ホンダ・FCXクラリティ

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ホンダ・ZBA-ZC3
FCXクラリティ日本仕様
FCX Clarity (Japan version).jpg
運転席
FCX clarity cockpit.jpg
製造国 日本国栃木県塩谷郡高根沢町[9]
設計統括 藤本幸人[10]
乗車定員 4名
ボディタイプ セダン
モーター 交流同期電動機(永久磁石)
最高出力 100kW 136PS
最大トルク 256N・m 26.1kgf・m
駆動方式 前輪駆動
全長 4,845mm
全幅 1,845mm
全高 1,470mm
ホイールベース 2,800mm
車両重量 1,630kg
出典 Honda|クルマ|FCXクラリティ|諸元・装備
先代 ホンダ・FCX
-自動車のスペック表-

FCXクラリティ(FCX Clarity)とは、本田技研工業が2008年に発売(リース販売)した燃料電池自動車。FCXクラリティは電気自動車と同水準のゼロエミッションであり、5分間で水素を再充填することができ、大型セダンとして長距離の走行が可能である。

概要[編集]

第85回箱根駅伝大会本部車
ハイヤーとしての使用例

2002年発売のホンダ・FCXに続き、ホンダがリース販売する二機種目の燃料電池車。コンパクトハッチバックであったFCXに対し、低床低全高のセダンとなった[1]

ホンダによると2007年11月の発表以来、世界中の8万近くの人々が興味を示したとされる[2]。生産は2008年6月から開始されると報告された[3]。2008年6月19日にアメリカで最初の燃料電池自動車の5人の顧客が発表され7月頃に納車された。最初の顧客の一人は2005年から第一世代の燃料電池自動車であるホンダ・FCXを借りていて返却した人物である。ホンダによると彼は世界で始めて燃料電池自動車を乗り換える人物であるとされる[4]。現在のリース期限が切れた時点において更新期間はまだ決まっていないものの、現在のリースは、更新される可能性がある[2]

2008年7月から米国でリースが始まり、映画製作者のロン・イェクサが世界最初のユーザーとなった[5]。3年間のリース料金は21,600ドル(月額600ドル)[6]日本では官公庁と一部法人のみが対象となり、11月に第一号車が環境省へ納入された[7]。リース料金は月額84万円[8]。また2009年(第85回)・2010年(第86回)の1月2日3日に開催された箱根駅伝では大会本部車として関東学生陸上競技連盟に貸与の上、冬季公道走行試験を実施。冬の箱根という悪条件の中、低温始動性や勾配などにおける走行性などを確認した。

報告によると前世代のホンダの燃料電池自動車の費用は2005年に生産された時点で1台あたり$100万ドル以上だったとされる。複数の推定によるとホンダは1台あたり$120,000ドルから$140,000ドルの間に生産費用を削減したとされる[3]

FCXクラリティは現在、アメリカ、日本、ヨーロッパでリースされている。アメリカでは南カリフォルニアで最初の水素補給ステーションがある地域の顧客のみリースされる。2010年の時点において12台のFCXクラリティが月額600ドルでリースされ、これには衝突の補修、整備、道端での支援と水素燃料が含まれる。約10台が日本で、10台がヨーロッパでリースされる。ホンダが公道に出せる燃料電池自動車の台数は会社が使用できる水素補給ステーションの数によって大幅に制限される。2010年秋に2基の水素補給ステーションがそれぞれカリフォルニア州トーランスニューポートビーチに設置される予定である[2][9][10][11]。2010年時点の報告によると合計50台のFCXクラリティがアメリカでリースされ[12]、世界中では200台が利用される。 ホンダは2018年にFCXクラリティを基にした量産車の生産を開始できるとしている[11]

仕様[編集]

車両の電力は出力100 kWのホンダ垂直流(V Flow)水素燃料電池から必要に応じて供給される。電気自動車のようにブレーキや減速時のエネルギーはモーター/発電機によって回収され288Vのリチウムイオン蓄電池に充電される。

電気モーターは出力134馬力 (100 kW)でトルクが0-3056 rpm時に189 lb·ft (256 N·m)のEVプラスのモーターを基にしている。それは静かで安定した加速と高トルクを提供する[13]。走行距離は水素タンクを満タンにした場合(4.1 kg @ 5000psi)約240 miles (~386 km)であると推定される[14]。車両は街中で1kgの水素で約77マイル (123.9 km)、高速道路で1kgの水素で67マイル (107.8 km)、組み合わせた走行で1kgの水素で72マイル (115.9 km)走行できると推定される[13]

設計[編集]

