クーペ

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クーペ: coupé クペ、クッペ[注 1])とは、

  • 二人乗りで4輪の箱馬車[1]
  • 自動車の車種のひとつであり、1列の主座席を有し、2枚ドアの、箱型乗用車[1]

概要[編集]

もともとフランス語である。フランス語に「couper クペ」(切る)という動詞があり、その過去分詞が「coupé クペ」であり、これは形容詞的に「切られた」という意味で用いられる。[注 2] 

馬車[編集]

carrosse coupéの一例

フランス語でまず先に「切られた馬車」を意味する「carrosse coupé」という表現があった。(フランス語は、英語と異なり、基本的には形容詞は名詞の後ろに配置する。[注 3]) carrosse coupéは1列の座席を備えた有蓋馬車(=屋根付き馬車 =箱型馬車)であり、ドアが2枚ついているものである。なぜこう呼ばれたかと言うと、ちょうど「向かい合った二列の座席がある普通の馬車を途中で切った形」と見なされて、「carrosse coupé 切られた馬車」と呼ばれたわけで、やがてその表現の形容詞のほうだけで、そのタイプを指すようになったわけである。

自動車[編集]

1934年のFord coupé
アストンマーチン・DB9のクーペ。2000年代。 アストンマーチン・DB9のクーペ。2000年代。
アストンマーチン・DB9のクーペ。2000年代。
現代のクーペの一例。マセラティ・グラントゥーリズモ 現代のクーペの一例。マセラティ・グラントゥーリズモ
現代のクーペの一例。マセラティ・グラントゥーリズモ

その馬車用語「coupé」が自動車用語にも継承された。

基本的に、自動車で「coupé」と言う場合、座席が一列で(=2人乗りで)、2ドアで、箱型の(=固定された屋根を備える) 自動車を指す。

もともとフランス語起源の言葉なので、フランス語圏以外でも「coupé」と「e」の上にアクサンテギュを付けて綴られる例がしばしばある。なお、イギリス英語での発音は[kuːˈpei](クーペイ)とアクセントが後ろにあり、カナダ英語およびアメリカ英語発音は[ˈkuːp]クープ)とアクセントが前にある。

特にスポーツ性や運転の楽しさを優先したクーペは「スポーツクーペ」と呼び分けることも行われている。

なお、「クーペ」と呼ばれていて、外見もクーペそのもので「2ドア」で「固定式の屋根」だが、内部をよくよく見ると、座席が1列だけでなく後部に(申し訳程度の窮屈な)席が1列余分についているものもある。「主座席は一列」と冒頭で説明しているように、後部に補助的な申し訳程度の座席がついていても、あくまで主座席ではなく補助的な座席という位置付けで、これもクーペに一応含めるということも行われている[注 4]

以前はクーペと固定式ハードトップとは「Bピラー」(前から2番目の窓柱)の有無で区別されており、1950年代から1970年代のように両雄が並び立つ時代もあった[2]ビッグスリートヨタのように多数の車種をラインナップするメーカーでは、ひとつの車種、または姉妹車にノッチバックとファストバックのクーペ、あるいはハードトップとクーペの両方を用意する例も見られた[3]。1970年代以降、Bピラーを持つ「ピラードハードトップ」の増加により、クーペとハードトップの定義は曖昧なものとなって行った。

クーペのスタイルには、「Cピラー」[4]の下端とリアデッキとの間に「ノッチ」を持つものと、屋根から車体後端までなだらかな線(面)で繋いだものとに大別できる。前者を「ノッチバック」、後者を「ファストバック」と呼ぶが、これは単に「バック」(背中)の形状を指す用語で、クーペのみに当てはまるものではなく、セダンにも、ファストバックは存在する。

ノッチバッククーペの一例。ポンティアック・GTO

ノッチバッククーペは、ほとんどの場合、独立したトランクリッド(トランクルームのふた)を持つが、ファストバックの中にはトランクリッドを止め、利便性向上のため、さらに開口部の大きなバックドアを持つ「ハッチバック」スタイルとなったものも多い。車室とラゲッジスペースを繋げて利用できる「トランクスルー」構造は、どちらのバック形状にも見られる。

