新幹線E2系電車

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JR東日本E2系新幹線電車
E2系1000番台
E2系1000番台
編成 8両(N編成 / 6M2T
8両 → 10両(J編成 / 6M2T→8M2T)
起動加速度 1.6km/h/s
営業最高速度 275km/h
設計最高速度 315km/h
編成定員 N編成 - 計630名(51名)
J編成 - 計814名(51名)
()内はグリーン車
編成質量 366t(N編成)
440t(J編成)
軌間 1,435mm
電気方式 交流25,000V 50Hz/60Hz
主電動機 MT205型三相交流誘導電動機
300kW / 基(1時間定格出力)
編成出力 300kW×24=7,200kW (N編成)
300kW×32=9,600W (J編成)
歯車比 3.04
制御装置 VVVFインバータ制御IGBT,GTO)
駆動装置 WN平行カルダン駆動方式
ブレーキ方式 回生併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重装置付き)
保安装置 ATC-2型DS-ATC
製造メーカー 川崎重工業日立製作所東急車輛製造日本車輌製造

新幹線E2系電車(しんかんせんE2けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線車両1997年(平成9年)3月22日東北新幹線で「こまち」と連結する速達「やまびこ」で営業運転を開始した。同年10月1日長野新幹線開業に伴い「あさま」での営業運転を開始した。

目次

[編集] 概要

1997年開業の長野新幹線「あさま」、および秋田新幹線「こまち」を併結する東北新幹線「やまびこ」用として開発された。

1995年の製造当初より、JR東日本の新幹線標準型車両として位置づけられており、200系の置き換えも念頭において増備されている。1998年12月から上越新幹線での定期運用もあったが、2004年3月13日ダイヤ改正をもって上越新幹線高崎 - 新潟間での運用は消滅した。2008年10月現在、東北・長野新幹線にて「あさま」・盛岡発着の「やまびこ」・「はやて」全列車と、仙台発着の「やまびこ」(「つばさ」併結列車はE4系Maxを使用)・「なすの」の大半の列車(10両編成と16両編成の1 - 10号車)に運用されている。

大きな特長としては、J編成の両先頭車とグリーン車フルアクティブサスペンションを搭載したことが挙げられる。これは高速車両としては世界初であり、これにより振動の少ない快適な乗り心地を実現している。

[編集] 構造

両先頭車が付随車であり、それ以外の車両(全ての中間車)は電動車となっている。

[編集] 車両概観

E2系先頭車両

高速運転時の騒音・環境対策として、トンネル進入時の微気圧波低減のため先頭車両形状の最適化が行われた。車体はアルミニウム合金製である。

また、パンタグラフから発する騒音低減のためパンタカバーの採用やパンタグラフ自体の改良、プラグドアの採用などで車体表面の凹凸を極力なくして平滑化することにより空力音を低減した。

[編集] 走行機器

基本設計は1000番台(J51編成 - )を除くJ編成(J1編成 - )、N編成ともに同一で主電動機に1時間定格出力300kWのMT205形誘導電動機電動車1両に4基搭載し、この電動機をVVVFインバータにより制御している。制御素子は、0番台では日立製作所東芝/シーメンス(SIBAS32)製のGTOサイリスタ素子、もしくは三菱電機製のIGBT素子を、1000番台では東芝製・日立製・三菱製のIGBT素子をそれぞれ搭載する。三菱IGBT車は、前者と後者で世代が違うため、非同期領域の磁励音などが異なる。なお、2002年に増備された0番台J編成の7・8号車は、その組み込まれた編成に合わせた制御装置を搭載している。

最高速度275km/h(設計最高速度315km/h)、電源については交流25kVで、周波数は50/60Hzの双方に対応(J編成1000番台は50Hzのみ対応)、0番台J編成とN編成は定速運転機能および急勾配区間対応の抑速ブレーキを搭載しており、東北新幹線への入線を考慮しないN編成では長野新幹線の曲線や勾配の関係から最高速度は260km/h(高崎以北のみ、上越新幹線では新潟まで全線で240km/h)とされている。

長野新幹線特有の下り30‰勾配では、抑速回生ブレーキを使用することで最高速度210km/hでの走行が可能である。また、30‰勾配での高速走行を行うため、抑速回生ブレーキ使用中に1編成中6両ある電動車のうち3両が回生失効状態に陥った時には非常ブレーキが作動し、その後は110km/hでの走行となる。非常ブレーキは全ての動力車両が回生失効になっても210km/hから停止できる性能を有している。なお、常用ブレーキは電動車の回生ブレーキで付随車のブレーキ力も負担する遅れ込め制御が採用されたことから、付随車には300系700系電車で採用された渦電流式ディスクブレーキは装備されていない。

