乗車券

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ノルウェー鉄道の乗車券

乗車券(じょうしゃけん)は、一般に旅客運送契約に基づき運送を請求することのできる権利を証明又は表章する(交通機関を利用するための)証券をいう。

乗車券は主に鉄道路線バスなどの陸上公共交通機関で使われる用語で、の場合には乗船券(じょうせんけん)、航空会社の場合には航空券(こうくうけん)という。なお、JRの連絡船の切符は「鉄道網と一体の輸送機関」という位置づけから航路でありながら鉄道の乗車券として扱われ、「乗船券」とは呼ばれない。

旅行会社ではJRの乗車券類(「JR券」)と航空券以外のものを総称して「船車券」(せんしゃけん)と呼ぶこともある。

陸上交通機関[編集]

旅客や貨物の運送に対して、交通機関との間に契約を結び、運賃を支払うことによって発行される。個々の旅客運送契約によるのではなく、一括してプリペイドカード乗車カード)等による場合もある。この場合、乗車券を購入せずに交通機関を利用することができる。

運送中は、携帯が義務付けられ、係員が提示を求めた際には、提示する義務を負う。

概要[編集]

鉄道[編集]

日本の鉄道の場合、「乗車券」は普通列車普通車自由席を利用する運送(普通運賃)のためのものであり、急行列車や特別車両などを利用するための特別急行券急行券グリーン券寝台券などの「特別車室券」等(いわゆる「料金券」)と区別される。JRでは乗車券と料金券を合わせて乗車券類と呼んでおり(入場券は含まれない)、一般には「切符」(JRなどでの営業案内上はひらがな書きで「きっぷ」)と呼ばれている。

日本の旧・日本国有鉄道(国鉄)では、創業の1872年から1969年までは、後述の長距離フェリーや国際線航空券同様に等級制1960年まで1・2・3等制、1969年まで1・2等制)が取られており、運賃や特急・急行料金自体に格差がつけられていた。

海外の鉄道では、現在でも等級制(多くは1・2等制)を取っている国が多い。等級、列車種別ごとに運賃が定められており、日本のように乗車券に特急料金や特別席料金を別途加算することは少ない。

近年、合理化の影響で鉄道においてもワンマン列車が増えており、下車時に運賃箱へ運賃分の現金を直接投入させることにより、駅での乗車券の発行を省くケースがある。1971年日立電鉄(2005年廃止)で始まったもので、現在ではJRや多くの鉄道事業者で導入されている。

乗車券の大きさは各社局ほぼ同一であり、おおよそ以下の5種類になる。

「A型券」(3cm×5.75cm)
「B型券」(2.5cm×5.75cm)
「D型券」(3cm×8.75cm)指定席券だが大きさは同じ
  • 3cm×5.75cm
    イギリスT・エドモンソン硬券を考案した際に採用したサイズ(1 3/16 インチ × 2 1/4 インチ)[1]の乗車券で、「A型券」または「エドモンソン券」とも呼ばれる。乗車券の大きさとしては最もポピュラーなもので、現在でも自動券売機用として広く使われている。
  • 2.5cm×5.75cm
    戦前に用紙節約のために考案された。「B型券」とも呼ばれ、比較的短区間の乗車券や入場券(共に硬券の場合)などに使われている。
  • 3cm×8.75cm
    「D型券」とも呼ばれており、現在では一部の私鉄での往復乗車券や記念乗車券・入場券などに使われている。昭和40年代~50年代頃には座席指定券や寝台券などにも使用されていた。
  • 5.75cm×8.5cm
    定期乗車券として一般的な大きさで、JRでは「特殊指定共通券第6種」として規定されている。また、MARS(マルス)端末で発券される乗車券類(いわゆる「マルス券」)のうち短いほうのものも同じ大きさ(こちらは「特殊指定共通券第4種」)である。
  • 5.75cm×12cm
    「マルス券」のうち長いほうのもので、「特殊指定共通券第5種」として規定されている。

この他「C型券」とも呼ばれる6cm×5.75cmのものもあるが、ほとんど使われない。

上記の他にも国鉄・JRには用途に応じて様々な大きさのものが規定されているが、切符の廃止やMARS端末での発券に統合されたことなどによって特殊指定共通券(第4~6種)に集約され、現在ではほとんど見られない。なお、各社局が発売する記念乗車券類には多種多様な大きさ・形状のものがある。

路線バス[編集]