ノッチバックとファストバックの境界線が以前ほどはっきりしなくなった上に、メーカーによっては2ボックス型のハッチバックや、サッシレスドアを持つ4ドア車、更にはクロスオーバーSUVでもクーペを名乗るものが現れ、多様化が進んでいる。

自動車のクーペの種類[編集]

ノッチバッククーペ[編集]

ノッチバッククーペの一例。トヨタ・ソアラ(3代目)

ボンネット、車室、トランクルームの3つの箱からなるスリーボックススタイル。一般的なノッチバックセダンと同様に落ち着いた印象を与え、高級やフォーマルといったキャラクター付けのために用いられ[5]オペラウインドウを持ったランドウトップなど、リアピラーに特徴を持たせる場合は特に有効なスタイルとなる。

実用面では、後席のヘッドクリアランスや、トランクリッドの開口面積を確保しやすい。

ファストバッククーペ[編集]

ポルシェ911 2.4
ファストバッククーペの代表格とも見なされることがあり、34年間同じフォルムを守り通した。

リアウインドウが比較的寝かされ、リアデッキとの間に明確なノッチ持たないスタイル。

独立したトランクリッドを持つものと、開口部の大きなバックドアをもつハッチバックとがある。ハッチの開き方には、跳ね上げ式と横開き式があり、日本車では跳ね上げ式が主流である。

セダンにもファストバックはあり、サーブではコンビクーペ(Combi coupé、この場合のコンビはステーションワゴンの意)、メルセデス・ベンツ CLSクラスは4ドアクーペという商標となっている。

カムテール[編集]

コーダ・トロンカ(カムテール)の例。アルファロメオ・TZ2

ファストバックの類型で、屋根からのラインが下がりきる前にボディー後端をすっぱりと切り落とした形状のものを、特に「カムバック」(Kammback 米語)、「カムテール」(Kammtail 英語)、または「コーダ・トロンカ」(coda tronca 伊語)などと呼ぶ。

1930年代スイス人のウニベルト・カム博士[6]が提唱した「流体の中を進むもっとも効率の良い形とされる魚類のような流線型の物体の場合、その後端を切り落としても抵抗はほとんど増加しない」という理論に基づくデザインである。「カム」は博士の名に由来し、「コーダ・トロンカ」は切断された(トロンカ)コーダ)の意味する[6]

全長の短縮による軽量化と運動性の向上が期待できることから、まずレーシングカーに採用され、1960年代以降はスポーティーなイメージや空力性能の良さを形でアピールする意味もあり、カムテールを取り入れる市販車が相次いで現れた。

その他の呼称[編集]

ハーフコンストラクトクーペ
4シーターセダンの屋根を抑えて、2シーターまたは2+2シーターにした形状の、スポーティークーペ全般をいう。
フィクストヘッドクーペ
ジャガー・Eタイプ Sr-1 FHC
フィクスト(フィックスド)ヘッドクーペ (FHC)
もともとオープンモデルとして開発された自動車に、固定式の屋根を設けたモデルをいう。これはイギリスが発祥の言葉である。


ドロップヘッドクーペ
ジャガー・XK120 SE DHC
ドロップヘッドクーペ (DHC)
を持つオープンモデルではあるが、ドイツ車でのカブリオ同様、幌が一重ではなく完全な内張りを持っており、屋根を閉じればほぼクーペと同等の居住空間を得ることができるモデルを指す。この言葉もイギリスで生まれた言葉である。


クーペ車種の動向[編集]

アメリカ合衆国[編集]

日本[編集]

1980年代後半から1990年代初頭のバブル景気と相まって、非実用的で趣味性の強い車種(スポーツカースペシャルティカー)が好まれるようになった。こうした中で、日産・シルビアトヨタ・セリカホンダ・プレリュードホンダ・インテグラなどの2ドアクーペが、若者たちのデートカーとして大きなブームとなった。

しかし、1990年代後半のバブル崩壊以降はスズキ・ワゴンRホンダ・オデッセイといった、実用性を重視したミニバントールワゴンがヒットし、スタイリング重視ゆえ後部座席の居住性や乗降面でこれらに比べ圧倒的に劣るクーペは敬遠されるようになっていった。さらに2000年代以降には、原油価格の高騰を受けて経済的な軽自動車コンパクトカーの売上が高まっていった。[7]