[編集] 集電装置

4号車と6号車に搭載されているが0番台車両と1000番台車両では形状が異なる。

0番台車両には200系と似た形の下枠交差形パンタグラフと大型パンタカバーを組み合わせているが、後に増備された1000番台車両は、パンタカバーを廃し、碍子を騒音に配慮した形状にしている。さらに、パンタグラフ自体の形状もシングルアーム式になっている。

[編集] 最高速度

東北新幹線の盛岡 - 八戸間の最高速度を現行の260km/h以上に向上することができない背景には、騒音対策と高速化の費用対効果に加えて、JR東日本が線路保有者の鉄道建設・運輸施設整備支援機構に支払う「貸付料」の額を、高速化が左右しかねないという整備新幹線ならではの事情がある[1]。なお長野新幹線用のE2系N編成は、その動力車の一部がJ編成に編入され東北新幹線で275km/hで走行しており、N編成に車両性能上の制約があるわけではない。

長野新幹線では軽井沢 - 佐久平間で50/60Hzの周波数切替があるため、営業列車ではN編成が使われる。なお、お召し列車では1000番台以外のJ編成を使用する場合がある。

[編集] 各種相違点

製造を開始した1995年当初、本系列には「あさま」用のN編成と「やまびこ」用のJ編成の2種類があった。ともに、電源周波数が60Hzである長野新幹線軽井沢以西への入線に必須となる周波数切り替え装置を装備する8両編成を組んだ同一内容の編成であるが、以下の点が異なっていた。

[編集] N編成とJ編成

「やまびこ」用とされたJ編成には主にE3系との連結で使用される密着連結器電気連結器が盛岡寄り先頭車(E224形)の前頭部に設置され、E224形の車両番号はN編成(N21編成を除く)と異なり100番台に区分されている。1999年山形新幹線新庄延伸にともなうダイヤ改正の時点まで製造され、「こまち」を連結する「やまびこ」は全てJ編成に置き換えられた。東北新幹線で最高速度275km/hで走行可能である(8両時はN編成の上位互換)。

J編成も「あさま」として長野新幹線に入ることがあり、東京 - 長野無停車列車などに使われていた。当初、鉄道雑誌などではJ編成を「E2'(E2ダッシュ)系」と呼称していたが、2001年に1000番台車の量産先行車が製造されたこともあり、2008年現在はこの呼称はほとんど使われていない。

2001年には1000番台車の量産先行車が8両編成で登場し、各種試験を行った。このJ51編成は編成の前後に分割併合装置を持ち、E4系のように8両編成2本併結の16両編成での営業運転も想定されていたが、2002年の東北新幹線八戸開業にあわせ設定される「はやて」は全車指定席とすることとなり座席定員確保のため、量産車からは10両編成となった。これに伴い東京寄りの分割併合装置搭載は省略された。

[編集] 0番台と1000番台

1000番台と同等の外観のE225形100番台(7号車、左)とE226形300番台(6号車、右)

1000番台車は外観上は0番台車両にくらべ、普通車の窓の寸法が座席2列分と広くなると同時に、プラグドアが従来の引き戸方式に変更されたほか、パンタグラフがシングルアーム式となり、カバーが廃止された程度である。ただし車体はアルミニウム合金製であることは変わりないが、中空トラス断面大型形材を使用したダブルスキン構造となり、製造の簡易化、遮音性の向上などが図られている。また交流周波数切り替え装置も省略され、50Hz専用となった。乗り心地の改善のため、前述したが先頭車両およびグリーン車にフルアクティブサスペンション、その他の車両にセミアクティブサスペンションが装備されている。また、J編成0番台の車両にも後付の形で装備された。車内は大きく変化し、普通車の座席形状はE4系のモケット違いとなり、車内照明の形状も変化し、側壁の一部には木目調が用いられた。

なお、従来のJ編成も2両増結(7・8号車)し10両編成とされた。この結果「あさま」の運用はN編成に統一された。車体塗装も一部見直され帯の色をピンク(つつじ色)に変更し、リンゴエンブレムが施され、N編成との差別化が図られている。