JR北海道バスの乗車券(硬券)
JR東海バス東名高速線の乗車券(車内発券)。いわゆるロール紙だが、東海旅客鉄道(JR東海)の鉄道乗車券と同様に "JR" "C" の地紋が入る。

一般路線バスの場合、乗車する際に乗車券を発券する場合が少ない(多くの場合、乗車時、あるいは降車時に運賃を直接現金や回数券、バスカードなどで支払う)ため乗車券はあまり一般的ではないが、西鉄バス北海道中央バス豊鉄バス等では、主要バスターミナルの窓口または券売機にて、初乗りから乗車券を発売している。これは事前購入をすることによるスムーズな降車と車内での両替を少なくする効果がある。また、観光地を抱える東海バスグループ、箱根登山バスアルピコ交通では、対キロ運賃制のバス乗車に不慣れな乗客のために、案内を兼ねて乗車券を購入の上での乗車を呼びかけている。その他、観光地のバス利用には、旅行代理店で発行するクーポン類も存在する。また走行距離の長い高速バスなどでは、乗車券を発券する場合が多い。

なお、予約制の一部高速バスでは、インターネット予約後、ウェブ決済で表示される乗車票ページをパソコンに接続したプリンターで印刷したものや、コンビニエンスストア多機能端末ローソンファミリーマート)や代行収納サービス(セブン-イレブン)を利用して運賃を支払い、レジで打ち出される控え証を乗車券とする場合もある。

基本的には利用する区間の運送のために発行されるが、高速バスなど座席が指定されているものなどは座席指定券と同等の機能を持つ場合もある。また、一部の路線バスで、鉄道の場合における急行列車に相当するバスが運行される場合があり、乗車時に急行料金を徴する場合もある。

乗車券の法令と規則[編集]

以下では主として鉄道の乗車券を扱う。

法的性質[編集]

旅客運送契約に基づき運送を請求する債権を証明又は表章する証券である。通常、無記名の普通乗車券は有価証券で、権利の移転と行使に当該証券が必要となる。ただし、使用開始(入鋏)後の乗車券は、譲渡ができないため、証拠証券に過ぎないものと解されている。

鉄道営業法は、別段の定めのある場合のほかは、乗車券を所持しない旅客の乗車を禁じている(ただし、兵庫県北条鉄道などは乗車券を発行していないため、下車駅で支払う形式をとっている)。

また、鉄道運輸規程によると、乗車券は通用区間中いずれの部分に付いても効力を有するものとされ、原則として途中下車が可能である。ただし、鉄道事業者が別段の定めをすれば例外が認められる。詳しくは途中下車の項を参照のこと。

旅客運送契約の内容は、JR各社では運送約款である旅客営業規則で定められる。私鉄各社はそれぞれ独自に同様の運送約款を定めている(例:近畿日本鉄道における往復乗車券の有効期間は、復片に限り片道乗車券の2倍である)が、JR各社の旅客営業規則の内容に相当程度準拠している場合もある。

乗車券などの不正使用の場合の取り扱い[編集]

旅客営業規則等によると、JRや私鉄では、キセル乗車などで不正に乗車券を使用したり、特別料金を免れた場合には、所持していた乗車券などを無効として回収するほか、乗車区間がわかっている場合はその区間の、不明な場合は別に定める区間に対して、以下の運賃・料金が請求される。

  • 普通乗車券の場合: 普通運賃とその2倍の増運賃(料金を含む場合は当該料金と2倍の増料金を含む)=(普通運賃+料金)×3
  • 定期乗車券の場合: 有効期間開始日から発見当日まで一日一回往復利用したものとして、普通運賃とその2倍の増運賃(料金を含む場合は当該料金と2倍の増料金を含む)=(普通運賃+料金)×日数×2×3

さらに、常習で行っていた場合や悪質な場合は損害賠償を請求されたり、詐欺罪や建造物侵入罪(駅施設への無断立入とみなされる場合がある)で処罰される可能性もある。

乗車券類を紛失した場合の取り扱い[編集]

乗車券を紛失した場合、旅客営業規則第7章第3節第3款「乗車券類の紛失」に基づき以下の措置が取られる。

  • 係員が紛失の事実を認定することが出来た場合 : 全乗車区間における普通運賃を収受する。
  • 係員が紛失の事実を認定することが出来ない場合 : 前項の不正乗車と同様の扱いを行うが、3倍の増運賃を支払うのは乗車駅から現在駅までのみとなる。

