近鉄特急

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近鉄特急(きんてつとっきゅう)とは、近畿日本鉄道(近鉄)が運行をしている特別急行列車(特急列車)の通称である。

同鉄道では「アーバンライナー」(21000系21020系)、「伊勢志摩ライナー」(23000系)や「さくらライナー」(26000系)など、特定の専用車両には車両としての愛称が存在するが、系統上の列車愛称は存在しないため、一括してこの項にて掲載する。

目次

[編集] 概要

近鉄の特急列車は、基本的には幹線系の起終点駅から観光地へ向かうものと、都市間輸送を行うものに大別され、昨今ではその他に、通勤時間帯における乗客の着席確保を狙った、JRにおける「ホームライナー」的な性格の列車も設定されている。

大都市近郊以外は路線網の大半を地方閑散線区が占める近鉄にとって、実に全運輸収入の約15%にもおよぶ特急料金収入は経営上不可欠であり、実際にもこれを基金とする内部補助によって長大な赤字支線群が長期にわたって維持されてきた。

このため、俗に「近鉄特急網」とも呼ばれる稠密な特急ネットワークが形成されており、完全に独立したけいはんな線系統を除く基幹路線には原則的に特急が設定され、さらには特急同士の接続を前提とした時刻・料金設定がなされている。

なお、近鉄京都線奈良線橿原線などの特急列車は、当初は特別料金不要の特急列車として設定され、後に有料化されたものである[1]

[編集] 運転系統図

[編集] 特急列車の種類・系統

[編集] 名古屋 - 大阪(名阪特急)

基本的には近鉄名古屋 - 大阪難波間を運行し、「名阪ノンストップ特急」[2]と称される近鉄名古屋 - 鶴橋間無停車運行の「甲特急」と、主要駅に停車する「乙特急」とに分かれる。実質、東海道新幹線名古屋駅 - 新大阪駅間のバイパス線としての機能も持っている。時間的には東海道新幹線よりは遅いものの、JRの在来線快速よりは早い。

乙特急には朝方に桑名 - 大阪上本町間を運行するものがある。また甲特急の一部は、津・大和八木にも停車する。この列車も「名阪ノンストップ特急」の一部として時刻表では記載されている[3]

近鉄の代表列車として、基本的に近鉄名古屋・大阪難波双方とも「甲特急」が毎時00分発、「乙特急」が30分発のダイヤが組まれている。2009年3月20日改正以降、名古屋方面行きのうち平日の乙特急の大半、土休日の甲特急の大半は、大阪難波発車時に阪神なんば線方面からの快速急行より接続を受けるダイヤになっている。

系統自体は、近鉄有料特急の中では最も古く1947年10月に登場しているが、全区間直通運転開始は1959年12月である。それまでは大阪線名古屋線の軌間の相違が原因で、伊勢中川での乗換えを余儀なくされた。なお、乙特急は一時「準特急」と称された時期がある。

近鉄特急の中では花形列車とされるが、東海道新幹線が開通した1964年10月以降の約12年間は所要時間で勝負にならず料金的にも優位性が無かったため、名阪特急は不振を極めた。特に新幹線と直接競合する「甲特急」は大打撃を受け、2・3両編成[4]で細々と運行され、一時は単行運転が真剣に検討される有様であった。このため、私鉄総連によるストライキの際、列車運行のストは行わない近鉄の中で、利用客が少ないことから唯一の例外とされていたこともあった。

ところが、1975年11月(平均32%・料金のみ値上げ)・1976年11月(平均50%)と2回に分けて実施された国鉄の運賃・料金引上げや、この前後に頻発していたストライキを契機として、名阪特急は運賃面での優位性を得て、乗客数が大幅増加に転じた。編成も1980年3月より3両編成基本となるなど、増結が繰り返されていった。1985年からはアーバンライナー登場まで近鉄特急の代名詞であった「ビスタカー」の3代目30000系が名阪ノンストップ[5]にも投入されるようになった。

そして1988年よりデラックス車2両を含む6両編成を基本とする、画期的な新車である「アーバンライナー」こと21000系が「甲特急」で運行を開始。このときのダイヤ改正で最高速度が120km/hに引き上げられ、近鉄名古屋 - 鶴橋間の最速所要時間は1時間59分となり、遂に大阪 - 名古屋間の運転時間が2時間を切ることとなった[6]。これにより「アーバン効果」と呼ばれるほどの大成功を収め、この結果甲特急の輸送実績は再び東海道新幹線開業前の水準に達した。このため「アーバンライナー」の一部編成については、中間車2両を増結して8連化が実施される程であった。また、昼間以外は大和八木、津に停車する「甲特急」列車も登場し、大和八木 - 近鉄名古屋間や大阪市内 - 津間で、新たな旅客需要を掘り起こした。

1992年、東海道新幹線に速達列車として「のぞみ」が設定されたことで、名阪間のシェアは再び減少に転じた。しかし、2003年JR東海が「のぞみ」増発と引き換えに回数券の割引率を引き下げたことや、その前年の「アーバンライナーnext」こと21020系が運転開始[7]の効果で、現在では名阪間の近鉄のシェアは若干盛り返している[8]。JRとの運賃・特急料金面での優位性や、新幹線車両よりもゆとりある座席空間、新型シートの快適性などを前面に押し出して、「ゆったり感」・「リラックス感」といった快適性を軸に宣伝・告知がなされている。

「甲特急」は近鉄名古屋 - 大阪難波間を最速2時間4分で走破し、表定速度は90km/h超で日本の在来鉄道としてはかなり高速の部類に入る。なお「乙特急」の同区間所要は2時間20分前後で、こちらも表定速度は80km/hに達する。また、名古屋7:00発の難波行き「甲特急」57列車は名張駅で鳥羽発大阪上本町行きの特急702列車の追い抜きを行うが、有料特急同士の追い抜きはJR以外では近鉄が唯一である。

名阪甲特急では次世代特急車両である21020系電車アーバンライナーnext)や21000系(現在は車両更新してアーバンライナーplusへとリニューアル)が充当される。2009年3月までは一部列車に伊勢志摩ライナーこと23000系が充当されたこともあった。乙特急は一般の特急形車両が中心であるが、時間帯によってはアーバンライナーnextやアーバンライナーplusも運用にはいることがある。

2007年10月には、運行開始60周年の記念行事が行われた。

停車駅(甲特急)
近鉄名古屋 - () - (大和八木) - 鶴橋 - 大阪上本町 - 大阪難波
停車駅(乙特急)
近鉄名古屋 - 桑名 - 近鉄四日市 - 白子 - 津 - (伊賀神戸) - (桔梗が丘) - 名張 - 大和八木 - 鶴橋 - 大阪上本町 - 大阪難波

