ポルシェ・911

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ポルシェ911(ポルシェきゅういちいち、英語:Nine Eleven 、ドイツ語:Neunelfer )はポルシェ1964年から製造・販売しているスポーツカーである。ポルシェ・356の後継車種で、世界のスポーツカー・スーパーカーの中でも数少ない、RRの駆動方式を基本としている車である。

目次

タイプ7 [編集]

1956年にスタートした356の後継車プロジェクトはフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェを中心に勧められた。356は設計当初2座席であり2年生産された後に補助座席として後部2座席が付け足され室内が狭かったことから、室内スペースを広く取るためホイールベースを延長し2+2シートを確保するという骨格のもとで進められ、試作車が3 - 4台製作された。プロジェクトはエルヴィン・コメンダErwin Komenda )に引き継がれ、一時は大型4人乗りモデルも検討されたが、最終的に2+2のコンパクトクーペに落ち着いた。

ポルシェ・911(初代)
901型
901型911
Porshe-img 0305.jpg
販売期間 1964年 - 1974年
設計統括 フェルディナント・ピエヒ
デザイン フェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 空冷 F6 SOHC 1,991cc
変速機 5速MT
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+トーションバー
後 トレーリングAアーム+トーションバー
全長 4,163mm
全幅 1,610mm
全高 1,320mm
ホイールベース 2,211mm、Bシリーズ以降2,271mm
車両重量 1,095kg
先代 ポルシェ・356
-自動車のスペック表-

初代 901型(1964年 - 1974年) [編集]

Oシリーズ [編集]

1963年356の後継車としてフランクフルト・ショープロトタイプがデビューし、1964年から本格生産に入った。当初は開発コードそのままに「901」と名乗っていたが、プジョーが真ん中に0の入った3桁数字をすべて商標登録していたため「911」と改めた。初代生産型は開発コードの901からそのまま901型と称され、部品番号の冒頭にも901が入っている[1]。通称「ナロー」。日本にはミツワ自動車により1965年より輸入されている。技術担当重役はF.トマラ、エンジン開発主任はフェルディナント・ピエヒ、スタイリングはフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェが担当した。

エンジンは新たに開発された空冷水平対向6気筒でボアφ80mm×ストローク66mm。低騒音と高出力を兼ね備えており将来性があるとの観点から、従来のプッシュロッド式に換えてSOHCが採用された。排気量は大きなマージンを取りかつ手の届きやすい価格にするため排気量1,991ccになったものの、後の市場の要求次第で2.7Lくらいまで拡大できるようになっていた。総アルミニウム合金製のクランクケース、チェーン駆動[2]されるカムシャフトドライサンプ[3]、鉄をアルミフィンで包んだバイラル構造シリンダー[4]、軸流式冷却ファン[5]などが特徴点として挙げられる。キャブレターソレックストリプルチョーク40PIオーバーフロー型をツインキャブで採用していた。クラッチはフィヒテル&ザックス(Fichtel & Sachs 、現ZF)が生産した砂型アルミニウム鋳物製で軸間距離は68mm、φ215mm単板ダイアフラム式。

全長は4163mm。全幅は1,610mm。ホイールベースは2,211mm。トレッドは前1,337mm、後1,317mm。リムは前後とも4.5J15in。タイヤは前後とも165HR15。ブレーキは1系統でパッド面積前52.5cm2、後40cm2。オルタネーターは490W。

暖房はヒートエクスチェンジャーに加え、補助的にメインタンクのガソリンを利用し電気的に点火するエーバーシュペッヘル製ヒーターを標準採用した。

1967年のフランクフルト・ショーでタルガモデルが発表された。

  • 911 - エンジンは圧縮比9.0で130馬力(96kW、128英馬力)/6,100rpm、17.8kgm/4,200rpmの901/01型が搭載されていた。プロトタイプは高度な職人が個々に作っていたので問題が起こらなかったが、大量生産を始めるとフロントキャンバー4'、リアキャンバー1°6'、フロントトーイン15 - 20'、リアトーイン0 - -2'、キャスター7°45'[6]という厳しいサスペンション調整に関する公差を守れず、初期の製品は非常にハンドリングが神経質となったため、11kgの鋳鉄製錘2つが「バンパー補強材」の名目でフロントバンパー両側に取り付けられた。初期型に搭載されていたソレックス製キャブレターでは2,500 - 3,000rpmの領域でパワーが出ず、ソレックスの工場に職員が派遣されたが効果は上がらず、1966年2月から元々ランチア・フラミニアV6用に開発されたウェーバー401IDA3C/40IDA3C1に変更され、これによりエンジン形式名が901/05型エンジンとなった。911Sに先行して採用されていた新型のヒートエクスチェンジャーが1966年11月に採用され暖房の効きが改善されると同時にバルブオーバーラップを小さくした901/06型エンジンとなった。
  • 911S1966年7月25日発表、1967年発売) - Sはスポーツを意味する。軽合金鍛造ピストン採用、バルブ大径化とオーバーラップ引き上げ、ポート大径化、圧縮比9.8で160馬力 (118 kW、158英馬力) /6,600rpm、18.2kgm/5,200rpmの901/02型エンジンを搭載し、リアトレッドを拡大されたモデル。トランスミッションは5速のみ高くし911用を流用している。新型のヒートエクスチェンジャーが使用され、暖房の効きが改善された。ブレーキは通風式となった。

Aシリーズ [編集]

1967年8月から1968年7月まで生産された。リムが5.5J15に変更された。セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチック905型[7]のオプション設定がされた。スポルトマチック搭載車はエンジン形式が別になっているが、装着に必要なアタッチメントラグを持つ以外の差はない。ブレーキが2系統に増えた。エーバーシュペッヘル製ヒーターはオプションになった。

  • 911L1968年発売) - それまでの911を改称し、Oシリーズの911Sに続いてブレーキが通風式になった。引き続き901/06型エンジン、スポルトマチック車は901/07型エンジン。アメリカ仕様[8]901/14、アメリカ仕様スポルトマチック車901/17。
  • 911T1968年発売) - Tはツーリングを意味する。圧縮比8.6で110馬力/5,800rpm、16.0kgm/4,200rpmにデチューンされた901/03型エンジンを搭載しポルシェ・912の後継として発売された廉価版。鋳鉄にクロムメッキを施した旧式のクローマルシリンダー、ピストンはアルミダイキャスト、クランクシャフトは一般の911の鍛造から鋳造に変更されるとともにカウンターウェイトを省略されるなど各所でコストダウンされているが、これらのコストダウンはレース車輛への改造を念頭に、すなわちレース車輛でさらに高価なパーツに交換しなければならない、もしくは改造されることが多い箇所に限定されており、レースでもそのまま使用するシリンダーヘッドや吸排気バルブやキャブレターは、低出力エンジンであるにも関わらず全く911Sと同一である。1968年セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされ、スポルトマチック車は901/13型エンジン、ブレーキが通風式となった。
  • 911S - エンジンはOシリーズと同一。スポルトマチック車は901/08型エンジン。
  • 911R1967年限定発売) - レース、ラリー用特殊モデル。デュアルイグニッション、特殊軽合金製シリンダーの採用、圧縮比10.3、バルブのタイミング変更と大型化、ウェーバー46IDAキャブレター採用等ポルシェ・906とほぼ同等のチューニングを受け210馬力/8,000rpm、21kgm/6,000rpmを発生する901/22型[9]エンジンを搭載した。ボディーはフロントフェンダー、前後リッド、バンパーがグラスファイバーに置換、窓がアクリルに置換、内装簡素化など非常に軽量化され800kg。先行試作3台と量産20台、計23台が生産された。量産型は製造をカール・バウアが担当し、窓が薄く軽量化されている等細部が異なる。また量産型のうち数台はワークスに残ってレースに参戦した。1967年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、スポルトマチック搭載車がマラトン・ド・ラ・ルートで総合優勝、1968年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、1969年ツール・ド・フランスで総合優勝、DOHCの916型エンジン搭載車がコルシカラリーで優勝。1967年モンツァ・サーキットで本来出場予定だった906の代役でスピード世界記録に挑戦、この際持ち込まれたエンジンが挑戦開始直前に100時間耐久ベンチテストを済ませ点検のために降ろされていたエンジンで、本来記録挑戦に使えるようなものではなかったが手違いで持ち込まれたことが判明し時間がなかったためそのまま使用され、トヨタ・2000GTが持っていた記録を大幅に更新、連続走行15,000km、10,000マイル、20,000km、72時間、90時間の世界新記録と14の2,000ccクラス国際新記録を達成した。
スピード・トライアル記録
種目 平均最高速度
3時間 226.69km/h
6時間 225.26km/h
12時間 214.56km/h
24時間 212.31km/h
48時間 210.14km/h
72時間 209.95km/h
96時間 209.23km/h
1,000マイル 225.63km/h
2,000マイル 211.54km/h
5,000マイル 212.24km/h
10,000マイル 210.29km/h
1,000km 226.25km/h
2,000km 217.00km/h
5,000km 212.25km/h
10,000km 210.22km/h
15,000km 210.02km/h

Bシリーズ [編集]

1968年8月から1969年7月まで生産された。ホイールベースが2,271mmに延長されるなどで操縦性が大幅に改善され、ポール・フレールは「ポルシェの中古車を買おうとしている人々に、それ以前の車は考えない方がいいとわたしは助言してきた」と書いている。185/70VR15タイヤと6J15inホイールを納めるためにホイールアーチがつくようになり、これ以降「ナロー」との俗称を使わない人もいる。911E911Sの燃料供給がボッシュ製6プランジャーメカニカルインジェクションに変更され出力が向上するとともに燃費が改善され、また点火が容量放電となって渋滞時のプラグ汚損が軽減された。リアウィンドーに熱線が入り、オルタネーターが770Wに大容量化されている。エアコンがオプション設定された。

  • 911T - クランクケースがマグネシウム圧力鋳造に変更されることで10kg軽量化された。ブレーキのパッド面積は前52.5cm2、後52.5cm2
  • 911E1969年発売) - 911Lからの改名。圧縮比9.1で140馬力/6,600rpm、17.8kgm/4,500rpmの901/09型エンジン、スポルトマチック901/11型エンジン。
  • 911S - 170馬力/6,800rpm、18.5kgm/5,500rpmの901/10型エンジン。オイルクーラーが新設された。ブレーキはアルミニウム製となりパッド面積は前78cm2、後52.5cm2、ライニング13mm厚。

