッションとトランスファーを介して四輪を駆動した。また、T型フォードにおいても1910年代以降四輪駆動キットが販売され、四輪駆動化された車輌があったが、これは、走破性向上のためというよりも、もっぱら駆動輪である後輪にしか働かないブレーキを前輪にも作用させるためであった。

第一次世界大戦中、アメリカの自動車会社ジェフリー・モーター・カンパニー(ランブラー自動車の当時の社名)は四輪駆動トラックを設計・製造している。これはクワッド・トラック(Quad Truckまたはジェフリー・クワッド、ナッシュ・クワッド)として知られている。欧州で戦う連合軍に提供され、ジョン・パーシング指揮の下、重量級軍用用途に用いられた。

二輪駆動の自動車と同様、内燃機関の性能が向上するに従い、蒸気機関や電気モーターを使用した四輪駆動車は衰退していった。

九五式小型乗用車

日本においては1935年昭和10年)頃、前年に帝国陸軍が依頼し日本内燃機が開発した九五式小型乗用車(くろがね四起)が登場した。九五式小型乗用車はアメリカ軍ジープに先駆けて開発・量産された日本初の実用四輪駆動車であり、1936年(昭和11年)から1944年(昭和19年)まで計4,775台が生産され、日中戦争ノモンハン事件太平洋戦争などで偵察・伝令・輸送用に幅広く使用された。

1941年、アメリカにジープが登場した。ドイツ軍キューベルワーゲン(二輪駆動車。1940年頃登場)に相当する軍用車両として、アメリカ陸軍の仕様に対し各社の試作の中からバンタム英語版社の案が採用されたものだった。バンタム社は当然自社での生産を望んだが、実際には生産設備の規模や品質からほとんどがウィリス(英語版)社とフォード社に発注され製造された。ジープは戦場の悪路を走破するための自動車として有益であることが第二次世界大戦で実証され、大量生産を経て連合軍に供給され世界各地を走破した。ジープの活躍はそのため世界各地で注目を呼んだ。日本でも陸軍が南方戦線で鹵獲したバンタム・ジープを日本に持ち帰り、「ボディは似せないこと」という注文付きで同類を製作するようトヨタ自動車に依頼したが、まもなく敗戦となった。

戦後の日本では、民間でも悪路を走破する車の需要が高まったが、当初は軍用車の払い下げや、焼き直しのジープ型程度の選択肢しかなかった。それでも、戦前1930年代以前)の自動車しか知らない当時の日本人にとって、ジープの威力は技術や品質においてはるか先を行くアメリカのすばらしさを伝えるものだった。1953年(昭和28年)、三菱・ジープが、ウィリスオーバーランド社との提携で警察予備隊向けにノックダウン生産された。三菱・ジープは、その後日本で生まれたモデルを加えていき、防衛庁以外にも販路を広げ、独自の進化を遂げながら1998年(平成10年)まで生産された。「ジープ」は小型四輪駆動車全般の代名詞としても使われるようになった。ジープを模倣したトヨタ・ジープ日産・パトロールは、警察予備隊の入札で三菱に破れ、国家地方警察向けや民需の道を開拓した。

戦後、急成長した日本の自動車産業において、1970年代前後に相次いでふたつの転機が訪れた。1967年(昭和42年)、ホープ自動車軽自動車(当時は360cc)枠で本格的な四輪駆動車「ホープスター・ON型4WD」を発売した。この車両は後の「スズキ・ジムニー」の前身であり、四輪駆動車=大排気量車という形式に一石を投じた。一方、富士重工業は「ジープより快適で、通年使用可能な現場巡回用車輌」という東北電力の依頼を受け、「スバル・ff-1 1300Gバン」に、日産・ブルーバードのリヤアクスルを装着した「スバル・ff-1 1300Gバン4WD」を製作した。1971年(昭和46年)の東京モーターショーに参考出展され、話題を呼んだ。一般販売用としては、翌1972年(昭和47年)にレオーネ1400エステートバン4WDとして発売され、乗用4WDという新たなカテゴリを築いた。1980年代に入り日本国外では、ラリー競技で四輪駆動として初めて出場したアウディ・クワトロが活躍した。アウディとスバルは共に四輪駆動の乗用車の先駆けとなったが、どちらも縦置きエンジン前輪駆動の構造を持った車を市販していたため、縦置きのギアボックスから駆動軸を後方に取り出し差動装置と後輪ドライブシャフトを追加するなどの加工で済み、比較的4WD化しやすい構造であった。