( )は一部の列車が停車

伊賀神戸と桔梗が丘は早朝の大阪方面行きが停車するが、近鉄名古屋行きの列車は通過する。

[編集] 新幹線と近鉄名阪特急

大阪 - 名古屋間では近鉄特急(名阪甲特急)で最速2時間5分かかる。これは、東海道新幹線のぞみ」号の名古屋 - 新大阪間の最速49分と比べれば圧倒的に不利であるが、名古屋 - 大阪間の移動に近鉄特急を利用する人はかなり多い。その理由に次の点が挙げられている。

[編集] 運賃面
  • 名阪特急は名阪まる得切符(20回分)を使えば1枚当たり3,200円と、新幹線のほぼ半額で利用できる。
  • 更には「名阪まる得きっぷ」などの割引きっぷ類を積極的に販売している。
  • 新幹線では追加料金約2,670円を払うグリーン車に相当するデラックスシートに追加料金410円で乗車できる。つまり、名阪間を新幹線の自由席料金より安い値段で新幹線のグリーン車に匹敵するデラックスシートに乗車できるのである。

[編集] 移動の効率性
  • 大阪市南部の都心(なんば)には、新幹線では新大阪地下鉄御堂筋線に乗り換えなければならないが、近鉄は直行する。
  • 約2時間という所要時間が、寝たり読書したりする上で早過ぎず遅過ぎずで丁度いい[9]

ちなみに、名古屋発で平日10 - 16時発(土曜・休日は8 - 16時発)の毎時0分発の名阪特急は、名古屋を出ると大阪の鶴橋まで停車しないので、注意が必要である。それ以外の毎時0分発の名阪特急は大和八木のいずれかに停車する(当駅20・21時発と土・休日のみ運行の6時発は両駅停車)。

[編集] 大阪 - 伊勢志摩(阪伊特急)

大阪難波・大阪上本町 - 大和八木・名張伊賀神戸松阪宇治山田鳥羽賢島間を結ぶ。名阪特急同様に停車駅の少ない「甲特急」と、主要駅停車の「乙特急」が設定されている。しかし「甲特急」は昨今大幅に削減され、平日は鳥羽方面1本、土休日は3往復のみとなっている。

有料特急としては1948年7月に運行を開始。しかしながら、この区間の特急という列車種別そのものは大阪電気軌道・参宮急行電鉄時代の1932年1月に料金不要の列車として誕生しており、これは近鉄特急のルーツというべきものである。乙特急のうち、大和八木 - 賢島間では後述する「京伊特急」と併結するものがある。

年末年始などの多客期や通勤時間帯には10両の長大編成も設定され、通勤時間帯には、大阪上本町・大阪難波 - 名張・伊賀神戸の系統も設定されている。ホーム有効長の問題から、大阪難波 - 鳥羽間では最大10両編成、志摩磯部以南は最大8両編成となる。

また、乙特急は伊勢中川で名伊特急[10]と相互連絡しており、名阪特急の停車しない大和高田榛原等から名古屋方面へ向かう乗客に対応する、名阪乙特急の補完列車としての役割も果たしている。特に昨今では、近鉄大阪線沿線各都市と大阪を結ぶ着席通勤可能な速達列車[11]としての色合いが強くなってきている。

なお越年終夜運転の際には、大和八木 - 伊勢市間ノンストップの特急も設定される。宇治山田の混雑を緩和するため、復路のみ内宮最寄りの五十鈴川駅始発となり、外宮最寄りの伊勢市駅に往復とも全列車が停車する。また、伊勢志摩ライナー(23000系)、アーバンライナー(21000系・21020系)での運用もある。

停車駅(甲特急)
大阪難波 - 大阪上本町 - 鶴橋 - 宇治山田 - 鳥羽 - 志摩磯部 - 鵜方 - 賢島
停車駅(乙特急)
大阪難波 - 大阪上本町 - 鶴橋 - (布施) - (大和高田) - 大和八木 - (榛原) - 名張 - (桔梗が丘) - (伊賀神戸) - (榊原温泉口) - 伊勢中川 - 松阪 - 伊勢市 - 宇治山田 - 五十鈴川 - 鳥羽 - 志摩磯部 - 鵜方 - 賢島

( )は一部の列車が停車

布施は昼間の鳥羽発着の列車が、大和高田、榛原は賢島、宇治山田発着の列車、桔梗が丘は朝の一部の大阪上本町・大阪難波行きと夜の松阪行きが停車。また昼間は鳥羽発着の列車が榊原温泉口にも停車するが、早朝深夜は松阪、宇治山田発着の列車なども停車する。なお、布施に停車する列車は榊原温泉口に停車するが他の括弧書きの4駅には停車せず、逆に他の4駅に停車する列車は布施に停車しない。また、大和高田と榛原に停車する列車は伊賀神戸にも停車する。

[編集] 名古屋 - 伊勢志摩(名伊特急)

近鉄名古屋 - 津・松阪・宇治山田・鳥羽・賢島間を運行。これも停車駅の少ない速達列車の「甲特急」と、主要駅停車の「乙特急」が設定されており、2006年現在、「甲特急」は平日鳥羽方面1本・土休日3往復のみとなっている。かつては宇治山田まではノンストップで運行していたが、現在は津にも停車する事になった為に消滅した。 「甲特急」は平日の下り1本と土休日の下り2本と上り1本は23000系「伊勢志摩ライナー」を、土休日の下り1本と上り2本は30000系「ビスタカー」を使用している。 有料特急としては、「阪伊特急」と「名阪特急」との接続を伊勢中川で行う形で1948年7月に誕生しているが、この区間の特急は伊勢電気鉄道時代の1935年12月に運行開始した「はつひ」・「かみち」(桑名 - 津新地 - 新松阪 - 大神宮前間)にルーツを持つ。

もっとも前述の名阪特急同様、名古屋線山田線の軌間の相違から、直通運転が開始されたのは1960年1月である。名古屋から伊勢志摩方面へのアクセスの他に、東海道新幹線にて東京静岡中央本線にて長野方面などからの乗客の同方面への輸送や、人口10 - 30万台のが並立する三重県内の中距離移動も担っている。また、伊勢中川で阪伊乙特急と連絡して名阪乙特急の補完的な役割を果たしている。また一部の下り列車は津で同駅に停車する後続の名阪甲特急に接続するケースもある。

列車本数は近鉄特急中では最大であるが、本数の多い時間帯は通勤・出張といったビジネス利用の多い上り(名古屋方面)朝時間帯と下り(松阪・伊勢方面)夕方時間帯となっており、日中は上下片道それぞれ2本運行が基本である。