Cシリーズ [編集]

1969年8月から生産された。ボアφ84mm××ストローク66mmに拡大し排気量2,195cc。マニュアルトランスミッションがアルミニウムダイキャスト製に強化された911型となりクラッチはφ225mmに大径化された。マニュアルトランスミッションは後マグネシウム製に変更された。

  • 911T/2.2 - 125馬力/5,800rpm、18.0kgm/4,200rpmの911/03型エンジンに置換した。スポルトマチック装備は911/06型、US仕様は911/07型、US仕様スポルトマチック装備は911/08型エンジン。キャブレターがソレックス製からゼニス・ストロンバーグ製に置換された[10]。マニュアルトランスミッションは4速が標準でオプションで5速も選択できた。マニュアルトランスミッション車のブレーキが通風式となりこれで全車種通風式となった。容量放電が911Tにも採用され、全車種容量放電点火となった。
  • 911E/2.2 - マニュアルトランスミッションは5速が標準。155馬力/6,200rpm、19.5kgm/4,500rpmの911/01型、スポルトマチックは911/04型エンジン。自動車高調整機能付きハイドロニューマチックストラットを装備している[11]
  • 911S/2.2 - 180馬力/6500rpm、20.3kgm/5200rpmの911/02型エンジン。マニュアルトランスミッションは5速のみでスポルトマチックは用意されなかった。

Dシリーズ [編集]

1971年7月まで生産された。

  • 911T -
  • 911E -
  • 911S -

Eシリーズ [編集]

1971年8月から生産された。ボアφ84×ストロークφ70.4mmで排気量2,341ccに拡大された。マニュアルトランスミッションがレース用の916型をベースとし軸間距離77mmに拡大されたマグネシウムダイキャスト製5速915型または4速915型に変更された。クラッチがφ225mmに拡大された。オプションのスポルトマチックが強化されつつトルク比2.2に変更された4速925型または3速925/10型に変更された。オイルタンクが右後輪の前に移動された。

  • 911T/2.4 - 130馬力/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/57型エンジン、スポルトマチックは911/67型エンジン。ヨーロッパ仕様のゼニス製キャブレターのままではアメリカの排気ガス規制に合格できず、アメリカ仕様は911E/2.4911S/2.4と共通の6プランジャー燃料噴射ポンプを採用し140馬力/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/51型エンジン、スポルトマチックは911/61型エンジンとなった。アメリカの排気ガス規制が厳しくなり、1973年1月よりボッシュのKジェトロニックに変更され圧縮比8.0で140馬力/5,700rpm、20.5kgm/4,000rpmの911/91エンジン、スポルトマチックは911/96型エンジンに置換された。
  • 911E/2.4 - 165馬力/6,200rpm、21kgm/4,000rpmの911/52型、スポルトマチックは911/62型エンジン。
  • 911S/2.4 - 190馬力/6,500rpm、22kgm/4,000rpmの911/53型、スポルトマチックは911/63型エンジン。

Fシリーズ [編集]

1973年7月まで生産された。コストと使い勝手の面からオイルタンクが右後輪後部に戻された。

  • 911T/2.4 -
  • 911E/2.4 -
  • 911S/2.4 -
  • 911カレラRS2.71973年限定生産) – グループ4のホモロゲーションを取るために911S/2.4をベースに当初500台が限定販売されたもので、ボディを軽量化し、ボア×ストロークφ90mm×70.4mm、圧縮比8.5で、2,687ccで210馬力/6,300rpm、26kgm/5,600rpmの911/83型エンジンを搭載した。ツーリング、スポーツ、レーシングの3グレードがあり、スポーツグレードの重量は960kg。当初の生産台数はすぐに売り切り、1,000台以上が追加生産されたためグループ3のホモロゲーションも得た。日本に正規輸入されたのはスポーツグレードのみで14台。「73カレラ」と俗称され名車として現在まで語り継がれている。トランスミッションは5速915型のみ。917からフィードバックされた技術でアルミニウムシリンダーにニッケルとシリコンの化合物を付着させた「ニカシル」シリンダーによりこの大径ボアを実現している。ホイールはフロント6J15、リア7J15。タイヤはフロント185/70VR15、リア215/60VR15。

Gシリーズ [編集]

1973年8月から1974年7月まで生産された。ボアφ90×ストローク70.4mmの2,681ccに拡大された。ニカシルシリンダーで後アルシルシリンダーに変更された。リアサスペンションアームがアルミニウム鋳物製となった。

  • 911/2.7 - カムシャフトが新型の911/97型に変更された911/92型エンジン、スポルトマチックが911/97型エンジン。
  • 911S/2.7 - カムシャフトが新型の911/98型に変更された911/93型エンジン、スポルトマチックは911/98型エンジン。
  • 911SC/2.7 -
  • 911カレラRS3.01975年限定発売) – 109台生産され、うち50台以上がカレラRSRに改造された。ボアφ95×ストローク70.4mm、圧縮比10.3の2,994ccで230馬力/6,200rpm、28.0kgm/5,000rpmの911/77型エンジン。燃料供給はボッシュメカニカルインジェクション。トランスミッションは5速915型のみ。ブレーキはポルシェ・917から流用したアルミニウム製。ボディ重量は900kg。
  • カレラRSR1975年限定発売) - 911カレラRS2.7をレース用に改造したもので排気量2,806cc、300馬力/8,000rpm、30.0kgm/6,500rpmの911/72型エンジンを搭載している。ブレーキは917から流用しカムシャフトは906から流用している。ボディ重量は900kg。1975年には出力が345馬力まで向上している。

Hシリーズ [編集]

1974年8月から1975年7月まで生産された。930型ターボとの併売で外観も米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーの装着により外観が一新され以降930型が製造中止になる1989年まで「ビッグバンパー」と俗称されたが、ノンターボモデルは901型のまましばらく生産された。オルタネーターが980Wに大容量化され、ヒートエクスチェンジャーが改良され、オプションだったエーバーシュペッヘル製ヒーターは廃止された。ポルシェ史上初めてアメリカ市場向けのエンジンの公称性能を他の市場向けより低く称した。

  • 911/2.7 - ボッシュKジェトロニックで150馬力/5,700rpm、24kgm/3,800rpmの911/41型エンジン、スポルトマチックは911/46型エンジン。アメリカには輸出されなかった。
  • 911S/2.7 - ボッシュKジェトロニックで175馬力/5,800rpm、24kgm/4,000rpmの911/42型エンジン、スポルトマチックは911/47型エンジン。アメリカ市場向けは165馬力、23kgmの911/43型エンジン、スポルトマチックは911/48型エンジン。カリフォルニア向けはEGRを装着し160馬力、22.4kgmの911/44型エンジン、スポルトマチックは911/49型エンジン。
  • 911SC/2.7 - 機械インジェクションで210馬力。

Iシリーズ [編集]

1975年8月から生産された。ブレーキのパッド面積は前78cm2、後52.5cm2。自動低温始動装置を装備した。給油ポンプが大型化され、冷却ファンが5枚羽根に強化された。Hシリーズ911/2.7に相当するグレードは廃止され、Hシリーズ911S/2.7に相当する911/2.7911SC/2.7に相当する911カレラ3.0のみとなった。1976年から全車種500℃の亜鉛槽にドブ漬け[12]で防錆処理されたティッセン(現ティッセンクルップ)製鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。サイドミラーが電動式となった。

  • 911/2.7 - Hシリーズの911S/2.7に搭載されていたエンジンを搭載した。
  • 911カレラ3.0 - ボアφ95×ストローク70.4mmの2,994cc。オプションで前が7J15inホイールに205/50VR15タイヤでトレッド1,398mm、後が8J15inホイールに225/50VR15タイヤでトレッド1,405mm。
  • 911リミテッド1976年限定発売) - フェルディナント・ポルシェ生誕100周年[13]を記念し500台限定。一般の911より70万円も高価であったが日本でも50台が販売された。外部塗装はシルバーメタリック。薄く色が入ったアロイホイール、布ばりシート、パワーウィンドー、フロント色ガラスが特別仕様。

Kシリーズ [編集]

1977年7月まで生産された。

  • 911/2.7
  • 911カレラ3.0 - オプションで前が7J16inホイールに205/55VR16タイヤでトレッド1,438mm、後が8J16inホイールに225/50VR16タイヤでトレッド1,511mm。

Lシリーズ [編集]

1977年8月から生産された。180馬力/5,800rpm、25kgm/4,000rpmのエンジン。トランスミッションは5速915型のみ。

2代目 930型(1974年-1989年) [編集]

ポルシェ・911(2代目)
930型
911 Carrera.jpg
販売期間 1974年 - 1989年
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 空冷 F6 SOHC 2,994cc
変速機 5速MT
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+トーションバー
後 トレーリングAアーム+トーションバー
-自動車のスペック表-

当初より米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーが装着された。930型は本来ターボモデルを指すものであり、「ビッグバンパー」であってもNAモデルは1977年モデルまで901型のままである。1978年にはNAモデルも930型となった。

ボディの種類はクーペと脱着式のルーフをもつタルガの2種類。トランスミッションは当初915型と呼ばれるポルシェ内製トランスミッション(ポルシェシンクロ)を採用した。

Hシリーズ [編集]

  • 911ターボ1975年発売、1976年日本発売) - 1973年フランクフルト・モーターショーで「911ターボ」試作車が展示され、280馬力で最高速度280km/hとアナウンスされていた。1974年パリサロンに「930ターボ」試作車が展示された。生産車はボア×ストロークφ95mm×70.4mmで2,994cc、圧縮比6.5の930/50型エンジンを搭載、ボッシュKEジェトロニックとブースト圧0.8気圧のKKK製ターボチャージャーで260馬力/5,500rpm、35.0kgm/4,500rpm。日本仕様は昭和50年(1975年)規制に適合するため等で245馬力/5,500rpm、35.0kgm/4,000rpm[14]。大パワーに対応するタイヤを納めるべくフェンダーを備え全幅は1,775mmまで拡げられた。1978年モデルからはカタログ上の名称は1978年「ターボ」、1979年「930ターボ」、1980年「911ターボ」と変遷しているが、特別大きな変更はない。豪華な内装をもつ高性能スポーツカーとして高価格ながら販売は好調であった。トランスミッションは当初4速MT930型であり、ポルシェは「ありあまるパワーには4速で充分」と説明したが、「ポルシェシンクロトランスミッションの許容量がターボのパワーに耐え切れずやむなく4速にした」というのが通説。クラッチ径はφ240mm。

