新幹線E3系電車

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新幹線E3系電車
E3系(「こまち」用R編成)(2008年3月5日 雫石駅)
E3系(「こまち」用R編成)
(2008年3月5日 雫石駅
編成 R編成:5両 (4M1T) → 6両 (4M2T)
L編成:7両 (5M2T)
営業最高速度 275 km/h
240 km/h (200系・E4系併結時)
130 km/h(在来線区間)
設計最高速度 315 km/h
起動加速度 1.6 km/h/s
編成定員 R編成:計338名(23名)
L51 - L53編成:計402名(23名)
L61 - L72編成:計394名(23名)
()内はグリーン車
全長 20,500 (23,070) mm
全幅 2,950 mm
全高 4,080 mm
車体材質 アルミニウム合金
編成質量 258.6 t
軌間 1,435 mm(標準軌
電気方式 交流25,000V 50Hz
交流20,000V 50Hz
編成出力 300kW×16=4,800kW(R編成)
300kW×20=6,000kW(L編成)
主電動機出力 三相交流誘導電動機MT205 (300kW)
歯車比 3.04
駆動装置 WN駆動方式
制御装置 VVVFインバータ制御
台車 ゴム併用板ばね式ボルスタレス台車
DT207(R1編成電動車)
DT207A(R, L51 - L53編成電動車)
DT207B(L61 - L72編成電動車)
TR7005(R1編成付随車)
TR7005A(付随車)
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ
保安装置 ATC-2型DS-ATCATS-P※2
製造メーカー 川崎重工業東急車輛製造
備考 ※は在来線区間。

新幹線E3系電車(しんかんせんE3けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線直行特急ミニ新幹線)用新幹線車両

目次

概要 [編集]

E3系は大きく分けて、1997年平成9年)に開業した秋田新幹線用の基本番台(0番台、同年3月22日営業運転開始)と、1999年(平成11年)に山形新幹線新庄駅まで延伸開業した際の増備用の1000番台(同年12月4日営業運転開始)、そして山形新幹線用400系の置き換え用として2008年(平成20年)12月以降に投入された2000番台の3種類がある。

製造は川崎重工業東急車輛製造が担当している。2012年1月時点では、日立製作所が製造を手掛けていない唯一の営業用新幹線電車である。

車両・客室・車両ロゴデザインはいずれも榮久庵憲司主宰のGKインダストリアルデザインが担当した。

構造 [編集]

車両概観 [編集]

前面形状

分類上は新幹線車両ではあるが、在来線も走行するため、車体長20,000mm・車体幅2,950mmと車体の狭い在来線の規格に合わせている。アルミニウム合金で製作される。

車体幅の小さい本系列では、新幹線の各プラットホームとの間に大きな隙間ができるため、ドアの部分には延長ステップが装備され、新幹線の各駅での停車中に限り自動的にステップがドアの下から回転して上がるようにセットされ(車体の両側のドアのステップが上がる)、ホームとの隙間を埋めている。

東京寄りの先頭車(11号車)には分割・併合装置が収められ、200系E2系E4系E5系と連結運転を行う。

車両側面にはLED行先表示器が設置されており、列車種別・座席種別と行先を交互に表示する。

走行機器 [編集]

電源交流50Hz・25,000V(新幹線)と交流50Hz・20,000V(在来線)の両方に対応している。力行・制動方式は可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)で、使用する素子は、前期製造車両がGTOサイリスタ、後期車両がIGBTである。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用する。

電動車2両おきに主変圧器を1台搭載し、各電動車両の主変換装置(CI5〔R1編成のみ〕/ CI5A)によって電動機 (MT205) を駆動する。主変換装置1台当たり4台の電動機を制御する。

運転保安装置は、新幹線区間のATC-2型DS-ATCと在来線区間のATS-P型が装備されている。

台車は、在来線区間の走行も考慮し、軸距を2,250mmとしたDT207(電動車)、TR7005(付随車)を搭載する。番台によってサフィックスが異なる。

集電装置 [編集]

シングルアームパンタグラフ (PS206) を2基搭載する。パンタグラフ搭載車両とその隣の車両にまたがる形でパンタグラフカバーが装着される。

新幹線区間では2基とも使用するが、在来線区間を走行する際には1基のみ使用する。

内装 [編集]

編成中の1両(11号車・311形)はグリーン車で、ほかの車両が普通車となっている。400系とは異なり、グリーン車の座席配列は2列+1列から2列+2列に変更されている。普通車の座席配列はグリーン車と同じく2列+2列であるが、シートピッチが異なる。