依然としてごく一部では根強い人気がある車種もあるものの、全体としては軽自動車やコンパクトカーも含めてクーペ系車種は一連のセダン系車種よりも一足先に各モデルが順次廃止・削減・淘汰され、各メーカーの現行ラインナップでは1から2車種しかない状態が続いている。また、三菱のように日本国外向けにはクーペのラインナップがあっても、日本のクーペ市場からは撤退している状態のメーカーもある。三菱は、2000年GTOFTOミラージュアスティ生産終了以降、クーペ市場から事実上撤退した。レクサスブランドを除くトヨタも、2000年代末にクーペ市場からは一旦撤退した。富士重工(以下スバル)は、1996年アルシオーネSVX生産終了をもってクーペ専用車種を廃止し、その後2000年インプレッサのモデルチェンジをもってクーペ市場から一旦撤退した。

こうした中で、一貫してクーペ系車種をラインアップさせていたのは日産自動車である(スカイラインクーペフェアレディZ)。

トヨタは、スバルとの資本提携の一環としてクーペスタイルのスポーツモデルを共同開発[8]することになり、2012年トヨタ・86/スバル・BRZとして発売されることになったことで、トヨタとスバルでクーペの設定が復活することとなった。ホンダ2006年インテグラの生産終了を持ってクーペ市場から撤退したが、2010年ハイブリッドカー専用車種のCR-Zで再参入した。

クーペ一覧[編集]

クーペのカテゴリを参照。

ギャラリー[編集]

この節では変り種のクーペを紹介する。クーペの本来の用法を理解せず、誤用しているものもある。

脚注[編集]

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  1. ^ フランス語発音は[kupe]で、カタカナでは一般的には「クペ」と表記。発音記号でもkupeで短母音である。あるいはカタカナだと、「クッペ」(アポロ仏和辞典(角川書店 ISBN 4-04-012700-5)による発音のカタカナ表記)程度の表記はありうる。本当は、どうころんでも「クーペ」と長母音の表記にはならない。一体どの日本人が間違えて「クーペ」などと、おかしな表記にしてしまったかは不明。
  2. ^ コッペパンの「コッペ」も同じ由来。
  3. ^ 基本からはずして形容詞を名詞の前に配置する場合は、特別なニュアンスを帯びたり、若干意味が異なることがある。
  4. ^ ただし、クーペに後部座席がある場合でも、その後部座席というのは、人が座るにはかなり不快・不便なものである。クーペの場合、基本的にドアが2枚しかないので、後ろの席に座ろうとする人にとっては、運転席や助手席のレバーを引くなどして、椅子の背もたれを一旦前に倒し、椅子の後部のわずかな隙間から身体をすべりこまさなければならないという、不快で不便な体験を、乗車・降車のたびに強いられる。おまけに、苦労して身体をすべりこませても、クーペの後部座席は、狭すぎて座ろうとしても脚が前席の背に当たってしまったり、実際上は大人は座れないような無理なものも多く、ただの「小物置き」にしか使えないような後部座席も多い。よって、3人以上の家族が日常的に快適に乗れる車を求めている場合は、クーペというのは根本的に向いていない車種である。
出典
  1. ^ a b 広辞苑第六版【クーペ】
  2. ^ 当時のハードトップに4ドア車は少なく、主に2ドアか3ドアハッチバックであった。
  3. ^ フォード・マスタングやTE37カローラレビン/TE47スプリンター・トレノなど。
  4. ^ リアピラー:一番後ろの窓柱。車種によってはA、B二つのピラーしか持たないものもある。
  5. ^ フォードは初代フォード・マスタングで、「マッハ1」や「コブラ」などのスポーツ系モデルをファストバック、「グランデ」を始めとするラグジュアリー系モデルをノッチバックとしており、マスタングをベースとしたやや上級(高額)のマーキュリー・クーガもノッチバックとするなどの使い分けを行なっていた。
  6. ^ a b 沼田亨「コーダ・トロンカ大集合」『カーグラフィック 2011年6月号』 カーグラフィック、2012年、198頁。 
  7. ^ 『社団法人 日本自動車販売協会連合会』統計データより
  8. ^ コンセプトモデルFT-86

関連項目[編集]