ホンダ・CR-X

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CR-X(シーアール-エックス)は、本田技研工業がかつて生産、販売していたハッチバック型(初代,2代目)またはタルガトップ型(3代目)の小型乗用車である。

目次

[編集] 概要

初代は、同社の小型車シビック姉妹車であるバラードの派生車種として、3代目シビック(ワンダーシビック)へのフルモデルチェンジに先立って市場に投入された。発売にあたり同社は、「FFライトウェイトスポーツ」という新ジャンルであると説明し、以来この言葉は同クラスの車種を分類する場合に使用されることになる。

初代及び2代目には後部座席が装備されていた[1]が、シビック3ドアよりも150mm以上短いホイールベースとファストバッククーペボディーが影響し、大人が2人座っての長距離移動は困難であった。なお北米向けには後席は無く、床下に浅い小物入れが装備されている。

また、この2代に共通の特徴として「アウタースライドサンルーフ」があり、短い屋根ゆえに屋根後半にスライド型サンルーフを格納した場合は開放感を得るに十分な開口面積が確保できないため、ボディの外に電動スライドさせるものである。さらに北米においては、後述するように軽い車体重量を活かした低燃費仕様が設定され、CAFEの達成に貢献した。

3代目は、走行性能を追求したそれまでの2代とは大幅にコンセプトを変え、開放感を楽しむタルガトップとして誕生し、1991年に発売されたビートに次ぐ、小型オープンカーとなった。これは、北米市場においてCAFEの達成に貢献する低燃費仕様としての役割を、リーンバーンエンジン搭載車が担うことになり、軽量化の要求がなくなったためである。

販売チャネルは、プレリュードクイントなどを扱っていた「ベルノ店」。

[編集] 初代 AE/AF/AS型(1983-1987年)

ホンダ・BALLADE SPORTS CR-X
AE/AF/AS型
Honda Ballade CR-X.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1983年1987年
乗車定員 4人
ボディタイプ 3ドア ハッチバック
エンジン EV型:1.3L SOHC CVCC
EW型:1.5L SOHC CVCC
ZC型:1.6L DOHC
最高出力 EV型:80PS/6,000rpm
EW型:110PS/5,800rpm
ZC型:135PS/6,500rpm
全てグロス値
最大トルク EV型:11.3kgf·m/3,500rpm
EW型:13.8kgf·m/4,500rpm
ZC型:15.5kgf·m/5,000rpm
全てグロス値
変速機 5速MT/3速AT
駆動方式 FF
サスペンション 前:ストラット+トーションバー
後:車軸式+コイルスプリング
全長 3,675mm
全幅 1,625mm
全高 1,290mm
ホイールベース 2,200mm
車両重量 1.3:760kg
1.5i:800kg
Si:860kg
燃費 1.3:20.0km/L
1.5i:15.0km/L
Si:14.8km/L
全て10モード
別名 北米名:ホンダ・CIVIC CRX
後継 CR-X
-自動車のスペック表-

1983年7月1日に発売された。この時の正式名称は「BALLADE SPORTS CR-X」である。キャッチフレーズは「デュエット・クルーザー」。なお、海外では「CIVIC CRX」(RとXの間に-は付かない)の名前で売られていた。グレードは、1.3Lの「1.3」と1.5Lの「1.5i」。

リアにハッチを持ち、テールエンドを断ち切った形状のファストバッククーペボディーは「コーダトロンカ(coda tronca)」と呼ばれ、全長を伸ばすこと無く空気抵抗を低減できる特性を持っている。車体の軽さも特徴であり、ABS樹脂ポリカーボネートをベースとした複合材料「H.P.ALLOY(エイチ・ピー・アロイ)」をフロントフェンダーとドア外装板等に、ポリプロピレンをベースとした「H.P.BLEND(エイチ・ピー・ブレンド)」を前後バンパーに採用し、車両重量は760kg (「1.3」5MT)/ 800Kg (「1.5i」5MT)となっている。2,200mmという非常に短いホイールベースと相まって生み出されるハンドリングは大変にクイックであったゆえに、ステアリングの舵角中立部の反応は意識的にやや鈍く設定されていた。

