埴生の宿

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埴生の宿(はにゅうのやど/はにふのやど)は、日本で親しまれているイングランド民謡。原題 : Home! Sweet Home! で、「楽しき我が家」という訳題でも知られる。

Home! Sweet Home![編集]

1914年に出版された「埴生の宿」の楽譜の表紙

1823年に作詞・作曲され、同年初演のオペラClari, Maid of Milan(『ミラノの乙女』 ) の中で歌われた。

作曲[編集]

Sheet music version

イギリスヘンリー・ローリー・ビショップ (Henry Rowley Bishop, 17861855) 作曲。

作詞[編集]

アメリカ合衆国ジョン・ハワード・ペイン (John Howard Payne, 17911852) 作詞。

  1. ’Mid pleasures and palaces though we may roam,
    Be it ever so humble, There’s no place like home.
    A charm from the skies Seems to hallow us there,
    Which seek thro’ the world, is ne’er met with elsewhere.
    Home, home, sweet sweet home,
    There’s no place like home, there’s no place like home.
  2. I gaze on the moon as I tread the drear wild,
    And feel that my mother now thinks of her child;
    As she looks on that moon from our own cottage door,
    Thro’ the woodbine whose fragrance shall cheer me no more.
    Home, home, sweet sweet home;
    There’s no place like home, there’s no place like home.
  3. An exile from home, splendor dazzles in vain,
    Oh, give me my lowly thatched cottage again;
    The birds singing gaily, that came at my call:
    Give me them and that peace of mind, dearer than all.
    Home, home, sweet sweet home,
    There’s no place like home, there’s no place like home.

Home! Sweet Home![1]

その後[編集]

アメリカでは、バディ・ボールデン楽団の演奏会のラスト・ナンバーとしてよく演奏された。

埴生の宿[編集]

日本では、里見義訳詞の唱歌「埴生の宿」として広く知られている。


1 埴生(はにふ/はにゅう)の宿も 我が宿 玉の装ひ 羨(うらや)まじ
  長閑也(のどかなり)や 春の空 花はあるじ 鳥は友
  おゝ 我が宿よ たのしとも たのもしや
2 書(ふみ)読む窓も 我が窓 瑠璃(るり)の床も 羨まじ
  清らなりや 秋の夜半(よは/よわ) 月はあるじ むしは友
  おゝ 我が窓よ たのしとも たのもしや

「埴生の宿」 里見義

この訳詞は1889年(明治22年)12月に東京音楽学校が出版した『中等唱歌集』に収載された[2]太平洋戦争勃発に伴い、洋楽レコードが「敵性レコード」として廃棄が呼びかけられる中でも、『埴生の宿』や『庭の千草』など歌詞を邦訳にしたものは、国民生活になじんでいる[3]として敵性レコードから除外された[4]。2006年(平成18年)には日本の歌百選の一つに選ばれている。

映画、ドラマなどで使われた例として、『二十四の瞳木下恵介監督版)』、『ビルマの竪琴』、『火垂るの墓』、『純情きらり』、『ゲゲゲの女房』、『仮面ライダーV3』などがある。

近年では、2004年(平成16年)にB-DASH(アルバム『ビッグ ブラック ストア (連絡しろ)』に収録)が、2007年(平成19年)にキリンジ(参加したアルバム『にほんのうた 第一集』に収録)がカバーしている。

千里中央駅の到着放送チャイムや、近鉄特急桑名駅到着時の車内チャイム埼玉県羽生市防災行政無線の正午のチャイムでも使用されている。

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  1. ^ Wikisource reference John Howard Payne. Home! Sweet Home!. - ウィキソース. 
  2. ^ 埴生の宿」(『中等唱歌集』 - 国立国会図書館東京音楽学校、1889年12月)歌詞は26~27ページ、楽譜は25ページ。
  3. ^ 大石五雄『英語を禁止せよ 知られざる戦時下の日本とアメリカ』ごま書房 2007年 ISBN 978-4-341-08361-9 P.65
  4. ^ 「廃棄すべき敵性レコード 一覧表(その一)」 『写真週報』第257号 内閣情報局 1943年