FCXクラリティは2008年型のアコードよりも約4インチ短い。それは革新的な運転席を備えている:ダッシュボードの表示装置は水素の消費量が大きくなるにつれて色とサイズを変更するドットが含まれ、運転手は容易に走行距離を確認できる。他の表示装置は電池の残量とモーターの出力を表示し、速度計は運転席の表示装置の上に設置され道路から視線を外さずに容易に確認できる。内装では座席とドアのライニング上には植物性のホンダのバイオ布が張られている[13][15]

生産[編集]

栃木県塩谷郡高根沢町四輪新機種センターの組み立てラインで生産される。燃料電池は隣接する栃木県芳賀郡芳賀町ホンダエンジニアリングで生産される。予定では3年間で200台生産される。

運転費用[編集]

2009年の報告では天然ガスから水素を製造する費用はカリフォルニア州で1kgあたり約5ドルから10ドルである。これは2009年の夏のガソリンの値段の約2倍で燃料電池自動車は同規模のガソリン自動車よりも効率が約2倍である。FCXクラリティは1kgの水素で平均60マイル走行できる[16]

FCXコンセプト[編集]

ホンダコレクションホールに展示されているFCXコンセプト(2005年)のシャーシ
FCXコンセプト(2006年)。クラリティとはグリル周りが異なる

FCX Concept の名で発表され、FCXクラリティの原型となったコンセプトカー

2005年[編集]

展示用に作られたFCXコンセプト[17]。2005年10月の東京モーターショーで初公開された[18]。前輪を駆動するモーターに加え、後輪にインホイールモーターを備えた四輪駆動車として設計されている[19]

この時点では商品化について触れられていなかったが、2006年1月に発売計画が発表された[20]

2006年[編集]

実際に走行可能となったFCXコンセプト。 2006年9月に公開され、2008年の発売が予告された[21]

脚注[編集]

  1. ^ 一見ハッチバック風だが、トランクと窓は分離している[1]
  2. ^ a b c Jerry Garrett (2010年7月21日). “As Honda Ramps Up E.V.'s and Hybrids, Fuel Cell Program Lags”. New York Times-Wheels blog. 2010年7月22日閲覧。
  3. ^ a b Alan Ohnsman (2008年5月21日). “Honda to Deliver 200 Fuel-Cell Autos Through 2011”. Bloomberg. http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601101&sid=a693eL42oJHo 2010年5月9日閲覧。 
  4. ^ Honda Motor Company (2008年6月16日). “Honda Announces First FCX Clarity Customers and World's First Fuel Cell Vehicle Dealership Network as Clarity Production Begins”. 2009年6月1日閲覧。
  5. ^ [2]
  6. ^ [3]
  7. ^ [4]
  8. ^ [5]
  9. ^ Alan Ohnsman (2010年5月6日). “Toyota Targets $50,000 Price for First Hydrogen Car”. bloomberg. http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601093&sid=aLfTTiIVws3s 2010年5月9日閲覧。 
  10. ^ Bloomberg News (2009年8月24日). “Hydrogen-powered vehicles on horizon”. The Washington Post. http://www.washingtontimes.com/news/2009/aug/24/hydrogen-powered-vehicles-on-horizon/?page=2 2009年9月5日閲覧。 
  11. ^ a b Mary Milliken (2010年3月12日). “Honda drives toward home solar hydrogen refueling”. Reuters. http://www.reuters.com/article/idUSN1212479020100313?type=marketsNews 2010年3月23日閲覧。 
  12. ^ Arthur Max (2010年4月18日). “Hydrogen still in the eco-car race”. AP via Chattanooga Times Free Press. http://www.timesfreepress.com/news/2010/apr/18/hydrogen-still-eco-car-race/ 2010年7月22日閲覧。 
  13. ^ a b c Ken Thomas (2008年10月24日). “Behind the wheel of the hydrogen Honda”. The Seattle Times. 2011年3月10日閲覧。
  14. ^ “Honda FCX Clarity - Vehicle Specifications - Official Web Site”. Honda. (2011年1月16日). http://automobiles.honda.com/fcx-clarity/specifications.aspx 2011年1月16日閲覧。 
  15. ^ Honda FCX Clarity”. 2011年3月10日閲覧。
  16. ^ Alan Ohnsman, Makiko Kitamura (2009年8月12日). “Honda Prefers Hydrogen as U.S. Pushes Battery Autos”. Bloomberg News. http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=aD5fw9um.Y3E 2010年6月8日閲覧。 
  17. ^ Honda 北米国際自動車ショー Hondaプレスコンファランスについて 2006年版以前は走行可能とされていない。
  18. ^ Honda 第39回東京モーターショー Honda乗用車・二輪車展示概要について 「ワールドプレミア」
  19. ^ [6]
  20. ^ [7]
  21. ^ [8]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

FCXクラリティ
FCXコンセプト