軽自動車

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軽自動車(けいじどうしゃ)とは、日本自動車の分類の中で最も小さい規格に当てはまる、排気量660cc以下の三輪、四輪自動車のこと。125cc超250cc以下の二輪車も指す。自動車は軽三輪軽四輪、二輪車は軽二輪ともいう。

元来は日本国外のキャビンスクーター英語版などの一種であったが、現在はより本格的な自動車として別種のものと認識されている。

概要[編集]

日本の軽四輪[編集]

スズキ・スズライトSF型
1956年

日本独自規格となる軽四輪は、道路運送車両法施行規則で定められており、現在の規格(1998年10月に規格改定)は、

  • 全長 3,400mm(3.40m)以下
  • 全幅 1,480mm(1.48m)以下
  • 全高 2,000mm(2.00m)以下
  • 排気量660cc以下[注釈 1]
  • 定員 4名以下
  • 貨物積載量 350kg以下

となっている。

なお、この条件を1つでも超えると普通車(登録車[注釈 2])の扱いになり「白地に緑文字」の自家用、または「緑地に白文字」の運送事業用での登録となる。この規格は日本への輸入車にも適用される(スマート[注釈 3]ナノも排気量は660cc以内であるが、全幅が1,480mmを超えるため、日本に輸入されれば普通車扱いで登録される。日本の軽自動車規格車にエアロパーツオーバーフェンダーを装着して寸法が規格値を超えた場合、改造にて普通自動車に変更手続きをしなければ脱税行為となり処罰の対象となる)。

また、本田技研工業(ホンダ)のS500S600は現在の軽自動車と同規格に当てはまるが、従前の360cc時代に生産された車両である関係上、新規登録時はこれらも同様に普通車扱いで登録される。

ナンバープレートの色は、自家用は「黄色地に黒文字」、事業用は「黒地に黄色文字」となっている(360cc時代の車両については小型のプレートに「白地に緑文字」(自家用)または「緑地に白文字」(運送事業用))。

詳しくは、ナンバープレートを参照。

超小型自動車の沿革[編集]

ゴリアテ・ピオネール
1931年 - 1934年

1910年代から1930年代にかけて、サイドカーを含む自動二輪車の延長線上、あるいは、三輪を含む自動車のダウンサイズ版として、それらのギャップを埋める簡易車両が多数誕生した。その後、オースチンセブン1922年 - 1939年)やシトロエン5CV1922年 - 1926年)に代表される、「まともな」四輪大衆車の量産化による高品質と低廉な価格を前にしては競争力は最早なく、急速に衰退している。

第二次世界大戦後、敗戦国を中心に、二輪車や航空機の余剰部品や材料を利用した簡易車両が庶民の足として生まれ、経済復興とともに再び隆盛を極めた。日本と同じく第二次世界大戦における敗戦国であるドイツイタリア植民地運営が行き詰り、不況となったイギリスフランスなどにも見られた。

自動車史では、これらの車両をサイクルカー、キャビンスクーター(独語ではカビネンローラー)、バブルカー、マイクロカーなどと呼び、現在では、自動車趣味の一ジャンルとして定着し、大切に保存されている。

現在では発展途上国の手軽な移動手段としてのほか、省資源の観点から先進国でも超小型自動車を見直す気運が高まりつつあり、新規開発も増えている。

日本の軽自動車は規格としては1949年昭和24年)に戦後の経済成長の一助となる事を目指して成立した。当初から運転免許証も普通車、小型車とは区別され、時期や地域によっては、実地試験が免除となり、費用負担も少ない「軽限定免許」なる優遇措置が存在したが、当時のモータリゼーションの主力および市場の需要はもっぱらオート三輪オートバイに集中しており、軽四輪自動車の本格的な製造販売を手掛けるメーカーはなかなか出てこなかった。軽規格自体も1954年(昭和29年)までほぼ1年おきに改正・拡大を繰り返すような有様で、実際に実用的な規格として固まり、その存在が国民に認知されるようになるのは、通商産業省(現・経済産業省)の国民車構想週刊誌によってスクープされる1955年を待たねばならなかった。この時代までに軽四輪自動車の製造販売に挑戦した少数の零細メーカーはほとんどが商業的に失敗するか、資本の限界で製造の継続ができなくなるなどの理由で、ほどなく市場からの撤退を余儀なくされている。

1955年、鈴木自動車工業(現・スズキ)が「スズキ・スズライト」を発売、軽規格内でも国民車構想に充分に合致する本格四輪乗用車の製造が可能であることが証明されたが、販売価格は42万円と未だ価格面では庶民の手には届きにくいものであった。当時の平均月収は数万円程度[1]であり、庶民の足となりえる原動機付きの乗り物はホンダ・カブFに代表される自転車後付エンジン(広義のモペッド)か原動機付自転車、250cc程度までの小型オートバイ(軽二輪)、高くてもダイハツ・ミゼットに代表される販売価格20万円台の軽三輪自動車までが精々という時代背景であった。

その後1958年に「スバル・360」が登場。先行車両をデザイン、性能、パッケージングなどあらゆる面で上回るものでありながら販売価格は40万円を切るものとなり、軽四輪自動車が国民に爆発的に普及する原動力となった。スバル・360の成功はそれまでもっぱらオート三輪の製造に注力していたマツダ、ダイハツ、三菱などのメーカーの経営方針を四輪中心に転換させる原動力ともなった。同時に各社とも貨物車の開発にも力を入れ、この過程で誕生した「軽トラック」や「軽ワンボックス」は日本の経済活動にとって欠かせないものとなった。またホープ自動車ホープスター・ON型4WDは改良発展で後にスズキ・ジムニーとなり、オフロード車としても成功を収めた。以降、業務用からレジャー用のバギーカーまでが出揃うほどの多様な車種展開を見せ、その発想は現在の車種にも受け継がれている。

世界各国の「サイクルカー」が姿を消していく中、日本の「軽自動車」は、本格的な自動車としての生き残りに成功した。その後、3度にわたって大幅な規格拡大があり、現在に至っている。1990年の660ccへの排気量拡大以降は、それまで多くの車種でオプション設定に留まっていたカーエアコンカーオーディオの標準装備化も進んでいき、1998年の現行規格登場後はエアバッグ衝突安全ボディーの実装、さらに2012年現在ではアイドリングストップ副変速機付きCVTバックモニターなどの装備も進み、単なる「廉価な四輪車両」の地位に留まらない、登録車と遜色ない快適性や安全性を有するまでになってきている。

しかし、軽自動車の自動車としての確立と性能向上に従い、当初の優遇措置は次第に打ち切られていき、車検の義務化や重量税の課税など登録車と同様の課税や規制が掛けられるようになっていった。また、今日では世界でも類を見ない性能を誇る存在になりながらも、その成立過程と税制、市場の特殊性故に国外での販売実績・普及はほとんどないままであり、国内市場からはコンパクトカーとの競合での税制面の優遇における批判、海外市場からは「日本市場の閉鎖性と保護政策の象徴」として批判の対象となっている(クワドリシクルなど日本以外にも類例の規格はないわけではない)。ただし、海外向けには軽自動車のエンジンだけを800[注釈 4] - 1,300cc程度に拡大したものは多数あり、日本からの完成車輸出や現地でのノックダウン生産を経て、完全国産化を果たしてその国(地域)独自の商品へと進化したものもある。1990年代以降の日本国内仕様にもミラジーノ1000パジェロJr.ジムニーシエラなどがある、特に軽トラック軽ワンボックスバンはその実用性が評価され、海外でも広くその姿をみることができる。軽自動車を製造しているメーカー各社は低コストで車を作る技術を蓄積し、新興国での競争力強化につなげることを目指している。

ナンバープレートは、自家用・貸渡用・駐留軍は黄地に黒字、事業用は黒地に黄字の中板(330mm×165mm)である。ただし、1974年以前に製造された軽自動車は、自家用・貸渡用・駐留軍は白地に緑字、事業用は緑地に白字の小板(230mm×125mm)となる。このタイプでは、住所変更や所有者変更などで新規にナンバープレートを発行する場合でも従前どおりの小板が発行される。このため、21世紀になって登場したご当地ナンバーでもこのタイプのための小板が存在する。現在も小板が発行されている理由は車両の構造上中板が取り付けられないためであるが、1974年製造の一部車種(三菱・ミニキャブなど)はナンバープレートの取り付けスペースを中板対応にし、ナンバープレートを固定するナットを小板用と中板用の2組設置して小板・中板のいずれも取り付けられるようにしているものもあった。なお、小板は現在でも250cc以下の軽自動二輪車で用いられている。ナンバープレートは、映像作品や、趣味の面においての時代考証でも重要な用件となる。

