シュビムワーゲン
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シュビムワーゲン(ドイツ語:Schwimmwagen)は、第二次世界大戦中にドイツ軍が使用した四輪駆動の水陸両用車である。1941年にキューベルワーゲンの車台をベースにTyp 128が開発されたが、1942年から戦場における不具合を改善してホイールベースを短縮した改良型Typ 166が生産された。大戦中に最も多く生産された軍用水陸両用車である。
なお、「Schwimmwagen」のカタカナ表記には、「w」の表記を「ヴァ行」とするか「バ行」とするかで「シュビムワーゲン」と「シュヴィムワーゲン」の二通りが混在している。但し、同じ「w」の文字で始まる「Wagen」についてはヤナセの実績を認め、「バーゲン」と書かれたり「ヴァーゲン」と書かれたりすることは滅多にない。
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[編集] フォルクスワーゲンからキューベルワーゲン
1939年1月には、陸軍兵器局からフォルクスワーゲンを軍用車輌に転用する要求があり、陸軍兵器局は、具体的に次の事項を要求した。
- 3名が乗車できること
- 合計重量が950kg(うち自重が550kg、兵士3名と貨物で400kg)を超えないこと
- 高い生産性を持つこと
- 高い不整地走破性能を持つこと
また、民間転用も可能な設計を要求された。約9ヶ月の開発期間の後、1939年11月にはプロトタイプを陸軍兵器局に提示することができた。このプロトタイプは、1940年にTyp 82にまで発展し、量産された。この車両は、その椅子の特徴から「キューベルワーゲン」と呼ばれた。
[編集] キューベルワーゲンからシュヴィムワーゲン
ドイツ陸軍は、1940年ポーランド侵攻の戦訓として、歩兵一個分隊が乗車したまま河川を渡河できる水陸両用車輌の必要性を認識した。そこで陸軍兵器局は、ポルシェ社にTyp 82キューベルワーゲンを基にしたプロトタイプの設計を依頼した。
設計上、キューベルワーゲンとの最も大きな違いは、四輪駆動とすることであった。また、バスタブのような車台構造、車体後部に取り付けられた3枚翼のプロペラ(着脱式、使用しない際は上に跳ね上げる)、及び強化された1,131cc(24.5馬力)の水平対向型エンジンが特徴である。プロペラによる水上推進は10km/hでの航行を可能にした。
ポルシェ博士率いるポルシェ社は、ハイルブロンにあるダンツ社と共に、Typ 128 水陸両用車を開発した。1941年には走行試験用車輌が完成し、フォルクスワーゲン製造会社で製造が開始された。しかし、Typ 128 は戦場において幾つかの不具合が見られたため、改良型 Typ 166が設計された。Typ 166 の車体は Typ 128 よりも37.5cm 短くされ、整備性と不整地走破性がより向上した。Typ 166 は1942年から量産され、歴史上最も成功した軍用水陸両用車となった。制式名称は Leichter Personenkraftwagen K2s(4x4)Volkswagen Typ 166 。その水陸両用能力から「シュヴィムワーゲン」Schwimm-Wagen(英:Swim car、泳ぐ車)または「シュヴィマー」Schwimmer(英:Swimmer、泳ぐ人・水泳選手)と呼ばれた。
1944年には連合軍の爆撃により、主な製造工場であった Ambi-Budd-Werke社が完全に破壊された。それ以降は、現ヴォルフスブルク市のフォルクスワーゲン製造会社の工場で、限られた数が製造された。1941年から1945年までの間に、Typ 128 とTyp 166 を含めて14,276輌のシュヴィムワーゲンが製造された。
[編集] 活躍
Typ 128 の最初の量産車輌は、1940年にドイツ国防軍の工兵部隊に配備された。また、武装親衛隊にもTyp 128 が1941年に配備されたが、改良要求が出され、Typ 166 に代替されている。武装親衛隊では東部戦線の不整地走破能力に問題のある BMW R75 やツンダップ社のKS 750 サイドカーの代わりにオートバイ歩兵大隊に配備された。
数量的に限定されて陸軍と武装親衛隊の一部に配備されただけであった。両車は水上能力が滅多に活用されなかったとしても、優れた不整地走破能力の点から重用された。
[編集] 性能諸元
[編集] エンジン
| Typ | エンジン | 排気量 | 出力 | キャブレター | 冷却 | 動弁 | 蓄電池 |
| 128 | 4気筒4ストローク 水平対向エンジン オイルクーラー付き |
