ポルシェ・928

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ポルシェ・928
ポルシェ928(1981年型)
Porsche 928 Parkers Piece.JPG
ポルシェ928S4(1987年型)
1987 Porsche 928 S4 - Flickr - The Car Spy (22).jpg
ポルシェ928GTS(1995年型)
1995 Porsche 928 GTS.jpg
販売期間 1977年 - 1995年
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
エンジン 水冷V8SOHC4,474cc
変速機 5速マニュアルトランスミッション/3速AT
駆動方式 FR
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン+コイル
後 セミトレーリングアーム+コイル
先代 なし
後継 なし
-自動車のスペック表-

ポルシェ928Porsche 928 )はポルシェ1977年に発売したスポーツカーである。スポーツ性能とラグジュアリー性を兼ねた車両として企画され、生産された。928は一部の911オーナーも取り込むことに成功した。

概要[編集]

1973年当時のポルシェの社長である、エルンスト・フールマンが、ポルシェ・911に代わる新たな主力とすべく、当時、911よりも上級であったジャガー・Eタイプアストンマーチンフェラーリの12気筒モデルなどのプレミアム・スポーツ、また高級パーソナルクーペのBMWの6シリーズやメルセデスのSLなどをターゲット視野に企画、開発され、1977年3月に新世代ポルシェのフラグシップとして登場した。

進化系のS4に関しては、そのコンセプトは後のフェラーリ・テスタロッサフェラーリ・456に影響を与えたとされた[1]。ただし生産中止以降928の実質的な後継車の発表はされていない。

車両のほぼすべてが専用設計でありポルシェ量産車のフラッグシップとして生産されていたが、ポルシェの経営悪化に伴い1995年に生産中止された。

幾多の年次改良は施しているものの、ポルシェの単一車両形式としては、ポルシェ・911の930型(1975年から1989年)の15年、ポルシェ・356(1948年から1965年)の18年を上回り最長寿である。なお1978年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しており、これは現在までスポーツカーで唯一の受賞となっている。日本でも販売された。

解説[編集]

駆動ユニットはV8エンジンをフロントミッドに搭載したFRで、トランスアクスル レイアウトが採用され、車重の理想的な前後配分に貢献している。911とは対照的にエンジンは水冷で、コグドベルト駆動、ハイドローリック・タペットなど当時の新鋭技術を満載している。燃料供給は当初ボッシュKジェトロニック。

トランスミッションは5速マニュアルトランスミッションまたはメルセデス・ベンツ製3速ATが選択できたが、日本では初期型の928及び928S、またマニュアル専用の928GTを除いてAT搭載車が圧倒的に多い。928S4からはATが4速になっているが、通常は2速発進(トルクが強大な為、意図しない急発進・ホイールスピンを防止する目的)からの自動変速となるDレンジを選択、登坂などは1速ホールドとなるG(ゲレンデ)レンジを選択する。

コーナリング中にかかった横荷重により、外側後輪が機械的に最大2°トーをイン側に向けてリアのコーナリングフォースを安定させ、従来モデルよりも安定したコーナーリングが出来るようにした「ヴァイザッハ・アクスル」(Weissach Axle )が採用された。この考え方はその後の日本車に搭載された4WSや、メルセデスベンツが190Eから採用したマルチリンクサスペンションに大きな影響を与えた。

内装はメーターパネル全体がハンドルと一緒にチルトし調整できるシステムを採用している。T字型のなだらかで乗員を包むデザインのダッシュボード形状は、2代目ソアラやZ32フェアレディZNSX等1980年代中盤以降の日本車に多く採用された。

バッテリーボックスは、荷重を50対50に近づけるとともに共振を抑えるスタビライザーとするためトランスミッションに固定されている。

外装は全体的に卵形のシルエットにポップアップ式ヘッドランプを採用しているのが特徴で、ライトを点灯すると、前方に目が飛び出たように見える。また、北米の安全基準に適合したボディ一体型の衝撃吸収バンパーも装着している。

