スポーツカー

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Mazda MX-5。世界で一番販売台数が多い2シーター(2座席)スポーツカー[1]
テスラ・ロードスター。市販の電気自動車タイプのスポーツカー。ガソリンエンジン車よりも構造がシンプルになっている。0-60マイル(0-96km/h)加速が3.9秒とされている。しかも同じ距離をガソリン車よりも非常に安い費用(電気代)で走行でき、走行時に二酸化炭素も排出せず、エコロジー持続可能性の観点からも良いスポーツカー。
トヨタ・MR-Sミッドシップエンジンのスポーツカー(旋回時の運動性能向上のために、モーメントを小さくしようとし、エンジンを車体の中央寄りに配置している)。

スポーツカーsports car )とは、自動車カテゴリのひとつで、自動車の使用目的を条件としたカテゴリであり、運転を楽しむこと(スポーツドライビング)を主な目的とし、高速走行時の操作性を含めた運動性能に重点を置いて設計製造された自動車のことをいう場合が多い。

概要[編集]

歴史
初期のスポーツカー、Bugatti Type 13 (1923年)

「スポーツカー」は自動車のカテゴリ中、最も古いものの一つである。1913年イスパノ・スイザ3.5L車は、世界で初めてスポーツカーと呼ばれた車[2]。同時期のスポーツカーとして、ブガッティT13やボクスホール・プリンスヘンリーがある[3]

自動車競技の創成期には競技用車両の事を「sports car スポーツカー」と呼ぶことがあったが、実際はレーシング専用車もスポーツカーも明確な区分分けが、まだなされていない状況にあった。この頃のレーシングモデルのほとんどは屋根がなく、またボディからタイヤが飛び出しているオープンホイールと呼ばれるデザインであったが、後にタイヤをボディに納めフェンダでカバーする形式が登場する。オープンホイールタイプのレースカテゴリは「グランプリ」をはじめとして既に確立されており、これらと区別する目的でオープンホイール以外の競技車両を「sports car スポーツカー」と呼び始めた。

当初は、競技用車両がサーキットまで一般公道を自走しそのまま競技に参加することは普通に行われていたので、スポーツカーと競技車両の区別は必要なかった(できなかった)が、競技規定の充実にともない、競技用車両は公道走行が困難となってゆき、しだいに競技用車両のほうは「racing car レーシングカー」「race car レース・カー」「racer レーサー」などと呼ばれて区別されるようになる(スポーツカーを元にした競技用車両を「スポーツレーシングカー」と呼ぶ場合など例外もある)。競技車両との差が明確になるにつれ、競技車両への応用を前提とした量産車の事をスポーツカーと称するように変化していったが、さらに時代が変化しレーシングカーの特殊化が進むにつれてスポーツカーとレーシングカーの共通点は少なくなっていった。

現在の用語・概念

現在の日本においては、運動性能を重視した車のうち、「スポーツカー」は公道で走ることを主な目的として設計されている車、「レーシングカー」はサーキットで行われる自動車競技で使われる車を指す。

なお、スポーツカーから派生した言葉として「スポーティカー」や「スペシャルティカー」名称・概念もある。スタイリングがスポーツカーに似ているなどスポーツカーの備える特徴のいくつかを有している車で、スポーツ向けに仕様を振ってあるが、スポーツカーとまでは言えない車のことを指すが、両者の間に明確な区別はない。

日本におけるスポーツカー[編集]

日本では、戦後の比較的早い段階で作られたスポーツカーとしては、ダットサン・フェアレディホンダ・S600トヨタ2000GTトヨタ・スポーツ800などが挙げられる。

本格的なスポーツカーは多くは作られていなかったわけであるが、1980年代に入ると多くのメーカーでスポーツカー像を模索し始め、開発・製造も盛んに行われた。日産・スカイラインマツダ・RX-7トヨタ・セリカトヨタ・カローラレビン等々等々が開発・製造・販売され、若者が好んで購入する車となったのである。1990年代までは人気が高かった。

