軌間可変電車
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軌間可変電車(きかんかへんでんしゃ)とは、線路の幅(軌間)に合わせて線路上を走行可能な電車である。
- スペインで、軌間の異なる高速新線と在来線の直通運転を2006年より開始した、レンフェ120系電車Alvia。
- 日本で開発中の軌間可変試験電車(フリーゲージトレイン)。本項目で詳述する。
軌間可変電車(きかんかへんでんしゃ) は、線路の幅(軌間)に合わせて線路上を走行可能な試験電車。フリーゲージトレイン(Free Gauge Train,FGT)ともいうが、これは和製英語で、英語ではGauge Changable Train またはGauge Change Train,(GCT) という。日本では、主に標準軌 (1435mm) と狭軌 (1067mm) の両方の線路上を走行可能な車両を開発するべく、国土交通省の施策で日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の委託によりフリーゲージトレイン技術研究組合が開発を進めている。
この技術を用いて、標準軌の新幹線と狭軌のままの在来線を直通運転する列車を運行することで乗換えが不要となり、利用者の負担軽減を図ることができる。フル規格新幹線に対しては所要時間の面で格段に劣るが、新規路線の建設用地確保が不要であるため建設コストや建設期間は大幅に抑えることができる。また、ミニ新幹線のように改軌による在来線のネットワークの寸断も生じない。このため、実用化されれば新規のミニ新幹線が建設される可能性は低くなる(前述の通り、新在直通乗り入れという同じ効用を得るためのコストが、格段に軌間可変電車のほうが優れているため)。
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[編集] 概要
異なる軌間を直通するために、軌間の異なる線路を接続するように設置された軌間可変装置を通過する間に、車輪を車軸方向にスライドさせて両方の軌間に設定できる軌間可変車軸を持つ。車輪と一体となったダイレクト・ドライブ・モーター(DDM)を用いたもの、平行カルダンとスプラインを用いたものなどの機構が試行されている。
[編集] 日本における開発状況
[編集] 要素技術開発
[編集] 第一次試験車両
- 1998年、GCT-01型として製造される。3両編成。所有は鉄道総合技術研究所(JR総研)
- 1999年1月、山陰本線(米子~安来)で走行試験(時速100km/h)
- 1999年4月~2001年1月、アメリカ合衆国コロラド州TTCIプエブロ実験線で、標準軌での高速耐久試験を実施。最高速度246km/h、累積走行距離600,000km、軌間変換回数2000回を達成。
- 2001年11月、日豊本線で基本走行試験
- 2001年12月~2002年1月、新下関保守基地で軌間変換試験
- 2002年2月、日豊本線で基本走行試験
- 2002年7月~9月、新下関保守基地で軌間変換試験
- 2002年10月~11月、日豊本線(西小倉~新田原、別府~佐伯)で在来線の速度向上試験(130km/hを達成)
- 2003年5月~6月、予讃線で走行試験
- 2004年8月23日~10月28日、山陽新幹線で新幹線での走行試験、新山口~新下関間を15回に渡って走行(最高速度210km/hまでを試験)
- 2006年までに試験が終了し、JR九州小倉工場内に留置されていたが、2007年4月以降はJR四国多度津工場内に移動している。
試験車のGCT-01は「車両」籍を持っていない。保守用のモーターカーと同じ扱いなので、試験時には線路閉鎖をしなければならない。
新下関駅構内に直流1500V・交流25kV(60Hz)のデッドセクションと軌間可変装置が設置されている。
- 編成
- GCT01-1:1両目先頭車(M'c1→Mc1) 川崎重工業
- GCT01-2:中間車(M1) 近畿車輛
- GCT01-3:2両目先頭車(M'c2) 東急車輛製造
[編集] 第二次試験車両
- 2002年8月、フリーゲージトレイン技術研究組合発足
- 2003年、二次車両開発着手
- 2006年10月、JR四国多度津工場にて二次車両の台車走行試験
- 2007年3月5~7日深夜、東京都国分寺市の鉄道総研から小倉工場へ輸送された
