プロトタイプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プロトタイプ (英 prototype) とは、デモンストレーション目的や、新技術・新機構の検証、量産前での問題点の洗い出しのために設計・仮組み・製造された、試験機・試作回路・コンピュータプログラムのことを指す。新製品を量産に移す前など、試験用途として作られ、製品の設計に起因する問題や、その他の不具合を発見することができ、具体的な修正の検討に入ることができる。こうすることにより、量産して市場に出た後で不具合が発覚することを防ぐことができる。

量産用プロトタイプが十分に洗練されていて、その機能性、強靱性、量産性および他の目標を十分に達すると判断された場合、その製品を量産に移すことができる。しばしば、そのような用途のプロトタイプは大量生産技術とは違った技術を用いて製造される。このための技術や手法はプロトタイピングと呼ばれる。

電子回路においては、プロトタイプ品と量産品で性能に違いが出てくることがある。これは、部品の数や違い、プリント基板のパターン引き回しの違い、空中配線部品を使ったかどうかなど、様々な要因がある。

目次

[編集] 情報工学

情報工学においては、プロトタイプは関数サブルーチンの宣言を指す(たとえば、C言語関数プロトタイプ宣言など)。しかし、たいていのオブジェクト指向プログラミング言語では、プロトタイプは「クローンとしての新しいオブジェクト」を作ることができるオブジェクトを指す。また、それらの言語のうちプロトタイプを基礎(ベース)としてオブジェクトを取り扱うものをプロトタイプベースという。

試作プログラムや、画面デモ用プログラムなどを「プロトタイプ」と呼ぶ場合もたまにあるが、日本においてはこういった場合「デモ版」ないし「ベータ版」、まれに「アルファ版」(ベータ版の更に手前)などと呼ばれることの方が多い。

[編集] 模型

北米・GP38-2機関車の実車、模型を製作する時はプロトタイプと呼ばれる
北米・GP38-2機関車の実車、模型を製作する時はプロトタイプと呼ばれる

模型プラモデルの世界(鉄道模型自動車模型、航空機兵器など)では、プロトタイプとは製作の参考にするための実物モデル(試作品)のことを指す。

特に北米の鉄道模型マニアの間では、模型を製作する際に参考とする実物の鉄道車両鉄道施設のことをプロトタイプと呼ぶ。たとえば、Athearn社がEMD GP38-2ディーゼル機関車の模型[1]を作る際、実物の機関車のことを「プロトタイプ」と呼ぶ。

技術的には、生き物でないものは、どんなものでも構造、設備、付属器具を含む物体、自然の景観など、全てがプロトタイプとして役に立つ。特に、ジオラマやシーナリー(鉄道模型における地形や景観の模型化)を製作するために参考にする場合が該当する。しかし、北米では次のようなものがプロトタイプとして好まれる。

フィクションのアイテム(例えば、スター・ウォーズスタートレックの宇宙船)がプロトタイプと呼ばれうるかについては議論の余地があるものの、フィギュア人形(特にアクションフィギュア)を製作する時のモデルとなる人間や生き物については、絶対にプロトタイプとは呼ばれない。

日本の模型では、プロトタイプという言葉は、個人レベルで作った少数生産・少数頒布前提の試作品や、企業の試作品・量産先行品に対して使われることが多い。

[編集] モータースポーツ

アウディ・R8 (2004年モデル)
アウディ・R8 (2004年モデル)

モータースポーツの世界では、国際的なレースに出場するための競技専用の車は「プロトタイプ」と呼ばれる。公道を走ることもできるが競技用にチューンされた、いわゆるグランツーリスモ仕様の自動車はプロトタイプと呼ばれない。この言葉は、あくまで純粋に競技用の車に用いられる。ル・マン24時間レースのような、マルチクラスのレースにはよくプロトタイプ車が用いられる。具体的には、ポルシェ 917や、アウディ・R8が該当する。

詳しくはプロトタイプレーシングカーを参照のこと。

[編集] ロボットアニメ

ガンダムシリーズに登場する「主人公機」に対する「量産機」は大抵生産性とコストダウン優先のために性能が大幅に落とされているという設定が多い。ガンダムシリーズの場合、「プロトタイプ」=「採算度外視のスペシャル機、もしくは実験機」という設定にされていることが多いためである。

ガンダム以後のロボットアニメでは同様の設定が取り入れられ、主人公の強さを強調するため量産品よりプロトタイプの方が高性能という描写がされることがしばしばある。例外としては機甲戦記ドラグナーのドラグーンは主人公機よりも高性能な量産機だが、結局主人公達の機体がパワーアップされているため、あまり変わらない。

[編集] 関連項目