登録車のような所有権の登録制度がないので、届出に際し印鑑証明は不要である。また登録車とは異なり、多くの自治体で保管場所証明を申請する義務が無く、車庫証明も不要である。現在は、おおむね人口10万人以上の東京都区部でナンバープレート交付後の届出が必要となっている[2]

軽二輪[編集]

軽二輪とは、125cc超250cc以下の自動二輪車のことである。この排気量帯の二輪車については、普通自動二輪車または検査対象外軽自動車を参照のこと。

成立までの経過[編集]

軽自動車の発展は、まだ日本の自動車普及率が高くなかった1950年代モータリゼーション推進と日本の道路事情に見合った車の開発をめざした「国民車」構想の延長にあると、従来言われてきた。しかし実際にはこの構想において成功した自動車メーカーは皆無であった。富士重工業における「スバル360」の開発は「軽自動車の枠で、普通乗用車と同じ能力を」という前提で開発されており、最初から国民車構想をさらに上回る企画であった。

また平均的日本人における成人男子の体格が世界的に見て小柄であったことも、同車種が日本国内の市場に受け入れられた遠因に挙げられているが、当時のスバルやホンダの軽自動車がほぼエンジンのみを拡大して450 - 600ccとし、そのまま北米などに輸出され好評であったことから、欧米人の体格でも日本の軽自動車サイズで問題はなかった。

過去3度における大幅な規格拡大も、排気ガス抑制のための4サイクルエンジンへの移行促進(360cc → 550cc)、高速道路網の拡張への対応やカーエアコンの普及による馬力荷重の悪化(550cc → 660cc)、衝突安全性の確保(660cc 旧 → 660cc 新)などが主たる理由である。

スバル360と同時期に発表されたイギリスの「BMCミニ」は、エンジンこそ850ccであったが、室内容積は日本の軽自動車と同等であった。

軽自動車の特徴と用途[編集]

特徴[編集]

軽自動車の特徴は

  • 車両本体価格のほか、税金保険料などの維持費も安い
  • 車体が小さく取り回しが容易
  • 下取り価格が比較的高い(例外あり)
  • 燃費は、重量が元々軽いこともあり比較的良い(燃費上位の機種ではハイブリッドカーに匹敵するものもある)が、下記のエンジンへの制限があるため、高速走行時などでは極端に悪化する。

などである。

地方のスーパーマーケットと買い物客の軽自動車。特に地方では軽自動車は重要な交通手段である(愛媛県四国中央市旧土居町にて撮影)

道路が発達して渋滞が少ない、ロードサイド店舗が発達している、公共交通機関の便が悪いことなどから、自家用車の利便性が高い地方では、個人の通勤買物などの生活の足として、一世帯で複数台の自動車を所有することが一般的である。その際、コストを抑えるためにセカンドカー(一世帯で保有する2台目以降の車)以降に軽自動車を購入する例が多い。これらの使用者は、女性あるいは高齢者などであり、軽自動車の中心的購買層でもある(詳細はJAMAレポートNo.107を参照)。

職業別においては、農林水産業建設業運送業などで、軽トラックや軽ワゴン・バンを所有している例が多く、購入価格(イニシャルコスト)が低廉であることのほか、税金や維持費(ランニングコスト)も低く、幅員の狭い道路を楽に往来できるというメリットもある。冬季間の積雪凍結路面を走行する際や未舗装の悪路走行する際に必要な4WDも設定されており、軽トラックではメーカーオプションで悪路走行用に副変速機LSDデフロックが設定されている車種も存在している。

都道府県別の軽自動車保有比率(2013年3月末)

都道府県別で見てみると、軽自動車の保有台数は全47都道府県で増加しているものの、東日本大震災の被災3県(岩手県宮城県福島県)および沖縄県の計4県以外では登録車の保有台数が減少しており、軽自動車に取って代わられている傾向が見られる[3]2014年(平成26年)3月末現在、「軽自動車の保有台数」の1位は愛知県、2位は福岡県、3位は埼玉県、4位は北海道、5位は大阪府となっており、保有台数上位は都市部で占められる[4]。一方、「全自動車に対する軽自動車の保有シェア」(全国平均:37.9%)では、沖縄県(55.3%)、高知県(54.0%)、長崎県(54.0%)、和歌山県(52.5%)、島根県(52.0%)、鳥取県(51.9%)、鹿児島県(51.9%)、宮崎県(51.5%)、愛媛県(50.7%)、佐賀県(50.4%)の10県において全自動車の半数以上を軽自動車が占めており、中四国以西の地方部が上位を占める[4]。また、西日本に軽自動車のシェアが高い県が多い[4]。なお、東京都は全47都道府県の中で唯一、軽自動車に対する軽貨物車の比率が40%を超えており、軽ワンボックスバンと軽トラックが都民の生活を支えている[4]

都道府県別の2014年3月末の保有台数、保有比率[4]
2013年3月末の100世帯あたりの保有台数[5]
および、1998年3月末時点の保有比率[6]赤字は前年度より減少)
都道府県 全自動車
保有台数
(台)(A)
登録車
保有台数
(台)
軽自動車
保有台数
(台)(B)
軽自動車
保有比率
(%)(B/A)
100世帯あたり
軽自動車
保有台数
(台/100世帯)
1998年3月末
軽自動車
保有比率
(%)
全国 76,696,825 47,602,255 29,094,570 37.9 51.8 25.9
北海道 3,569,637 2,473,474 1,096,163 30.7 39.3 17.0
青森県 975,685 533,353 442,332 45.3 74.6 31.6
岩手県 985,808 541,660 444,148 45.1 84.9 31.9
宮城県 1,598,359 1,005,238 593,121 37.1 61.8 24.8
秋田県 800,101 435,124 364,977 45.6 84.5 34.3
山形県 906,636 502,707 403,929 44.6 98.2 34.6
福島県 1,566,334 934,073 632,261 40.4 82.1 29.0
茨城県 2,456,609 1,597,822 858,787 35.0 72.0 22.4
栃木県 1,623,983 1,064,090 559,893 34.5 69.8 22.9
群馬県 1,703,739 1,053,297 650,442 38.2 80.4 26.7
埼玉県 3,817,345 2,631,384 1,185,961 31.1 37.7 17.4
千葉県 3,412,887 2,359,950 1,052,937 30.9 38.4 18.6
東京都 3,937,087 3,183,817 753,270 19.1 11.3 11.5
神奈川県 3,682,145 2,798,797 883,348 24.0 21.0 13.6
新潟県 1,780,801 984,385 796,416 44.7 90.0 33.4
富山県 872,342 522,545 349,797 40.1 85.9 30.3
石川県 869,289 532,520 336,769 38.7 71.9 27.9
福井県 641,041 367,178 273,863 42.7 96.4 31.5
山梨県 715,143 398,526 316,617 44.3 90.0 31.2
長野県 1,814,259 979,909 834,350 46.0 98.0 34.4
岐阜県 1,621,108 985,812 635,296 39.2 81.1 26.7
静岡県 2,722,677 1,637,255 1,085,422 39.9 71.6 27.0
愛知県 4,897,557 3,387,561 1,509,996 30.8 49.0 19.3
三重県 1,445,271 830,181 615,090 42.6 80.9 31.6
滋賀県 972,684 544,236 428,448 44.0 78.3 32.9
京都府 1,266,178 783,282 482,896 38.1 41.2 25.5
大阪府 3,487,643 2,393,645 1,093,998 31.4 26.6 21.3
兵庫県 2,838,400 1,819,124 1,019,276 35.9 41.4 25.9
奈良県 798,842 471,216 327,626 41.0 56.0 27.7
和歌山県 718,646 341,551 377,095 52.5 85.3 39.6
鳥取県 451,485 217,265 234,220 51.9 100.1 42.7
島根県 537,679 257,886 279,793 52.0 98.3 42.8
岡山県 1,461,978 772,793 689,185 47.1 84.5 36.8
広島県 1,792,956 1,017,378 775,578 43.3 60.9 32.6
山口県 1,035,621 550,655 484,966 46.8 73.5 36.4
徳島県 597,910 310,794 287,116 48.0 86.4 37.4
香川県 748,123 392,205 355,918 47.6 82.7 38.1
愛媛県 974,188 480,161 494,027 50.7 76.0 38.8
高知県 538,206 247,446 290,760 54.0 81.5 42.4
福岡県 3,147,836 1,886,289 1,261,547 40.1 54.4 28.4
佐賀県 644,288 319,574 324,714 50.4 100.2 38.2
長崎県 893,930 411,429 482,501 54.0 76.5 39.7
熊本県 1,310,531 686,111 624,420 47.6 81.4 33.6
大分県 882,603 458,746 423,857 48.0 80.1 35.3
宮崎県 896,858 434,703 462,155 51.5 88.9 38.7
鹿児島県 1,289,051 620,338 668,713 51.9 82.6 38.0
沖縄県 995,346 444,770 550,576 55.3 90.9 27.9
  • シェアの項目に背景色がある県はシェア40%以上である。
    •     :50%以上
    •     :45%以上、50%未満
    •     :40%以上、45%未満