[編集] 編成

2008年10月現在、以下の編成が存在する。

  • N編成…8両14本112両(N1 - N13およびN21)
  • J編成…10両33本330両(0番台J2 - J15、1000番台J51 - J69)

[編集] J編成

E2系J5編成 (宇都宮駅)

東北新幹線の「はやて」、盛岡発着「やまびこ」の全列車、「つばさ」と併合しない仙台発着「やまびこ」の殆どの列車、「なすの」の大半に使われている。東北新幹線ではE3系R編成と併結運転を行っている(「はやて」「こまち」。「やまびこ」、「なすの」でも併結される)。最高速度は宇都宮 - 盛岡間275km/h、盛岡 - 八戸間260km/hである。山形新幹線つばさ」用の400系およびE3系1000番台(L編成)の緊急時連結救援が可能であるが、制御システム上常時の併合運転はできない。

J編成10両化に伴い増備され、7・8号車に組み込まれたE225形100番台、E226形400番台は外観と車内は1000番台と同様であるが、制御機器等の基本仕様は0番台と共通となっており50/60Hz対応である。また、客用ドアの開閉時には告知アナウンスが流れるなど、他の号車とは異なる部分がある。

なお、J編成は0番台と1000番台で大きく仕様が異なるが、0番台と1000番台それぞれの中においても仕様が異なる。0番台においてはJ2 - J6編成の東京方先頭車E223形に分割併合装置はないが、J7 - J15編成では準備工事としてあるので前頭カバーの形状が異なる。またJ2 - J10編成とJ11 - J15編成で台車など足回りが異なる。1000番台においてはJ51 - J53編成ではユニット間の特高圧渡りに直線ジョイントを採用しているが、J54編成以降4 - 5号車間に傾斜ケーブルヘッドが設置され、緊急時に特高圧引通し回路を切断することが容易になっている。

[編集] N編成

E2系N11編成 (東京駅)

長野新幹線「あさま」専用である。J編成とは外観上帯色とロゴマークが異なるほか、内装も客室仕切りと窓下側壁がクロス張りとなっており若干雰囲気が異なる。N21編成はJ1編成から編入されたため分割併合装置を長野・新潟寄り先頭車(8号車)に有する。

N編成量産車(1・2次車が存在)とJ編成0番台(1 - 3次車が存在、また増結7・8号車を除く)間における各製造時期の区別は、車内のロールカーテンの取手形状(以下「A」と称する)とFRP製窓枠下部の形状(以下「B」と称する)の組合わせにより判別が可能である。1次車:A=凸型、B=平滑形状(+滑止めシール貼付)、2次車:A=凹型、B=平滑形状(+滑止めシール貼付)、3次車:A=凹型、B=一部窪みあり(滑止めシールなし)。ちなみに、N・J編成間で組替を実施している編成(J編成0番台の7・8号車を除く)は、元N編成が1次車に対し、元J編成が2次車であったため、現在の当該編成には上記A・Bの組合せが2通りみられる。

※1次車=1997年度までに製造された車両:N編成全編成とJ2 - J6(組替前を基準)、2次車=1998年度増備分:J7 - J10(組替前を基準)、3次車=1999年度増備分:J11 - J15