1970年代には米国のカウンターカルチャーの影響を受けた日本でアウトドアブームが起こり、四輪駆動車やクロスカントリーカーが流行した。この時点で、後のRVという日本仕様のレジャー車両の概念が形成されはじめた。その後、1988年にはクロカン車としての悪路走破性を保持しつつ乗用車としての扱いやすさを両立させ、ライトクロカンジャンルを築き上げたスズキ・エスクードが発売され、また、日産アテーサなどにより、新しい四輪駆動技術が乗用車でも採用されるようになった。現在ではあらゆる車種に四輪駆動車が設定されている。

四輪駆動の種類と機構[編集]

パーマネント式(狭義)[編集]

永久直結式とも呼ばれる、最も原始的な四輪駆動方式。黎明期の試作的な四輪駆動車や、軍用車両農耕用車両の一部にのみ見られる。

前後の回転差を吸収するセンターデフを持たないことはもちろん、トランスファーすら持たないか、あるいは、持っていても二輪駆動の状態を選べないため、通常路面での使用や、高速走行にはまったく適していない。

また、建設機械などでは、前輪と同じ舵角で逆位相に後輪を操舵(四輪操舵)し、前後輪の軌跡を一致させる事で、タイトコーナーブレーキング現象を回避する例も存在するが、極端なアンダーステア特性の為に、スピードの向上には対応出来ない。

フルタイム式[編集]

パーマネント式(広義)、コンスタント式とも呼ばれる。前後輪の間にセンターデフを置き、旋回時や、前後輪のタイヤサイズの違いなどによる各輪の回転差を吸収する。常時全輪に適切にトルクを分配するため、高速走行や雨天時の走行における安定性に優れる。

この方式を採用する黎明期の四輪駆動車は、差動制限を持たない単純なディファレンシャルギアを使用していた。その場合、悪路などで一輪でも空転を始めると、他の車輪には駆動力がほとんど伝わらなくなる。それを回避するために、かつては少なくともセンターデフに直結機構を備えているものがほとんどであったが、現在ではセンターデフを電子制御化し駆動力を適切に前後に配分するものや、後述のスタンバイ式が主流となっている。

なお、軍用車両やオフロード志向の強いSUVゲレンデヴァーゲンなど)の一部では、走破性向上のために、センターデフのみならず前後のデフも任意に直結させることが可能である。

フルタイム式4WD。エンジン出力はセンターデフを介して前後輪に配分される。 デフの直結スイッチの模式図。左から順にセンターデフ、フロントデフ、リヤデフを独立的に直結させる機能を持つ。
フルタイム式4WD。エンジン出力はセンターデフを介して前後輪に配分される。
デフの直結スイッチの模式図。左から順にセンターデフ、フロントデフ、リヤデフを独立的に直結させる機能を持つ。


アクティブ・トルク・ベクタリング式[編集]

電子制御式のフルタイム四輪駆動システムとヨーコントロールデフを組み合わせ、走行状況に合わせて左右の駆動輪間でも駆動力を自在に可変配分させる高度な四輪駆動システム。駆動力の自在な可変配分制御に伴う左右の駆動力の差分によって旋回中においてヨー・モーメントを発生させ、従来型の四輪駆動システムが物理的な障壁として抱えていた旋回中の走行性能や安定性の低下という弱点を克服し、後輪駆動車に勝る旋回性能を獲得した。スプリット・ミュー路面などの不整地走行においても優れた走破性を発揮する。三菱自動車工業スーパーAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)本田技研工業SH-AWD(四輪駆動力自在制御システム)が先鞭をつけた。三菱自動車のランサーエボリューションシリーズ、ホンダのフラッグシップ車レジェンドやホンダの高級車ブランドアキュラで採用され、BMWやアウディなどの高級車メーカーも追従して同様のシステムを採用した。

パートタイム式[編集]