機構の特徴[編集]

ボディ形状[編集]

軽自動車が他国のバブルカーなどとは明確に違う点の一つに、ハッチバック、ミニバン、キャブオーバートラック、ワンボックス、SUV、オープンカー、中にはセダンやクーペ、ピックアップなどと自動車として考え得る大概のボディ形状を用意していることがある。

現在の軽乗用車は、コペンバブル期ビートカプチーノAZ-1などの趣味性の高い車を除き、総じてハッチバック型の2ボックスか、またはミニバンの軽自動車版といったモノスペース軽トールワゴン)がほとんどであるが、これは積載(容積)効率を重視したためである。

軽規格の寸法内では、4人乗りで3ボックス形状の独立したトランクルームを設ける場合、現在の日本人の体格では、着座姿勢を起こし気味(アップライト)にしても後部座席の居住性とトランク容積の両立は難しい。

実際にフルモデルチェンジ後のオプティは4人乗りでありながられっきとした独立したノッチバックで独立したトランクを持っていたが、1990年代末期から現在の基準としては比較的狭いものであった。

ただし過去、とりわけ1970年代前半のボンネットバン黄金時代以前は、乗用の軽自動車はトランク付のノッチバックおよびセミノッチバックが主流で、ハッチバックやワンボックスは商用という風潮が強かった。当時はまだ日本人の平均体型もあまり大きくなかったため、4人乗りで独立したトランクルームを備えても、それなりの居住性は確保できたのである。

もちろんそれだけではなく、かつての360cc時代のような「(クルマに)屋根が付いていて(クルマが)走れればそれだけで良い」だけでなく、現在は快適性や居住性、日常での使い勝手の優位性が求められており、顧客が求めているものが違っていることも要因に挙げられる。

動力機構[編集]

軽乗用車として最初に成功したスバル360リアエンジン後輪駆動(RR)であった。前輪駆動(FF)はスバル360より3年早く登場したスズライトなどがあったが、まだ操舵輪に対応したドライブシャフトのジョイント技術が未熟であったためトラブルが多かった。そのような事情もありRRは当時の小型乗用車のトレンドでもあった。1967年(昭和42年)にホンダがFFのN360を発売し、軽乗用車首位の座をスバルから奪い、さらに後継車であるライフが今日の前輪駆動車の標準ともいえるジアコーサ式レイアウトを採用した。1970年代はRR、FF、FRのそれぞれの駆動方式が入り乱れていたが、1980年代にはほとんどがジアコーザ式FFとなり、今日に至る。軽商用車(トラック、1BOXバン)では大型トラックとも同様のキャブオーバー式FRが主流で、唯一ホンダのみがミッドシップ(MR)を現在も採用している。なお、スバルでは自社での軽自動車製造から撤退する2012年(平成24年)までRRを採用していた。

排気量が360cc以下だった頃は別として、後年の規制緩和で軽自動車の車体寸法が大きくなり、さらには1990年代に入ると衝突安全性などの各種安全性といった要件が加わったことで、より大きく重くなっていった。

規格の拡大にともなって排気量も360ccから550cc、さらには660ccと大きくなっていったが、自然吸気エンジンのトルクでは重量の増加に対して厳しい面もある。

これを克服するために、1980年代後半頃以降の車種では、エンジン出力を稼ぐために550ccや660ccのエンジンにターボチャージャースーパーチャージャーを装着した車種が多い(2011年10月現在、一部のスバルの自社生産車種であるサンバートラック/サンバーバンを除きターボチャージャーが装着)。この風潮は現在でも強く残っているが、安全性を維持したまま車体を軽量化する技術の進歩やエンジン技術の進歩により、自然吸気エンジンでも普段乗る程度なら十分なトルクを稼げるようになったことと、排出ガス規制の考慮により過給器搭載車種は一時期ほどではなくなり、大体の乗用軽自動車はアルミホイールエアロパーツが最初から標準装備されるような高価なグレードであっても過給器ありとなしの2タイプがラインアップされるようになった。

しかし運送業者や遠出などにはやはり過給器付きの方がトルクがあり、積載時や高速での運転が楽になるため、運輸業で使われている軽トラックや軽ワンボックスはたいていの場合、過給器が付いている。

車両自体の特徴[編集]

税金・保険の優遇[編集]

自動車取得税
課税対象額の3%(乗用登録車は5%)
自動車重量税
エコカー減税非対象車の3年新規検査車で9,900円、2年で6,600円(同0.5t以下の普通車の場合、3年で15,000円、2年で10,000円)
初度検査後18年超の「高齢車」であっても自動車重量税は8,800円
軽自動車税
自家用乗用 年7,200円、自家用貨物 年4,000円、営業乗用 年5,500円、営業貨物 年3,000円(同 自動車税 1,000cc以下の乗用車で29,500円、貨物車・貨客兼用車(ライトバン等、積載量1,000kg以下)で13,200円。自治体によってそれよりも高い場合がある)
グリーン税制による初度登録後13年超の割増がない
自動車賠償責任保険(強制保険)保険料
貨物車、乗用車、特種用途車でも24ヵ月契約で26,370円(自家用乗用車は27,840円)
自動車保険(任意保険)保険料
同条件であれば乗用登録車より割安である。これは、軽自動車は用途毎の保険料で決定されている(車両補償を除く)のに対し、普通乗用車は自動車の型式ごとに定められた対人、対物、搭乗者傷害、車両補償の料率クラスによって保険料が決定される為である。但し、損害保険会社、共済によっては「貨物登録車の年齢条件設定は不可能(いわゆる全年齢対象のみ)」の場合もある為、必ずしも「保険料が安くなる」と断定することはできない。

その他の優遇[編集]

  • 購入時に印鑑証明車庫証明(保管場所証明申請)が不要。ただし、軽自動車の保管場所届出義務などの適用地域(政令指定都市県庁所在地や、おおむね人口10万人以上の市)においては、購入後に保管場所届出の必要がある[2]
    • 保管場所届出:手続きは届出制で、標章交付手数料のみ500円(登録車の保管場所証明申請は、承認後に標章発行となり申請手数料・標章交付手数料併せて2,600円(東京都の場合))
  • 高速道路の通行料が割安(1989年に普通車の約2割引程度に改定された)
  • 貨物車の車検は2年ごと(登録車=白ナンバーの貨物車は1年ごと)

その他[編集]

「軽自動車」という名称が与える誤解[編集]

  • 「軽自動車」と言う名称が原因で、ユーザーがとんでもない誤解をしてしまうケースが希にある。
    • 小型自動車に比べ車重が「軽い」から軽自動車(軽ワンボックスは車重1トンを超えることがあるため、相対的に「軽い」とも言い切れない)。
    • 軽自動車という名称から、「軽油を燃料として動く自動車」と勘違いしたドライバーが、セルフ式ガソリンスタンドにおいて軽油を給油してしまい、結果的に車を故障させてしまうという事例がある[8]。軽油は言うまでもなくディーゼルエンジン車の燃料。ガソリン車に軽油を入れると安定して燃焼せず停止するか最悪の場合激しいノッキングで故障する。これを受け、スタンド側が「軽油」という名称の使用をやめ「ディーゼル」に切り替える動きもある。
      • ヤンマー・ポニー等ディーゼルエンジンの軽自動車も存在はしたがあまり普及せず現在は発売されていない。しかしダイハツが軽自動車用のディーゼルエンジンを開発しており[9]今後ディーゼル仕様の軽自動車が発売される可能性はある。エンジンがディーゼルなら当然ながら燃料は軽油である。
    • 「車両進入禁止(軽車両を除く)」の道路標識で、「軽車両」を軽自動車と勘違いしたドライバーが進入禁止にもかかわらず入ってしまう事例がある。軽車両とは自転車やリヤカーのことであり、軽自動車は自動車であるため進入してはならない。

