近鉄1422系電車

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共通事項
営業最高速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 通常:2.6km/h/s
設計:3.0km/h/s
旧型車との混結時:2.5 km/h/s
減速度 4.0 km/h/s(常用最大)
全高 4,150 mm
車体長 20,720 mm
車体材質 アルミニウム合金
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
主電動機出力 165kW
駆動装置 WNドライブ
制御装置 VVVFインバータ制御
制動方式 回生併用電磁直通ブレーキ
形式:HSC-R
保安装置 近鉄型ATS
製造メーカー 近畿車輛

1422系電車(1422けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道が保有する通勤形電車の一系列である。

本項では同じく三菱電機VVVFインバータ制御装置を搭載した2両編成の車両である1430系など派生系列(1430系・1435系・1436系・1437系・1440系)と、その4・6両編成版である1620系についても記述する。

1422系[編集]

近鉄1422系
近鉄1422系1424F(前の2両)
近鉄1422系1424F(前の2両)
編成 2両編成
全長 41,440 mm
車体高 4,050 mm
編成出力 660kW
主電動機 MB-5023-A
歯車比 6.31
制御装置

GTO-VVVFインバータ制御

型式:三菱製MAP-174-15VD05
台車 KD-95・KD-95A

概要[編集]

当時の1250系(初代。現在の1420系)の量産車として、1987年(昭和62年)4月に運用を開始した。登場時は1250系(2代)を名乗っていたが、こちらも1230系(1233系、1249系、1252系、1253系、1254系)の増備によって、1990年(平成2年)に現番号に変更されている。量産車として製造されたが、全線共通仕様の設定に伴う仕様変更のため、6編成のみの製造で、その後の車両は1430系にモデルチェンジされている。

電算記号は、VVVFインバータ車を意味するVと、大阪線新青山トンネルを跨ぐ運用が可能な2両編成を意味するCとを組み合わせてVC52 - 57となっていたが、上記の改番により大阪・名古屋線系統の新青山トンネルを跨ぐ運用が可能な2両編成で三菱電機製制御装置が搭載されていること意味するWを用いてVW22 - VW27と改められた。

車体・走行機器・性能[編集]

同時に登場した1220系と同様に、最大車体幅2,800mmの大型車体を大阪線・名古屋線車両で初めて採用している。従来の鋼製から裾を絞ったアルミ車体に仕様変更されている。安定した大型アルミ押出材の供給が可能となり、構体の組立工数の削減が可能になったためであり、特急車と急行車の5200系を除き、その後の車両にもこのアルミ車体は採用され、近鉄車両の標準仕様となっている。運転台もベージュ系のものを採用している。制御装置は16ビットの制御回路のマイコンを採用し、3200系や5200系にも採用されているものである。主電動機はMB-5023A型で、歯車比は6.31と大きい。制動装置はTc車にHSC-R形を設置。MGはHG-77463形、CPはHS-10形をそれぞれTc車に配置している。

台車は近畿車両製シュリーレン台車で、Mc車はKD-95形、Tc車はKD-95A形を装備する。基礎ブレーキ装置は従来通りの両抱き式で、大阪線における本系列単独での運用を考慮して制輪子鋳鉄制輪子のままとなっている。後に踏面清掃装置が全編成に追設されている。

車両性能は起動加速度2.6km/h/sで、減速度は4.0km/h/s。運用最高速度は110km/hで大阪線新青山トンネル内22.8‰上り勾配においても均衡速度105km/hが確保され、33‰上り勾配区間・架線電圧10%減・定員乗車条件でも均衡速度96km/hを確保している。

改造・車体更新[編集]

2009年から2013年にかけて全編成の車体側面に貼られていたVVVF車のシンボルマークが撤去されている。

2014年4月現在、車体更新は行われていないが、2009年4月から同年12月にかけて全編成に簡易内装更新工事が行われており、車内の床材が7020系同様のグレー系に更新され、転落防止幌が設置されている。しかし、ドアチャイムや車内案内表示器の設置は行われていない。2011年から2012年にかけて全編成が新型ATS(ATS-SP)設置・デッドマン装置更新・戸締灯増設工事が行われている。2013年以降は一部編成において中間連結部の通路板を5800系および1437系1445Fと同一のものに交換されている。

編成・配置[編集]

← 大阪上本町
Tc
ク1522形
Mc
モ1422形

2014年4月1日現在、高安検車区に1422F (VW22) - 1427F (VW27) の6本が所属している[1]

1430系[編集]

近鉄1430系
近鉄1430系1436F
近鉄1430系1436F
編成 2両編成
全長 41,440 mm
車体高 4,030 mm
編成出力 660kW
主電動機 MB-5035-A(1443Fまで)
MB-5035-B(1444F・1445F)
歯車比 5.73
制御装置

GTO-VVVFインバータ制御

型式:三菱製MAP-174-15VD27
台車 KD-96B形・KD-96C形(1435Fまで)
KD-306B形・KD-306A形(1436F以降)

概要[編集]