- 2007年12月9日小倉工場-西小倉駅間で在来線の走行試験を開始
- 2009年5月18~19日深夜、小倉工場から熊本操車場に回送された
- 2009年6月、不定期で新八代駅構内の軌間変換試験を行う
- 2009年6月22~23日深夜、熊本操車場から小倉工場に向けて回送された
- 2009年7月、九州新幹線内で実験予定
在来線での走行試験後に、新八代駅構内で軌間変換試験を行ったあと、九州新幹線鹿児島ルートで高速耐久試験を2年間行う予定である。
一次車両より軽量化された台車となり、振動・揺れが軽減され、乗り心地の改善が図られている。3両編成となっており、新幹線区間での最高速度は275km/h、在来線区間で130km/hが目標とされる。
新八代駅構内に新在直通試験線と交流25kV・20kV(60Hz)のデッドセクション、軌間可変装置が設置されている。
2007年5月27日、鉄道建設・運輸施設整理支援機構により、JR九州小倉工場で、試験車両が報道公開された。3両編成。オール電動車(在来線区間交直両用)。車体はアルミニウム合金製。営業運転を意識し、中間車に座席が設けられた。軌間可変装置は1次車で2種類設けられた駆動方式が平行カルダン駆動に統一された。一方で、ブレーキシステムはディスクブレーキ(1、2号車)と、原動機内にブレーキを持つばね間ブレーキ(3号車)の2種類が設けられ、双方の有用性をはかる。高速性能を高めるために先頭形状をより抵抗の少ない流線型にし、各種機器の簡素化を図って車体が軽量化された。1、2号車に新在兼用の低騒音パンタグラフが搭載された。空気ばねが利用された電子制御の車体傾斜装置が備えられた。新車両の開発費は1編成約30億円。小倉工場で基本的な安全性を確認したのち、8月までに日豊線で走行試験が開始される予定であったが、機器類の調整で12月まで延期された。2009年6月に新八代駅構内の新在直通試験線での新在直通試験実施。 7月からは九州新幹線・新水俣 ~川内間において新幹線区間の走行試験の実施を予定している。
[編集] 第三次車両
営業車両となる三次車両による実用化は2010年とされていたが二次車両の開発が2004年度完成という当初見込みより遅れている。
[編集] 日本における実用化にあたっての課題
- 現在未解決の問題として、使用電圧の違いによって対応する集電装置(パンタグラフ)が異なるというものがある。新幹線では架線電圧を交流25000Vとし、在来線の直流1500V・交流20000Vより高くすることにより、流れる電流を弱くし伝達ロスを小さくしている。このためパンタグラフを小さく細くすることができ低騒音性にも寄与しているのだが、この新幹線用のパンタグラフの仕様では、電圧の極端に異なる在来線直流区間に進入した場合、架線から流される大電流に耐えきれず壊れてしまう。また逆に在来線用のパンタグラフで新幹線に進入した場合大きすぎて高速走行中に暴れて集電効率が低下するうえ騒音の原因ともなる。現在は新幹線用と在来線用両方を同時に装着しているが、やはり騒音の低減の妨げとなるため、双方を両立する専用のパンタグラフの研究が進められている。なお、ミニ新幹線の場合は新幹線区間と在来線区間でパンタグラフを共用しているが、これは直流区間に乗り入れないからこそ可能なことである。
- また、もうひとつの問題として、軌間可変装置を通過するのに要する時間が挙げられる。現状では極端な低速でしか通過できず、1両通過するのに1分以上掛かる状況である。このままだと長編成の列車になれば軌間変更に時間が掛かることになり、結局は新八代駅のような同一平面上乗り換えの方が早いということになってしまう。このため軌間可変装置の通過速度向上にも重点が置かれている。
- 他にも現在試験運転をしている軌間可変電車は、曲線を高速で通過できる振り子機構を持たない一般的な車両構造なのに対して、導入の可能性のある路線を走行する特急列車は振り子機構を装備した車両を使用して所要時間の短縮を図っている路線がほとんどであり振り子機構を装備した軌間可変電車を用意して試験を行う必要がある。
- 台車が新幹線の台車より数割重く、軌道やポイントに与える影響が大きい。また高速走行の際の騒音や振動が問題ともなる。
- 寒冷地・積雪地での耐久走行試験を行っていない。
- 小型・軽量のブレーキの開発。