優遇見直し論と現状[編集]

近年の軽自動車、とりわけ軽ハイトールワゴンなどにおいては、エンジンのトルクが660cc旧規格時代とさほど変わらない割に、車重が1tに迫るかそれを超える程に重くなってきており、類似した車体サイズのコンパクトカーや小型乗用車に比較してパワーウエイトレシオ、ひいては実使用上の燃費も悪くなりやすい傾向[10]がある。このため、石油資源の有効活用や二酸化炭素排出量の観点(国家的な規模では排出取引にも大きな影響を与えうる)から見た場合、相対的な環境負荷が大きな軽自動車をコンパクトカーよりも過剰に優遇すべきではないという主張[11]も近年散見されている。

見直し推進派の主張[編集]

実際に2010年、民主党政権下の総務省の「自動車関係税制に関する研究会」[12]においても、軽自動車と1,000ccの小型自動車のCO2排出量の平均値は軽自動車の方が排出量が多い状況と認識されており、「暫定税率廃止」「複雑な自動車税制体系の整理」を謳う民主党マニフェストの主導の元、現状で地方税である自動車税および軽自動車税と、国税である自動車重量税を一元化し、JC08モード燃費計測値を有する新規登録車両を対象に、課税基準をCO2排出量割と排気量割の合計とする形とした自動車環境税の導入が検討されている[13]

影響[編集]

報告書によると課税対象は税制が成立した年度以降に新規登録された自動車が対象で、それ以前のものについては旧来の税制を適用とされているが、仮に現在の660cc新規格の軽自動車にこの税制が適用された場合、排気量割では税率が軽いものの、CO2排出量割での負荷が大きくなりやすいため、実質的な負担額は現税制の4倍強の増税となる可能性も報道で指摘されている[14]。前述の「自動車関係税制に関する研究会」では、現税制下においては小型自動車側の税負担が軽自動車の4倍強であることを問題としており、この税負担の格差について、環境自動車税の環境損傷負担金的性格や財産税的性格からは、もはやその格差を合理的に説明することは困難であり、軽自動車と小型自動車を区分して議論すべきものではないと結論付けている。また、「環境自動車税(仮称)に関する基本的な考え方」においても軽自動車側の大幅な増税を前提とした上で、引き上げ分を小型自動車側の減税に充当し、税制中立(税制全体の収支は改正前後比±ゼロとし、新たな国民負担は生じさせない)を維持するとしている。

見直し反対派の主張[編集]

しかしその一方で、いくら環境のためとはいえ軽自動車の増税には同意できないという声もある。その主な理由として

  • 地方住民や低所得者にとって、貴重な移動の足である。
  • そもそも登録車の税金が高すぎる。
  • 国内の製造業への影響[15]
  • 軽のクラスレス化が実現できたのは企業努力によるものであり、批判される覚えはない。

といったものが挙げられている。

  • Response記事より
本項目で上述された通り軽自動車の普及率は交通の便が悪い地方で高い。それゆえいたずらに軽の税金を上げることは地方住民の移動の足を奪う(=買い物難民などの発生)ことにになりかねないためであり「地方の生活を徹底破壊してしまう可能性」「当事者(=地方の住民)にとっては、CO2などよりよほど深刻な生活の危機」とまで言われている[16]
全軽自協は同会のパンフレットの中では日米英仏独5カ国の1800cc車、及び日本の軽自動車の購入・保有にかかる税金を比較した結果、他国での負担が軽並みであることから「軽ユーザーの税負担が国際水準」(=軽の税金が安いのではなく、登録車の税金が高すぎる)と主張している。
  • 政党からの反対意見
日本共産党および社民党は軽が地方住民や低所得者の貴重な移動の足であるという観点から、軽自動車増税反対派である。そのためこの2党の主張するTPP反対理由の一つとして、軽規格の撤廃要求(後述)が挙げられていた。
  • メーカー関係者からのコメント
  • 鈴木修(スズキ会長)のコメント
    • 鈴木氏も軽自動車は比較的低所得の人が生活・仕事に使っているとして(軽自動車の増税は)「弱いものいじめと感じる」「こういう考え方がまかり通るということになると、残念というより、悲しいという表現が合っている」と発言。また、下請けの仕事量、ひいては雇用にも影響があるとの考えを示した[17]
    • かつては「軽の税金を上げるだけでなく、リッターカーの税金を下げるという話ならいくらでも協力するのに」と発言した[16]ほか、軽の品質向上で登録車と差が無くなった事による不平には「軽自動車は寸法も排気量も厳しく制限されている。そのなかで素晴らしい4人乗りのクルマができているのは、軽メーカー各社の努力のたまもので、いわば芸術品のようなものだ。その努力を見ないで普通のクルマと同じようなものと言うのはいかがなものか」と反論[18]している。
  • 伊奈功一(ダイハツ会長)のコメント
    • 伊奈会長も「軽自動車税は国際的に見れば標準的であり、むしろ登録車の自動車税が高すぎるというのも(日本自動車工業会の)一致した見方だ」としており、軽自動車がないと年金暮らしの高齢者が買い物難民になってしまうと指摘。
    • またTPPの件に関しても「軽自動車はどこの国のメーカーがつくっても、税制は同じ。優遇税制でなければ、非関税障壁でもない。自由につくってもらってかまわない」と答え、「つくれないのならダイハツもOEMで応える」と笑った。そして軽の未来に関してはそもそもがエコカーとしての素質を持っているとして小型軽量で運転しやすく低燃費な軽は日本でも新興国でもこれから更に求められるとしている[19]

現状[編集]

その一方で、2005年ごろからのガソリン価格の高騰により、軽自動車以外の登録車の売れ行きの減少に対し、軽自動車の売れ行きが伸びており、過去最高の軽自動車ブームとなっている。特に2006年の軽自動車の新車販売台数は202万3,619台となり、初めて200万台を突破。登録車も含めた国内新車販売台数における軽自動車の比率も35%を突破した。一方で今後の国内市場が縮小するのを見越してスズキは、軽自動車部門の生産数の抑制とグローバル展開を見越して、登録小型車開発および生産に重点を置く経営方針を表明している。

軽自動車は非関税障壁か?[編集]

2012年1月13日、アメリカ合衆国自動車政策会議(AAPC)[注釈 5]は、アメリカ合衆国通商代表部が募集を締め切った環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する意見の中で日本の軽自動車規格がアメリカ製自動車の参入障壁であるから「廃止すべき」と主張している。しかし軽自動車市場への参入と言うことに関しては規格に合致すれば外国メーカーにも門戸は開かれており(それゆえ上述のように、ダイハツ会長も「非関税障壁ではない」と反論している)、後述のスマートKやCT&T・e-Zoneなどのように軽自動車の輸入車は存在している。並行輸入車としての型式不明車、組立車としての登録も無論可能である。また2014年にはイギリスの自動車メーカーケーターハムが、正式に軽自動車の規格に合致するモデル「セブン130」を日本市場へ導入するなど、海外メーカーの新規参入も現実に行われている。

沿革[編集]

改造によって「製造」年月日時点での軽自動車規格に合致しなくなった軽自動車は、全て普通車として取り扱われる。但し、軽自動車の保安基準に適合していても、普通車としての保安基準(衝突安全基準、荷室の容積など)に適合しない場合は不正改造車となり、普通車としての登録は不可能である。

黎明期(100/150cc)[編集]

  • 1949年7月 『運輸省令第36号「車両規則」第3条第2項』が改定され、「自動車を分けて軽自動車、小型自動車、普通自動車及び特殊自動車の四種とし、その分類は別表で定める」という文言をもって、軽自動車の名称が史上初めて登場した[20]
    • 長さ2.80m、幅1.00m、高さ2.00m。
    • 4サイクル車は150cc以下、2サイクル車は100cc以下。
    • 輪数の区別はなく、排気量と車体寸法が合致していれば全ての車種に適用された。
      • 実際にこの規格で製造された四輪車は存在せず、翌1950年に早くも最初の規格改定を迎えることとなる。

草創期(200/300cc)[編集]

  • 1950年7月 規格改定。
    • 4サイクル車は300cc以下、2サイクル車は200cc以下
    • 長さ3.00m、幅1.30m、高さ2.00m
    • 規格内に四輪(現在の軽自動車)、三輪(小型のオート三輪)、二輪(二輪の軽自動車(軽二輪))の区分が加えられる[20]
      • この規格も実際に製造された四輪車は存在しないとされる。