1990年(平成2年)7月に登場した、2両編成のVVVFインバータ車である。1422系を標準軌全線共通仕様に変更した車両であるが、1230系と異なり、全車大阪・名古屋線に配置され、奈良京都線には配置されていない。

1437F以降は名古屋線1600系や大阪線2400系の廃車代替も兼ねている。1445Fで製造を完了し、シリーズ219020系が後継系列として製造されている。電算記号はこの系列からVVVFインバータ車を意味するVと、大阪・名古屋線系統の大阪線新青山トンネルを跨ぐ運用ができる2両編成を意味するWを用いてVWとなっている。これにはさらに、三菱電機製のVVVF制御装置搭載車という意味合いも含まれている。1420系・1422系も改番の際にVCからVWに変更された。

車体・走行機器等[編集]

1230系と同様に1435系1436系1437系1440系と細かく分類されることが多い。1420系・1422系と同様に、三菱電機製のインバータ装置を搭載している。歯車比は5.73に戻り、シリーズ21登場前までこれが標準となった。主電動機はMB-5035A型で、台車はKD-96B・KD-96Cを装備する。 1435系(1992年3月登場)は1230系に対する1249系同様、補助電源装置がSIV(静止型インバータ)BS-483Q形(70kVA)に改良された。1436系(1993年3月登場)では1252系同様Tc車のディスクブレーキを1軸1ディスクとしたボルスタレス台車が採用され、滑走検知装置や踏面清掃装置も搭載された。1437系(1993年9月登場)から1軸2ディスクに変更され、滑走検知装置も搭載されていない(後に1ディスクに改造)。本編成以降の車両は踏面清掃装置を標準装備する。1998年(平成10年)1月に登場した最終編成の1445Fは乗務員室の仕切り窓が小型化されるなど、後述する1620系の1641Fおよび5800系をベースとした設計が取り入れられており、Tc車のブレーキディスクが当初より各軸1ディスクとされたほか、VVVFインバータ装置のゲート制御部マイコンも従来の16ビットから32ビットに変更され、5800系と同一の3枚式仕様の中間渡り板も落成時から装備されている。

改造・更新[編集]

2002年から2012年にかけて全編成に転落防止幌取り付け、2002年から順次バリアフリー対応としてドアチャイムや車内案内表示器の設置、2011年以降はク1530形の先頭連結部に連結部注意喚起スピーカーの設置が行われ、1437F・1438F・1440F・1444F・1445Fに施工されている。 また、2006年9月から2007年10月にかけて本系列の内、名古屋線に所属する1437系1437F・1438F・1440Fがワンマン運転対応工事および5800系と同様の内容のバリアフリー改造を施工している。このワンマン対応改造車は1440系に形式変更した。

現在のところ車体更新は施工されていないが、2011年から1230系・6413系とほぼ同様の簡易内装更新工事が施工され、車内の床材が7020系と同一のものに交換されている。2014年4月現在、1431F - 1438Fが簡易更新を完了した。

2007年に1441Fが試験的に新型ATS(ATS-SP)・デッドマン装置設置工事が施工され、2013年までに全編成がこの工事を受けている。2010年以降に検査出場した1431F - 1433F・1435F - 1445Fの車体側面に貼られていたVVVF車のシンボルマークが撤去され、2013年からは中間連結面の渡り板を1445Fと同様の3枚式仕様に取り替える工事が同編成以外を対象に順次行われている。

アートライナー[編集]

  • 1433Fク1533 :「美し国おこし・三重」(2011年12月 -2013年10月 )[2]
  • 1433Fモ1433 :「美し国おこし・三重」(2012年10月 - 2013年10月)

編成・配置[編集]

大阪線用
形式
← 大阪上本町
編成
1430系 Tc
ク1530形
Mc
モ1430形
1431F - 1432F
1435系 Tc
1535形
Mc
1435形
1435F
1436系 Tc
1536形
Mc
1436形
1436F
1437系 Tc
1537形
Mc
1438形
1439F・1441F - 1445F
名古屋線用
形式
← 近鉄名古屋
編成
1430系 Tc
ク1530形
Mc
モ1430形
1433F - 1434F
1440系 Tc
ク1540形
Mc
モ1440形
1437F - 1438F・1440F

2014年4月1日現在、大阪線用は1431F・1432F・1435F・1436F・1439F・1441F - 1445Fの10本が高安検車区に、名古屋線用は1433F・1434Fが富吉検車区に、1437F・1438F・1440Fが明星検車区に配置されている[1]

2両編成車の運用線区[編集]

  • 大阪線所属車両
大阪線用は、大阪線・山田線を中心に快速急行以下各種別で運用されており、1422系・1430系共に2410系1220系などの2両編成車と共通で運用されている。主に他編成と併結した4両 - 10両編成で使用され、一部の運用は急行の増結編成として鳥羽線鳥羽駅や名古屋線に乗り入れている。また2両単独で名張駅 - 伊勢中川駅明星駅間の普通列車でも運用されており、名古屋線の2両編成車が不足した際は名古屋線で代走運用に入ることもある。しかし、1431F・1432Fは信貴線および青山町駅以西の運用に半固定化されているため、名張駅以東の普通列車および名古屋線への乗り入れ運用は滅多に無い。
  • 名古屋線所属車両
名古屋線用は、名古屋線・山田線・鳥羽線を中心に、急行の増結編成および準急・普通列車や、一部は大阪線快速急行の増結編成として2両 - 6両編成で使用されている。ワンマン運転対応の1440系は、名古屋線白塚駅 - 志摩線賢島駅間のワンマン列車でも使用されているが、大阪線東青山駅以西の青山峠越え運用は滅多にない[3]