エンジンは、EW型 1.5L 直4 CVCC SOHC 12Valve PGM-FI仕様と、EV型 1.3L 直4 CVCC SOHC 12Valve キャブレター仕様とが用意され(日本国外向けにはシビック同様1.5Lのキャブレター仕様もあった)、「1.5i」では、アウタースライドサンルーフ、ドライブコンピュータ+デジタルメータルーフベンチレーションなどが選択できた。「1.5i」MT仕様ではファイナルギアレシオが4.4とローギアード化されており、より加速性能が増している。

サスペンションにも独自の工夫が見られ、フロントにストラット+トーションバー(リアクションチューブで長さを短縮)、リアは右側にのみスウェイベアリングを組み込み、ラテラルロッドをホイールと同軸化した車軸式+コイルスプリングの形式が採用され、総合して「SPORTEC-SUS」と称していた。

北米仕様には、その軽量の車両重量を生かした超低燃費仕様「CIVIC CRX HF(1.3L 直4 CVCC SOHC 8Valve 5MT)」があり、City mode:50MPG(24.8km/L)/Highway mode:56MPG(27.8km/L)の燃費性能で当時の低燃費No.1を獲得している。

1984年11月1日に、外側固定支点のY型スイングアームを介してバルブ駆動する[2]ZC型 1.6L 直4 DOHC 16Valveを搭載する「Si」が追加された。 シリンダーブロックは「1.5i」のフルサイアミーズ型ブロックをボアアップしたものを採用し、ボア・ストロークは75mm×90mmというロングストローク仕様となっている。 なお、ウレタン製のリアスポイラーが標準装備となり、スタビライザーが強化、オイルクーラーの追加、ボンネットには2個の大径カムプーリーをクリアするためにS800シティターボに続いて「パワーバルジ」が付けられ、よりスポーティな印象が高まったものの、車両重量は860kgまで増加した。 エンジンの高出力化に伴い、駆動系はFF特有のトルクステアを防ぐため、等長ドライブシャフトが新たに採用されたが、ブレーキ構成は軽量な車重とショートホイールベースのため「1.5i」と同様の前輪:ベンチレーテッド・ディスク、後輪:リーディングトレーリングを踏襲(フロントブレーキパッドはセミメタルに変更)。なお、「Si」は「1.5i」とは異なり、アルミホイールは標準だが、ステアリングのパワーアシストは無く、エアコンやオーディオもオプションであった。

1985年9月にマイナーチェンジを実施し、ヘッドライトがセミ・リトラクタブル・ヘッドライトから、輸出仕様の「CIVIC CRX」と同じ、固定式タイプに変更された。「Si」では、内装、メータパネルが変更されるとともに、外装ではサイドシルのデザイン変更や前後のバンパーの大型化、ツートーンカラーの廃止がなされた。よって、このモデルではヘッドライトやパンパーの形状で前期型と後期型を区別できる。なお、キャッチフレーズも「2人には、Xがいる。」に変更された。また、ステアリングのパワーアシスト付きモデルが選択できるようになった。アルミホイールはオプション。

ホンダ車のアフターパーツも生産している「無限」が、ブリスター形状の前後フェンダー、フロントマスク、リアスポイラーなどを「無限 CR-X PRO」の名称でリリースし、これらを装備した車両が鈴鹿サーキットのマーシャルカーとして用いられた。

E-AS型の形式名「AS」は、同社の1960年代のスポーツカー「Sシリーズ」の形式名のAS(Automobile Sports)と符合することから、一部のファンはホンダスポーツの再来と受け止めた向きもあった。

[編集] 2代目 EF6/7/8型(1987-1992年)

ホンダ・CR-X
EF6/7/8型
CR-X Si(2代目)
Honda-CR-x1987.JPG
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1987年1992年
乗車定員 4人
ボディタイプ 3ドア ハッチバック
エンジン D15B型:1.5L SOHC
ZC型:1.6L DOHC
B16A型:1.6L DOHC VTEC
最高出力 D15B型:105PS/6,500rpm
ZC型:130PS/6,800rpm
B16A型:160PS/7,600rpm
全てネット値
最大トルク D15B型:13.2kgf·m/4,500rpm
ZC型:14.7kgf·m/5,700rpm
B16A型:15.5kgf·m/7,000rpm
全てネット値
変速機 5速MT/4速AT
駆動方式 FF
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
後:ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
全長 前期型:3,755mm
後期型:3,800mm
全幅 1,675mm
全高 1,270mm
ホイールベース 2,300mm
車両重量 1.5X:820kg
Si:880kg
SiR:1,000kg
燃費 1.5X:16.4km/L
Si:15.2km/L
SiR:13.4km/L
全て10モード
別名 北米/香港名:ホンダ・CIVIC CRX
先代 BALLADE SPORTS CR-X
後継 CR-X delSol
-自動車のスペック表-