後輪駆動を基本としたパートタイム式4WD。前輪への駆動の接続は運転者が任意に行う。

セレクティブ式とも呼ばれるもので、センターデフを持たない。通常は二輪駆動を基本とし、必要時にのみ四輪駆動に切り替える方式である。これは、タイトコーナーブレーキング現象の発生や、ハンドリングと燃費の悪化などの不具合を解消し、舗装路面での使い勝手を向上させたものである。

四輪駆動における構成は、フルタイム式のセンターデフ直結状態に相当する。センターデフを持たないため、前後の内輪差はタイヤと路面の間での強制的なスリップによって吸収される。そのため、四輪駆動での走行は滑りやすい路面であることが前提である。四輪駆動のまま乾いた舗装路などを高速走行すると、タイヤと路面の摩擦力が大きいため、トルク循環により駆動系を破損する可能性がある。他にも、規定速度以下で切り替えることを推奨されているものもある。このような車種は、取扱説明書や車内にその旨が注意書きされている場合が多い。

比較的機構が簡単で安価に製造でき、前後のデフ間に駆動力を変化させるデバイスを持たないため、クロスカントリースタックからのリカバリーでは、運転操作が分かりやすく、確実性もある。一方で、フルタイム式のように四輪駆動による舗装路での安定性に与かることはできない。切り替えは運転者の判断で、レバーやスイッチで、トランスファーのドグクラッチの断続を任意に行うものが長らく一般的であったが、乗用車を中心に、切り替えの自動化を図った後述のスタンバイ式へと移行している。

また、ランドローバーシリーズ I のように、ワンウェイクラッチなどにより、前進時にのみ四輪駆動になる方式もある。

スタンバイ式[編集]

通常は二輪駆動で走行し、駆動輪が空転すると残りの二輪にも駆動力を自動的に伝達する方式。トルクスプリット式とも呼ばれ、センターデフを持たない。

乗用車などでは、二駆と四駆の切り替えを面倒と感じるユーザーが多く、また直結状態に気づかないまま舗装路で高速走行をするなどで車を壊すトラブルも少なくなかった。そこで、切り替え操作の自動化を図った方式が考案された。

最初に、ビスコドライブ社の開発による、頑丈な円筒形ケースに多板クラッチとシリコーン樹脂を封入し、前後輪の回転差で発生する攪拌熱によるシリコンの膨張で多板クラッチを圧着し、差動を殺すビスカスカップリングをリアデフの前に挿入した方法が生まれた。これは制御用のデバイスが一切不要で、特にフォルクスワーゲンが採用した初期の大型のものは、レスポンスや効きも申し分ない物であった。その後、日本メーカーから、ビスコドライブ社への特許料の支払いが不要で、なおかつ製造も簡単で安価なトリブレード(3葉プロペラ)式やデュアルポンプ式が登場したが、これらはレスポンスが悪く、洗練度に欠けるものであった。

これらのセンターデフを持たないものでも日本ではフルタイム式に位置づけられることが多いが、駆動輪が空転してから残りの二輪に駆動力が伝達する方式のため(特に繋がりが唐突であったりするため)、雪道や凍結路での安全性については疑問が残る構造である。

また、ABSの普及により車速センサーを備える車が増えたことから、それを駆動輪の空転検知に利用し、自動的に四輪駆動に切り替わる方式が開発された。残りの二輪への動力の断続には電子制御の多板クラッチを用いており、その特性を生かし、必要に応じて伝達トルクを増減させ、なめらかに繋ぐ工夫がなされている。一部のSUVでは、緊急(スタック)時の脱出性を確保するため、任意に直結可能となっている車種も多い。

フルタイム・パートタイム複合式[編集]

パートタイム式のトランスファーと、フルタイム式のセンターデフの双方を搭載しており、パートタイム式だがフルタイム式としても使えるというものである。二駆での省燃費、四駆センターデフ付での安定した走行、四駆直結での悪路走破性、いずれのメリットにも与かることができる。トヨタのマルチモード4WDや、三菱自動車スーパーセレクト4WDとして採用されている。

二重の装備で重量がかさむと言う欠点があるが、本格クロスカントリー車では、元々トランスファーに副変速機を持つため、センターデフを持つことによるケースの大型化や、それに伴う重量増加は、走行性能上さほど大きな問題とはならない。

電気式[編集]