2両に1か所程度の割合で、真空式を採用したトイレが設置されている。

形式および車種 [編集]

  • E325形 (M1)
    普通席を備える中間電動車。便所、洗面所、公衆電話、荷物置場を備える。
    • 0番台
      R編成15号車として使用される。主変換装置、空気圧縮機、集電装置などを搭載する。
    • 1000・2000番台
      L編成16号車として使用される。主変換装置、空気圧縮機などを搭載する。
  • E326形 (M2)
    普通席を備える中間電動車。主変圧器、主変換装置、集電装置などを搭載する。
    • 0・1000・2000番台
      R・L編成12号車として使用される。車椅子対応設備を備える。
    • 1100・2100番台
      L編成14号車として使用される。
  • E328形 (T2)
    普通席を備える中間付随車
    • 0番台
      R編成14号車として使用される。荷物置場を備える。
    • 1000・2000番台
      L編成15号車として使用される。便所、洗面所、荷物置き場を備え、補助電源装置などを搭載する。
  • E329形 (T1)
    普通席を備える中間付随車。R・L編成13号車として使用される。便所、洗面所、公衆電話を備え、空気圧縮機(除く0番台)、補助電源装置などを搭載する。

2011年4月29日、東北新幹線の復旧に合わせ、E311形に東日本大震災復興推進キャンペーンのステッカーが、E322形に青森デスティネーション・キャンペーンのステッカーがそれぞれ貼付された。但しR編成とL編成で貼付位置が異なり、R編成は他車と同様に車体の運転席寄りに、L編成は「つばさ」ロゴと並ぶ様に車体の連結部寄りに貼付されている。

番台別概要 [編集]

基本番台(0番台) [編集]

E2系と連結するE3系0番台
(2009年12月 小山駅
東日本大震災復興推進キャンペーンのステッカーを先頭に貼付したE3系0番台とE2系
2011年6月12日 東京駅

秋田新幹線「こまち」用として当初は5両編成で落成したが、1998年(平成10年)に増結付随車E328形が登場して現行の6両編成となった。

最高速度は在来線区間が130km/h、新幹線区間が275km/hになっている。引張力・加減速特性などはE2系と同じで、単独走行およびE2系との併結運転時においては特に調整などは行っていない[1]。ただし、在来線区間走行時は電圧および信号のATCからATS-Pへの切り替えを行っている。

6両編成26本(156両)が秋田車両センターに配置されている。

基本的には「こまち」用ではあるが、E2系との併結編成により盛岡発着の「はやて」や「やまびこ」・「なすの」でも使用される。当初は「なすの」運用を除けば「こまち」のみの運用であり車体側面のロゴは「こまち」の横に「JR Akita Shinkansen」(試験運行時は「SERIES E3」も)と表記されているが、運用が拡大したためこの表記を消した車両もある。

なお、「こまち」以外で運転される場合(「はやて」や「やまびこ」・「なすの」運転時)には時刻表に「こまちタイプ車両を連結」と追記される。

2011年11月19日よりE5系との併結運転が開始された[2]。なお、E5系との併結運転の場合、最高速度や加速度は本系列と同等に調整して運転される。


製造時期による相違 [編集]

E3系量産先行車(R1編成)
2013年 大宮駅
R1編成
1995年(平成7年)製造の量産先行車。落成時はS8編成として登場(S系列はJR東日本では試験車など非営業車に付される編成記号)。
先頭車の前面形状が量産車と異なり、400系に近い形状となっている(連結器カバーへかけての細り方が大きく、丸みを帯びている)。
運転台窓上に前照灯後部標識灯、運転台窓下にも前照灯がある。
落成時は下枠交差式パンタグラフだった(量産化改造の際にシングルアーム式に交換)。
男性用トイレ便器が斜めに設置されている。
落成時のロゴマークは「Series E3」だった(後に量産車と同じロゴマークに交換)。
11号車(E311-1)の静電アンテナの大きさが量産車と異なる。
量産化改造の前に山形新幹線内で試運転を実施したことがある。
E3系R3編成
(2009年 仙台駅)
R2 - R16編成
1997年の開業前に落成した量産車。当初は5両編成であったが、翌年にE328形を連結して6両編成とされた。そのため、E329形とE328形(13号車と14号車)の連結部にはパンタグラフのないパンタカバーが存在する(R1編成も同様・上記写真の2つ目が該当する)。
前照灯と後部標識灯は運転台窓下にまとめられた。
E3系R17編成
(2009年 仙台駅)
R17編成
1998年に落成した増備車。以後落成した編成は当初より6両編成で組成されている。また、パンタカバーの数も2つとなり、運転室前面のワイパーは2本装備となっている。
2008年夏休みシーズンには全日本空輸 (ANA) とのコラボレーション企画で、「ポケモン・ピカ乗りサマー」仕様として後述のR21編成とともにラッピングがなされた。[3]
JReastE3 E311-5 inside.jpg JReastE3 inside.JPG JReastE3 E322-17 inside.JPG
:R17編成までのグリーン車座席
:R17編成までの12 - 14号車座席
:R17編成までの15 - 16号車座席