なお1990年から東海旅客鉄道(JR東海)によって、名伊特急の走行区間に並行する関西本線伊勢鉄道伊勢線紀勢本線参宮線の名古屋 - 鳥羽間に快速列車みえ」が設定されており、競合関係になっている。しかし、名伊特急の方が本数の面などで優位にたっていることから、昨今では「みえ」のダイヤが名伊特急と競合しない時間帯に移動されている。

停車駅(甲特急)
近鉄名古屋 - 津 - 宇治山田 - 鳥羽 - 志摩磯部 - 鵜方 - 賢島
停車駅(乙特急)
近鉄名古屋 - 桑名 - 近鉄四日市 - 白子 - 津 - (久居) - 伊勢中川 - 松阪 - 伊勢市 - 宇治山田 - 五十鈴川 - 鳥羽 - 志摩磯部 - 鵜方 - 賢島

( )は一部の列車が停車

[編集] 京都 - 伊勢志摩(京伊特急)

京都 - 松阪・鳥羽・賢島間を運行。

1966年12月に運行を開始。京都 - 賢島間195.2kmと、近鉄のみならずJRを除く私鉄特急の中では最長距離を運行する[12]。大和八木 - 新ノ口間は大阪線と橿原線の短絡線を走行する。大阪方面では近鉄は新幹線との接続駅を持っていないことから、新幹線利用者は京都駅による乗り換えが便利なため、岡山福岡などの西日本主要都市から伊勢志摩への観光客輸送の使命を担っている。

運行開始当初は京都線・橿原線と大阪線・山田線の架線電圧が異なっていたため、専用の複電圧車である18200系が用いられ、単独運転となっていたが、大阪線の単線区間の運行可能本数の制限から、大阪線系特急が増発された翌1967年12月より大和八木 - 宇治山田間について「阪伊(乙)特急」との併結運行に変更され、新青山トンネル開通に伴う大阪線全線複線化完成で輸送力に余裕が生じたことから、再び単独運行に戻された。もっとも、その後の需要低迷で閑散時間帯の一部列車について大和八木 - 賢島間で「阪伊(乙)特急」との併結が復活している[13]。単独運転のものについては大和八木で「名阪(乙)特急」と朝1本を除き相互接続し、名古屋線特急停車駅から大和西大寺・京都への連絡や、阪伊(乙)特急の実質増便の役目を負っている。

停車駅(単独)
京都 - 近鉄丹波橋 - 大和西大寺 - 大和八木 - 名張 - (榊原温泉口) - 伊勢中川 - 松阪 - 伊勢市 - 宇治山田 - 鳥羽 - 志摩磯部 - 鵜方 - 賢島
停車駅(阪伊(乙)特急との併結)
京都 - 近鉄丹波橋 - 大和西大寺 - 大和八木 - 榛原 - 名張 - 伊賀神戸 - 伊勢中川 - 松阪 - 伊勢市 - 宇治山田 - 五十鈴川 - 鳥羽 - 志摩磯部 - 鵜方 - 賢島

※大阪・京都寄り4両が京都行き、賢島寄り4両が大阪難波行き。車両番号は京都行きがA - D号車、大阪難波行きが1 - 4号車(賢島方向が1 (A)号車)

( )は一部の列車が停車

[編集] 京都 - 橿原神宮前(京橿特急)

京都・大和西大寺 - 橿原神宮前間を運行。

1964年10月、前年1月に設定された料金不要の「特急」を格上げする形で、奈良電気鉄道からの継承車を改造した680系を用いて運行が開始された。

近鉄特急が都市間速達から新幹線を培養線とする特急ネットワークの形成へ転換する端緒となった系統である。

京都方面から橿原神宮への参拝客輸送の他、後述する「吉野特急」や新幹線などと連携して、東京広島福岡金沢などから飛鳥(明日香)吉野方面への観光客の連絡輸送を行うという役割も果たしている。

停車駅
京都 - 近鉄丹波橋 - (高の原) - 大和西大寺 - 大和八木 - 橿原神宮前

高の原は、京都を19時以降に発車する列車が停車する。

[編集] 京都 - 奈良(京奈特急)

京都 - 近鉄奈良間を運行。

有料特急としては京橿特急より2ヶ月遅れの1964年12月運転開始。京都線が奈良電気鉄道の運営であった時代の1954年10月より運行開始された料金不要の「特急」を格上げする形で登場した。後述する「阪奈特急」同様、京都駅 - 奈良駅間39.0kmという短距離を運行する特急ではあるが、こちらは京都奈良の「二つの古都」を結ぶことから、観光的側面や東海道新幹線にて東京・静岡豊橋岡山方面などから来た客を奈良方面へ輸送する側面が強く、終日ほぼ30分間隔で運行している。また、この系統は23000系伊勢志摩ライナーの運用もある。

停車駅
京都 - 近鉄丹波橋 - (高の原) - 大和西大寺 - 近鉄奈良

高の原は、京都を19時以降に発車する列車が停車する。

[編集] 京都駅発着特急各列車について

2002年から近鉄丹波橋が標準停車駅となっているが、それ以前は年末年始終夜運転時の臨時特急のみの停車だった。これは京阪特急が隣接する丹波橋に終日停車となったことに合わせて、京阪沿線からの乗り換え客の特急誘導を狙っての措置であると言われているが、実際にはJR西日本奈良線への対抗措置であると見られている(出典:鉄道ピクトリアル2003年1月臨時増刊号)。ただ、特急料金+普通運賃がJRよりも割高になることや利用客が非常に多い新田辺駅大久保駅を通過するために、特急の利用率は決して良いとは言えず、むしろ急行の方が利用率が高い場合がある。

なお、京都19:00発以降の下り列車は、高の原にも停車する。これは、JRでの「ホームライナー」同様通勤客の誘導も兼ねているとされる。ただし現在の所、京都 - 伊勢志摩間特急(京伊特急)に関しては該当時間の列車が無いため、同駅停車列車は存在しない。また上り列車の停車は1本もない。

後述の阪奈特急も含めて大和西大寺駅の車庫への出入庫を含む複雑な配線構造ゆえの遅延が恒常化している。

過去には薬師寺平山郁夫の壁画が公開された2001年、壁画観覧者の利便のため一部の土・休日に一部の特急が西ノ京駅に臨時停車したこともある。この時は、西ノ京駅にクーポン券端末(F型端末機)が臨時に設置されて特急券の発券処理が行われた。

[編集] 大阪 - 奈良(阪奈特急)

昼間時の阪奈間輸送の主力となる快速急行

大阪難波 - 近鉄奈良間を運行。

1973年9月登場。大阪難波 - 近鉄奈良間は32.8kmと近鉄特急系統の中では短距離であるため、この系統はJRにおける「ホームライナー」的な側面が強く、平日の運行はほぼ朝夕の通勤時間帯と深夜に限られている。