エレクトリック4WDなどと呼称される。エンジンによる駆動軸の他に、エンジンの回転を発電機で電力に変えて、モーターでもう一方の車軸を駆動させる方式である。日本のパワーエレクトロニクス分野の発展により、発電機やモーターを搭載する重量増のデメリットが、プロペラシャフトによるそれと大差が無くなったことにより、レイアウトの自由度、特に前輪駆動ベースの車でもプロペラシャフトを意識することなく導入できるメリットの方が上回り、出現に至った。

欠点として、前後にトルクが均等配分されないこと、発進時にだけしか動作しないこと、そして、スタック時に本来の駆動輪(前輪)が激しく空転した場合、モーターアシストが行われないことが上げられる。構造上、基本的に組み合わせられるトランスミッションATである。

動力分散型[編集]

駆動する一つ一つの車輪、または前後の車軸ごとに動力源を取り付けたもの。

内燃機関全盛だった20世紀においては主流にはなりえなかったが、それでも歴史は古く、フェルディナント・ポルシェによって試作されたモーター駆動の車両が1900年パリ万国博覧会に出品されている。

出力がほぼそのままタイヤの駆動力となることからエネルギー損失が少なく、4輪の動力配分を自由に決められる反面、既存のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの場合、小型化に限界があり、また部品点数が多くなる、排気処理が面倒、スロットル動作の同調に高度な制御が必要なことから、実験的に作られた車両程度しか存在しなかった。

しかし電気自動車の場合は排気が無く、電力は配線を延長すれば良いだけなので、損失が少なく、室内が広く取れる点からも有利である。三菱自動車のランサーエボリューションMIEVや、「8輪」駆動車ではあるがエリーカがこの方式を採用している。

内燃機関を用いたものでは、ヒルクライムなどの競技用車両にツインエンジンの例があるが、市販車ではシトロエン・2CV 4x4、別名「サハラ」がほぼ唯一と言える存在である。本来2CVのエンジンとトランスアクスルはフロントに収まっているが、それと同じものをもう一組、リアのトランクをつぶして押し込んだものである。二組の連携は単純で、スロットルはワイヤー、トランスミッションはシフトリンケージでつながれているだけで、それ以外では二つのエンジンは独立しており、メインスイッチが二つ備わり、どちらかひとつのエンジンだけでも運転が可能であるなど、駆動力確保はもちろんのこと、砂漠などでの冗長性確保の意味合いが強い設計と言える。一方、シトロエン・メアリ 4x4 は、トランスファー副変速機を持つ一般的なパートタイム4WDである。

目的による分類[編集]

四輪駆動とする目的としては大きく分けて、スタックの発生しやすい雪道や泥濘地などの悪路を着実に走破するためと、ハイパワーエンジンの強大なトルクを余すことなく利用するための2つがある。

一般的な乗用車や商用車、軍用車、土木・建築用機械などに用いられる場合は前者であることが多い。乗用車や商用車については生活四駆などとも呼ばれる。軽トラックには通常、四輪駆動仕様が設定されており、この場合は田畑のあぜ道等、未舗装道路の走破性を追求したものである。普通のセダンステーションワゴンおよび小型車、軽乗用車等では、積雪地向けの需要が多い。ジープをはじめとするクロスカントリーカーでは、その使用目的から、四輪駆動こそが車両の存在意義とも言える。当然のことながらブレーキをかけた際の性能は、二輪駆動と変わらない。雪道で原則ブレーキをかけていけないのは、二輪駆動と変わらず、四駆だからといってブレーキまで過信すると、ブレーキをかけた際に止まれず追突する。

逆に、よりスポーツ性を重視した車種に搭載される場合は、後者であることが多い。アウディクワトロで世に問い、他のメーカーが追従し、現在の日産・GT-Rランボルギーニの各モデルなどに至る発想である。前述の「SPYKER」はこのスポーツ性を重視した最初の自動車の一つである(ラリーカーの四輪駆動化についてはグループBを参照)。

エンジン搭載位置[編集]

ほとんどがフロントエンジンだが、リアエンジン4WDポルシェ・911スバル・サンバー、シュタイア・プフ社のハフリンガーなどに存在する。またミッドシップ4WDトヨタ・エスティマ(初代)、ホンダ・アクティスズキ・エブリィ(3代目)、ランボルギーニ各モデル、ブガッティ・ヴェイロンなどの例がある。