E3系R22編成
(2008年3月 秋田駅)
R18 - R26編成
2002年から2005年にかけて落成した増備車。連結面外幌の材質がポリウレタンから合成ゴムに変更され、同時にフットレストが装備され座席形状が座面スライド機能付きのもの(E257系と同じタイプ)に変更された。またVVVFインバータ制御装置の素子もGTOサイリスタからIGBTに変更された。
なお、R24 - R26編成については3席分ずつに設けられていた荷物棚の支柱が省略されていたり男性用トイレもR2 - R17編成の仕様に戻されるなどの細かい変更がある。
E3 Green car 20070101.JPG Jre e3 0type nomalcarroom.jpg
:R18編成以降のグリーン車座席
:R18編成以降の12 - 14号車座席


E3系0番台(「こまち」用)編成表
 
← 東京・秋田
大曲 →
号車 11 12 13 14 15 16
形式 E311形
(M1sc)
E326形
(M2)
E329形
(T1)
E328形
(T2)
E325形
(M1)
E322形
(M2c)
搭載機器 CI,CP MTr,CI SIV CI,CP MTr,CI
座席 グリーン車 普通車
定員 23 67 60 68 64 56
編成 R1 1 1 1 1 1 1
R2 2 2 2 2 2 2
R25 25 25 25 25 25 25
R26 26 26 26 26 26 26

※ 秋田新幹線大曲駅で、方向転換をするため、このようになっている。

1000番台 [編集]

E3系1000番台L52編成
「つばさ」(2003年 大宮駅)

山形新幹線「つばさ」用である。最高速度は在来線区間では130km/h、新幹線区間では275km/hである。

営業運転を開始した当初は400系との共通運用が組まれ、400系の撤退後も併結相手がE4系(いずれも最高速度240km/h)に限定されており、単独走行時も含めて引張力・加減速特性、最高速度を200系・400系・E4系と同等のものに調整していた[4]。このため、最高速度275km/hでの営業運転を開始したのは2012年3月17日のダイヤ改正でE2系との併結運転が行われるようになってからである。

7両編成3本(21両)が山形車両センターに配置されている。ロゴには当初から「TSUBASA」の文字が表記されている。過去には「四季感動のやまがた」のロゴマークも表記されていた。なお、400系についても1000番台投入後に順次同一塗装に変更された。DS-ATC搭載済み。

L51・52編成
1999年の山形新幹線新庄開業時に落成した編成。電装品およびワイパーは基本番台のR17編成に準ずるが、内装などは専用のものとなっている。
L53編成
2005年に落成した増備車。VVVFインバータ制御装置の素子がIGBTに変更されているほか、ドアチャイムも設置されている。
E3系1000番台(「つばさ」用)編成表
 
← 東京
山形・新庄 →
号車 11 12 13 14 15 16 17
形式 E311形
(M1sc)
E326形
(M2)
E329形
(T1)
E326形
(M2)
E328形
(T2)
E325形
(M1)
E322形
(M2c)
搭載機器 CI,CP MTr,CI CP,SIV MTr,CI SIV CI,CP MTr,CI
座席 グリーン車 普通車
定員 23 67 60 68 64 64 56
編成 L51 1001 1001 1001 1101 1001 1001 1001
L52 1002 1002 1002 1102 1002 1002 1002
L53 1003 1003 1003 1103 1003 1003 1003

2000番台 [編集]

E3系2000番台L67編成
(2009年5月 高畠駅 - 赤湯駅間)

2007年7月のJR東日本定例会見[5]において、山形新幹線400系の置き換え用として発表された車両である[6]

2008年(平成20年)12月から2010年(平成22年)4月にかけて7両編成12本(84両)が新規製造され、現在営業運転を行っている。

車両の所有は1000番台と同様JR東日本となる[7]