かつては平日昼間も1時間間隔で運行されていたが、奈良線は各種列車種別が輻輳する過密ダイヤの上、平均駅間距離が短く、さらに大和西大寺では京都線・橿原線と平面交差するという悪条件も重なり、遅延が常態化していた。また停車駅が類似する「快速急行」(後述)などとの関連もあり、ダイヤに余裕を持たせて一般列車の充実を図るべく、利用率が低かった平日昼間の特急は廃止された[14]

1956年11月から「阪奈特急」の運転開始される前の近鉄奈良線では料金不要の「特急」が設定されていたが、これは1972年11月に停車駅追加の上で「快速急行」に種別を改めている。「阪奈特急」の設定されない時間帯には「快速急行」や「急行」が大阪~奈良間の速達輸送の役目を担っており、1997年以降はロングシート・クロスシートの両方に転換可能な座席を備えた一般型車両、L/Cカーが奈良線の快速急行・急行の一部を中心に投入されるようになった。これは、大阪~奈良間の輸送で競合するJR西日本221系を使用した「大和路快速」への対抗策と見られている。

なお、阪奈特急では間合い運用として投入されるアーバンライナーのデラックスカーを追加料金なしで使用できる。

なお、現行ダイヤにおける快速急行との停車駅の相違点は、近鉄日本橋駅新大宮駅への停車の有無のみである。

停車駅
大阪難波 - 大阪上本町 - 鶴橋 - 生駒 - 学園前 - 大和西大寺 - 近鉄奈良

[編集] 大阪 - 吉野(吉野特急)

大阪阿部野橋 - 橿原神宮前・六田吉野間を運行。

1965年3月に運行を開始。運行する南大阪線吉野線は、歴史的経緯から軌間が1067mm(狭軌)で、他の特急が走る路線の1435mm(標準軌)と異なっているため、直通運転ができず運行系統上は独立している。大阪方面から橿原神宮・飛鳥(明日香)・吉野への観光客輸送と、前述した「京橿特急」との連絡輸送、そして通勤輸送を担っている。

停車駅
大阪阿部野橋 - 尺土 - 高田市 - 橿原神宮前 - 飛鳥 - 壷阪山 - 吉野口 - 福神 - 下市口 - 六田 - 大和上市 - 吉野神宮 - 吉野

運行開始当初の途中停車駅は、高田市(一部の特急のみ)・橿原神宮前・下市口・大和上市・吉野神宮の4駅(一部列車は5駅)のみであったが、観光客の減少と通勤需要の増加のため停車駅が次々と追加され、1999年ダイヤ変更で現在の11駅となった。このため大阪阿部野橋 - 吉野間(営業キロ65.0km)の最速列車の到達時間は、運行開始当初の68分から74分に伸びた。

また、大晦日から元旦にかけて終夜運転される「越年号」[15]では、普段は通過する古市に臨時停車する。この列車は特急料金は徴収するものの、基本運転区間内では急行と全く同じ停車駅設定となっており、所要時間も30秒程度の差しかない[16]

元来、橿原神宮前 - 吉野間は吉野線の前身である吉野鉄道開業以来の急峻な山岳線であり、急カーブと勾配の連続する単線であることから、その所要時間は他の列車種別と比べてもそれほど短縮されていない。また、南大阪線内においても全区間複線ではあるが前身の大阪鉄道時代の線形を引き継いでいて、高架区間以外では50 - 80km/h制限クラスの急カーブが随所に存在しているため最高速度が大阪線・名古屋線系統より10km/h低い110km/hに設定されており、他線区の特急と比べて全区間の表定速度が比較的低いダイヤ編成となっている。

1999年から南大阪・吉野線内利用の場合に限り特急料金の距離加算をやめ、一律500円とした。これにより大阪阿部野橋 - 吉野間の全線を乗車した場合、従来は870円であったことから大幅に安くなった[17]

[編集] 天理発着臨時特急

天理教月次祭(毎月26日)やその他天理教の祭事時に、天理臨として京都・近鉄名古屋から近鉄天理線天理まで臨時特急列車が設定される。

天理線内は起点の平端を含め無停車で[18]、他路線では京伊特急・名阪特急の停車駅に順ずる。また近鉄名古屋発着の列車は団体専用列車扱いとなり、近鉄名古屋 - 大和八木で名阪乙特急と併結する。

特急券については、京都発着列車は前売りが行われインターネット予約・購入も出来るなど、一般旅客も利用可能である。

名古屋発着列車については天理教愛知教区の団体列車として取り扱われているため、駅の時刻表には掲載されず、インターネットでの空席照会の対象外であるなど、原則として一般旅客の利用は不可となっている。しかし、実際には当日空席があれば名古屋発着特急停車駅の駅窓口では特急券の発売が行われ一般旅客でも特急券が購入可能であり、名古屋駅などでも天理行特急、天理駅では名古屋行特急として案内されている。

なお2006年1月26日には、天理教教祖百二十年祭の執行に伴い、名阪乙特急などとの併結を行わず、前売りも行うなど、当初から一般旅客も利用を対象とした近鉄名古屋駅発着の臨時特急も設定された。

[編集] 過去に運行されていた系統

[編集] 大阪・名古屋・四日市 - 湯の山温泉(湯の山特急)

1965年7月に設定された。近鉄難波(当時)・近鉄名古屋 - 近鉄四日市 - 湯の山温泉間を運行していた。難波始発のものは、近鉄湯の山線の分岐する近鉄四日市手前の白子まで[19]前述した「名阪乙特急」と併結して運行し、名古屋始発のものは、名湯特急として独立した運行ダイヤを組んでいた。湯の山線内はノンストップで、四日市までの近鉄大阪線近鉄名古屋線区間での停車駅は「名阪乙特急」と同一であった。また、1983年春のダイヤ改正まで上本町 - 湯の山温泉間を単独で運転しており、乙特急標準停車駅のうち、名張・白子は通過していた。

湯の山観光の足として長きにわたって親しまれたが、次第に利用客が減少し、末期には四日市 - 湯の山温泉間の線内のみを土休日に限り2往復するという運転形態(ただし四日市で名阪乙特急と接続する)となったが、乗客数の減少はいっそう進み、2004年3月のダイヤ変更をもって廃止となった。

2008年には御在所ロ-プウエイ開通50周年と鈴鹿国定公園指定40周年を記念し7月下旬から8月上旬の土日祝日計9日間に名古屋~湯の山温泉間で臨時特急が運転された。[20]また、2009年にも「湯の山温泉サマーライナー」として同じく7月下旬から8月上旬の土日祝日計9日間に名古屋~湯の山温泉間で臨時特急が運転される予定。[21]

[編集] 大阪 - 京都(阪京特急)