が、日本ではバブル景気が崩壊した後(1990年代)の景気の冷え込みによって、さらには平成12年度排気ガス規制によるスポーツカーとしての魅力の減少も加わって、トヨタ・スープラ日産・スカイラインGT-Rマツダ・RX-7など多数のモデルが販売不振に陥り、やがて製造は中断され、後継車種もなくモデル消滅となった。そもそも、スポーツカー(スポーティカーも含む)は趣味性の高い車で、運動性能やデザインを優先して作っているため、積載能力・居住性・燃費などが犠牲になっており、景気が悪い時期には購入されにくくなる傾向のある車なのである。また、事故率や盗難率の高さから任意保険料の料率が高額に設定されていることもあり、維持費の面からも敬遠されるようになった。

2004年あたりから顕著になっている世界的な原油高によるガソリン価格の上昇で、安価で燃費の良い軽自動車コンパクトカーを買う動きも強い。またスポーツカーの主なターゲットである若年層の雇用不安定化(就職氷河期を参照)(=収入の不安定化、貧困化)などが原因で発生した車離れによる需要の冷え込みもある。[注 1]

近況

スポーツカーが売れないのでメーカーがそれを新たに開発しないことがスポーツカーを魅力の無いものにし、若年層のクルマ離れをさらに助長するという悪循環をも招いた。そうした状況を改善すべく、近年各メーカーで若年層をターゲットとした低価格スポーツカー(スポーティーカー)の開発が進められるようになった。また、2007年東京モーターショーに出展された本田技研工業のスポーツ性能と環境性能を両立したハイブリッドスポーツカー ホンダ・CR-Z日産自動車出展のスポーツカー並みの性能とコンパクトカーのような広いキャビンを持つ「ラウンドボックス」のように各メーカーで未来のスポーツカー像が模索されている。また、スズキは実用性に富んだキャビンを有しつつ、スポーティーな走りが出来るスズキ・Keiを発売し、その後、Keiのコンセプトを世襲したコンパクトカースズキ・スイフトをベースによりスポーツ仕様にし、実用性とスポーティーな走りを両立させたた、スズキ・スイフトスポーツ等のスポーツカー等も登場している。2011年東京モーターショーにはトヨタ自動車富士重工業スバル)の共同開発によるトヨタ・86、およびスバル・BRZがそれぞれ発表され、翌2012年春に共に販売開始された。2010年に前述のCR-Zを市販化した本田技研工業は、次世代NSXや軽自動車のオープンスポーツカーを、2015年に発売することを発表している[4]

製造者[編集]

スポーツカーばかりを専門的に製造するメーカー及びブランド

脚注[編集]

  1. ^ また、高度成長期で日本人の経済力が年々増し、車の性能も年々向上していた時代、多くの人にとって車は「短期間(1~4年程度で)で買い買えるもの」という扱いであったので、座席数や積載能力の小さいスポーツカーを所有することも(「どうせ近い将来買い替えるから、将来の自分の状況次第でまた判断すれば良い」などと考えられ)気にされなかったが、バブル景気の崩壊後は(そもそも車を所有する人が減ってしまったが)車を所有する人でも買い替えのサイクルはかなり長くなっており、車の購入にあたって、子供が生まれたり増えてもそのまま買い買えずに乗り続けられること(=後部座席があり、後部座席にも乗り込みやすいこと)、実用性(=生活の中で実際に使いやすい車で、買い物帰りに買ったものがまともに積めること(積載能力))、などが車の購入希望者の判断基準の上位に浮上した結果として、スポーツカーは避けられるようになり、統計的に見て、ミニバンハッチバックトールワゴンなどを求める人の割合が非常に増えたのである。
出典
  1. ^ Diehlman, Steve (2011年2月4日). “Mazda Produces 900,000th MX-5, Recognized as World’s Best-Selling Sports Car”. Motor Trend. 2014年8月16日閲覧。 “Today Mazda announced a new milestone for the popular MX-5 roadster, with the 900,000th unit rolling off the production line. In doing so, it is also recognized by Guinness World Records as the best selling sports car.”
  2. ^ Automobiles of the World ISBN 0-671-22485-9 P235
  3. ^ GAZOO.com 1912年 イスパノ・スイザ 15T 注:GAZOO.comでは、イスパノ=スイザモデル15Tの1912年の「アルフォンソXIII」モデルが世界初のスポーツカーとして解説されている。これは3.5Lとは別物。
  4. ^ 2012年9月 社長会見 骨子

関連項目[編集]