普及前夜(240cc/360cc)[編集]

  • 1951年
    • 8月 運輸省令「道路運送車両法施行規則」として規格改定[20]。4サイクル車は360cc、2サイクル車は240cc。
    • 名古屋の中野自動車工業(後の日本オートサンダル自動車)が、日本初の軽四輪自動車としてオートサンダルを試作開発。
  • 1952年
    • 軽自動車運転免許を新設。
    • 中野自動車工業がオートサンダル軽自動車製造株式会社に名称変更、翌1953年より本格的に軽四輪自動車生産を開始。
  • 1953年、横浜日本自動車工業(後の日本軽自動車)が、NJ号の製造を開始。
  • 1954年4月、東京・日比谷公園にて第1回全日本自動車ショウ(東京モーターショーの前身[21])開催、多くの零細メーカーから多数の軽自動車が出展される[22]

大メーカーの本格参入(360cc)[編集]

  • 1954年
    • 10月 軽規格改定[20]。4サイクル車、2サイクル車とも360ccに統一。
    • 日本オートサンダル自動車が活動を停止。総生産台数200台ほどであった。
  • 1955年
    • スズキスズライト発売。
    • 日本軽自動車、NJ号の名称をニッケイタローに改める。
    • 3月 住江製作所、フライングフェザーの製造販売開始。
  • 1956年
    • 住江製作所、フライングフェザーの販売を終了し軽自動車から撤退。総生産台数は僅か48台[23]
    • 富士自動車フジキャビンバブルカーの範疇に含まれる)の製造販売を行うが、商業的には失敗し翌年に軽自動車から撤退。
  • 1957年
  • 1958年
    • 3月 スバルスバル360発売。
    • 日建機械工業、ニッケイタローの後継となるコンスタックを発売。
  • 1959年
  • 1960年
  • 1961年
    • 三菱、四輪の三菱・360発売。好調であった軽三輪から敢えて撤退し軽四輪へ経営資源を集中する事となる。
    • 日建機械工業、コンスタックの製造中止。軽自動車から完全撤退。
  • 1962年
    • 1月 東急くろがね工業、会社更生法を申請、ベビーも生産停止に追い込まれ軽自動車より撤退。
    • 2月 愛知機械工業、ヂャイアント・コニー360をコニー・360に改称。
  • 1963年
  • 1965年 ホープ自動車、自社ブランドの軽自動車より撤退。
  • 1967年
    • ホープ自動車、ホープスター・ON型4WD販売。エンジンは三菱自動車工業供給。100台程度販売される。その後、ホープ自動車は自動車の製造は行っていない。尚、この車は製造権売却により後のスズキ・ジムニーへと繋がっていく。
    • 3月 ホンダ、N360発売。高出力競争の火付け役となる。
  • 1968年9月 軽自動車運転免許を廃止し、限定免許(審査未済)として存続。
    • 普通自動車運転免許が18歳以上でないと取得不可能であるのに対し、軽自動車運転免許は16歳以上で取得可能であった[注釈 6](最近でこれに似た存在であったものに50ccミニカーがある)。
  • 1970年
    • 4月 スズキ、軽自動車初の量産オフロードカージムニー発売。
    • マツダ、キャロルの製造中止。軽乗用車のラインナップが一時的になくなる。商用車のポーターは継続。
    • 9月 保安基準の改正により、新型車[注釈 7]に対するブローバイガス還元装置の装着が義務付け[24]となる。
    • 10月 愛知機械工業が自社ブランドのコニーの製造を中止。自社ブランドの自動車から完全撤退。この頃までに黎明期以来の小規模メーカーは軽自動車市場から完全に姿を消し、現行メーカーによる体制が確立する。
  • 1971年
  • 1972年
    • 1月 1966年以来、登録車を中心に行われてきた新車に対する一酸化炭素濃度規制が軽自動車にも適用(3%以下)されることとなる[25]
    • 7月 マツダ、シャンテの製造開始で軽乗用車製造に復帰。同月、保安基準の改正で新型車に対する燃料蒸発ガス抑止装置の装着が義務づけとなる[25]
  • 1973年
    • 4月 日本初の本格的な自動車排出ガス規制である昭和48年排出ガス規制が、軽自動車も対象とする形[注釈 8]で成立[26][27]。48年規制は使用過程車[注釈 9]であっても酸化触媒もしくはディストリビューターへのバキューム式進角装置の後付けで規制適合が認定される程度の排出基準[注釈 10][28]であったが、2ストローク機関のハイパワー車はこの時点を契機に次第に姿を消していき、比較的車両重量の軽い軽乗用車を中心に4ストローク機関への移行が模索されることとなる。
    • 10月 これ以前に製造された車両も含め、全ての軽自動車に対して車検が義務化される。それに従い、登録車と同様に車検ごとの重量税納付が求められることともなったが、「自動車重量税法 付則12項」による暫定措置として1974年4月末以前にナンバー登録(初年度登録)された車両については「当分の間、届出軽自動車とみなす」として、車検ごとの重量税が当分の間免税となる扱いとなった。この措置は2012年現在も継続中である[29]。また、同時に使用過程車に対するアイドリング時CO濃度検査も開始される[30]
    • 12月 継続生産車両に対して48年規制が正式適用される。
  • 1974年
    • 5月 これ以降に新規にナンバー登録された軽自動車は車検ごとの重量税納付が義務化される。
    • ホンダ、ライフZの製造中止。軽乗用車から一時撤退。ユーザーユニオン事件による販売不調とイメージの低下、および、シビックの好調やアメリカ市場での大型バイクの好調より製造ラインが不足したことが理由。当時、軽自動車シェアトップだったホンダの撤退で、結果的にスズキがシェアトップになった。商用車のTN-Vは継続。
  • 1975年
    • 1月1日 現行の黄色のナンバープレート制定。プレートの大きさも登録車と同じになる(排気量は360ccエンジンのまま。表記は当初「品川50 あ(4桁)」)。なお、事業用は黒色ナンバー。
    • 4月 日本版マスキー法とも言われる厳しい排出基準を課した昭和50年排出ガス規制[注釈 11]が全ての軽自動車を対象に成立[注釈 12][26][27]。軽自動車に関しては新型車はこの月から、継続生産車は同年12月から、そして2サイクル軽乗用車は1976年4月から適用という幾つかの猶予期間を置いたうえで[31]実施されることとなったが、まだ貨物車を中心に残存していた2ストローク機関による50年規制および、翌1976年の51年規制の達成は当時の技術では極めて困難であった。T360以来の4ストローク機関の技術蓄積のあったホンダや、L50型エンジンの開発で2ストロークのまま規制を通過したスズキを除く各社は、貨物車の4ストローク機関への移行を試みるものの、非力な360cc4ストローク機関では貨物運搬時などに運用上の無理が顕在化することとなり、すでにある程度移行が進んでいた乗用軽自動車でも規制対応によって出力の低下が著しくなることから、同年中の軽規格改正に伴う新規格車への生産移行が促されることとなる。
    • 9月 道路運送車両法施行規則改正により、軽自動車の規格が1976年1月に改訂されることが決まる。
    • 12月 継続生産車(2ストローク軽乗用車を除く)に対して50年排ガス規制が正式適用。この時期を境に軽乗用車ベースの軽商用バンから2ストローク車がほぼ姿を消す。軽貨物車でも2ストロークエンジンで規制を通過したのはスズキとダイハツ[注釈 13]のみであった。
  • 1976年
    • 昭和51年排出ガス規制が軽乗用車を対象[注釈 14][26]に成立。前年のCO、HCに引き続き、NOxの規制値も1970年式比で少なくとも1/10以下に大幅強化される。各社は登録自動車での様々な排ガス対策技術を、軽自動車へも導入していくことになるが、その一方でスズキはLJ50型/T5型エンジンで2ストロークのまま、この規制の通過にも成功する。
    • 4月 2ストローク軽乗用車に対して、50年規制[注釈 15][32]が1年遅れで正式適用。煽りを受ける形でマツダがシャンテとポーターを製造中止。当時の軽自動車メーカーの中でマツダのみが550ccへ移行することなく軽乗用車から一時撤退、商用車のポーターキャブは360ccのまま暫く継続されたが、1977年の550ccへのマイナーチェンジで550ccエンジンは三菱自動車工業から供給される事となり、軽自動車用エンジンの自社製造から撤退している。なお、軽乗用向け360cc2ストロークエンジンで50年暫定規制を通過したのはフロンテのL50型とダイハツ・フェローZM型のみであった。
  • 1981年8月 ダイハツ、最後まで360ccで製造継続[注釈 16]されていたハイゼットを製造中止。軽免許所有者に配慮しての製造継続されていた。