1,131cc | 24.5馬力 (3,000rpm時) (最高3,300rpm) |
ケース式流動型 キャブレター Solex 26 VFJ |
空冷式 (オイルパン利用) |
吊下式 | 6V 75Ah (後部座席の下) |
| 166 |
[編集] 変速機
| Typ | 変速機ギア比 | 機構詳細 |
| 128 | 1段 1:3.60 2段 1:2.07 3段 1:1.25 4段 1:0.80 後退 1:6.60 不整地 1:5.86 |
四輪駆動 乾式円板クラッチ エンジン機構の後ろ、後部軸の前に搭載 3枚翼の浮行用プロペラ シフトレバー:車輌中央 四輪駆動及び不整地走行シフトレバー |
| 166 |
[編集] 車台
| Typ | 車台 |
| 128 | 自己支持構造、防水鋼板のバスタブ型、全長に渡り二重構造、縦・横方向への支持材あり |
| 166 |
[編集] 懸架装置
| Typ | 懸架装置 |
| 128 | 前輪:独立懸架(ポルシェ式ダブルトレーリングアーム 横置きトーションバースプリング) 後輪:独立懸架(スイングアクスル・トレーリングアーム 横置きトーションバースプリング) 油圧ショックアブソーバ、ワイヤー作用式ブロックブレーキ装備 |
| 166 |
[編集] 詳細事項
| Typ | 外形寸法 | タイヤ | 走行能力 | クリアランス | 喫水 | 旋回円周 | 車体重量 |
| 128 | 4,200×1,620×1,720 mm | 5.25-16 不整地 | 渡河・航行可能 | 355mm | 800mm | 整地 11.5m 水中 18.5m |
900kg |
| 166 | 3,825×1,480×1,615 mm | 5.25-16 (不整地) 200-16または200-12 (熱帯) |
350mm | 770mm | 整地 10m 不整地 16m |
910kg |
| Typ | ホイールベース | 積載時重量 | 牽引力 | 最高速度 | 燃費 | 燃料容量 | 航続距離 |
| 128 | 2,400mm | 1,350kg | 450kg | 整地 80km/h 水中 10km/h |
整地 9.5l/100km 水中 10l/h |
42l (前部) | 整地 440km |
| 166 | 2,000mm | 1,345kg | 435kg | 2×25l (前部) | 整地 520km |
[編集] 派生形
キューベルワーゲンとシュヴィムワーゲンは密接な関係にあるため、ここでは双方を混在させて表示する。また、設計、試作のみに留まったものが多数あり、量産されたとは限らないことに注意。下記の表では「カブリオ・オープントップ」のような重語気味となる表現は削除した。原語表記についてはドイツ語版記事を参照。
| V1, V2, V3 | プロトタイプ |
| Typ W30 | |
| Typ W38 | |
| Typ 60 | フォルクスワーゲン(ドイツ国民車)原型 リムジン カブリオ・リムジン カブリオ オープントップ型配達用トラック |
| Typ 61 | 全長縮小研究 |
| Typ 62 | 不整地用フォルクスワーゲン(プロトタイプ) |
| Typ 64 | ベルリン-ローマ走破車輌(VWレコードカー) |
| Typ 65 | 運転学校のための予備装置を付加 |
| Typ 66 | Typ 60の右ハンドル車 |
| Typ 67 | Typ 60(無効車) |
| Typ 68 | Typ 60の配達トラック版 (A型) |
| Typ 81 | 有蓋配達トラック |
| Typ 82 | 不整地用フォルクスワーゲン (共通車台) 0 : 4座席 1 : 3座席 2 : 緊急車両 3 : 戦車教導隊用車輌 4 - 5 : リムジン 6 : 屋根付きリムジン (熱帯仕様) 7 : 3座席 指揮車 8 : オープントップ車(一部木製) E : ビートル |
| Typ 86 | 四輪駆動キューベルワーゲン試作車 |
| Typ 87 | 四輪駆動共通車台使用車 (原型はTyp 86) 0 : 4座席用車体 1 : 3座席用車体 7 リムジン車体(指揮官用車) |
| Typ 88 | 配達トラック (B型) |
| Typ 89 | 自動変速試験車輌 |
| Typ 92 | 82型を元にしたリムジン(兼ビートル) 四輪駆動でない武装親衛隊用 LOトラック車台 KdF-カブリオ |
| Typ 98 | 四輪駆動カブリオ・リムジン |
| Typ 106 | 機構試験車輌 |