営業運転は、2008年12月20日の「つばさ112号」山形東京行き、折り返し「つばさ119号」東京発新庄行きより始まり、L61編成が充当された。2010年4月には400系の置き換えを完了した。

2012年3月17日よりE2系との併結運転が開始された。1000番台と同様にE2系との併結運転が開始されるまでは単独運転も含めて275km/hでの営業運転は行われていなかった[8]

1000番台との相違点 [編集]

1000番台(右)2000番台(左)のヘッドライトの形状の違いがわかる
1000番台(右)2000番台(左)のヘッドライトの形状の違いがわかる
2000番台に装備されたドア開閉表示灯(ドアランプ)。
2000番台に装備されたドア開閉表示灯(ドアランプ)。
2010年3月28日

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。

1000番台との主要な相違点を以下に挙げる。

E3系2000番台(「つばさ」用)編成表
 
← 東京
山形・新庄 →
号車 11 12 13 14 15 16 17
形式 E311形
(M1sc)
E326形
(M2)
E329形
(T1)
E326形
(M2)
E328形
(T2)
E325形
(M1)
E322形
(M2c)
搭載機器 CI,CP MTr,CI CP,SIV MTr,CI SIV CI,CP,SIV MTr,CI
座席 グリーン車 普通車
定員 23 67 60 68 64 60 52
編成 L61 2001 2001 2001 2101 2001 2001 2001
L62 2002 2002 2002 2102 2002 2002 2002
L71 2011 2011 2011 2111 2011 2011 2011
L72 2012 2012 2012 2112 2012 2012 2012

車両の所有会社 [編集]

基本番台
R1 - R16編成(E328形は除く)
第三セクターの「秋田新幹線車両保有株式会社」が所有し、同社が2009年度までJR東日本にリースする形をとっていたが、リース期間の満了に伴い、秋田新幹線車両保有株式会社は2010年3月限りで解散し[13]、所有車両は同月22日付けでJR東日本に有償譲渡された[14]
E328形全車とR17編成以降
新製時からJR東日本の所有である。
1000番台・2000番台
全車がJR東日本の所有となっている。

今後の予定 [編集]

  • 2013年6月より秋田新幹線「こまち」において、本系列充当の一部列車をE6系にて置き換えられる予定であると発表された[15]
  • 秋田新幹線の「こまち」において、東北新幹線区間の高速運転に対応した E6系E955形「FASTECH 360 Z」ベース)を2013年3月から投入し、2014年3月には東北新幹線での最高速度を 320km/h に引き上げるとともに、秋田新幹線「こまち」で使用されている E3系(基本番台)をすべて置き換える予定である[16]。そのため、E3系電車は山形新幹線用のみとなる。

脚注 [編集]

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  1. ^ なお、E5系との併結運転時ではE5系側が引張力・加減速特性等をE3系と同じ性能に調整している。
  2. ^ 東北新幹線「はやぶさ」に投入しているE5系車両を「はやて」「やまびこ」に導入! (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2011年9月12日
  3. ^ JR東日本:ピカ乗りサマー2008公式サイト
  4. ^ これは2000番台も同様である。
  5. ^ 山形新幹線「つばさ」用車両の新造について (PDF)
  6. ^ 仙台支社山形新幹線「つばさ」用車両(E3系2000番台)の報道公開のご案内について (PDF)
  7. ^ 鉄道ジャーナル」2007年9月号 RailwayTopics 新在直通〈つばさ〉用400系を新型車両に置換えへ
  8. ^ 営業運転開始当初は400系とE3系1000番台の共通運用が組まれており、併結相手はE4系のみであった。
  9. ^ 単独運転およびE2系併結運転時のみ275km/hでの運転が可能。1000番台についても2000番台の投入完了後に走行機器の改良で速度引き上げは実施された。
  10. ^ a b c d e f g 『鉄道ファン2009年2月号』 交友社、2009年、p.63 - 67。
  11. ^ シャープ「プラズマクラスター技術」
  12. ^ 但し登場初期には貼付けされていた。その後400系の運用離脱をメドに1000番台と共に剥がされた。
  13. ^ 県に出資金115億円返還へ 秋田新幹線車両保有会社[リンク切れ]-秋田魁2010/01/22付
  14. ^ 『鉄道ファン2010年7月号「JR車両のデータバンク2010」』 交友社、2010年、p.36。
  15. ^ 「こまち」編成変更のお知らせ (PDF)
  16. ^ 秋田―東京間を10〜15分短縮:JR東日本の新幹線 13年3月メドに「E6系」導入[リンク切れ] YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2009年6月18日付

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]