[編集] 特徴等

ここでは、E2系の中でも特徴のある編成をそれぞれ記す。

  • N21編成 - 落成時点ではS7編成を名乗っており、その後J1編成(JR東日本では系列に関係なく非営業用車両の編成記号に「S」を使用している)とされた。車体が軽量型のシングルスキン構造のため量産車と比較して車体剛性が不足しており、アクティブサスペンションの効果が十分発揮されないため「はやて」型への改造は見送られた。そこで、東北新幹線八戸開業に際して8両のままN21編成に改めて長野新幹線車両センターに転出した。1 - 2号車間に軌道検測車E926-3 (13) を組み込むことが可能である。落成時点から自動分割併合装置が搭載されており、後にDS-ATCが追加装備された。転用後は自動分割併合装置は使用されていない。
  • N1編成 - 現行のN21編成と同様の試作編成で落成時点ではS6編成を名乗っていた。N2以降の量産編成と若干異なり、先頭車両の形状から車内設備、搭載機器等あらゆる面において試作的な要素が強い。先頭車両は量産車に比べシャープで小作りであったり、トイレの汚物処理装置が真空式でなかったり、座席そのものが違うなどの点が挙げられる。車体はN21編成と同様、軽量型のシングルスキン構造。
  • N5編成とJ7編成・N10編成とJ9編成・N12編成とJ10編成 - 中間車6両を互いに交換。1・8号車と2-7号車でロールカーテンの取手の形状が異なる。
  • N6編成 - 1997年9月7日に長野新幹線試乗列車(上野→軽井沢、列車番号9651E)として使用された。
  • N7編成 - VVVFインバータの制御素子がN編成唯一のIGBT(他はGTOサイリスタ)。
  • N8編成 - 1997年10月1日に長野新幹線が開業した時の下り初列車に充当された。
  • N12編成 - 長野新幹線開業時上り初列車に充当された。
  • N13編成 - お召し列車運用に充当されたことがある。
  • J51編成 - 上り東京方にも自動分割併合装置を装備する。
  • J52編成 - 2002年12月1日の東北新幹線八戸開業時の東京発八戸行「はやて」下り初列車に充当された。
  • J53編成 - 八戸開業時に「はやて」上り2番列車に充当された。
  • J55編成 - 八戸開業時に「はやて」上り初列車に充当された。
  • J56編成 - 上越新幹線での高速試験の際、新潟県内で362km/hを達成した。
  • J69編成 - 新潟県中越地震での脱線事故により200系K25編成が廃車されたため、車両数の不足を補うため製造された。

[編集] 上越新幹線(高崎以北)における運用

1998年12月から2004年3月までは上越新幹線にもE2系が投入されており、そのうち2002年12月以前はN編成8両編成またはJ編成8両編成(「あさま型車両」で運転と案内)が、その後はJ編成10両編成が使用された。運行を開始した頃はE2系は「ニューあさひ」とも呼ばれ、速達タイプの「あさひ」→「とき」を中心に「たにがわ」にも使用されていた。当時の上越新幹線は環境対策の関係で高崎以北で最高速度210km/h以上で運転できる列車の本数に制限があったため、その性能を生かしきれないダイヤで運転される列車にも使用された。

上越新幹線ではE2系が投入される以前、高崎以北においても200系高速対応車(F90 - F93編成)が速達「あさひ」下り列車の上毛高原 - 浦佐間の下り勾配区間で275km/h運転を実施していたが、E2系は全速度域での加減速性能が200系より優れるため、最高速度240km/hであっても東京 - 新潟間の所要時間は200系高速対応車より若干短縮された。

JR東日本は新幹線の線区別に使用車両を統一する方針であり、少数のE2系を投入することで運用が複雑になることから2004年3月をもって高崎以北での運用を終了した。

なおJR東日本では、2011年(平成23年)春から東北新幹線にE5系が順次導入されることに伴い、東北新幹線で余剰となるE2系を上越新幹線で用いることが検討されている。

[編集] 東北新幹線における高速化実施について

JR東日本では、2010年末までにE954形「FASTECH 360 S」をベースに設計した本系列の次世代車両(E5系[2]を導入し、東北新幹線大宮 - 宇都宮間の最高速度を240km/hから275km/hに、宇都宮 - 盛岡間の最高速度を275km/hから300km/hに向上させることを2007年11月6日に発表した[3]。そして、2012年末にはE955形「FASTECH 360 Z」をベースに設計したE3系の次世代車両も加わり320km/hを目指すことになる。東京 - 新青森間の所要時間は3時間5分 - 10分となる予定である。E2系は、この高速化に合わせて2011年春以降にE4系と共に上越新幹線へ転出され、在来線直通を除く東北新幹線の全車両がE5系に統一されることが報じられた[4]

[編集] E2系ベースの車両の中国進出

詳細は「中国高速鉄道CRH2型電車」を参照

2004年、中華人民共和国鉄道部は第6次在来線スピードアップで最高速度200km/hで運用する車両として、フランスアルストム社からのペンドリーノベースの車両 (CRH5) とカナダボンバルディア社からの車両 (CRH1) のほか、日本川崎重工業など6社による企業連合からE2系ベースの車両を60編成(うち完成品3編成、部品9編成分と一部精密部品。残りは現地生産)を納入することを決定した。300km/h走行対応準備車。中国向けのE2系は、CRH2と呼称されている。

日本の新幹線ベースの車両の国外進出としては、台湾高速鉄道700T型に次ぐものである。

2006年3月1日に、第一陣となる車両が神戸港から輸出された。

[編集] 脚注

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[編集] 外部リンク