1620系[編集]

近鉄1620系
近鉄1620系1641F
近鉄1620系1641F
編成 4・6両編成
全高 4,150 mm
車体高 4,030 mm
編成出力 4両:1320kw
6両:1980kw
主電動機 MB-5035A (1625Fまで)
MB-5035B (1641Fのみ)
制御装置

GTO-VVVFインバータ制御

型式:三菱製MAP-174-15VD27
台車 KD-306形・KD-306A形
1620系の車内

概要[編集]

大阪線用のVVVFインバータ制御、アルミ車体の4・6両編成として1994年(平成6年)11月に登場した。三菱電機製のGTO素子によるインバータ装置を採用した1420系列(1437系)の4・6両編成バージョンである。インバータ装置の製造メーカー以外の仕様、性能・車内設備は1020系(1026系)と同等である。また、老朽化が進行してきた1480系の置き換えも兼ねている。

電算記号は、VVVFインバータ車を意味するVと、4両編成が大阪・名古屋線線系統の4両編成を意味するGを用いてVG、6両編成が大阪線の6両編成を意味するFを用いてVFとなった。同線の6両編成車を意味するFの記号を初めて採用し、その後5800系や5820系にも継承されていくことになる。また、L/Cカー5800系は本系列の最終編成である1641Fをベースに座席をデュアルシートに変更した上で中間車の一部にトイレを設置したものである。

編成・配置と運用線区[編集]

 
← 大阪上本町・近鉄名古屋・京都
伊勢中川 →
4両編成 Tc
ク1720形
M
モ1670形
T
サ1770形
Mc
モ1620形
 
6両編成 Tc
ク1720形
M
モ1650形
T
サ1750形
M
モ1670形
T
サ1770形
Mc
モ1620形

2014年4月1日現在、4両編成5本と6両編成1本が高安検車区に配置されている[1]。1641Fのみが6両編成で、1621F - 1625Fは4両編成である。1625Fと1641Fで生産を完了しており、大阪線における本系列の後継車種は5800系との事実上の統合車種である「シリーズ21」の5820系である。

全車、大阪線短・中距離運用を前提として大阪上本町駅 - 青山町駅間を中心に快速急行から普通まで幅広く使用されている。全編成トイレは設置されていないため、ダイヤ乱れの時以外は青山町駅以東の青山越えの運用や名古屋線の間合い運用には入らない。

1621F - 1625Fは特に限定した運用や編成は組まれておらず、2430系2800系9200系等トイレ無しの4両編成と共通で運用されている。一部の快速急行や準急では本系列の重連8両編成が運用される場合もある。

一方、1641Fは大阪線では唯一のトイレを装備しない6両固定編成であることから、2014年現在は青山町以西の急行及び準急列車を中心に運用されており、2430系の3両編成を2組連結した編成とほぼ共通で運用されている。また、奈良・京都線系統の臨時列車や貸切列車として運用される場合もある。

改造・更新[編集]

1020系同様、バリアフリー化改造が全編成を対象に行われており、転落防止幌及び車椅子スペースを取り付ける改造を受けているほか、1624Fと1625Fにはドアチャイムおよび車内案内表示器およびク1720形への連結部注意喚起スピーカーの設置も行われている。

2009年から2013年にかけて全編成に対し座席モケットの更新と新型ATS設置(ATS-SP)・デッドマン装置更新工事、および車体側面のVVVF制御車のシンボルマークが撤去されている。2014年以降は一部編成において中間連結部の渡り板を5800系に準じた3枚式仕様に取り替えられている。

アートライナー[編集]

  • 1641F:志摩スペイン村「不思議の国のアリス」(2007年4月 - 2008年5月)→ 志摩スペイン村「ピエロ・ザ・サーカス」(2008年6月 - 2010年6月)

備考[編集]

本系列のモ1651という車番は近鉄では2代目である。初代は名古屋・京都線1600系の増結用Mc車に与えられていたが、同形は1990年にモワ51形に改造・改番されたため、車番は重複していない。その後、モワ51形は2000年11月に廃車となっている。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 鉄道ファン』2014年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2014 車両配置表」
  2. ^ 近鉄1430系に「美し国おこし・三重」のラッピング交友社鉄道ファン』railf.jp 2012年01月02日
  3. ^ 東青山駅以西に乗り入れないのは、ワンマン対応編成は車内に運賃箱を設置している関係で、ワンマン対応でない通常の編成よりも運転席付近の立席スペースが若干狭くなり、ラッシュ時の混雑が激しい名張駅以西での運用には車両定員が減少する欠点が生じるのが主な要因である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]