ボンネットバン黄金時代(550cc)[編集]

  • 1976年1月 規格改定。
    • 長さ3.20m、幅1.40m(高さ2.00m) 550cc
    • 排ガス規制などの影響を受けて改訂されることになった。規格改定より間がなかったことで、改訂と同時に新規格車の販売とはならなかった。1976年4月より各社より新規格車が発売されるが、三菱自動車工業の2G2型471ccや富士重工業のEK型490cc、スズキのT4A型443cc、更にはダイハツによるスズキ・フロンテへのエンジンOEM供給など、各社ともエンジンの対応に苦慮したが、1977年中にはさらなる排気量拡大などにより各社とも550cc化への対応をほぼ完了した。また、車体の面では当初は360ccの車体のままバンパーの大型化のみで新規格サイズへ拡大するなど、さまざまな方法で新規格対応車を発売している。
  • 1978年
    • 昭和53年排出ガス規制が軽乗用車を対象に成立[注釈 17][26]。NOx排出基準は1973年4月以前比約8%まで強化[28]。マスキー法の目標であった1970年式比1/10以下の目標が完全達成されることとなり、三元触媒の普及が軽乗用車でも進んでいく。スズキのみこの規制下でも2ストロークエンジンの通過に成功し、フロンテやセルボなど一部車種で2ストロークを継続。
  • 1979年
  • 1980年6月 ダイハツ、初代ミラ発売。
    • 後部に荷台(荷室)を設け、貨物自動車型(軽ボンネットバン)として発売された軽自動車(4ナンバー車)が、税金の安さなどから急速に普及。アルトやミラなどがこれに分類される。
  • 1981年
  • 1982年
  • 1983年3月 三菱、ミニカ・アミL/エコノターボエンジンモデルを追加。
    • 軽自動車初のターボ車の登場。
  • 1984年 9月 スズキ、フロンテとアルトをモデルチェンジ。T5B型が生産終了となり、軽乗用車から2ストローク機関が姿を消す。
  • 1985年
    • 10月 ダイハツ、ミラターボTR-XX発売。
    • ホンダ、トゥデイでバンタイプの商用車以外の軽自動車(ボンネットバン)再参入。
    • スズキ、キャリイをモデルチェンジ。軽トラックから2ストローク機関が姿を消す。
  • 1987年
    • 2月 スズキ、アルトワークス発売。
    • 6月 三菱、ミニキャブスーパーチャージャー搭載車を設定
      • 軽自動車初のスーパーチャージャー車の登場。軽トラック初の過給器搭載事例であり、同年中にスズキ、ダイハツもそれぞれキャリイ、ハイゼットにスーパーチャージャーを設定する。
      • メーカー間のパワー競争が激化。協定により当時最もハイパワーだったアルトのそれを元に64PS(47kW)が上限となる。しかし過給器付の軽自動車の大半は排気系の抵抗を増大して形式登録を受けており、排気系を合法の枠内で簡単に改善するだけで自主規制をオーバーし、80 - 90PSは出てしまうものがほとんどである。
  • 1988年 SJ30型ジムニーの国内販売が在庫車両の完売をもって終了。軽自動車から2ストローク機関が完全に姿を消す事となった。
  • 1989年
    • 2月 道路運送車両法施行規則改正により、軽自動車の規格が1990年1月に改訂されることが決まった。
    • 4月 消費税導入により、自動車物品税廃止。
      • 税金が安かった貨物車型のメリットが小さくなり、市場は乗用車型(5ナンバー車)へと大きく変化。
    • マツダ、キャロルで軽乗用車に再参入。エンジンはスズキ供給。また、自社でボディを作成していたポーターキャブは、スズキのOEMのスクラムに切り替わる。

軽自動車の小型(普通)車およびクラスレス化(旧 660cc)[編集]

  • 1990年1月 規格改定。
    • 長さ3.30m(幅1.40m、高さ2.00m)660cc
    • 平成2年排出ガス規制が軽貨物車を対象に成立[注釈 20][27]。1979年、1982年に次ぐ軽貨物車への規制強化。この頃を境に軽自動車でも上位グレードへの電子制御式燃料噴射装置の装備が増加していく。下位グレードや貨物車においても多くの車種のキャブレターが電子制御化されることとなった。
  • 1993年9月 スズキ、ワゴンR発売。
  • 1995年8月 ダイハツ、ムーヴ発売。
  • 1996年9月 道路運送車両法施行規則改正により、軽自動車の規格が1998年10月に改訂されることが決まる。
  • 1997年4月 ホンダ、2代目ライフ発売。

普通車同様の安全規格の採用(現 660cc)[編集]

  • 1998年
    • 10月 規格改定。
      • 長さ3.40m、幅1.48m(高さ2.00m)
      • 軽自動車にも普通車と同じ安全衝突基準を採用することとなり車体が大型化された。
    • マツダ キャロルをスズキからのOEMに切り替え、自主開発から撤退。
  • 1999年 軽1BOX初の乗用登録であるタウンボックス発売。
  • 2000年
    • 平成12年排出ガス規制施行。これ以降軽自動車も燃費基準やグリーン化税制による減税(登録車における重課税制度は現在のところ対象外)といった、より厳しい環境基準が課せられるようになった。装備面ではこの年度を最後にキャブレターのエンジンが姿を消し、燃料噴射装置への完全移行が達成された。
    • 10月 高速道路での最高速度80km/h制限撤廃、小型車と同じく100km/hに。
  • 2001年10月 ダイムラー・クライスラー日本(当時)、スマートK発売、正規輸入車初の軽自動車となった。
  • 2002年
  • 2005年1月 分類番号3桁化、希望ナンバー制導入。
  • 2008年4月 富士重工業が軽自動車の自社生産から撤退表明。後に、ディアスワゴンプレオステラをダイハツからのOEMに順次切り替え。
  • 2009年6月 三菱自動車工業が軽規格の電気自動車であるi-MiEVを発売する。
  • 2011年
    • 6月 三菱自動車工業と日産自動車が、軽自動車の共同開発を目的とした会社NMKVを、両社の出資により設立。
    • 9月 トヨタ、ダイハツからのOEMのピクシススペースで軽自動車に参入。これにより普通乗用車を扱う国内メーカー(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱、富士、スズキ、ダイハツ)がOEMを含め、すべて軽自動車を販売することになった。
    • 9月 ダイハツ JC08モードで30km/Lの燃費を実現したミライースを発売。
    • 11月 スズキ JC08モードで30.2km/Lの燃費を実現したアルトエコを発売。
      • 軽自動車・コンパクトカーの低燃費化の進行で、電気自動車・ハイブリッド車とは異なる「第3のエコカー」と呼ばれる車種が登場した。
  • 2012年
    • 2月 富士重工業が軽自動車生産を終了。生産終了まで自社製造していたサンバーを同年4月にダイハツからのOEMに切り替え、現行車種のOEM化も完了。
    • 8月 ダイハツ・コペンが生産終了し、直列4気筒エンジン搭載の軽自動車は全滅。
  • 2013年
    • 6月 三菱自動車工業と日産自動車間の初の共同開発車、eKデイズが販売開始。
      • 2011年に設立したNMKVが開発した車両で、系列が異なる企業間での共同開発となった。
    • 8月 三菱自動車工業が電気自動車を除く軽商用車(ミニキャブ)の自主生産を同年12月までに撤退する事を表明。2014年度より同社の軽商用車をスズキからのOEMに切り替え予定。
    • 11月 イギリスの自動車メーカーケーターハムがスズキの軽自動車向けエンジンとトランスミッションを採用した「165」を発表。日本向け仕様「セブン130」も軽自動車の規格に合致しており[33]、代理店が2014年中に軽自動車として正規輸入を予定している[34]

軽自動車車種[編集]

  • 以下はOEM車種。
    • ※は自社生産されたことのない車種。
    • ■はかつて自社生産されていた車種。

現在販売されている軽自動車車種[編集]

2014年現在、日本の乗用車メーカーで軽のラインナップを持たないのは光岡自動車のみであるが、実際に車両を生産しているのはスズキダイハツ工業三菱自動車工業本田技研工業の4社だけである。太字が製造元(OEM・共同開発問わず)の車種。