近鉄難波(当時) - 京都間を運行していた系統で、1973年3月に設定された。近鉄奈良線鶴橋 - 大和西大寺間では初の有料特急列車であった。大阪 - 京都間を結ぶため、国鉄東海道本線)・阪急京都本線)・京阪京阪本線)に続く「第4の京阪間の特急」とも呼ばれたが、当時国鉄の新快速が同等の区間を29分(京都 - 大阪間)、阪急の特急が40分弱(河原町 - 梅田間)、京阪の特急が46分(三条 - 淀屋橋間)で走破していたのに対し、同特急は近鉄難波 - 京都間に58分 - 62分を要していたので、奈良線・橿原線沿線から大阪・京都への「着席確保列車」としての使命が強く、「京阪間輸送」を主目的としたのではないと言われている。しかし、京都から大阪ミナミへは唯一の直通列車であったことから、大阪等での乗り換えを嫌う客の利用も若干あったとされる。

1980年代後半には近鉄京都線南端部分地区と奈良線東部地区が「京阪奈地区」と呼ばれるようになり、この列車も「京阪奈特急」と呼ばれるようになったが、乗客数の減少等から「阪奈特急」・「京奈特急」に系統分割される形で1992年3月改正で消滅した。

[編集] 奈良 - 伊勢志摩(奈伊特急)

1970年3月に1往復のみ設定された。京都 - 伊勢志摩間を走る「京伊特急」の起点駅を近鉄奈良に変更した以外は「京伊特急」とほぼ同一の運行形態であった。またその線路配置の関係で、大和西大寺で方向転換を行った。「京伊特急」同様、大和八木 - 賢島間は「阪伊乙特急」と併結して運行された。

1972年11月7日に「京伊特急」に統合されて廃止した。以降は奈良から伊勢方面に直通する列車は設定されていない。

[編集] 乗務員

近鉄特急運転士は、車掌運転士を5年以上経験した者で講習・実地訓練を受けた後、特急担当となることができる。

[編集] 料金制度

近鉄難波駅(当時)の特急券売り場の上にあった特急券発売状況(現在は改装され撤去)

近鉄の特急列車は現在すべて有料列車であり、乗車券[22]の他に特別急行券(特急券)を要する。特急券は原則乗車日の1ヶ月前(前月の同一日、該当する日がない場合は当月1日)の10時30分から発売である。なお往復同時に求める場合で、大阪難波~鶴橋間の各駅と近鉄名古屋間を乗車する場合または伊勢市~賢島間各駅・下市口~吉野間各駅(六田を除く)を往路の着駅とし片道81km以上利用する場合は、復路の分を1ヶ月1日前から発売し往復同時購入が可能(インターネット予約では不可)。ただし例外的に年末年始の特急券は12月1日発売となる(概ね1月8日分までの発売)。

2009年7月16日現在の特別急行料金(こども半額)
キロ程 特別急行料金(円)
1 - 40 500
41 - 80 870
81 - 140 1,280
141 -180 1,560
181- 1,850
特別車両料金(デラックスカー)
一律410円(こども半額) 但し奈良線(「阪奈特急」に限る)運用の場合は料金不要。アーバンライナー・伊勢志摩ライナーに設置。
なお、1989年3月31日以前(消費税導入前)はJRのグリーン料金同様、通行税10%を含んでいた。
サロンカー(コンパートメント席
特急券の代わりに「サロン券」を要し、利用する際は座席定員分の大人特急料金が必要(2人用・4人用あり、大人・こども同額)。伊勢志摩ライナーに設置。
特急の乗継
事前に特急券を購入する時に限られるが、他系統の特急同士を接続駅(伊勢中川駅大和西大寺駅橿原神宮前駅など)で30分以内に乗り継ぐ場合は、料金は通算する(回数は問わない)。但し、サロンカーを利用する場合を除く。なお、座席予約システム上3回の乗り換え(4列車)まで(券売機やインターネット予約では2回乗り換え(3列車)まで)を1枚の特急券で発売可能としている。乗り継ぎ料金制度も参照。
遅れの場合
事故や天災その他によるダイヤの乱れで到着が所定より1時間以上遅れたり、発車が1時間以上遅れて利用を止めた場合は、特急料金が全額払い戻される。ただし、回数特急券や特急カードの場合は指定取消の処置をとる代わりに、払い戻しは一切行わない。
特急券が不要な区間
かつての阪奈特急は特急券が不要であったが、この特急が現在の快速急行になって以降は特急券の不要な区間は存在せず、現在では近鉄特急に乗車する場合、いかなる区間であっても特急券やそれに相当する切符が必要となる。また臨時特急が運転される場合も定期列車同様に特急用車両を用い、全車座席指定の特急として運転される。

なお、JRでは特急を利用する場合、特急利用区間においては、必ず特急券の他に普通乗車券を購入しておかなければならない(青春18きっぷ等との併用不可)が、近鉄特急は特急券を購入し乗り遅れさえなければ、例えばICOCAやPiTaPaを乗車券代わりに利用しても影響はない。時々近鉄より発売されるパスポート切符「まわりゃんせ」も近鉄特急が対象区間で乗り放題という特典がついている。

[編集] 特急券の発売箇所

特別急行券(以下特急券)の発売は、近鉄の主な駅と主な旅行会社で行われている。また、近鉄以外の私鉄では伊賀鉄道上野市駅で発売されているほか、2009年3月20日の阪神なんば線開業に伴うダイヤ改正より阪神三宮駅でも発売を開始した。[23]

近鉄の駅

近鉄の駅の場合、全駅での特急券発売は行われておらず、原則として以下に該当する駅で行われている。

特急停車駅 
窓口および自動券売機で発売。(但し、吉野口駅のみ直近の阿部野橋行特急のみ券売機で発売)
定期券即時発売駅 
窓口および自動券売機で発売。(ほとんどの窓口は定期券発売窓口と兼用)
旅行会社

現在18社の旅行会社で近鉄の特急券や乗車券を取り扱っているが、旅行会社によって取り扱いが異なる。

1.自社のコンピューターと近鉄のコンピューターを接続している。
基本的にその会社の全ての支店・営業所で、旅行会社の船車券(クーポン券)で購入が出来る。これに該当するのは、近畿日本ツーリストJTB日本旅行農協観光京阪交通社の5社である。
2.自社の支店・営業所に近鉄の端末を設置している。
近鉄の端末機での発券の為、近鉄の様式の特急券が購入出来る。但し、端末機設置箇所が限られる事もあるので同じ会社でも購入出来る支店・営業所が限られる場合がある。
3.自社のセンターに近鉄の端末機を設置し取り次ぎを行う。
旅行会社のセンターに近鉄の端末機を設置し、購入申し込みがあれば自社内で取り次ぎを行う。旅行会社により、端末機で発券した特急券を各支店・営業所へ配送する場合と、席番などの必要な情報を支店・営業所へ連絡し自社端末機へ入力・発券を行う場合がある。前者であれば近鉄の様式で発券され、後者であればその旅行会社の様式で発券される。
近鉄以外の私鉄の駅