| Typ 107 | 排気ガスタービン過給器試験車輌 |
| Typ 110 | 操縦席を残した小型牽引車 |
| Typ 115 | 高圧過給器試験車輌 |
| Typ 120 | 航空省向け固定車輌 |
| Typ 121 | 陸軍兵器局向け電磁着火固定車輌 |
| Typ 122 | 郵政省向け電池式着火用固定車輌 |
| Typ 126 | 全自動同期機構試験車輌 |
| Typ 127 | 仕切り弁試験車輌 |
| Typ 128 | シュビムワーゲン (A型) |
| Typ 129 | シュビムワーゲン (特別型) |
| Typ 138 | シュビムワーゲン (B型) |
| Typ 155 | 82型のスノーチェーン試験車輌 |
| Typ 156 | シュビムワーゲンのレール走行型(軌陸車) |
| Typ 157 | 82型・87型のレール走行型(軌陸車) |
| Typ 160 | 屋根支持装置のないリムジン |
| Typ 162 | 屋根支持装置のないゲレンデワーゲン |
| Typ 164 | 2エンジン6輪ゲレンデワーゲン試作車両 |
| Typ 166 | シュビムワーゲン (C型) |
| Typ 177 | 5段変速ゲレンデワーゲン (A型) |
| Typ 177 | 5段変速ゲレンデワーゲン (B型) |
| Typ 179 | 燃料噴射装置試験車輌 |
| Typ 182 | 統一車体ゲレンデワーゲン(二輪駆動) |
| Typ 187 | 統一車体ゲレンデワーゲン(四輪駆動) |
| Typ 188 | シュビムワーゲン (D型) |
| Typ 198 | 変速装置始動試験車輌 |
| Typ 230 | 発電機駆動試験車輌 |
| Typ 231 | アセチレン駆動試験車輌 |
| Typ 235 | 電気駆動試験車輌 |
| Typ 239 | 木炭駆動試験車輌 |
| Typ 240 | ボンベ入りガス駆動試験車輌 |
| Typ 247 | 航空エンジン試験車輌 |
| Typ 276 | Typ 82のトレーラ用フック付き型 |
| Typ 278 | シンクロメッシュ試験車輌 |
| Typ 283 | Typ 82の発電車タイプ |
| Typ 287 | KdF車台と共通の指揮車 |
| Typ 296 | 中間ギア試験車輌 |
| Typ 307 | キャブレター大型化試験車輌 |
| Typ 309 | ディーゼルエンジン化試験車輌 |
| Typ 330 | 木炭混合駆動試験車輌 |
| Typ 331 | 植物由来燃料駆動試験車輌 |
| Typ 332 | 無煙石炭駆動試験車輌 |
| Typ 355 | 配達トラック (C型) |
| Typ 356 | 2座席スポーツ車 |
| Typ 821 | 3座席キューベルワーゲン |
| Typ 825 | 82型と92型のためのトラック共通車台 |
| Typ 826 | 熱帯地方用(屋根付き) |
| Typ 827 | Typ 82の3座席指揮官車 |
[編集] 参考文献
- Hans-Georg Mayer-Stein: Volkswagen Militärfahrzeuge 1938 - 1948. 5. Auflage. Nebel Verlag, Utting 1993, ISBN 3-89555-861-3(ドイツ語)
- Hans-Georg Mayer-Stein: Volkswagens of the Wehrmacht Schiffer Publishing Ltd., 1994, ISBN 0-88740-684-X(英語)
- Janusz Piekalkiewcz: Der Kübelwagen Typ 82 im Zweiten Weltkrieg. 3. Auflage. Motorbuch Verlag, Stuttgart 1996, ISBN 3-87943-468-9(ドイツ語)
- Sawodny: Waffen-Arsenal Der VW im Krieg - Kübelwagen, Sonderkonstruktionen, Schwimmwagen. Podzun-Pallas-Verlag, Wölfersheim-Berstadt 1998, ISBN 3-7909-0119-9(ドイツ語)
- Seifer: Waffen-Arsenal Der VW-Schwimmkübel Typ 166. Podzun-Pallas-Verlag, Wölfersheim-Berstadt 2002, ISBN 3-7909-0773-1(ドイツ語)