Iシリーズ [編集]

1975年8月から生産された。サイドミラーが電動式となった。1976年から全車種500℃の亜鉛槽にドブ漬け[15]で防錆処理された鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。

  • 911ターボ

Kシリーズ [編集]

1977年7月まで生産された。

  • 911ターボ - 前が7J16inホイールに205/55VR16タイヤでトレッド1,438mm、後が8J16inホイールに225/50VR16タイヤでトレッド1,511mm。

Lシリーズ [編集]

1977年8月から生産された。

  • 911ターボ - ボア×ストロークφ97mm×74.4mm、排気量3,299ccに拡大され圧縮比7.0で300馬力/5,500rpm、42.0kgm/4,000rpm。新たに空冷式インタークーラーを装備した。エンジン取り付け位置が30mm後退し、これに伴いリアタイヤの指定空気圧が上げられた[16]。アメリカ向けと日本向けは排気リアクターと低オクタン対応のため265馬力に抑えられている。

1978年モデル [編集]

901型のままだったノンターボ車が930型に移行した。この年新潟県警パトロールカーとして配備され、その後20年近く活躍したことが知られている。

  • 911SC1978年発売) - 従来の911Sに当たる。ボアφ95×ストローク70.4mmの2,994cc、930/17型エンジン。ボッシュのKジェトロニック、圧縮比8.5、180仏馬力/5,500rpm、27.0kgm/4,000rpm。
  • 911SCS1978年発売) - 従来の911カレラに当たる。
  • 911ターボ

1979年モデル [編集]

  • 911SC
  • 911ターボ

1980年モデル [編集]

  • 911SC
  • 911ターボ

1981年モデル [編集]

日本でターボモデルの輸入が一時途絶えた。

  • 911SC

1982年モデル [編集]

  • 911SC

1983年モデル [編集]

ポルシェ・356で人気のあったオープンモデルであるカブリオレが復活した。

  • 911SC

1984年モデル [編集]

1984年フランクフルトショーで「カレラ」の名称が復活した。

  • 911カレラ - ボア×ストロークφ95mm×74.4mm、圧縮比10.3、排気量3,164ccエンジン。225仏馬力/5,900rpm、27.3kgm/4,800rpm。フラップ式のボッシュLジェトロニックを採用した。馬力も1973年のカレラRSを超えたことから、かつてレーシングモデルにのみ与えられていたカレラの名称は以降ノンターボモデルの名称として使用されるようになった。

1985年モデル [編集]

フロアパンとバルクヘッドの板厚が0.75mmから1mmにアップし、剛性が向上した。ターボの日本輸入が再開された[17]

  • 911カレラ
  • 911ターボ

1986年モデル [編集]

  • 911カレラ
  • 911ターボ - ボッシュKジェトロニック。ターボはKKK製。ボア×ストロークφ97mm×74.0mm、3,287cc、288仏馬力/5,300rpm、38.9kgm/4,250rpm[18]

1987年モデル [編集]

ノンターボモデルのトランスミッションがボルグワーナー式のゲトラグ製G50型を採用した。

  • 911カレラ
  • 911ターボ

1988年モデル [編集]

コンロッドボルトが強化され、ブレーキパッドがアスベストフリーとなった。

  • 911カレラ
  • 911ターボ - ボディーバリエーションとしてタルガトップ[19]。とカブリオレ[20]を選択できるようになった。
  • 911ターボ・フラットノーズ1988年限定発売) - リトラクタブルライトとすることで空力を改善し、330馬力エンジンを搭載したモデル。

1989年モデル [編集]

  • 911カレラ
  • 911ターボ - トランスミッションが5速のゲトラグ製に変更されている。
  • 911ターボS1989年限定発売) - 330馬力エンジンを搭載し足回りも強化され少数製造された。

3代目 964型(1989年-1993年) [編集]

ポルシェ・911(3代目)
964型
Porsche 964 Turbo.jpg
販売期間 1989年 - 1993年
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 空冷 F6 SOHC 3,600cc
変速機 5速MT
4速ティプトロニック
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+コイル
後 セミトレーリングアーム+コイル
全長 4,245mm
全幅 1,660mm
全高 1,310mm
ホイールベース 2,272mm
車両重量 1350kg
-自動車のスペック表-

相変わらず北米市場での人気は高かったものの、顧客数の増大は新たな要求を生み、それに応えるためにはアップデートが必要な時期に来ていた。さらにその後継車は911シリーズのイメージを継承する必要があり、外観を大きく変えることが許されなかったため、1989年にデビューした964型は、930型似の外観をまとってはいるものの、80%ものパーツを新製するといった手の込んだ手法を採ることとなった。なかでも特筆されるのはボディー構造が一般的なモノコックとなったことと、サスペンションがフロントマクファーソンストラット+コイルスプリング、リアがセミトレーリングアーム+コイルスプリングに変更されたことの2つである。これにより一気に現代的なハンドリングを得ることに成功、「最新のポルシェは最良のポルシェ」という言葉の価値を一層高める一助となった。エンジンはボアφ100mm×ストローク76.4mmで3,600ccに拡大され、圧縮比11.3で250馬力/6,100rpm、31.6kgm/4,800rpm。4WDに対応するためフロアセンターは高くなっている。リアスポイラーは電動格納式。ボディーは当初よりクーペ、タルガ、カブリオレの3種が提供された。1992年モデルからカブリオレターボルックが追加され、1993年にスピードスターが追加された。

  • カレラ41989年発売) - 964型になった最初のタイプ。遊星ギアによるセンターデフを持ち31:69に固定されたフルタイム4WD機構を持つ。
  • カレラ21990年発売) - カレラ4を2WDに簡略化したタイプ。マニュアルシフトモードを持つAT、「ティプトロニック」が搭載された。
  • ターボ1991年発売) - 大掛かりなモデルチェンジとなった964型では当初ターボモデルの開発が追いつかず、カレラ2ベースのシャシに930型から流用した3.3LのM30エンジンを320馬力、45.9kgmと大幅に出力向上して搭載しデビューした。
  • ターボS IMSA - レース部門を中心に開発された限定車。これこそ新世代のターボとの賞賛をもって受け止められた。
  • カレラRS1992年限定発売) - カレラ2のボディを補強した上で、後席、エアコン、セントラルロッキングシステム、パワーステアリング、オーディオを省略し、トリム、シート、エンジンフッド、マグネシウム合金製ホイール、フライホイールなどが軽量品に交換されて120kgに及ぶ軽量化を果たしたレーシングバージョン。エンジンは260馬力/6,100rpm、32kgm/5,000rpm。
  • ターボ3.61993年発売) - 3.6LのM64エンジンをベースとし360馬力、53kgm。ターボSで用いた「赤色ブレーキキャリパー」「スピードライン製3ピース18インチホイール」などの装備の他、低められた車高とRSと同タイプのリアセンターバンパーなどによって迫力を増している。マフラーは左右2本出しとされたが助手席側マフラーエンドからのみ排気され運転席側マフラーエンドはウェイストゲートからの大気開放のラインとなっている。
  • カレラRS3.81992年少数生産) - 空冷ポルシェ最大の排気量である3.8Lエンジン(300馬力)を採用。エアコンレス・オーディオレスなどでカレラ2より120kgの軽量化は、「カレラRS」と同一。

4代目 993型(1993年-1997年) [編集]

ポルシェ・911(4代目)
993型
Porsche 993 targa mainz.jpg
販売期間 1993年 - 1998年
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 空冷 F6 SOHC 3,600cc
最高出力 285仏馬力/6,100rpm
最大トルク 34.7kgfm/5,250rpm
変速機 6速MT
4速ティプトロニック
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+コイル
後 マルチリンク+コイル
全長 4,245mm
全幅 1,730mm
全高 1,300mm
ホイールベース 2,270mm
車両重量 1,370kg
-自動車のスペック表-

空冷最後のモデルとなる。 キャビン周りに964型のシルエットを残しながら、太腿とも呼ばれたフロントフェンダーの峰を低くしヘッドライトを傾斜させる一方、ボンネット前端の高さを40mm上げ、さらにテールエンドのデザインも変更することで外観の印象は一新された。1989年ハーム・ラガーイのデザインで発表されたコンセプトカー「ポルシェ・パナメリカーナ」とデザインテーマ上の共通点が多く見られる。 リアフェンダーも964型よりさらに拡幅され(964までのNAモデルは日本の5ナンバー枠に収まる)、リアに採用されたマルチリンク式サスペンションのスペースを確保するとともに、マフラー容量の増大と左右独立等長のエキゾーストを実現し、排気系の改善に寄与した。

エンジンは964型と同様、ボアΦ100mm×ストローク76.4mmのままだが、272馬力/6,100rpm、33.6kgm/5,000rpmに強化されるとともに、MTモデルは964型の5速から6速へアップグレードされた。ATモデルは964型の4速を継続使用するが、1995年に登場した「ティプトロニックS」では、シフトレバーに加えてステアリング上のスイッチでの変速操作が可能になった。

このモデルまでは「ナロー」から連綿と続く共通の室内レイアウトであり、「ポルシェを着る」とされたタイト感が残る最後のモデルと言える。ただし964型よりベンチレーションの改良による静粛性の向上、主に新形式サスペンションによる乗り心地の改善があり快適性は向上した。「最後の空冷モデル」であることから愛好家からの人気も高く、中古車市場でも高価格を保っている。

1996年、可変吸気機構「バリオラム」を装備。バルブ径の拡大、バルブタイミングの変更も同時に実施され、3.6Lで13馬力アップした285馬力、3.8Lで15馬力アップした300馬力となった。ボッシュHIDランプシステム「リトロニック」をオプション設定。「タルガ」モデル追加。脱着式ルーフだった964型までとは異なりベバスト (Webasto [21]) 製電動スライディング・グラストップに変更されスタイルもクーペのようなファストバックとなったが、開放感は964型までのタルガのほうが上である。