1987年9月16日に発売。1986年10月にバラードが廃止されたため、車名に「BALLADE SPORTS」を冠しなくなった。グレードは1.5Lの「1.5X」(EF6)と1.6Lの「Si」(EF7)。キャッチフレーズは、当時のサイバーパンク流行にあやかり「サイバー・スポーツ」

スタイルは初代を踏襲しつつ、各部がフラッシュサーフェス化され、また全体的にワイド&ローフォルムとなった。初代では難があった後方視界を確保するため、リアエンドに「エクストラウインドウ」が採用された。用いられたガラスには黒のピンドットが配されており、スモークガラス同様車外からは一見して透明には見えないため外板パネルとの一体感があり、こと車体色が黒の場合顕著であった。これは、外観デザインにおいて2代目最大の特徴とも言える箇所である[3]

初代にオプション設定されていたルーフベンチレーションは廃されたが、アウタースライド式サンルーフの他に、「グラストップ」と呼ばれる、UVカットガラス製の屋根を装着する新オプションが設定された。グラストップには取り外し式のサンシェードが備わっていたが、黒主体の内装も相まって、夏季の炎天下では車室温がかなり高くなったとされる。

エンジンは、D15B型 1.5L 直4 SOHC 16Valve CVデュアルキャブ仕様(105PS:NET値)と、ZC型 1.6L 直4 DOHC 16Valve(130PS:NET値)とが用意された。D15Bは、SOHCながら1気筒あたり4Valve(吸気側・排気側それぞれ2Valve)で、「ハイパー16バルブ」と称していた。 「Si」のボンネットには、先代同様「パワーバルジ」が設けられ、「1.5X」との外見判別が容易であった。

サスペンションは、全輪ともダブルウィッシュボーンとなり、旋回性能は格段に向上した。しかし、シャシー設計上サスペンションストロークを長く取ることができず、前2:後1というフロントヘビーな重量配分もあって不整地や濡れた路面などでは後輪が唐突に破綻するようなピーキーな傾向となっていた。この特性を逆手に取り、国内のジムカーナでは活躍した。

北米仕様には、初代と同様に超低燃費仕様「CIVIC CRX HF(D15B6型 1.5L 直4 SOHC 8Valve 5MT)」が存在しており、車体が大きく重くなったものの、City mode:41MPG(20.3km/L)/Highway mode:50MPG(24.8km/L)の燃費性能を実現している。

1988年8月4日のマイナーチェンジの際に、3チャンネル・4wA.L.B.(ABS)装着車が設定された。

1989年9月22日のマイナーチェンジの際に、新たなキャッチフレーズ「V計画、核心へ。」を採用し、「VTEC」(可変バルブタイミング&リフト機構)を備えたB16A型 1.6L 直4 DOHC VTEC 16Valveを搭載した「SiR」(EF8)が発表された。このモデルの最高出力は160PS(NET値)で、排気量1Lあたり100PSという市販車のNAエンジンとしては驚異的な出力を実現していた。なお、この「SiR」は5MTのみの設定で、フロントブレーキが大径化される。

後期型ではボディ前部の形状変更と、ヘッドライト形状の変更といった若干のフェイスリフトが行われ、全長が前期型の3,775mmから3,800mmとなった。また、前期型では凹型断面をもつボンネット形状が、後期型では凸型に変更され、初代及び2代目前期型「Si」の特徴であったボンネットの「パワーバルジ」は不要となり廃止された。

国内向けにおいては、限定車も含め、4年半で10色前後のボディーカラーが設定された。 尚、欧州向けでは、前期型は日本国内仕様の外観とほぼ同じだが、後期型は、VTEC仕様のみ日本国内とほぼ同じ外観で、それ以外は前期型と同じ凹型断面のボンネットで、バンパー形状は後期の北米仕様に準ずる。また、北米向けは、前期、後期を問わず、日本国内仕様の前期型とほぼ同じデザイン(バンパー形状のみ小変更)。

[編集] 3代目 EG1/2型(1992-1997年)

ホンダ・CR-X delSol
EG1/2型
CR-Xデルソル(前期)
Honda CRX green vr.jpg
CR-Xデルソル(後期)
Honda-Civic-del-Sol.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1992年1997年
乗車定員 2人
ボディタイプ 2ドア タルガトップ
エンジン D15B型:1.5L SOHC VTEC
D16A型:1.6L SOHC VTEC
B16A型:1.6L DOHC VTEC
最高出力 D15B型:130PS/6,800rpm
D16A型:130PS/6,600rpm
B16A型:170PS/7,800rpm
全てネット値
最大トルク D15B型:14.1kgf·m/5,200rpm
D16A型:14.9kgf·m/5,500rpm
B16A型:16.0kgf·m/7,300rpm
全てネット値
変速機 5速MT/4速AT
駆動方式 FF
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
後:ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
全長 3,995mm
全幅 1,695mm
全高 1,255mm
ホイールベース 2,370mm
車両重量 VXi:1,030kg
VGi:1,040kg
SiR:1,090kg
燃費 VXi:15.8km/L
VGi:15.8km/L
SiR:13.6km/L
全て10・15モード
別名 北米名:ホンダ・CIVIC delSol
欧州名:ホンダ・CRX
先代 CR-X
-自動車のスペック表-

1992年3月6日に発売。CR-X delSolとしてモデルチェンジされた(欧州向けはCRX、北米向けはCivic delSolと名付けられた)。

スイッチ操作のみで屋根をトランクルームの専用ホルダーに収納できる、『トランストップ』と名付けられた電動オープンルーフが最大の特徴である。なお、手動で取り外す仕様もあり、こちらは取り扱いの負担軽減のため軽量なアルミ製となっている(トランストップはスチール製)[1]

搭載されるエンジンは、前モデルと同じB16A型 1.6L 直4 DOHC VTEC が「SiR」に設定されており、最高出力は170PSに向上している。その他に、前期型にはD15B型 1.5L 直4 SOHC VTEC の「VXi」、後期型にはD16A型 1.6L 直4 SOHC VTEC の「VGi」が用意された。

前期型はヘッドランプの内側に丸いアクセサリライトを埋め込んだ4灯式であったが、後期型はアクセサリライトを廃した2灯となっている。

ミッドシップ車のようなディテールを生かして、駆動方式をFFからMRに改造したカスタムカーが製作されたこともある。

1995年10月のマイナーチェンジの際に、上記フロントバンパー周りの意匠変更とSOHCエンジンの排気量アップが行なわれた。

1997年8月、日本国内でのスペシャリティクーペの市場低迷、北米市場向けとしてシビッククーペと競合する事を背景に、CR-Xは生産終了となった。同時期に存在した軽自動車のビートも同年に生産が終了したため、ホンダのオープンカーは1999年S2000が発売されるまで一時ラインナップから消滅した。

[編集] 後継車種への動き

2006年11月に開催されたロサンゼルスオートショーで「Honda REMIX Concept」[2]2007年2月に開催されたジュネーヴモーターショーで「Honda Small Hybrid Sports Concept」[3]、同年10月に開催された東京モーターショー2007では「CR-Z[4]という名のコンセプトカーが出展され、CR-Zは2010年2月に市販化された。


[編集] 搭載エンジン

[編集] 車名の由来

  • CR-X:「カー・ルネサンス」また「シティ・ラナバウト(「クルージング」の意味であるとも言われている)」を表す「CR」と未知数を表す「X」とを合成させたものである。尚、輸出向けはCRXとハイフンが入らないが、日本で販売時 既に「CRX」が商標登録されていたため「CR-X」となった。(「NSX」は逆に市販前は「NS-X」と表記されていた。)
  • del Sol:スペイン語で「太陽の」を意味する。

[編集] 脚注

  1. ^ 初代では、着座位置の座面をやや凹ませ着座位置を下げて、頭部スペースを確保した。2代目では、若干ルーフ高が高められたため、フラットなベンチ風であった。
  2. ^ スイングアーム式リフター機構は、バルブクリアランス調整を容易にする目的で当時のトヨタ・5M-GEUやいくつかの2輪車エンジンに採用されていたが、ZC型の場合はハイリフト化が主な目的であった。この試みが後の「VTEC」に生かされた。
  3. ^ 後にインサイトが同様のデザインを採用している。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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