- 高速走行の際の騒音や振動が問題となっているために、現状では300km/hでの営業運転が不可能となっている。2011年春の九州新幹線鹿児島ルート全通の際には新大阪 - 鹿児島中央の直通列車は山陽区間では300km/hを予定しているなど、山陽新幹線内では300km/h運転列車の割合が大幅に増加するので、時速300km/hで走れない列車は途中駅での待避を余儀なくされることになる。現在、長崎新幹線を推進する佐賀・長崎両県は「関西からの直通列車が長崎まで来る」ことを喧伝しているが、最高速度が275km/h程度で更に途中駅での通過待ちがあると所要時間があまり短縮できず、航空機に対抗できなくなってしまう。また、山陽新幹線を保有するJR西日本社長山崎正夫も台車の重みによって線路の傷みが早くなって線路保守費が増大するなどの問題点からフリーゲージトレインの山陽新幹線乗り入れに難色を示す発言をしている[1]。そのため、10年後に予定される長崎新幹線の開業までにこれらの問題点を解決して山陽区間を300km/hで走行できる車両が実用化できるかが注目される。
[編集] 導入が検討されている路線・かつて検討された路線
[編集] 整備新幹線
- 1998年、政府・与党整備新幹線検討委員会で北陸新幹線長野・上越間について、上越以西にフリーゲージトレインを導入した場合の需要予測及び収支改善効果が試算された。
- 1999年、自自政権の自自協議会や自自公政権の整備新幹線建設促進協議会で九州新幹線鹿児島ルート、長崎ルート、及び北陸新幹線敦賀以西でフリーゲージトレインの検討案。(その後鹿児島ルートはフル規格による整備と決定)
- 2004年、政府与党合意で九州新幹線長崎ルートへ導入を目指すとされた。
[編集] 新在直通
- 1999年6月から日本鉄道建設公団の専門委員会で調査された5路線。高山本線、関西本線・紀勢本線(名古屋接続)、伯備線、瀬戸大橋線(岡山接続)、日豊本線(小倉接続)
- 1999年10月から2年間運輸省の新幹線直通運転化調査委員会で調査された7路線9区間。羽越本線(新潟接続~酒田)、高山本線(名古屋接続~高山)、関西本線・紀勢本線(名古屋接続~津-新宮)、阪和線・紀勢本線(新大阪接続~和歌山-新宮)、伯備線(岡山接続~米子-松江-出雲市)、瀬戸大橋線(岡山接続~高松-徳島、松山、高知)、日豊本線(小倉接続~大分-宮崎)
- 2001年7月、秋田新幹線能代延伸をミニ新幹線ではなくフリーゲージトレインで行い、積雪地での実験線とする構想。
- 新潟・山形両県による羽越本線高速化調査
- 新潟県による信越本線高速化調査
- 2006年4月、JR北海道会長が北海道新幹線からフリーゲージトレインで道東方面へ向かう構想を発表。
- 2006年4月、弘前市長がフリーゲージトレインで弘前まで乗りいれる構想を公約にして当選。
- 2006年8月、苫小牧市長が記者会見で北海道新幹線長万部からフリーゲージトレインで苫小牧方面へ向かう構想を発表。2007年度に苫小牧市など胆振管内の自治体による広域研究組織発足予定。(北海道南回り新幹線も参照されたい)
- 2006年10月、福島県鉄道活性化対策協議会が、JR東日本に磐越西線へのフリーゲージトレイン導入等によるスピードアップを要望したが、実用化の状態にないと回答された。
[編集] 通勤・近郊路線
都市圏における軌間の異なる鉄道間の直通にも検討された。
[編集] 整備新幹線に関する政府与党合意
- 1996年平成8年12月25日「整備新幹線の取り扱いについて」政府・与党合意において、「新幹線鉄道の高速化効果を他の地域に均てんするための軌間自由可変電車の技術開発等の事業等を推進する」との文言が掲げられた。
- 2000年平成12年12月18日「整備新幹線の取り扱いについて」政府・与党申合せにおいて、「軌間可変電車の技術開発を推進し、早期実用化を図る。」との文言が掲げられた。
- 2004年平成16年12月16日「整備新幹線の取り扱いについて」政府・与党申合せにおいて同様の文言が掲げられるとともに、九州新幹線(長崎ルート)武雄温泉-諫早間につき「軌間可変電車方式による整備を目指す。」とされた。
整備新幹線関連文書 国土交通省
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 新幹線、山陽と長崎「直通困難」 会見でJR西社長 asahi.com 2008年11月28日
[編集] 外部リンク
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