1997年、キーホール照明をメーターパネル下部に追加、ドア内貼りの意匠が変更された。また、6速MTモデルにおいてトランスミッションが前年までのG50/21型に代わり、従来から騒音規制の厳しいアメリカ、カナダ、オーストリア、およびスイス向けだったG50/20型を世界共通仕様とした。G50/20型はハイギヤード化によりエンジン回転を下げることで騒音規制をクリアしており、加速性能は低下した。

  • カレラ41995年発売) - ビスカスカップリング方式の4輪駆動システムを搭載した。エンジンはカレラと同仕様の3.6Lだが、日本向けモデルのみ3.8Lエンジン(M64/05S(95年)、M64/21S(96~97年))を搭載する。このエンジンはRSの3.8Lエンジン(M64/20)と排気量は同じだが外観から異なる別バージョンである。
  • ターボ1995年発売) - 3.6LのM64型に片バンクずつKKK製k16型タービンとインタークーラーを装着してツインターボ化し最高出力を408馬力、54.0kgmとしたM64/60型エンジンを搭載。量産モデルの911で初めてターボ+4WDが実現。959、またボット博士が実現しようとした965(964カレラ4ベースのターボモデル)の大量生産モデルと見ることもできる。駆動方式はビスカスカップリングを用いた4輪駆動とされたが、普段はフロントへのトルク配分は5%とされRRのハンドリングを崩さないように配慮されている。インタークーラーはエンジンルーム一面を覆うまでに拡大され、オイルフィラーキャップを外すことすら困難になった。外観ではノーマルボディよりも60mmワイド化されたリアフェンダーと、レッド一色とされたリアガーニッシュ/ライト周り、フロントのホワイトウィンカー、赤いブレーキキャリパーなどが特色。ターボの特徴の一つである固定式リアウィングは964型までのトレータイプからボディーに沿って後縁がなだらかに下がる形状になり、色もボディー同色とされたため目立たなくなっている。また大型化されたインタークーラーにあわせてリアウィングのグリルも同様に大型化された。このグリルはプラスチック製のためエンジンからの熱害を受けやすく、経年とともにほとんどの個体のグリルにひずみが生じている。拡幅されたリアフェンダーのスペースを利用し、排気系は左右独立とされたため両エンドマフラーから排気される構造に変更された。
  • カレラRS1995年発売) - 専用のM64/20型エンジン(3.8L、300馬力)を搭載。964型のRS同様ボディー補強とともに後席の省略、トリムの簡略化、遮音材や防錆のためのアンダーコートを最小限にするなどして軽量化されているが964型RSほど徹底されておらず、エアコン、パワーステアリングをはじめとする快適装備の一部は標準装備とされた。
  • カレラ4S1996年発売) - ターボ用のワイドボディーに加え、ブレーキその他にもターボ用の部品を流用して登場。世界共通仕様と同様3.6Lエンジンのため、日本仕様ではカレラ4(3.8Lエンジン)のほうが高出力だった。カレラ4Sとカレラ4はほぼ同価格であった。
  • ターボS1996年発売) - 911GT2から流用された430馬力のM64/60型エンジンが搭載される。トランスミッションはカレラ4用G64/21型を改良した専用。
  • カレラS1997年発売) - 往年の356のグリルを彷彿とさせるエンジンフードのスプリットルーバーに、ターボ用のワイドボディーをまとったモデル。カレラ4Sとは異なり足回りにターボ用のパーツは使用されておらず、トレッドの拡大はホイールスペーサーによって行われた。

993型は1998年まで少量が継続生産されたが、このモデルの生産終了をもって半世紀にわたってポルシェを支えてきた空冷エンジンが姿を消した。

5代目 996型(1997年-2004年) [編集]

ポルシェ・911(5代目)
996型
996型911
2004 Porsche 996X50.jpg
販売期間 1997年 - 2004年
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 水冷 F6 DOHC 3,387cc
変速機 6速MT
5速ティプトロニックS
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+コイル
後 マルチリンク+コイル
全長 4,430mm
全幅 1,765mm
全高 1,305mm
ホイールベース 2,350mm
車両重量 1320kg
-自動車のスペック表-

1997年、30年以上に及ぶ改良を繰り返してきた911が車体、エンジンとも全面的な新設計となる初めてのフルモデルチェンジを受けた。996型が発表された時に最大の注目を集めたのは、それまでトレードマーク的存在の1つとされていた空冷エンジンが、欧州をはじめとする世界的な環境問題への対処を主な目的として水冷化されたことである。クランクケース、シリンダーヘッド周りとも一新され、DOHCとなった。ボアΦ96mm×ストローク78mmで3,387ccと小排気量化されたにもかかわらず圧縮比11.3から300馬力/6,800rpm、35.7kgm/4,600rpmを発生した。エンジン自体も993型と比較してエンジン全長で70mm、全高で120mm小さくなっている[22]。1500回転と5820回転でオーバーラップを切り替える可変バルブ機構(バリオカム)と、吸気管の切り替え(バリオラム)を搭載した[22]。エンジン補気類の配置も見直され、メンテナンス性の向上が図られた[22]。また水冷化によって油温が厳格に管理できるようになり、パッキンの劣化によるオイル漏れが減少した[22]。ボディの大型化・水冷化に伴うエンジンの補機類の設置、さらに衝突安全基準の適合のための安全装備の充実にもかかわらず、重量は993型から約50kg軽量化(初期モデル 2輪駆動モデル同士の比較)された[22]。サスペンション形式はフロントはストラット式、リアはマルチリンク式と名目は993型と変わっていないが完全な新設計。2000年よりPSMがオプション装備として設定された[22]。フロントウインドウは空冷時代と比較すると55度→60度と寝かされ、フロアのフルフラット化も合わせて空気抵抗が減らされ、Cd値は0.30となった(993は0.33)[22]。ボディー剛性はフロアやサイドシルやルーフを補強することで993型より捩れ剛性で45%、曲げ剛性で50%向上した[22]。ラジエターは左右に分割して前部に格納された[22]。3分割されたフロントバンパーのインテイクは左右がラジエターで中央がティプトロのATオイル冷却用として使用された[22]。MTモデルの場合は中央はプラスチック板で塞がされている[22]。内装はビニル貼りであったが、質感の向上を目的に2000年モデルからアルカンタラに変更となった[22]。ホイールベースの延長とボディの拡大により、室内長は170mm長くなり、レッグルームも80mm広くなった[22]。ドリンクホルダーは着脱式の簡易なものが用意された[22]。ブレーキサイズはフロント318mm×28mm厚、リヤ299mm×24mm厚[22]

クーペに加え1999年春にカブリオレが追加された。電動ソフトトップはダイムラー・ベンツとの合弁会社カートップシステムズ製で、センターコンソール、ドアキー、リモコンでの操作により20秒ほどで開閉できる。安全性にも配慮し各サスペンションの荷重とロール角度を検知し自動で飛び出す左右2本のロールバーを装備する。993型タルガがカブリオレの車体を土台に設計されていたのに対し、996型タルガではクーペの車体を土台にしているために車体剛性が向上した。

またコスト削減のために車体前方部分がボクスターと共通部分が非常に多かった[22]。ボクスターで採用された涙目型ヘッドライトとフロントフェンダーがそのまま996型にも流用され[22]、バンパーやダッシュボードなども、ごく一部のデザインが違うのみで基本的には同じ形状のものが使用された[22]。フロントサスペンションなどもボクスターと共通であった[22]。下位モデルの露骨な共通部品の導入は、従来からの911ユーザーに強い違和感を与えた[22]。このため2001年に発売された991ターボではヘッドライトの形状が変更された[22]

2002年マイナーチェンジ(後期モデル) 前期モデルで不評だったヘッドライトのデザインが、ボクスターとの差別化のために新デザインに変更された(911ターボに先に導入された新形状だがレンズカットは異なる)[22]。前後バンパーについても空力特性を改善するために微細なデザイン変更が実施された[22]。エンジンはボアφ96mm×ストローク82.8mmの3,596ccに拡大、バリオカムプラスに進化し320馬力/6,800rpm、37.6kgmとなった。バリオカムプラスではバルブタイミングが連続可変となり、バルブのリフト量も低速側3.6mm、高速側11mmと可変されるようになった[22]。増大したパワーに対応してティプトロニックSも従来のZF製からメルセデス・ベンツ製に変更された。フロントのトレッド幅は10mm拡大され、これに伴いフロントフェンダーも15mm拡大された(991ターボと同じパーツを導入)[22]。シャシーについても大きく補強され、前期モデルより捻り剛性および曲げ剛性で25%向上しているが重量は25kg増加した[22]。ラジエターのエアダクトの形状を変更したことにより、ラジエターを通過するエア量が15%増加した[22]。ホイールサイズには変更ないが、ホイールデザインの変更により4輪で3.6kg軽量化された[22]。サスペンションのセッティングも変更され、フロントの伸び側が硬くされた[22]。ブレーキサイズは変更なし[22]。ステアリングは前期でオプション設定だった3本スポークのものに変更され、運転席メーターについても細かい変更が実施された[22]。前期型では助手席にグローブボックスがなく非難を浴びたため、それが設置された[22]。ドリンクホルダーはダッシュボード中央の引き出し式のものに改められた。PSM(姿勢安定制御装置)は標準装備となった[22]