近鉄線時代から上野市駅には窓口があり、伊賀鉄道移管後も継続して発売している。

阪神では上述通り、2009年3月より三宮駅でのみ発売を開始した。駅長室の窓口に近鉄の特急券発券システム「ASKAシステム」(後述)を設置し、特急券と乗車券の発行を行なう。尚、阪神線内の他駅や神戸高速線方面からの客に対しては、大阪難波駅1・2番ホーム(奈良・名古屋・伊勢志摩方面)に新たに特急券発券機を設置して対応する。

[編集] 割引切符

マンスリービスタ14
特急料金の500円・870円区間に関してのみ販売される、14回分のカード式特急料金回数券。500円区間用は6,000円(約14%引)で、870円区間用は9,800円(約19%引)。有効期間は発売から1ヶ月間。
ビスタカードプラス
特急券・特別車両券・サロン券専用のプリペイドカードで、5,000円で5,500円分利用できる(約9%引)。有効期間は発売日から3ヶ月間。
近鉄 名阪まる得きっぷ
大阪難波 - 近鉄名古屋間の乗車券・特急券をセットにした回数券タイプのもので、レギュラーシート用とデラックスシート用の二種類が存在し、それぞれ4枚つづりと10枚つづりがある。同区間は運賃・特急料金合わせてレギュラーシート利用で4,150円であるが、レギュラーシート用まる得きっぷだと4枚つづりで14,000円(1枚あたり3,500円・約16%引)、10枚つづりは32,000円(1枚あたり3,200円・約23%引)となる。有効期間は発売日から3ヶ月間。
伊勢志摩ビスタ4/吉野路ビスタ4
伊勢市以南の区間および吉野線内で利用できる4回分1,200円の特急料金回数券(通常料金500円の区間で1回あたり300円・40%引き)。有効期間は発売日から3ヶ月間。

[編集] インターネット予約・発売

2001年3月より、インターネットiモード(後にEZwebJ-Sky(現Yahoo!ケータイ)にも対応)向けに導入された特急券インターネット予約・発売サービス。会員登録を行う事により、インターネットや携帯電話によるネット接続サービスにて特急券の予約や購入が行える。会員には2種類あり、A会員は「クレジットカード」登録または「近鉄特急チケットレス積立金カード」登録が必要で、特急券の購入(クレジットカードもしくは積立金による決済)まで行うことが可能(予約のみも可能)だが、乗車券とセットでの購入が出来ず、またクレジットカードによる乗車券の購入は不可能。B会員は、特急券の購入は出来ず、予約のみ可能。利用可能時間は6時 - 23時30分。受取については、近鉄特急券取扱駅窓口および対応する券売機で可能。

近鉄特急netでポイントサービス
2002年3月より開始となったポイントサービス。A会員がインターネット予約・発売で特急券を購入すると、購入額の5%をポイントとして還元するサービス。ポイントの有効期限は1年(取得した翌年同月まで)で、有効期限内に特急券(特別車両料金、サロン料金を含む)の購入(引換え)にあてる事が出来る。2007年5月25日より、KIPS-PiTaPaカードによる近鉄利用で付与される「きっぴいポイント」の近鉄特急netポイントへの変換サービスが始まった。
近鉄特急チケットレスサービス
携帯電話よりインターネット予約・発売にて特急券を購入した際、特急券の受取をせずとも特急に乗車できるサービス。A会員がクレジットカードもしくは近鉄特急チケットレス積立金カード利用による特急券の受取を一度行うと、チケットレス会員登録が行える。チケットレス会員登録を行うと、次回購入時より駅での特急券受取とチケットレスが選択出来るようになる。ここでチケットレスを選択すると、携帯電話の場合は画面に購入した特急券の内容が表示されるのでその画面を携帯電話の機能(例:画面メモ)で保存するか、パソコンの場合はその画面を印刷することによりそれが特急券になるというもの。特急券を提示する必要がある場合は、この保存した画面もしくは印刷した用紙を提示する。
チケットレス購入を行うと通常のポイント5%に加えチケットレスポイント5%が加算され合計10%がポイント還元される。なお、チケットレスサービスを利用する際は、決済に利用したクレジットカードや近鉄特急チケットレス積立金カードを所持する必要がある。これはトラブル発生時に、特急券購入者本人であるかを確認するためである。
2003年3月に吉野特急(大阪阿部野橋 - 吉野間)で携帯電話利用によるチケットレスが導入され、同年6月に全線に拡大された。なお、2006年12月11日より、パソコンの画面を印刷したものが特急券の代わりとなり、パソコン予約からもチケットレス乗車が可能になった。
特急券のチケットレス化が実現したものの、乗車する際には別途乗車券が必要となるために(乗車券と特急券がセットになった)完全なチケットレス化は実現していないが、乗車券をPiTaPa(ポストペイとしての利用)、またはICOCA(事前のチャージが必要)で利用すれば、結果的にチケットレスでの利用は可能となる。
近鉄特急積立金サービス
2006年12月11日より、従来のクレジットカードに加え、あらかじめ積み立てた現金で特急券(特別車両料金、サロン料金を含む)の決済を行うことが可能になった。このサービスを利用するためには、インターネット会員(A会員)登録をした上で、駅の特急券窓口等に備え付けてある「近鉄特急チケットレス積立金カード」の番号を登録する。チケットレスサービスを利用する場合にはさらにチケットレス会員登録が必要。netポイントもクレジットカードと同様に加算される。
積立は指定の「定期券・特急券自動発売機」・「特急券自動発売機」・「特急券窓口」で現金のみできる。退会時に払い戻しするためには払い戻し手数料500円が必要である[24]

[編集] 特急座席予約システム(ASKAシステム)

近鉄には、ASKA(All-round Services by Kintetsu and its Agencies)システムと呼ばれる、JRMARS(マルス)システムにあたる乗車券類発売システムがある。

[編集] コンピューター構成

コンピューターは2台で構成されており、1台を本番系としてASKAシステム用コンピューターとして使い、残り1台を予備系としつつその他の目的(特急座席予約以外、グループ会社向け)としても使用している。本番系コンピューターに異常が発生した時は、自動的に予備系に切り替わりシステムの継続稼働を確保する。また、インターネット予約や車掌用座席確認システムに対応するため、サーバーを経由してホストコンピューターに接続し、処理の一部をサーバーで行っているものも存在する。なお、コンピューター運営については、近鉄情報システムに委託されている。