スズキ製[編集]

スズキ マツダ 日産自動車 三菱自動車工業
アルト キャロル
アルト ラパン
ワゴンR フレア
MRワゴン モコ
スペーシア フレアワゴン
エブリイ スクラム バン NV100クリッパー[注釈 21] ミニキャブ バン
エブリイ ワゴン スクラム ワゴン NV100クリッパー リオ タウンボックス
キャリイ スクラム トラック NT100クリッパー[注釈 22] ミニキャブ トラック
ジムニー
ハスラー フレア クロスオーバー

ダイハツ工業製[編集]

ダイハツ工業 スバル
富士重工業
トヨタ自動車
ピクシスシリーズ
ミラ プレオ
ムーヴ ステラ
ムーヴ コンテ ピクシス スペース
タント
タント エグゼ ルクラ
アトレー ディアスワゴン
ハイゼット カーゴ サンバー バン ピクシス バン
ハイゼット トラック サンバー トラック ピクシス トラック
ミラ ココア
ミラ イース プレオ プラス ピクシス エポック
コペン

本田技研工業製[編集]

三菱自動車工業製[編集]

△はNMKV越しの共同開発車種。

三菱自動車工業 日産自動車
eKワゴン・eKカスタム デイズ
eKスペース デイズ ルークス
i-MiEV
ミニキャブMiEV

今後発売が予定されている軽自動車車種[編集]

ケーターハム
セブン130(165の日本向け仕様)

過去に販売された軽自動車車種[編集]

※・■印の後ろの車名が原車種。

ダイハツ工業
フェロークオーレリーザリーザスパイダーオプティミゼットネイキッドミゼットIIテリオスキッドテリオスルキアMAXミラジーノムーヴラテソニカエッセ
スズキ
カプチーノスズライトツインマイティボーイフロンテアルト・ワークスセルボモードフロンテクーペフロンテハッチキャラ(※AZ-1)、セルボKeiパレット
ホンダ
T360TN360N360Zライフステップバンライフピックアップトゥデイビートストリートザッツゼストライフ
三菱自動車工業
ミニカ/ミニカエコノ(バン)/ミニカスキッパーミニカトッポ/トッポBJミニキャブブラボー/ブラボーパジェロミニi(アイ)ガソリン車
富士重工業(スバル)
スバル360スバル・R-2レックスヴィヴィオR1R2
日産自動車
ハイパーミニピノ(※アルト)、クリッパーリオ(※タウンボックス)、キックス(※パジェロミニ)、ルークス(※パレット)
マツダ
R360クーペシャンテAZ-1ポーターラピュタ(※Kei)、スピアーノ(※アルトラパン)、AZワゴン(※ワゴンR)、AZ-オフロード(※ジムニー)
ダイムラー
スマートK
愛知機械工業
ヂャイアント・コニー360ヂャイアント・コニーグッピー
ホープ自動車
ホープスターNTホープスターOTホープスターOVホープスターON
東急くろがね工業
くろがね・ベビー
ヤンマー
ポニー(2009年現在、ディーゼルエンジンを搭載して市販された唯一の軽自動車)
CT&T
e-Zone
フィアット
フィアット・126(輸入時期と排気量によっては、軽自動車として登録可能な外国車の一例)

日本国外の類似規格車両[編集]

中国[編集]

以下のような車両がある。

韓国・キョンチャ[編集]

韓国には軽車(경차/輕車)と呼ばれる日本の軽四に似た小型車の規格がある。読みは「キョンチャ(朝鮮語)/けいしゃ(日本語)」。「軽車、取得税・登録税免除」「高速道路通行料50%割引」「公営駐車場50%割引」「軽車キョンチャ経済キョンジェだ!(경차輕車경제經濟다!)」というコピーで利点を強調したマティスの韓国国内向けCMも存在していた。日本の軽自動車の現地生産車も車種数として過去のモデルに多く存在するが、排気量上限が1,000cc(当初は800ccだったがその後改定)であること、LPG専用モデルが存在すること(デーウ・ダマス/ラボ、キア・タウナーなど)が日本のものと大きく異なる点である。一般的にはその排気量ゆえ日本では登録車扱い(実際に日本で登録されたマティスやアトスは登録車扱いとなっている)だが、電気自動車のCT&T・e-Zoneは日本でも軽自動車登録となっている。

主な車両(生産終了車種含む)
軽車の例

フランス・クワドリシクル[編集]

エグザム・スカウティー R
クボタ製2気筒400CCディーゼルエンジン搭載

クワドリシクル(quadricycle)とは、フランスを中心に日本の軽自動車に近い規格で造られている車のこと。フランス語で「四輪自転車」の意であるが、日本語に訳せば「四輪原付」、あるいは特徴から言えばミニカーに近い存在というところであろう。規格は軽量車(Quadricycle léger à moteur)と重量車(Quadricycle lourd à moteur)の二区分が存在しており、前者は「排気量50cc以下の火花点火機関または最大出力4kw以下の原動機で、車両重量200kg以下、車両総重量350kg未満となること」[35]、後者は「最大出力15kW以下の原動機で、乗用の場合は車両重量400kg以下、車両総重量550kg未満。貨物の場合は最大積載量200kg以下、車両総重量1000kg未満」[35]とされており、最も大きな特徴は、法的に自動車とは別枠の扱いがされていることにある。なお軽量車は最高速度45km/hまでに限定され、ハイウェイは走れないという制限がある。かつては16歳以上なら無免許で運転できたが、2013年1月19日からの欧州免許制度改正により、軽量車はAMクラス(モペッド相当)免許、重量車はB1クラス免許が必要となる[36]

主なメーカーはエグザム、かつてF1チームを率いていたことで知られるリジェ、MCCなどがある。なお、今日のクワドリシクルにおいては400ccの水冷直列2気筒のディーゼルエンジンを搭載する車種が大部分を占めている。これは軽量車の排気量制限が火花点火機関(ガソリンエンジン)に限定されており、圧縮点火機関であるディーゼルエンジンや電気モーターにおいては最大出力の制限のみがかかるためである。

「超小型車(超小型モビリティー)」の検討[編集]

2012年5月、日本政府が(4輪の)軽自動車と自動二輪車の中間の車両として「超小型車(超小型モビリティー)[注釈 23]」を道路運送車両法に加えることを検討していると報道された。

すでに日産自動車は2010年に2人乗りの超小型電気自動車「ニュー モビリティー コンセプト」を開発し、横浜市などで公道走行を含む実証実験を進めている。ニュー モビリティー コンセプトの姉妹車であるルノー Twizyは、フランスはじめ欧州で販売が開始されている。トヨタ車体も1人乗りの超小型EV車「コムス」を開発し、福岡県で実証実験が進められている。新型コムスはミニカー扱いですでに販売が開始された。他にもダイハツ工業は「PICO」、ホンダ「MICRO COMMUTER CONCEPT」、スズキ「Q-Concept」など、各社が2011年の東京モーターショーなどで展示している。

2012年6月4日、国土交通省は「環境対応車普及による低炭素まちづくりに向けて」と題する超小型モビリティについてのガイドラインを報道発表した[37]。詳細は「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン[38]~新しいモビリティの開発・活用を通じた新たな社会生活の実現に向けて~」に詳しい。2012年6月18日にはこれらの車両が国土交通省内駐車場に集められ、お披露目と一部車両の試乗会が行われたが、現状では特長といっても小さいことと原動機の出力がミニカーより多少大きいという程度であり、エアコンはなく、雨風も防げず、わずかな荷物しか積めず、走行距離は短く、衝突安全性も劣っている。軽自動車が長い歴史の中で培った利便性・安全性・快適性には遠く及ばない。

2013年1月には国土交通省より超小型モビリティの認定制度について発表され、車両の詳しい規格などが公表された[39]。自転車が安心して走れるレーンすら確保できない劣悪な道路事情の中で、交通弱者にとっても魅力ある交通手段として成立させるには、コスト面[40]を含めて課題が山積しているにもかかわらず、国土交通省があえてこのような実用に堪えないものを推進しようとしていることについては、軽自動車の優遇税制見直しなどに絡んだ同省の隠された意図が指摘されている[41]

超小型車の概要 / 位置付け
軽自動車 超小型車(超小型モビリティー) ミニカー
排気量 660cc以下 定格出力8kW以下
内燃機関の場合は125cc以下[注釈 24]
50cc以下
電動機の場合は定格出力0.6kW以下
全長 3.4m以下 軽自動車規格内
(2.5m以下の車両は側面方向指示器省略可)
2.5m以下
全幅 1.48m以下 軽自動車規格内
(1.3m以下の車両は一部保安基準緩和
1.3m以下
乗車定員 4人 2人
(1人+年少者2人も装備があれば可能)
1人
最大積載量 350kg 軽自動車規格内 30kg
高速道路 走行可 走行不可 走行不可
自動車専用道路も走行不可
車検 有り 現時点では無し・ただし認定を要する 無し
特徴 小型自動車よりも維持費が割安。 現時点では認定された運行地域のみ走行できる。
軽自動車よりも更に維持費が割安。
ファミリーバイク特約で任意保険に加入できる。
車庫(保管場所)は不要。

出典・注釈[編集]

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出典[編集]

  1. ^ 戦後昭和史 - サラリーマンの月収と支出
  2. ^ a b 軽自動車の保管場所届出義務等の適用地域一覧(社団法人全国軽自動車協会連合会)
  3. ^ 軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア社団法人全国軽自動車協会連合会
  4. ^ a b c d e 2014年3月末現在軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア(社団法人全国軽自動車協会連合会)
  5. ^ 軽自動車の世帯当たり普及台数について(社団法人全国軽自動車協会連合会 2013年9月2日)
  6. ^ 1998年3月末現在軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア(社団法人全国軽自動車協会連合会)
  7. ^ ハイゼットトラック/ピクシストラック「スタンダード エアコン・パワステレス」、およびサンバートラック「TB」の各2WD・5MT仕様車での場合。
  8. ^ JAFニュース「セルフスタンドで油種間違い」「軽自動車には軽油?」
  9. ^ TOYOTAニュースリリース
  10. ^ 大事小事エコ言 - 第6回 環境自動車税を考える - 軽自動車はCO2排出量で不利
  11. ^ 日刊田中けん - 軽自動車優遇税制は、即刻廃止せよ。
  12. ^ 総務省 - 自動車関係税制に関する研究会
  13. ^ 総務省 - 「環境自動車税(仮称)に関する基本的な考え方」の公表
  14. ^ 環境自動車税、軽自動車は4倍強の増税に - レスポンス自動車ニュース(Response.jp)2010年9月16日
  15. ^ 近年、ホンダ・フィットアリア日産・マーチ三菱・ミラージュトヨタ・タウンエース/ライトエースなどのように安価な世界戦略車が新興国で生産されている(部品レベルになると一部のトヨタ・AZエンジンなどもある)ケースがある。
  16. ^ a b 【井元康一郎のビフォーアフター】“モビリティ議論”無視した環境自動車税(Response、2010年9月17日)
  17. ^ 軽自動車税の増税は「弱いものいじめ」=スズキ会長ロイター2013年8月29日
  18. ^ 【井元康一郎のビフォーアフター】スズキが迎える軽自動車増税の正念場 Response、2013年8月29日
  19. ^ 軽自動車税増税は、弱い者イジメだ! ダイハツ工業会長 伊奈功一氏 PRESIDENT Online 2013年11月20日(2013年12月6日閲覧)
  20. ^ a b c d T.K's Factory What's K-CAR ? 軽自動車とは?
  21. ^ モーターショーの歴史 - 第1回全日本自動車ショウ(昭和29年4月20日~4月29日)日比谷 - 東京モーターショーホームページ
  22. ^ 特集 軽自動車、その歴史と魅力 軽自動車の歴史を振り返る - JAMA -JAMAGAZINE-
  23. ^ CAR67/Flying_Feather/フライング_フェザー
  24. ^ 国土交通省 昭和45年度運輸白書 - 第4節 自動車公害の現状と対策 - 1 自動車排出ガス
  25. ^ a b 国土交通省 昭和47年度運輸白書 - 第4節 自動車公害の現状と対策 - 1 自動車排出ガス
  26. ^ a b c d 国土交通省 新車に対する排出ガス規制について - 1.ガソリン・LPG乗用車及び軽量車(除く軽貨物自動車)
  27. ^ a b c d e 国土交通省 新車に対する排出ガス規制について - 2.ガソリン・LPG中量車及び軽貨物自動車
  28. ^ a b 愛知県環境調査センター - 澄んださわやかな青空をとりもどすために~自動車排出ガス規制の解説~
  29. ^ 360cc軽自動車のナンバー解説
  30. ^ 国土交通省 使用過程車
  31. ^ 国土交通省 昭和50年度運輸白書 - 第4節 自動車公害の現状と対策 - 1 自動車排出ガス
  32. ^ 国土交通省 昭和51年度運輸白書 - 第4節 自動車公害の現状と対策 - 1 自動車排出ガス
  33. ^ 英国製「軽」スポーツカー今春、日本に上陸 熱烈なモーターファンに性能面でも衝撃 - J-CASTニュース
  34. ^ SEVEN 130 販売開始 - ケータハム JAPAN 公式サイト
  35. ^ a b L'article R.311-1 du code de la route français
  36. ^ 『EU指令と我が国の運転免許制度』末井誠史 (PDF)
  37. ^ 環境対応車普及による低炭素まちづくりに向けて (PDF) - 国土交通省(2012年6月4日付)
  38. ^ 超小型モビリティ導入に向けたガイドライン~新しいモビリティの開発・活用を通じた新たな社会生活の実現に向けて~ (PDF) - 国土交通省(2012年6月4日付)
  39. ^ 超小型モビリティの認定制度について・国土交通省
  40. ^ 例えばコムスの66.8~79.8万円に対しトヨタ・ピクシストラック(ダイハツ・ハイゼット)「スペシャル“エアコン・パワステバージョン”2WD」は72.5万円(MT)/81.5万円(AT)とほぼ同等の価格である。
  41. ^ 『【ホンダミーティング12】3人乗り超小型EVはファントゥドライブ』 2012年11月27日配信、2013年7月21日閲覧

注釈[編集]

  1. ^ 定格出力については2012年現在定められていない。参考として三菱・i-MiEV電動機定格出力は25kWである
  2. ^ 各地の自動車検査登録事務所で登録を行う自動車
  3. ^ 輸入された当初のモデルは全幅が1,515mmあったため普通車扱いで登録されていたが、2001年になって軽自動車で登録可能な「スマートK」も発売された
  4. ^ 国内が360cc規格の時代には450ccや600ccも見られたが、この頃の仕向地は日本よりも所得水準の高い欧米であった
  5. ^ アメリカの自動車ビッグスリーであるGMフォードクライスラーの3社からなる組織
  6. ^ 道路交通取締法が施行されていた1960年12月19日までは小型自動四輪車免許も16歳以上で取得可能であった(翌日から道路交通法施行に伴い小型自動四輪自動車免許は普通自動車免許に統合)
  7. ^ 継続生産車は1971年1月1日から
  8. ^ 48年規制は軽自動車は2ストロークと4ストロークの区分のみが存在し、乗用と貨物の分類はなかった
  9. ^ この項に限定した場合、規制が発動する1973年4月以前に製造された車両全般を指す
  10. ^ NOxは2973年4月以前比で約71%
  11. ^ COHCの排出量を1970年式比で少なくとも1/10以下とするというもの
  12. ^ 識別記号はA(軽乗用車)またはH(軽貨物車)
  13. ^ 翌年登場の550ccは4ストロークに移行し、1981年まで継続生産された360ccの旧規格免許対応車のみ2ストロークを継続
  14. ^ 識別記号はB(4ストローク軽乗用車の内、NOx排出量が10モード法で0.84g/km以下のもの)またはC(4ストローク軽乗用車の内、排出量がB以上のもの)
  15. ^ 正確には、1977年9月30日までに製造される2ストローク軽乗用車に対して適用される暫定値昭和50年暫定規制)である
  16. ^ ZM型2ストロークエンジンを搭載した最後の車種でもあった
  17. ^ 識別記号はE
  18. ^ 識別記号はJ
  19. ^ 識別記号はM
  20. ^ 識別記号はV
  21. ^ 元はミニキャブバン
  22. ^ 元はミニキャブトラック
  23. ^ 国土交通省のWebページ上[1]では電気バスなどを含めて「環境対応車(超小型モビリティをはじめとする電気自動車など)」と呼んでおり、公式に「超小型車」と呼んでいるわけではない
  24. ^ 排気量125cc以下の第二種原動機付自転車の電動機定格出力が1kW以下であることから緩和されている

関連項目[編集]

外部リンク[編集]