グレード展開は以下の通りである。

グレード 駆動方式 過給器 排気量 最高出力/最大トルク 変速機 備考
カレラ
カレラカブリオレ
RR NA 前期3,387cc
後期3,596cc
前期300仏馬力/6,800rpm、35.7kgm/4,600rpm
後期320仏馬力/6,800rpm、37.6kgm/4,250rpm
6MT
5Tip-S
カレラ4
カレラ4カブリオレ
4WD NA 前期3,387cc
後期3,596cc
前期300仏馬力/6,800rpm、35.7kgm/4,600rpm
後期320仏馬力/6,800rpm、37.6kgm/4,250rpm
6MT
5Tip-S
1998年発売、4WDモデル
カレラ4S
カレラ4Sカブリオレ
4WD NA 3,596cc 320仏馬力/6,800rpm、37.6kgm/4,250rpm 6MT
5Tip-S
996ターボからターボと大型リヤウイングを取り外し、サスペンションをリセッティングしたモデル[22]。外寸は991ターボと同一。ホイールも外観は同じであるが中空構造にはなっていない[22]。リヤバンパーのインタークーラーアウトレットは必要が無いので黒いプラスチック板で閉鎖されている[22]
タルガ RR NA 3,596cc 320仏馬力/6,800rpm 37.6kgm/4,250rpm 6MT
5Tip-S
ガラス製のサンルーフと、ガラス製のテールゲートを装備したモデル。
40thアニバーサリー RR NA 3,596cc 345仏馬力/6,800rpm、37.6kgm/4,800rpm 6MT 2003年発売、911発売40周年を記念した1963台の限定生産モデル
ターボ
ターボカブリオレ
4WD ツインターボ 3,600cc 420仏馬力/5,700rpm、57.1kgm/2,700-4,600rpm 6MT
5Tip-S
2000年発売3.4Lから3.6Lに拡大され、さらに片バンクにつき一基のターボとインタークーラーを割り振られ420馬力、57.1kgmを発生する。ヘッドは水冷化されているが、911GT1クランクケースを流用しているため、カレラ系の3.6Lエンジンとはベースが異なる。996前期カレラと比較して車高10mmダウン、リヤフェンダー60mm拡大、フロントフェンダー15mm拡大。ビスカスカップリングによって、フロント側に5-40%の駆動力を配分[22]した。後輪のスリップを検知し、フロントへ駆動力を配分する制御を行なっている。ターボモデルとしては初めてティプトロを用意した[22]。4Sと共通のバンパーを装備[22]。ブレーキサイズは前330m×34mm厚、後330mm×28mm厚。タービンはKKK製K16。最大加給圧は1.8barでバリオカムプラスを991としては初めて装備した[22]。PSMは標準装備[22]。センターラジエターを通過する空気をダンパー上部から排出させることで、ボディー下面を流れる空気を60%減らした。加速時にロック率40%となる機械式デフも装備された。シートは20kg軽量バケット式が採用され、後部シートは省略された。オプションで純正ロールゲージが装着できた。リヤサブフレームとシャシーとの結合部位はゴムブッシュからメタルブッシュに変更されている。
ターボHPE
ターボS
4WD ツインターボ 3,600cc 450仏馬力/5,700rpm、63.2kgm/3,500-4,500rpm 5Tip-S ターボHPEは911ターボX50の日本仕様版
GT3 RR NA 3,600cc 前期360仏馬力/7,200rpm、37.6kgm/5,000rpm
後期381仏馬力/7,400rpm、39.2kgm/5,500rpm
6MT 1999年発売、ポルシェカップへの参戦を希望するユーザやGTレース向けの1400台限定生産の予定だったが予想外に人気があり1889台生産された(前期モデル)[22]。後期モデルはカタログモデル化された[22]。996カレラ4をベースに製作されており、GT1クランクケース採用したエンジンを搭載した。後期型ではチタンコンロッドなどの内部パーツの大幅刷新で回転系の重量が2kg軽量化され381馬力となっている[22]。エアコン・パワステを装備しているため空冷時代のような極端な軽量化には至っておらず車重は996カレラ前期型より30kg重い1350kg(後期型は1380kg)[22]。ブレーキサイズは前期モデルはターボやカレラ4Sと同一で前後4ポットキャリパーでブレーキディスクも同一である。後期モデルは前ブレーキに6ポットキャリパーが導入され、ブレーキディスクも前側が350mm×34mmとなった[22]。リヤ側のスタビは4段階に効きを調整できた[22]。クラブスポーツオプションを選択すると、軽量化されたフライホイールと6点シートベルト、ボルトオンロールケージが装備される[22]。トランスミッションは993GT2のものをケーブル操作式にしたものが装備された。前期後期ともに各種エアロパーツが装備されるが、専用品ではなく996カレラなどにも装着できた[22]
GT3RS RR NA 3,600cc 381仏馬力/7,400rpm、39.2kgm/5,500rpm 6MT フロントボンネットやドアミラーをCFRP製、リアウィンドウを強化プラスチック製にするなどでGT3から20kg軽量化し1,360kg
GT2 RR ツインターボ 3,600cc 前期462仏馬力/5,700rpm、63.2kgm/3,500-4,500rpm
後期483仏馬力/6,500rpm、65.3kgm/3,500-4,500rpm
6MT 2002年発売、911ターボをベースにエンジンチューン、100kgの軽量化を行い最高速は315km/h、カタログモデルでは最強スペックとなる。加給圧はフルスロットル時に2.0barまで上昇する[22]。911ターボより20mm車高が低く、2WD化によって911ターボより100kg軽くなっている[22]。PSMは装備されない[22]。ギヤ比や減速比なども964ターボと同一[22]

6代目 997型(2004年-2011年) [編集]

ポルシェ・911(6代目)
997型
997型GT3
2009-07-05 red Porsche 997 GT3 (MY 2010) Goodwood.jpg
販売期間 2004年 - 2011年
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 水冷 F6 DOHC 3,596cc
変速機 6速MT
5速ティプトロニックS
7速PDK
駆動方式 RR
サスペンション 前 マクファーソンストラット+コイル
後 マルチリンク+コイル
全長 4,425mm
全幅 1,810mm
全高 1,310mm
ホイールベース 2,350mm
車両重量 1,440kg
-自動車のスペック表-
911 GT3RSR(FIA-GT2仕様)

2004年夏発売。996をベースに大幅が改良が施されたモデル。シャシーなどは同一であるが、外観は大きく996から変更された[23]。996型の部品から80%以上を刷新したとも言われているが、ボディの基本骨格や一部のボディパネル、ボアφ96mm×ストローク82.8mmの3,596ccエンジンや5速ティプトロニックなどは踏襲されている。

内外観 [編集]

996型で不評だった涙滴型ヘッドライトが廃止となり、往年の丸型ヘッドライトが復活した。スモールランプ、ウインカーも空冷時代を彷彿とさせる別体型となり、さらに後部コンビネーションランプと前後バンパー部分のデザインも変更。ドアミラーは2本アームデザインに変更され、少なからずダウンフォースを発生させる[23]。内装のデザインも変更され質感が向上し、可変ギヤレシオのパワステが採用され[23]、911としては初のステアリングチルト機構も取り入れられた[23]。シートは4種類の形状が用意され、機能と目的によって選択することができた[23]。スペアタイヤは省略され、パンク修理キットでの対応となった。

構造 [編集]

シャシーの基本コンポーネンツは996を流用しているが、部分的に補強が施されシャシー自体は重くなった。従来からのスポット溶接に加え、樹脂系接着剤による接合も導入された[24]。シャシーの曲げ剛性は40%向上し[24]、曲げ剛性も8%向上しているが[23]、短距離の走行でも大幅にシャシー剛性が低下する事例もあり[23]、996ベースであることの限界も指摘された[23]。サスペンションアームは996と共通であるがジョイント部分が変更され[24]、細かい振動をシャシー側に伝えないよう工夫され[24]、シャシー側への取り付け位置も変更された[24]。前後のメンバーはダイカスト製から加圧形成ダイカストに変更され[24]、サイズもワイド化された[24]。これによってトレッド幅が前21mm後34mm広げられている[23]。ナックルの形状も変更されブレーキやベアリングの冷却に有利な中空の形状になった[24]。前部のラジエターを通過した空気は、車体下面への排出から前輪フェンダー内への排出に変更さ[24]れ、ボディー下面は樹脂製のパネルで覆われた[24]。これらの措置によって車体のCd値は996型の0.3から0.28に低下している(カレラSは0.29)。ボンネットはアルミ化され6kg軽量化された。その他にもリヤサブフレームで1kg、スペアタイヤと車載ジャッキ廃止で10kg、エンジン本体で2kgなどの地道な軽量化がなされ[23]、「カレラ」では996型と比較してトータル25kg軽量化された[23]。「カレラS」には19インチホイル、「カレラ」には18インチホイルが装着された[23]。部品点数も大幅に減らされ合理化された。例えば996型ではドア1枚のアッセンブリーパーツは15個であったが、997型では5個となった[23]

エンジン・ミッション [編集]

「カレラ」のエンジンはクランクの捩れ吸収ダンパーがアルミ製になった程度の微細な変更で、996型の「カレラ」のエンジンがほぼそのまま搭載された(前期型)[25]。出力も5馬力増の325馬力であった[23]。「カレラS」のエンジンは「カレラ」をベースに3mmのボアアップがなされ、排気量は3.8Lとなり2段階切り替え式のレゾナンスチャンバーの設置もあり出力は355馬力となった[23]。トランスミッションは、6速マニュアルトランスミッションと5速ティプトロニックSオートマチックトランスミッション(後期型では7速PDK)が用意された。6速マニュアルトランスミッションはアイシン製が採用され、ギヤのシンクロリングが996型の真鍮製からスチール製に変更され[23]、1-2速がトリプルコーン(996ではダブルコーン)、3速がダブルコーン(996ではシングル)となった。シフトもショートシフト化され、支点やリンクケーブルの変更など細かい改善がなされている[23]。スポーツシャシーオプションを選択すると、スプリングとスタビライザーが硬いものに変更され車高も2cmダウンする。

ブレーキ [編集]

「カレラS」には、996型ターボのブレーキがそのまま移植された(前後330mmのブレーキディスク)。「カレラ」には前318mm、後299mmのブレーキディスクが装備された。997型ターボとGT3(前期)には前後350mmのブレーキディスクが採用され、フロント側には6ポットキャリパーを装備し、パット面積は42%増加した。全車にオプション設定されたPCCB(セラミックコンポジットカーボンブレーキ)の場合、ローター径は380mmとなり、4輪で17kgのバネ下重量の削減になった[23]

その他 [編集]

オプションとして新たに開発されたPASM、スポーツクロノパッケージなど豊富なバリエーションも特徴である。PASMは可変減衰ダンパーで走行中に電子制御でダンパーの減衰力が変更されるものでビルシュタイン社と共同開発された[23]。「カレラ」に装着すると、ニュルブルクリンクで6秒のタイム短縮の効果があった(「カレラS」には標準装着)[24]。またPASMによってサーキットのタイムを短縮するのみならず、街中での乗り心地も大きく改善された。以上の改良によって、996型と同一シャシーながら、「カレラS」がSUGOサーキットにて996型の991ターボより速いタイムで安定して周回するなど[24]、大きな進歩を遂げた。特に前後方向のピッチングやリヤの安定性などに大きな改善が見られた[24]。オプションで装着される機械式LSDは日本製(GKNドライブランテクノロジー社製カーボン多板クラッチ式)[23]