[編集] 主な歴史

  • 1960年(昭和35年) NEC製専用機による特急座席予約システムが開始された。当時は、特急券その物の発行(印刷)は行われず、端末機に表示された号車・席番を特急券に転記していた。
  • 1970年(昭和45年) 汎用機(メインフレーム)による座席予約システムが開始され、端末機での発券が可能になった。同時にホストコンピューターをNEC製からUNIVAC製(現:日本UNISYS)に変更されている。
  • 1971年(昭和46年) 「近畿日本ツーリスト」コンピューターと接続。
  • 1976年(昭和51年) 「日本交通公社(現ジェイティービー)コンピューターと接続。
  • 1979年(昭和54年) 特急券自動券売機使用開始。
  • 1984年(昭和59年) 「日本旅行」コンピューターと接続。
  • 1987年(昭和62年) 特急座席予約システムを、オンライン乗車券発行システム(定期券発行が主)・企画旅行システム(旅行業務)を含めた総合的なシステム「ASKA(All-round Services by Kintetsu and its Agencies)システム」へ移行。これ以降、近鉄の特急座席予約システムが「ASKA(アスカ)」と呼ばれるようになる。
  • 1990年(平成2年) 定期券自動券売機使用開始。(銀行用ATMを流用。支払はKIPSカードのみ)
  • 1994年(平成6年) 特急残席表示器使用開始。
  • 2001年(平成13年) インターネット予約・発売開始。
  • 2002年(平成14年) 定期券・特急券自動券売機使用開始。

[編集] 車内販売

近鉄特急では、以前は多くの路線で車内販売を傍系の近鉄観光が行っていた。しかし、旅行時に自宅で弁当を作り持ち込んで乗車する習慣があったり、近鉄特急の場合には平均乗車距離が短い場合が多いことなどから、車内販売の売り上げはかんばしくなく車内販売の売り上げだけでは黒字になったことが無いと言われている。

当時、近鉄特急車内で布おしぼりが配布されており、近鉄から近鉄観光への布おしぼり配布委託料でその赤字を埋めていたとも言われている。しかし、1990年代から特急利用者の減少により車内販売の売り上げが落ち、さらに布おしぼり配布の廃止(紙おしぼりのセルフサービス化)や駅売店やコンビニエンスストアなどであらかじめ商品を買って持ち込む客が増えるなどしたため、2002年春をもって一旦営業を中止していた。

2006年11月より、土・休日ダイヤの23000系「伊勢志摩ライナー」を用いる阪伊・名伊・京伊特急、計上下12本で営業を再開した。再開した車内販売は、近鉄が運営・実業務を傍系の近鉄リテールサービスへ委託して行われている。2007年10月8日より、土・休日ダイヤ日中時間帯の名阪特急(アーバンライナー限定)でも車内販売が復活した。

なお、2002年に名阪特急の利用客を対象に、DVDソフトと携帯用DVDプレーヤーのレンタル(大阪側・名古屋側それぞれの拠点駅で貸出しおよび返却)を行っていたことがあったが、1年ほどで中止している[25]

[編集] 特急が運行される路線

(前述の通り、過去においては湯の山線近鉄四日市 - 湯の山温泉)にも設定されていた。)

[編集] 特急に使用される車両

近畿日本鉄道の車両形式も参照のこと。

[編集] 現役車両

標準軌線区
狭軌線区

[編集] 過去に使用されていた車両

[編集] 編成の向きについて

伊勢中川付近では線路配置が三角状になっており、近鉄特急はその三角状の線路配置を行き交っていることから、標準軌線用の特急車両は、短絡線を経由する名阪特急を基準に運用されている。従って、伊勢中川 - 賢島間では、阪伊・京伊特急と名伊特急とでは編成の向きが逆になる。つまり、伊勢方において、阪伊・京伊特急の折り返しが名伊特急にならないことを示している。

なお、23000系に関しては、2001年(平成13年)3月22日のダイヤ改正までは名阪特急への運用が無かったために伊勢中川 - 賢島間では阪伊・京伊・名伊とも同じ向きで運用されていた。

[編集] 号車番号・座席番号について

近鉄特急の号車番号・座席番号については、2008年(平成20年)3月17日現在、以下のようになっている(号車番号、座席番号の順)。前述の「編成の向き」も合わせて参照されたい。

  • 名阪特急 : 名古屋側が1号車、大阪側が1番
※ 近鉄名古屋 -大和八木間で名阪乙特急と併結運転する近鉄名古屋~天理間の臨時特急は号車番号がアルファベットで表記され、近鉄名古屋側(出発・到着時点)がA号車となる。
  • 阪伊特急・京伊特急 : 伊勢志摩側が1号車、大阪・京都側が1番
※ 大和八木 - 賢島間で阪伊乙特急と併結運転する京伊特急は号車番号がアルファベットで表記され、伊勢志摩側がA号車となる。
  • 名伊特急 : 名古屋側が1号車、伊勢志摩側が1番
※ 故に、伊勢中川 - 賢島間では、阪伊・京伊特急と名伊特急とでは号車番号・座席番号も逆順になっている。
  • 阪奈特急・京奈特急・京橿特急 : 奈良・橿原神宮前側が1号車、大阪・京都側が1番
  • 吉野特急 : 大阪側が1号車、大阪側が1番

※ なお、2003年(平成15年)3月6日のダイヤ改正直前は、吉野特急以外の号車番号は以下のようになっていた。

  • 名阪特急 : 名古屋方向は大阪側が1号車、大阪方向は名古屋側が1号車
  • 阪伊特急・京伊特急 : 大阪・京都側が1号車
  • 名伊特急 : 名古屋側が1号車
  • 阪奈特急・京奈特急・京橿特急 : 大阪・京都側が1号車
  • 湯の山特急(2004年(平成16年)3月のダイヤ改正をもって廃止) : 湯の山温泉側が1号車(故に、2003年(平成15年)3月6日のダイヤ改正以降は近鉄四日市側が1号車となっていた)

[編集] 沿革

近鉄の前身である大阪電気軌道・参宮急行電鉄(大軌・参急)は、1932年から1938年の間に阪伊・名伊間などで「特急」の種別を持った列車を走らせていたが、この時は特別料金を要さず、JRの快速列車などと同様に速達サービスを提供するために設定されていた。

有料特急の創始は、戦後1947年に運行を開始した名阪特急(ただし伊勢中川で乗換)で、終戦後の各私鉄の中では、最も早い時期のものとなった。1960年(昭和35年)に伊勢湾台風の復旧工事と兼ねて名古屋線の改軌を行い、名阪特急・名伊特急の直通運転を実現させている。

