V型6気筒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

V型6気筒(ブイがたろっきとう、V6)はレシプロエンジンなどのシリンダー配列形式の1つで、6本のシリンダーを3本ずつ左右交互に、1本のクランクシャフトに対してV字型に配置した形式をいう。当記事では専らピストン式内燃機関のそれについて述べる[1]直列4気筒に次いで広く自動車用エンジンに用いられている。

メルセデス・ベンツ製のV6エンジン

概要[編集]

6気筒以上のシリンダーを持つ「多気筒エンジン」の場合、直列にシリンダーを並べると、どうしてもエンジン単体の全長が長くなり、車体への搭載方法や重量配分などに制約を受けてしまう場合が多かった。そのため、直列型に比べ幅は広くなってしまうものの、V型化して全長を約半分につめ、車体へ搭載する際の自由度を増した6気筒エンジンがこの形式である。

現在では中〜大型の高級乗用車スポーツカーなどに、縦置き横置き前輪駆動などの場合)を問わずに広く採用されている。また、トヨタ・クラウン日産・スカイラインなどのように、直列6気筒を採用し続けてきた車種が、モデルチェンジを機にV型に切り替える例などが出てきている。これはV型6気筒だと直列では難しい横置きにも対応でき、エンジンの種類を減らすことができるためである。市販車に搭載された最小のV型6気筒エンジンは、三菱・ランサー、および三菱・ミラージュセダンの各1.6Lモデル(6A10)であるが、2014年3月現在新車で購入可能なものでは、2.5LのレクサスIS250、および同2.5Lのトヨタ・クラウン(ロイヤル/アスリートの各ガソリン車)などである。

歴史[編集]

自動車用エンジンとして採用されたのは他の形式のエンジンと比較して比較的新しく、1950年ランチア・アウレリアが最初であるとされる。バンク角(「V」の間の角度)は60°であった。

V6エンジンの採用が広まったのはオイルショック後のアメリカ車のダウンサイジングにともなってであった。それらはV型8気筒(以下V8)エンジンを元に設計されており、バンク角は90°であった。燃焼間隔もV8のそれをひきずっており不等間隔であった。

プジョールノーボルボ共同開発PRVエンジンもV8を設計変更した(V8はお蔵入りとなった)90°バンクのV6で、燃焼間隔は不等であったが、途中で位相クランクピンに改良され、等間隔に改められた。

日本車への初搭載は1983年、日産・セドリック/グロリア(Y30型)のVG型。同FF車への初搭載は1984年、2代目日産・マキシマ(PU11型)のVG型

V6エンジンのバンク角[編集]

4ストロークエンジンでは2回転(720°)で1サイクルなので、バンク角を720°の6等分である120°にすると、向かい合うシリンダーでクランクピンを共有でき、等間隔燃焼でエンジン全長を短くすることが可能である。 しかし、実際には120°クランクピン共有を採用するとエンジンの幅が広くなるため、パッケージ面ではネックとなる場合がある。それを払拭するため。その半分である60°を採用してクランクピンを60°オフセットさせることで燃焼間隔を等間隔にしている。 一方90°は、両バンク間の吸気系も含め車載時の全高が低く抑えられることや、不等間隔燃焼ながらも振動を相殺しつつエンジン全長を短く出来ること、V8エンジンとの生産設備共用化のメリットがあることから用いられることが多い。そのため、V8エンジンも投入しているメーカーでは効率面から90°バンクが主流となっている。 また、それ以外のバンク角も用いられることがあり、60°より狭いバンク角はエンジンのコンパクト化のために用いられる。

V6ではその片側バンクに相当する直列3気筒と同様に、1次・2次振動は共にバランスするがエンジン全体を揺り動かす偶力振動が発生する。バンク角60°ではこの運動が真円であるために、バランスウェイトを追加することによってキャンセルすることができるが、他のバンク角では楕円になるためにバランスウェイトを追加しても完全にキャンセルすることはできない。そのため、90°バンク等ではバランスシャフトが用いられることがある。

このような事情や、昨今のエンジンのダウンサイジング化が起因の多気筒エンジンへの逆風から、90°バンクV6は『6気筒エンジンパッケージとしては、スペース及び効率面が起因する妥協の産物』と評するものもいる。

モータースポーツでのV6エンジン[編集]

前述のように自動車用エンジンとしてV6が登場したのは1950年であり、モータースポーツでは以降からV6が見られるようになった。ランチアと同じイタリアのフェラーリがF1用エンジンとしてV6を採用した。当初フォーミュラ2用に排気量1.5Lの156(15は排気量1.5Lを意味し、6は気筒数が6を意味する)として開発され、排気量を2.4Lまで拡大し246としてフォーミュラ1に用いられた。バンク角は65°であった。60°としなかったのはキャブレター等の吸気系統をバンク内に収めるためであった。1961年からレギュレーション変更によりF1用エンジンの排気量は1.5Lとなりフェラーリは新規にエンジンを開発したが、これもV6エンジンであった。バンク角は120°となり、これにより左右の気筒でクランクピンを共有化した上で等間隔燃焼をすることができた。またバンク角を大きくすることにより低重心化にも貢献した。

F1-1.5リッターターボ時代のV6エンジン[編集]

自然吸気エンジンの排気量が3L、過給機付きエンジンが1.5Lのレギュレーション下で初めてターボチャージャーで過給したエンジンをF1グランプリに登場させたのは1977年ルノーでバンク角が90°のV6エンジンであった。1979年に初めて優勝し、F1でのターボ過給の有効性を示した。以後、各チームがターボエンジンを開発し、V6以外にも直4やV8のターボエンジンが現れたが、前者は燃費面・後者は複雑すぎることが災いしV6エンジン以外は淘汰され、1989年にターボエンジンが禁止されるまでに、燃料搭載量規制・過給圧規制とターボに対して規制が強化された中、生き残ったのはV型6気筒エンジンであった。

F1は2014年からV型6気筒直噴ターボエンジンを採用[編集]

F1は2013年まではV型8気筒NAエンジンだったが2014年からV型6気筒直噴シングルターボエンジンを採用する。

参照・注[編集]

  1. ^ 蒸気機関やスターリング機関、さらには発動機以外のものの分類としても考えられ得る。

関連項目[編集]