2008年6月にマイナーチェンジ。NAモデルには新設計の直噴型エンジンが搭載され、PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)と呼ばれる7速のデュアルクラッチトランスミッションが選択ができるようになった(6MT比で+75万円)。従来のティプトロニックSは廃止された。新しい直噴DFIエンジンはクランクケースから完全に新設計され、996と997前期で使用されたM90/00系エンジンは登場からわずか11年で刷新されることになった[25]。直噴化によって12.5という高圧縮を達成し[25]、「カレラ」は+20馬力の345馬力、「カレラS」は390馬力となった。エンジンの部品点数も削減され、重量も6kg軽量化された[25]。シリンダーブロックもクローズドデッキ化され剛性が上がった[25]。オイルサンプユニットを10mm薄くし、クランクシャフト軸を10mm下げたことにより、エンジン上部の高さが20mm低くなり低重心化された[25]。新エンジンの冷却効率が高い(ウオーターポンプの20%容量増加による[25])ことよりフロントバンパー中央のラジエターが撤去された(バンパー穴はそのまま)[23]。エキマニも20年ぶりに等長タイプに戻され、996型で2分割されていた触媒もエキマニ直後で1体化された。吸気系では円筒形のエアフィルターを採用し、フィルター面積を拡大した。これによってエアフィルターの交換サイクルは6万kmから9万kmに伸びた[25]。また2009年施行のユーロ5排ガス規制をクリアし、10%のエタノール添加ガソリンにも対応した[25]。オイルポンプはクランクシャフトからチェーンで駆動されるが電子的に吐出量を加減できるタイプとなりオイル消費量が減った[25]。メインのオイルポンプの他に、ヘッドからオイルを吸いだすサクションポンプが4台設置された[25]。層状燃焼は燃費の点では有利だが、煤が多く排気ガスがクリーンでないという問題があり、997型のエンジンでは層状燃焼をさせない設定になっており、気化熱で燃焼室の温度を下げ、積極的に出力を狙う設定が成されている[25]。ポート噴射は併用されておらず、燃焼室の高圧インジェクターをマルチ噴射させることで対応している[25]。スモールランプ、ウインカーは2段のLEDのバータイプとなり、テールランプもLEDとなった。ホイールデザインも変更[23]。ドアミラーも大型化された[23]。PDKモデルのシフトはシフトレバーを手前に引くとシフトダウン、奥に押すとシフトアップとされ、操作の違和感を指摘する声が多かった[23]。ハンドルに配置されたボタンでもシフト操作ができたが、ティプトロニックSのボタンをそのまま流用したために、こちらも操作性が悪かった[23]。PDKは水冷式でエンジン冷却水で冷却された。MTモデルより30kg重いが、従来のティプトロより10kg軽量であった[25]。変速スピードはティプトロの1.6倍のスピードで、スポーツクロノパッケージを選択してスポーツモードにするとティプトロの2倍の変速スピードとなった[25]

グレード 駆動方式 過給器 排気量 最高出力/最大トルク 変速機 備考
カレラ
カレラカブリオレ
RR NA 前期型3,596cc
後期型3,613cc
前期型325仏馬力/6,800rpm、37.7kgm/4,250rpm
後期型345仏馬力/6,500rpm、39.7kgm/4,400rpm
6MT
5Tip-S
7PDK
前期型は996後期型カレラの3.6Lエンジンをベースにしたエンジンを搭載する。
カレラS
カレラSカブリオレ
前期型3,824cc
後期型3,799cc
前期型355仏馬力/6,600rpm、40.8kgm/4,600rpm
後期型385仏馬力/6,500rpm、42.8kgm/4,400rpm
カレラGTS
カレラGTSカブリオレ
3,799cc 408仏馬力/7,300rpm、42.8kgm/4,200-5,500rpm 7PDK 2010年9月のパリモーターショーで発表[26]。カレラSとGT3の間を埋めるべく発売されたモデル。カレラ4のワイドボディーを採用。エンジンは基本的にカレラSと同様ながら吸気チャンバーをアルミ製とし、可変レゾナンスインテークシステムで使用するスイングフラップをカレラSの1枚から6枚に増やすなど専用チューニングを実施し408馬力を発生した[26]。スプリングやスタビライザーも専用セッティングされたが、PASMのセッティングはカレラSと同一であり、GT3ほどのスパルタンな乗り心地ではない[26]。2シーターモデルだが無償オプションでリヤシートの設置をリクエストすることができた[26]。ホイールは997ターボ後期モデルにオプション設定されていたセンターロック式の19インチホイルが標準装着された(通常の5穴ホイルにも無償変更できた)[26]。カレラSなどにオプショ装備されているスポーツエキゾーストシステムを標準装備[26]。1604万円。海外では6MTモデルも販売された[26]
カレラ4
カレラ4カブリオレ
4WD 前期型3,596cc
後期型3,613cc
前期型325仏馬力/6,800rpm、37.7kgm/4,250rpm
後期型345仏馬力/6,500rpm、39.7kgm/4,400rpm
6MT
5Tip-S
7PDK
カレラ4,4Sともカレラに対してワイドボディー化(リヤ側が左右合計44mm)されており[23]、ブレーキチャージ機能付きブレーキを搭載[23]。前期型は996カレラ4と同じくビスカス式のセンターデフであるが、後期型はセンターデフに電子制御多板クラッチを(PTM)を採用し、リヤに機械式LSDで標準で装着した。
カレラ4S
カレラ4Sカブリオレ
前期型3,824cc
後期型3,799cc
前期型355仏馬力/6,600rpm、40.8kgm/4,600rpm
後期型385仏馬力/6,500rpm、42.8kgm/4,400rpm
女子テニスのポルシェ・グランプリの優勝賞品でもある。
カレラ4GTS
カレラ4GTSカブリオレ
3,799cc 408仏馬力/7,300rpm、42.8kgm/4,200-5,500rpm 7PDK
ターボ
ターボカブリオレ
ツインターボ 前期型3,600cc
後期型3,799cc
前期型480仏馬力/6,000rpm、63.2kgm/1,950-5,000rpm
後期型500仏馬力/6,000rpm、66.3kgm/1,950-5,000rpm
6MT
5Tip-S
7PDK
前期型は最後の空冷(ポルシェ・911 GT1)クランクケース採用モデル。スポーツクロノオプションを選択すると、オーバーブースト機能(通常1.0を最大1.2バールまで10秒間限定で上昇させる)が加わり[23]、前期型でトルクが69.4kgmとなる。ガソリンエンジンとしては世界初のボルグワーグナー社製の電子制御可変ジオメトリーターボ(可変エキゾーストタービン)を採用した[23]。ドアパネルなどのアルミ化により996ターボと比較して10kg軽量化[23]。機械式LSDはオプション。
ターボS
ターボSカブリオレ
3,799cc 530仏馬力/6,250rpm、71.4kgm/2,100-4,250rpm 7PDK
GT3 RR NA 前期型3,600cc
後期型3,797cc
前期型415仏馬力/7,600rpm、41.3kgm/5,500rpm
後期435仏馬力/7,600rpm、43.8kgm/5,500rpm
6MT カレラ系のエンジンとは異なり、1998年ルマンで優勝したGT1系のエンジンユニットをベースにしている[23]。996GT3から引き継いだのはクランスケースのみ。コンロッドはチタン製で、ピストンは1個当たり30g軽量化され、クランクシャフトも600g軽くなった[23]。エアコン・パワステ付き[23]。クラブスポーツパッケージを選択すると、消火器、ロールケージ、カーボン製バケットシートカレラGTと同じもの)などが装着される[23]。車高は「カレラ」比で3cmダウン。シャシーは「カレラ4」をベースにしている[23]。機械式LSDを装備。燃料タンクは90Lと大きく、前側のラゲッジスペースは狭くなっている[23]。PDKは選択できない。センター2本だしマフラーを採用。後期型は前期型のボアアップ。エアロの変更でダウンフォースが2倍となる。スプリングとスタビも後期型ではより硬くされ、ブレーキディスクも大型化された(前380mm後350mm)。前後バンパーも小変更を受け、これによりダウンフォースは前期の2倍となった[25]。燃料タンクは標準的な67Lに縮小された。
GT3RS 前期型3,600cc
後期型3,797cc
前期型415仏馬力/7,600rpm、41.3kgm/5,500rpm
後期型435仏馬力/7,600rpm、43.8kgm/5,500rpm
GT3をベースに、カレラ4Sボディで使って製造された[25]。専用リヤサスペンションアームを装備し、ホイールベースが僅かに延長されている[23]。軽量化されたフライホイールを装備するがエンジン本体はGT3と共通[23]。GT3比でリアトレッドが45mm拡大し全幅は1852mmとなったのが最大の特徴[25]。標準でボディ同色のロールケージを装備。オプションで黒色の強化タイプのロールケージも選択できた[25]。PCCBはオプション。ドアはアルミ製[25]。バンパーはGT3のものに専用のリップスポイラーが付属していた。リアウインドーのみアクリル製[25]。前期型は1918万円[25]。6MTのみ[25]
GT3RS 3.8 3,797cc 450仏馬力/8,500rpm、43.8kgm/6,750rpm
GT3RS 4.0 3,996cc 500仏馬力/8,250rpm、46.9kgm/5,750rpm 2011年5月16日予約開始。911GT3Rと同じボア・ストローク(102.7×80.4mm)となる。世界600台限定で日本への割り当ては17台のみ。ボディにカーボン・ファイバー・コンポジット(CFRP)製のフロントフードとフェンダー、ポリカーボネイト製のリアウィンドー(サイド含む)が採用され911GT3RSより10kg軽量化された。車両価格2478万円。専用ギアレシオの6MTのみで強化クラッチを標準装備。ポルシェの市販車としては初めてフロントバンパーにカナードを装着したモデル。
GT2 ツインターボ 3,600cc 530仏馬力/6,500rpm、69.4kgm/2,200-4,500rpm 2007年9月のフランクフルトモーターショーでデビュー。997ターボを2輪駆動とし、タービンとインマニを交換し出力アップ[23]。加給圧は1.4バール。標準でPCCBが装着される[23]。997ターボ比で140kgの軽量化[23]。ニュルブルクリンクで7分38秒のタイムを記録[25]。911ターボと同じ可変タービンジオメトリー(VTG)を採用。軽量化のためにチタン製エキゾーストシステムを装備(ステンレス製の50%の重量)。PSMをGT2としては初採用。エアフィルターボックスはカーボン製。発熱量の増大に対応するために、開口部を拡大した専用バンパーを採用。6MTのみ発売。2607万円[25]
GT2RS 620仏馬力/6,500rpm、71.4kgm/2,250-5,500rpm インタークーラーを改良し15%の効率アップ。最大ブースト圧を1.6Barに設定しGT2より90馬力出力を向上させた。一方燃費とCO2排出量もGT2比で約5%改善されている。カーボン製のフロントフード(GT2はアルミ製)やリップスポイラー、ポリカーボネイト製ウインドウ(フロント以外)、軽量化フライホイル、軽量スプリング、軽量金属の補強メンバーなどを採用することで、GT2から70kg軽量化し車重は1,370kgであった。ニュルブルクリンクでのラップタイムは、7分18秒であった。タイヤサイズは前245/35ZR19、後325/30ZR19であり、ワイド化されたフロントタイヤに対応するためにフロントフェンダーにはブリスターが装着された。2800万円で世界500台限定生産。
  • 911targa4S カレラ4Sをベースに、タルガ化(電動ガラスルーフとリヤハッチババックを装備)したモデル。エンジンは3.8Lのみで全車AWD。ガラスルーフはリヤウインドーの内側にスライド収納され、屋根を開放すると後部視界が悪化するという欠点もあった[27]
  • 911スピードスター 2010月2日開幕のパリモーターショーで世界初公開されたオープンモデル[26]。生産台数は初代スピードスターモデル『356スピードスター』の車名にちなんで356台のみで、日本への割り当ては6台のみ[26]。車両価格は2969万円。カレラGTS等と同じ3.6L 408馬力のエンジンを搭載[26]。フロントウインドウはカレラGTSカブリオレよりも60m低く寝かされた[26]。幌は手動装着。13スピーカーのBOSEサウンドシステムやセラミックコンポジット・ブレーキ(PCCB)も標準装備。ボクスタースパイダーと同様の「ダブルバブル」デザインのハードカバーを装備した。2WD-PDKモデルのみ。19インチの専用スポーツクラシックホイールが用意された。ドアはアルミ製[26]
  • 911GT3Cup カレラカップ出場用のレース専用車両[25]。前期型は3.6Lで400馬力、車重1140kg、ABSレス。997型より6速ドグクラッチ式シーケンシャルシフトを搭載した[25]。価格は1774万円で公道の走行は不可。2008年以降の後期型も3.6Lであるが、スロットルボアを76mmから82mmに拡大するなどして420馬力の出力としている[25]。外観上はリヤバンパーの形状が異なる点のみ[25]。2011年モデルは991GT3RSをベースとして出力450馬力となった[26]。価格は2011万8000円に改定[26]。購入者はポルシェカップレースへの全ラウンドの参戦が義務付けられている[26]
  • 911GT3RSR 911GT3RSまたは911GT3RS4.0をベースに開発されたレース専用車両。トランスミッションは6速シーケンシャル。ポルシェのモータースポーツレンジの最上位モデルとして911 GT3 R、911 GT3カップに参加する。価格は498,000 Euro。2006–2008年の前期モデルが3.8L465馬力で、後期モデルは4.0L450-455馬力となっている。

2007年7月に10万台目の車輌がラインオフされ、歴代モデルの中で最も短期間に10万台の生産達成となった[28]。同年11月にはドイツの業界誌『Auto Zeitung(アウト・ツァイトング)』の「Auto Trophy」で「Best Sports Automobile」および「Best Cabriolet over 30,000 Euro」部門でそれぞれ首位を獲得し、翌2008年1月にはドイツの自動車雑誌『auto, motor und sport(アウトモートアウントシュポルト)』でカブリオレ部門の「Best Automobile in the World」を受賞[29]

7代目 991型(2011年-) [編集]

ポルシェ・911(7代目)
991型
991型911
2012 NAIAS Red Porsche 991 convertible (world premiere).jpg
リア
Porsche911(991)rear.JPG
販売期間 2011年-
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 水冷 F6 DOHC 3,436cc
水冷 F6 DOHC 3,800cc
変速機 7速MT
7速PDK
駆動方式 RR
4輪駆動
サスペンション 前 マクファーソンストラット+コイル
後 マルチリンク+コイル
全長 4,491mm
全幅 1,808mm
全高 1,303mm
ホイールベース 2,450mm
車両重量 1,350kg
-自動車のスペック表-

2011年8月23日、新型「911カレラ」および「911カレラS」が正式発表され、翌9月のフランクフルトショーで世界デビューを飾った。同年11月10日より日本での受注開始。2012年8月27日に「カレラ4」および「カレラ4S」の日本での受注を開始した。

車体 [編集]

最大の特徴は車体への軽量金属の大幅な導入であり[30]、これによって997型と比較して剛性を高めつつ、60kgの軽量化が図られた[30]。軽量金属は主にアルミ合金が使用され[30]、ドア・フロントからボンネットの外装など広範囲に用いられ[30]、スチール・アルミハイブリッドシャシーと呼ばれた[30]。またセンタートンネル近辺にはマグネシウム合金も使用された[30]。997型と比較してAピラーは寝かされ、ヘッドライド間の距離も長くされ、ホイルベース・全長も延長され、全体的に997型と比較してワイド&ローの印象が強くなったが[30]、全高はほとんど変化していない。ホイルベースの延長は主にレース活動サイドからの要求で[30]、フロントのトレッド幅の拡大も同じ理由による[30]。空気抵抗係数は997型と変わらず0.29である[31]。最大幅は1810mmで997型と同一である[31]。外装部品に関しては996型・997型で不評だった、ボクスターとの共通部品の使用はなくなった。ただし従来どおり車両内部の部品については、シャシーやエンジン、サスペンションアームなど多くの部品をボクスターと共有している。

エンジン [編集]

エンジンは997型のエンジンをベースに新開発されショートストローク化された(82.8mm→77.5mm)。「911カレラ」のエンジンは、981型のボクスターSと同一で(セッティングは異なりより高回転型になっている)[31]、従来モデルよりも排気量が200cc小さい新開発の直噴3.4L 水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載する。最大出力・最大トルクの発生回転はともに997型のエンジンと比較して高回転化され、最高出力は350仏馬力/7,400rpm、最大トルク39.8kgm/5,600rpmで、排気量が減少したにも関わらず出力は増大している[31]。高出力バージョンの「911カレラS」は、先代モデルと同排気量の直噴3.8L自然吸気ユニットを搭載しながら、最高出力は15仏馬力増となる400仏馬力/7,400rpm、最大トルクは44.9kgmを発生する[31]。「911カレラ」と「911カレラS」の排気量の違いはボア径の違いによるもので、ストロークは77.5mmと同一である[31]。減速時に集中的にバッテリーへの充電を行う回生システム[31]とアイドリングストップ機能も導入された[30][31]。ステアリングも燃費改善のために911としては初の電動パワステが採用されている[30]。冷却水は室内メーターでは90度と表示されるが、実は従来85度管理だったものが105度まで高められて、エンジンとミッションのフリクションを低減し2%の燃費改善をしている[31]。高負荷時にはエンジン保護のためにサーモスタットを強制的に開口させて水温を85度に下げる制御を行っている[31]。100kmあたりの走行に必要なガソリンは、アイドリングストップで0.6L、エンジントランスミッションの温度管理とバッテリー回生システムで0.35L、PDKの空走システムで最大1.0L、電動パワステで0.1L削減された[31]。「911カレラS」も997型と比較して、最大で15%の燃費改善となっている[31]。ラジエターは左右分割されて前輪前に配置され、裏側にエアコンのコンデンサーが設置され、その後方に吸出し式の電動ファンが付く[31]。燃料タンクは64Lで10Lのリザーブタンクが装備される[31]。オイルポンプは997型を改良した可変容量式で吐出量を無段階に調節できる。「911カレラS」には可変吸気システムが具えられ、3000回転と5000回転を境にチャンバー効果を3段階に変化させている[31]。吸気システムにはサウンドチューニング用に様々な工夫が織り込まれている。エアクリーナーボックスには吸気音を開放するために4箇所に穴が開けられ(空気は吸い込まないように空気抵抗の高い不織布が張られている)、インテークサイレンサーの手前には稼動フラップが設置され4500回転-6000回転で開放され、吸気音を濁す周波数成分を減らす工夫がされている[31]。吸気管からは吸気音をキャビンに故意に伝達させるために「サウンド・シンポーザ」が採用され、スポーツモードをオンにすると、バタフライバルブが開き振動板を経由した共鳴管の脈動音がリヤシェルフに伝道される。エキゾーストシステムはカレラ・カレラS・スポーツエキゾーストの3種類存在する。カレラSとエキゾーストシステムは4本出しであるが、末端で4本に分割されているのはなくバルブによって経由するサイレンサーを制御して排気抵抗と排気音を可変するために4本開口となっている[31]

トランスミッション [編集]

トランスミッションは7速MTと7速PDKが設定され、PDK車はNEDCモード燃費で従来モデルより約2km/L向上し、8.2L/100km(=12.2km/L)を達成。CO2排出量はポルシェのスポーツカーとして初めて200g/kmを下回り、194g/kmを実現した。PDK仕様においては、下り坂など空走状態と判断された場合クラッチが自動的に切られてエンジンがアイドリング状態(700回転)となり燃費を改善するようにプログラムされている。急加速を繰り返す状況ではエンジンブレーキを優先させ、この機能は作動されない[30]。シフトショックなども997型と比較して制御が改善され、より軽減されている[31]。7速MTは7速PDKのミッションケースを利用したものになり[30]、誤ったシフト作業を避けるために5速と6速からしか7速に入らないようにロック機構が組み込まれている[30]。PDKと比較して3速が若干ハイギヤ、7速がローギヤとなっている以外はギヤ比は同一でファイナルも同じである[31]。7速MTでは100km走行時に5速で3000回転、6速で2400回転、7速で1800回転となる(997型は6速で2400回転)[31]。クラッチの踏力は997型より高くなっており(クラッチが重い)[31]、シフトフィーリングも悪化しているが、これらはPDKベースであり機械式アクチュエーター(MECOSA;メカニカル・コンバート・シフト・アクチュエーター)でPDKシステムを駆動していることに由来している[31]。「911カレラS」にはトルクベクタリンク(PTV)が標準装備されたが、7MTとPDKモデルではPTVの動作方法が異なり、7MTモデルでは機械式LSDと後輪のブレーキ制御介入で実施されるが、PDKモデルではデフ内部の多板油圧制御クラッチと後輪のブレーキ制御介入で実施される。ロック率は双方とも25-27%と同一である[31]