その他にも、奈良線などでは料金不要の「特急」が設定されたことがあったが、1972年(昭和47年)までに種別を「快速急行」と変更するなどして消滅している。

車両面では、高度経済成長期の1958年に「ビスタカー」と称せられた10000系、1959年にその量産形といえる10100系を開発し「2階建て特急の近鉄」あるいは「ビスタカーの近鉄」というパブリックイメージを確立した。しかしその後はニーズの変化もあって通常構造の特急車の増備が続き、1978年末には30000系ビスタカーIII世が導入されたものの、1988年には一部車両にデラックスシートを導入し、インテリアデザインのグレードを大幅に向上させた通常構造の21000系「アーバンライナー」が開発され、近鉄の新たなイメージリーダーとなった。

詳細は近鉄特急史を参照のこと。

[編集] 神戸・姫路方面への乗り入れ

2007年9月8日の時事通信等の報道によると、近鉄の小林哲也社長はかねてより阪伊特急と阪奈特急を阪神なんば線の開業を機に阪神電気鉄道線内へ、更には神戸高速鉄道を超えて山陽電気鉄道山陽姫路駅へ乗り入れる構想を口にしていたが、2008年7月9日の神戸新聞の記事によると、2010年春を目標に奈良・伊勢志摩方面と姫路・三宮方面を結ぶ特急及び修学旅行専用電車の乗り入れを行なう構想を明らかにした[26]。また、関係各社と調整の結果、同年9月26日に基本合意した[27]

この計画が実現すると、阪神三宮駅山陽明石駅・山陽姫路駅に近鉄特急が姿を見せることになる。また近鉄・阪神・神戸高速・山陽と4社間にまたがって運行される有料特急列車となる。使用車両は4連を計画中であるが、2009年2月22日の神戸新聞の記事によると、山陽電鉄の規格に合う新しい特急電車を設計・発注すると報じている[28]

これは北総鉄道京成電鉄都営地下鉄京浜急行電鉄の各社線を直通する急行・快特(一部区間は普通)、それに東武鉄道野岩鉄道会津鉄道JR東日本と直通する快速列車と並ぶ記録となる。これらは特別料金を要さないため、特別料金を課す列車での4社間乗り入れは、JR各社相互間の直通列車を除けば日本初となる。しかし、京成は2010年代前半実施予定で京成成田新高速鉄道線を経由してスカイライナー国土交通省発表の計画ではスカイライナーと書かれていないが、所要時分からスカイライナーでの乗り入れを想定しているものである[29])での成田空港~羽田空港直結を目的とした都営線、京急線乗り入れ構想があり、その際には首都圏でも北総鉄道を含めた4者間での有料特急列車の乗り入れが実施される。

[編集] 東海地震への対応

近鉄では、近鉄名古屋 - 川越富洲原間(名古屋線)および明星 - 賢島間(山田・鳥羽・志摩線)が東海地震に対する地震防災対策強化地域に関わっており、東海地震の警戒宣言が発令された場合、各区間では列車の運行が中止されることになっている。これに伴って、川越富洲原 - 伊勢中川 - 明星間でも特急列車の運転が取り止められることになっており、名阪特急(甲特急)および名伊特急が全区間で運転できなくなるなどの影響が出ることになっている。[30]

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ 詳細は近鉄特急史を参照のこと。
  2. ^ 基本的に21000系・21020系を使用していることから「アーバンライナー」とも呼ばれる。
  3. ^ 但し駅の案内ではノンストップ特急とは案内せず、只の特急と表示される。
  4. ^ 日本万国博覧会開催期間中や国鉄ストライキ時を除く。
  5. ^ もともとビスタカーは名阪ノンストップの車両だったが、東海道新幹線開業後に登場した3代目は伊勢志摩発着向けを意図していた。
  6. ^ 後に一部区間の最高速度は130km/hに引き上げられ、所要時間も更に1分短縮されている。
  7. ^ 同時期に21000系もリニューアルして「アーバンライナーplus」とした。
  8. ^ 2001 - 2005年度の対東海道新幹線との乗客人員のシェアは概ね新幹線3:近鉄特急1の割合である。
  9. ^ 2005年頃、近鉄の広告で宣伝されていた。
  10. ^ 時間帯によっては料金不要の名古屋方面発着の急行に接続することもある。
  11. ^ 特に名張・榛原付近からの通勤客は多い。
  12. ^ 名阪特急は189.7km。
  13. ^ 同時に停車駅も現在のものとなる。以前は朝の1本を除き、大和八木 - 松阪間はノンストップであった。
  14. ^ ただし奈良への観光客の利便を考慮し、土休日についてはほぼ終日に渡り1時間ヘッドで特急が設定されている。
  15. ^ 大阪阿部野橋 - 橿原神宮前(一部は吉野)間で運転される。
  16. ^ 所要時間の短縮は最高速度の相違による。
  17. ^ 後述する「吉野路ビスタ4」特急回数券も設定されている。
  18. ^ 名古屋発着列車は構内配線の関係上、天理線への入線はスイッチバック式に転線する必要があるため、平端に運転停車する。
  19. ^ 近鉄四日市駅での乗客の混乱防止(他の名阪特急と発着番線が異なる)と構造上の問題(湯の山線ホームは有効長が短いため停車できず、かつ名古屋線ホームから直接湯の山線へ入線できない)のために白子で切り離された。
  20. ^名古屋~湯の山温泉直通臨時特急運転」(PDF) 近畿日本鉄道 2008年5月13日
  21. ^納涼特急「湯の山温泉サマーライナー」を運転します」(PDF) 近畿日本鉄道 2009年6月17日
  22. ^ 近鉄における「乗車券」とは普通乗車券(片道、往復)、回数乗車券(普通、時差、土・休日割引)、定期乗車券(通勤、通学)、団体乗車券を指す。近鉄特急は特急券さえ買えば定期券や回数券を用いた乗車が全列車全座席において可能となっている。またICカード(近鉄が加盟するPiTaPaICOCA)での乗車も可能である(ただし、ICカード内金額を特急券に引き換える事は出来ない)。なお、スルッとKANSAIカードやJスルーカードについては対応区間相互間のみ可能である。
  23. ^ 3月12日付NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20090311c6b1102s11.html]
  24. ^ 積立金残額が500円に満たない場合は払い戻しされない。
  25. ^ その後2005年JR北海道でも同様のサービスを実施したが、2007年に中止した。
  26. ^ 2008年7月9日付けの神戸新聞ニュースより
  27. ^ 2008年9月27日付けの産経新聞インターネットニュースより
  28. ^ 2009年2月22日付けの神戸新聞ニュースより
  29. ^ 2008年8月16日付けの産経新聞インターネットニュースより
  30. ^ 東海地震に関するお知らせ 近畿日本鉄道

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク