ASIMO

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ASIMO(2代目)

ASIMO(アシモ)は、本田技研工業が開発し、ホンダエンジニアリング株式会社が製造している世界初の本格的な二足歩行ロボット。予測運動制御によって重心ゼロモーメントポイント(ZMP)を制御して自在に歩くことができ、階段の上り下り、旋回ダンスなども可能。親しみやすさを考えたデザインを採用している。本田技研工業の説明によると、「ASIMO」という名称は「Advanced Step in Innovative Mobility(新しい時代へ進化した革新的モビリティ)」の略である。開発の動機に手塚治虫鉄腕アトムがあったとされている[1]

概要[編集]

階段を下りるASIMO

最新型のASIMOの身長は130cm、質量は48kg[2]。ASIMOは人間の生活に合わせ作られていて、人の動きを感知し、自律的に行動が可能である。例えば人を追従して歩行、手を出すと握手する、障害物を回避する、音源認識、階段歩行などが行える。しかし、HRP-2と違い、仰向けやうつ伏せに転倒した場合に起き上がることができない。なお、あらかじめ設定することにより音声認識発音も可能である。2011年11月8日に発表された新型ASIMOは3人が同時に発する言葉を認識することができるようになり、予め設置された空間センサの情報を基に人の歩く方向を予測し、衝突を避けることが可能となった。また、身体能力の向上により片足けんけんや両足ジャンプなどが連続して実行することが可能となった[3]。その他、水筒のふたを開けて紙コップに飲み物を注いだり、手話をこなすなど指先も器用になった。ホンダはアシモの技術を応用し、福島第1原発内で活用する原子力災害ロボットを開発した[4]

催し物などにも貸し出されており、ニューヨーク証券取引所の始業ベルを人間以外で初めて鳴らした[5]。なお現段階では市販されておらず、本田技研工業に問い合わせる事によって賃貸することはできる。

2014年4月17日、アメリカに初めて上陸した[6][7]

開発史[編集]

P3(左)とASIMO(右)

ホンダのロボット開発は、1986年以前より秘密裏に行われており、Eシリーズ(下半身だけの実験型)、Pシリーズ(人型をした試作型)を経て正式に開発が発表されたのは1996年のことで、P2(プロトタイプ2)と呼ばれるモデルが発表された。二足歩行ロボット早稲田大学での研究開発が最先端と公表されてきたが、発表時点の段階で、大学研究室の水準を遙かに凌ぐ人間型自律二足歩行ロボットであったことから、世界のロボット研究者が仰天することとなった。その後、さらに形状を人型に近づけたP3の発表を経由して、現行のASIMOが2000年に発表された。以降、費用の軽減や軽量化が進められている。なお、開発の途中でローマ教皇庁に人間型ロボットを作ることの是非について意見を求め、問題がないことを承認してもらう[8]など、ホンダはこうした二足歩行ロボットに従来の機械にはない配慮をしている。

2005年12月13日に新型「ASIMO 2005」を発表。外見はほとんど変わらないが(旧型より背中ランドセル型制御部が小型化、ボディが丸みを帯びている)、バランス能力の向上、通常歩行速度は時速2.7km(従来モデルは時速1.6km)、時速6kmで走行(跳躍時間 0.08秒)するほか、自動で受付案内やワゴンを使ったデリバリー作業等を行なえるようになった。

2011年11月8日に発表されたモデルでは、重量を6kg軽減、最高速度が時速9kmに向上したほか[9]、3人から同時に受けた注文の判別が出来るようになった。

各モデルの基本仕様[編集]

Eモデル[編集]

「Experimental Model」は、歩行の原理を研究する研究実験機で機体は脚部のみ[10]

モデル(年) 全高 重量 歩行速度 関節数 備考
E0 (1986)
Honda E0 Fan Fun Lab.jpg
101.3cm 16.5kg - 6 一歩進むのに5秒を要した
E1 (1987)
Honda E1 Fan Fun Lab.jpg
128.8cm 72kg 0.25km/h 12
E2 (1989)
Honda E2 Fan Fun Lab.jpg
132cm 67.7kg 1.2km/h 12
E3 (1991)
Honda E3 Fan Fun Lab.jpg
136.3cm 86kg 3km/h 12
E4 (1991)
Honda E4 Fan Fun Lab.jpg
159.5cm 150kg 4.7km/h 12
E5 (1992)
Honda E5 Fan Fun Lab.jpg
170cm 150kg ? 12 自律歩行が可能となった
E6 (1993)
Honda E6 Fan Fun Lab.jpg
174.3cm 150kg ? 12 階段の上り下り、平衡を保ち障害物を越える事が可能となった

Pモデル[編集]

「Prototype Model」は、完全自律歩行を目指した試作機で上半身も開発され、より人型に近づいた[11]。P4は当初、P3改良型試作機として発表された[12][13]

モデル(年) 身長 重量 奥行 歩行速度 関節数 電源 連続稼働時間 備考
P1 (1993)
Honda P1 front Honda Collection Hall.jpg
191.5cm 175kg cm cm ? 30 外部電源 - 制御装置は外置き
P2 (1996)
Honda P2 front Honda Collection Hall.jpg
182cm 210kg 60cm 75.8cm 2km/h 30 ニッケル亜鉛電池(135V/6A) 15分 胴体部に電源など内蔵し無線化自律歩行
P3 (1998)
Honda P3 front Honda Collection Hall.jpg
160cm 130kg 60cm 55.5cm 2km/h 28 ニッケル亜鉛電池(135V/6A) 25分 小型軽量化
P4 (2000)
Honda P4 front Honda Collection Hall.jpg
160cm 80kg cm cm 2km/h 34 ニッケル亜鉛電池(135V/6A) ? 運動機能の向上

ASIMO[編集]

モデル 身長 重量 奥行 歩行速度 走行速度 関節数 電源 連続稼働時間 備考
初代
(2000)
Honda ASIMO.jpg
120cm 52kg 45cm 44cm 1.6km/h - 26 ニッケル水素電池(38.4 V/7.7kg) 30分
(2001) 貸し出し用の機能が追加された。
(2002) 顔認識機能が追加された。
2代目
(2004) 130cm 54kg 45cm 37cm 2.5km/h 3km/h 34 リチウムイオン電池(51.8V/6kg) 40分-1時間 ボディが更新される。
走行機能、障害物を回避する機能などが追加された。
(2005)
2005 Honda ASIMO 02.JPG
2.7km/h 6km/h 歩行/走行速度が向上。
(2007) 他のASIMOとの共同作業機能、すれ違い回避行動機能、自律充電機能が追加された。
3代目
(2011)
Honda ASIMO (ver. 2011) 2013 Tokyo Motor Show.jpg
130cm 48kg 45cm 34cm 2.7km/h ? 9km/h 57 ? 40分(歩行時) ボディが更新される。
運動機能と自律行動機能が強化された。
びんを取ってふたをひねって開けることができるようになるなど、作業機能が向上した。

展示・実演[編集]

脚注[編集]

  1. ^ “生みの親”が語る「ASIMO開発秘話」 -IT media
  2. ^ 2011年11月8日発表の最新型。旧型は身長120cm
  3. ^ さらなる進化を遂げた「新型ASIMO」と、ロボティクス研究および応用製品の総称「Honda Robotics」を発表:HONDA(2011年11月8日
  4. ^ アシモ応用、ホンダのロボ福島へ 原子炉建屋で廃炉作業 - 朝日新聞デジタル 2013年6月17日ちなみに事故当初、地震関連のFAQコーナーに「ASIMOに原発事故処理させたら?」と言う質問があり、Hondaは「まだそこまでは無理」と答えていた
  5. ^ Honda「ASIMO」、ニューヨーク証券取引所(NYSE)取引開始のベルを鳴らす Honda プレスリリース 2002年2月15日
  6. ^ ホンダ「新型アシモ」が米初上陸、手の器用さを披露
  7. ^ ホンダ「新型アシモ」が米初上陸、英語で「ハロー!ニューヨーク」
  8. ^ 日曜日の歴史探検:ASIMOまで駆け抜けたホンダのロボット開発 IT media
  9. ^ 進化した新型「ASIMO」:ANNnewsCH(2011年11月7日
  10. ^ History of the Humanoids(英語)
  11. ^ History of Humanoids P1 - P2 - P3(英語)
  12. ^ P3改良型試作機(ホンダのサイト)
  13. ^ 幻のASIMO開発機「P4」を展示!(レスポンス)
  14. ^ 新型ASIMOスーパーライブ

関連項目[編集]

外部リンク[編集]