ブレーキ [編集]

「911カレラ」は997型と比較してフロントブレーキディスクが318mmから330mmに拡大され(厚さは28mmで不変)、「911カレラS」は前後330mmだったものが前側が340mmに拡大された[31]。「911カレラ」は前後4ポットキャリパー、「911カレラS」は前6ポット後4ポットキャリパーが装備され、オプションでカーボンディスク採用のPCCBも設定された。PSMも9世代に進化し4輪のストローク変化をより路面の凹凸を測定して路面推定を制御に盛り込んでいる[31]

内装 [編集]

センターコンソールの両側にスイッチ類が並べられるパラメーラに準じた内装となった。中央タコメーター右側にはVGAディスプレイが用意され、左右前後方向のGなど様々な情報が表示される[31]。997と比較してホイルベースが延長されたが[30]、室内の居住空間は997同等で広くなっていない[30]が、レッグスペースは6mmとわずかに拡大している[31]。室内高は997型と不変。唯一後部座席背面の荷物収納スペースが明らかに広くなった[31]。フロントのトランク容量は997と比較して減少した[30]。運転席のべダル類はアームの断面積を拡大して剛性を向上させている[30]。エアコンは左右独立温度調整システムとなった。また日本仕様には全車にクラリオン製オーディオ統合型カーナビが搭載され、オプションでボース製サウンドシステムに変更することも可能。911としては初の電動可倒式サイドミラーもオプション設定された。サンルーフはアウタースライド式となり従来式と比較すると室内スペースの犠牲が少なくなった。サンルーフの状態に対応してリヤスポイラーの角度と高さは自動的に最適位置に制御される[31]

その他 [編集]

エンジンの搭載位置は変わっていないが[30]、ホイルベースの延長に伴い後輪の位置が変わりドライブシャフトとミッションの角度がより好ましい角度に修正されている[30]。ホイールは「911カレラ」で19インチ、「911カレラS」では20インチが標準装着された[31]。「911カレラS」では従来どおりPSM,PASMが標準装備された(「911カレラ」は標準ではPSMのみ)。またアクティブスタビライザー(PDCC)やトルクベクタリンク(PTV)、ダイナミックエンジンマウント(997ターボには搭載済み)などの機能がオプションとして新たに用意された[31]。PASM(可変減衰力ダンパー)も4つの車高センサーが追加され制御精度が向上した[31]。リヤエンジンフードを開けてもエンジン本体は目視できず、オイル交換や冷却水追加などのメンテナンス用の開口部となった[31]。可動性リヤウイングは面積が拡大され、立ち上げ高さも増え、より効果的に作用するようになり、スポイラー自体も20%軽量化されている[31]。乗り味としては997と比較してさらにリヤの安定性が増し[30]、もはやRRを意識させられない印象で、996-997とは完全に異なった乗り味になっている[30]。このため911らしくないという声も自動車評論家から聞かれた[30]が、特にホイルベースの延長によってピッチングが抑制され、より上質な乗り心地となった[31]、直進性や高速コーナーの安定性が増した[31]とされた。

グレード 駆動方式 過給器 排気量 最高出力/最大トルク 変速機 備考
カレラ
カレラカブリオレ
RR NA 3,436cc 350仏馬力/7,400rpm、39.7kgm/5,600rpm 7MT
7PDK
カレラS
カレラSカブリオレ
3,799cc 400仏馬力/7,400rpm、44.9kgm/5,600rpm
カレラ4
カレラ4カブリオレ
4WD 3,436cc 350仏馬力/7,400rpm、39.7kgm/5,600rpm 両側リアテールランプにつながる極細テールランプが装備されている。リヤフェンダーは「カレラ」対比で+44mmワイド化されている。
PTMの制御が997型より進化している。専用デザインのフロントバンパー装着。
カレラ4S
カレラ4Sカブリオレ
3,799cc 400仏馬力/7,400rpm、44.9kgm/5,600rpm
カブリオレはクロースドボディと比較して60-70kgの重量増と、cd値の悪化(0.29が0.30)、PDKモデルのみという点などが異なる。PTV(ポルシェ・トルクベクトリンクシステム)を標準装備

インターミディエイトシャフトの破損について [編集]

996型と997前期型に搭載された水冷エンジンではタイミングチェーンがエンジンの左右に分かれて配置されている。そのためクランクシャフトからカムシャフトへ動きを伝達するインターミディエイトシャフトの長さが延長されてクランクケース前後を貫通している(空冷時代の基本構造を受け継いだクランクケースを継続使用するターボおよびGT2,GT3を除く)。このインターミディエイトシャフトの不具合がブログ、掲示板、日本国土交通省の自動車不具合情報ホットラインなどで報告されている。ポルシェは本不具合に対する公式見解を発表していないが、利用者からの情報を総合すると不具合は996型および997前期型で発生しているようである。997前期型の2006 - 2007年モデルで応急的な対策(ボルトなどの改良)がなされたが、当該年式においても依然としてインターミディエイトシャフトの不具合は散見される。本不具合は車両走行中に応力のかかるインターミディエイトシャフト(のボルト及びベアリングの経年変化によって劣化した部分)に負荷が集中した結果、突然耐え切れず破損してしまうものである。この破損によりインターミディエイトシャフトを通して制御されていたカムシャフトが暴走し、車はエンジンブローによって動作不可能となる。復旧にはエンジンの交換が必要である。2011年8月現在、ポルシェは本件に関するリコールを届け出ていない。 なお、直噴エンジンに換装された997後期モデルからはインターミディエイトシャフトそのものが存在しないため、本不具合とは無縁である。

脚注 [編集]

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  1. ^ 同様の理由でポルシェ・904はポルシェカレラGTSに改名されている。
  2. ^ 4気筒の356カレラエンジンではベベルギア駆動であったため騒音が大きく、ベルト駆動はシンプルで静粛であるが当時としてはハンス・グラースしか採用しておらずリスクを負うべきではないとの結論になり、チェーン駆動となった。高性能エンジンはフライホイールが軽くチェーンに大きな加速力が掛かるため、当時最高品質であったレノルド (Renold) 製を採用した。
  3. ^ 水平対向エンジンは横幅があるため横Gが掛かった時のオイルレベル変動が激しい。ウエットサンプでオイルパンを深く取ればエンジンの重心を上げねばならず、4気筒エンジンでもカレラにはドライサンプが採用されていた。
  4. ^ 当初はアルミ合金、試作段階では鋳鉄製であった。
  5. ^ 従来使われていたシロッコ式は非常に安価にフォルクスワーゲンから購入できたが効率が劣り、また風が左列に行くので右列用にダクトを設けるか右寄りにファンを移動する対策が必要になっていた。
  6. ^ 初期の説明書による
  7. ^ トルク比2.0
  8. ^ スロットルを閉じた時排気マニフォールドに空気を吹き込むVベルト駆動のエアポンプが追加されている。
  9. ^ 906の901/20型はクランクケースがマグネシウム製であるがこれはアルミニウム製である点が異なる。
  10. ^ ポルシェ博物館資料P76。
  11. ^ ポルシェ博物館資料P76。
  12. ^ 電気メッキではない。「ポルシェ911ストーリー」P146。
  13. ^ ポルシェ博物館資料P108。
  14. ^ 「外国車ガイドブック'77」P144。
  15. ^ 電気メッキではない。「ポルシェ911ストーリー」P146。
  16. ^ ポルシェ博物館資料P80。
  17. ^ 「昨年から再輸入されるようになった」『外国車ガイドブック1986』P136。
  18. ^ 『外国車ガイドブック1986』P208。
  19. ^ 「外国車ガイドブック1988」P142。
  20. ^ 「外国車ガイドブック1988」P143。
  21. ^ 日本ではウェバストとも呼ばれていた
  22. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba 991DAYS VOL37 2009 AUTUMN
  23. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao オートカー・セレクション ポルシェ991タイプ997 ネコパブリッシング ISBN-13: 978-4777008827
  24. ^ a b c d e f g h i j k l m ベストモータリング2005年2月号 DVD 2&4 モータリング社
  25. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac 991DAYS VOL 33 2008 AUTUMN
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 911DAYS Vol.42 2011 winter p153
  27. ^ カーグラフィックTV No.1080 ポルシェ特集
  28. ^ 公式サイト、プレスリリース、2007年7月12日
  29. ^ 公式サイト、プレスリリース、2008年1月31日
  30. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 911DAYS (ナインイレブンデイズ) Vol.48 インロック 2012年 07月号 ASIN: B0085MLYAA
  31. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ボルシェ911のすべて 『三栄書房』平成24年8月22日発刊 ISBN978-4-7796-1500-9

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]

ポルシェ A.G. 車両年表 1960年-
タイプ 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
911(スポーツ) 901 930 964 993 996 997 991
スポーツ
356 928
エントリー 912 →E 924 924S 968 ケイマン(987c) →(981c)
914 944 ボクスター(986) →(987) →(981)
セダン パナメーラ
SUV カイエン(955) →(957) →(958)
高性能車 550 904 959 カレラGT
コンセプトカー: 356/1 | 114 | 695 | 901 | EA266 | 989 | パナメリカーナ | 918
モータースポーツ: 64 | 360 | 550 | 718 | 787 | 804 | 904 | 906 | 907 | 908 | 909 | 910 | 914-6 GT | 917 | 934 | 935 | 936 | 953 | 956 | 961 | 962 | GT1 | WSC95 | RSスパイダー
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