歴史[編集]

  • 9281977年発売、日本では1978年から発売) - ボアφ95mm×ストローク78.9mmで4,474cc、圧縮比8.5で230馬力/5,250rpm、35.0kgm/3,600rpm[2]で最高速度230km/h。ドイツ仕様はMT/ATが選択できたが日本ではATのみ。ホイールは15in。1981年から圧縮比9.0に向上するとともにボッシュLジェトロニックに変更し、231馬力/5,500rpm、36.7kgm/4,000rpmに向上、1982年モデルまで928Sと併売された。
  • 928S1980年ヨーロッパとオーストラリアで発売、日本では1981年から発売) - 4664ccに排気量拡大、燃料噴射装置をボッシュL-ジェトロニックに変更し270馬力/5,750rpm[3]、39.2kgm/4500rpmで最高速度250km/h。電動シートをオプション設定。ステアリングが4本スポークとなった。フロントスポイラーを装備。全高を31mm低い1282mmに変更。ホイールは16in。ノーマルの928と併売された。
  • 928S21984年発売) - 265馬力。
  • ドクターズカーDoctor's Car1984年ワンオフ製作) - フェリー・ポルシェの75歳を祝って、ホイールベースやルーフラインを延長しスポーツワゴン風に仕立てられたフル4シーターモデル。完成直後世界中の自動車メディアに紹介されたが、市販化は財政的問題などで行なわれていない。
    • このモデルには量産モデルのパイロット生産品としての側面もあり、5リッターエンジンや新形状のリヤバンパー、当時としては画期的なプロジェクターヘッドランプがいち早く導入されていた。
    • 現在は本社隣接のポルシェ・ミュージアムに所蔵されている。
  • 928S21985年発売) - 4,957ccに排気量拡大するとともにDOHC32バルブとし292馬力、最高速度240km/h(日本仕様)。ボッシュLH-ジェトロニックに変更。
  • 928S41987年発売) - 320馬力。最高速度270km/h。前後のランプ、バンパー変更、リアスポイラー変更し、空力を向上した。
  • H50コンセプト(1987年試作車) - 前述ドクターズカーを4ドア化したモデル。[1]
  • 928S4エクスクルーシヴ1991年発売)
  • 928GT1990年発売) - インテークポートやカムの変更で330馬力/6,200rpmに出力アップし最高速度275km/h。MTのみ。
  • 928GTS1992年発売) - ボアφ100mmのままストロークを伸長して5,396ccに排気量拡大し350馬力/5700rpm、50.0kgm/4250rpm、最高速294km/h。全長4,515mm、全幅1,845mm、全高1,330mm、ホイールベース2,485mm、車両重量1,660kg。運転席、助手席にエアバッグを装備した。日本でもMT/ATが選択できた。

脚注[編集]

  1. ^ 911&ポルシェマガジンNo.33。
  2. ^ 松田コレクションポルシェ博物館の資料P112による。
  3. ^ 日本仕様でありドイツ仕様は300馬力。

関連項目[編集]

ポルシェ A.G. 車両年表 1960年-
タイプ 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4
ポルシェ・911 901 930 964 993 996 997 991
スポーツカー
356 928
スポーツカー 912 →E 924 924S 968 ケイマン
914 944 ボクスター
セダン パナメーラ
SUV カイエン
マカン
高性能車 550 904 959 カレラGT 918スパイダー
コンセプトカー: 356/1 | 114 | 695 | 901 | EA266 | 989 | パナメリカーナ | 918
モータースポーツ: 64 | 360 | 550 | 718 | 787 | 804 | 904 | 906 | 907 | 908 | 909 | 910 | 914-6 GT | 917 | 934 | 935 | 936 | 953 | 956 | 961 | 962 | GT1 | WSC95 | RSスパイダー | 919ハイブリッド
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