なお、運賃を再度支払った場合、旅行終了駅にて再収受証明書の交付を請求することができ、1年以内に紛失した乗車券類が発見された時にはその発見した乗車券類と再収受証明書を駅窓口に提示することで、再発行を行った乗車券の払い戻しを行うことが可能となっている。

以上のように、乗車券の紛失は、実際に乗車した区間の運賃より高額の支払いが必要になる場合があるので、注意が必要である。その例として、東日本旅客鉄道(JR東日本)では、乗車券紛失防止の啓発ポスターで「出発駅から3倍の運賃をお支払いいただくこともございます」と警告している。乗車券が盗難にあった場合も紛失に準ずる扱いとなる。

乗車券の種類[編集]

振替乗車票

乗車券の素材[編集]

硬券[編集]

硬券(こうけん)は硬い厚紙で作られた乗車券のことで、鉄道などの乗車券として古くから用いられた。

あらかじめ発駅と着駅とが印刷された券を準備しなければならず、非常に沢山の種類の券を準備する必要があった。需要がそれほど見込めない駅に対してはいくつかの着駅を券面に予め印刷しておき、その駅の直下部を切り落として発券する、準常備式乗車券もあった。

きっぷは着駅ごとに1枚ずつ順番に番号をふり、番号順に発券した。日付は駅の出札口に置かれた印字機を通して打ち込まれた。残っている券の一番若い番号を調べ、前日の番号と対比することで発券枚数を把握した。

1836年、イギリスのニューカッスル・アンド・カーライル鉄道のミルトン駅駅長であったトーマス・エドモンソンが上記の発売方式とともに考案した。当時は合理的な方式であり、1840年代からイギリスを始めヨーロッパに普及していった。

ロール紙に印字する自動券売機の普及により殆どが廃れたが、その後も記念乗車券・入場券などにおいて稀に用いられ、鉄道ファンに珍重されている。また、地方の私鉄では現在でも日常的に用いられている例もある[2]

日本ではサイズは通常はA型、B型、C型、D型の4種類である。

軟券[編集]

現行の「青春18きっぷ」常備券(赤券)平成22年夏

軟券(なんけん)は薄く軟らかい紙を使用した乗車券のことである。鉄道創始期から乗車券として用いられ、硬券が普及した後は定期券などの着駅で回収しない乗車券や、記入事項の多い乗車券、特殊な取扱いを伴う乗車券など、硬券が不向きな乗車券に用いられたが、こちらもロール紙の普及により数を減らしている。

現在では出札補充券(いわゆる「手書き券」)や常備券(予め工場で印刷された乗車券・特急券類のこと[3])などで目にすることができる。

ロール紙[編集]

自動券売機では、ロール紙などをセットし、発券する際にプリンターで印字している。紙質は硬券より薄く軟らかいが、軟券よりやや硬い。

自動改札機が導入されている地域(事業者)の場合、多くは裏側に磁気による記録面があり、自動券売機やマルス端末で発券される際に必要な情報が記録されて、自動改札機や自動精算機等で読み取られる。

ICカード[編集]

磁気カードに代わる新世代のカードとして、近年普及しつつある。プラスチック製のカードを改札機のIC端末に接触させることで改札口を通過する。従来の使い捨てカードとは異なり、カード内の残高が不足してきたら運賃を補充することで何度も繰り返し使えることが最大の特徴と言える。その反面、カードに残高が印字されず、駅や専用の端末以外で残高を確認できないと言ったデメリットも抱えている。

財布の中に入れた状態でもIC端末を反応させることができる。(材質によっては反応しない場合がある)。改札内・改札外の店舗ではカード残高を商品代金の支払いに使えるケースが多い。また、鉄道会社にとっても改札機の保守コスト低減や(カードを改札機の表面に触れるだけなので部品磨耗が少ない)、カードを繰り返し使うことで発行枚数を必然的に減らせるなど、乗客にも鉄道会社にも一石二鳥と言える。

その他の素材[編集]

アメリカ台湾など日本国外の地下鉄路面電車等の公共交通機関においては、紙製の乗車券ではなく、回収して何度も使われるプラスチック金属製の乗車券や、トークン(token)と呼ばれる専用のコインを用いるところがある。

記念乗車券[編集]

新駅・新路線の開業・開通や、新型車両の導入、施設の改良などのほか、路線の廃止など事業者にとっての節目となる出来事や、新年など社会的に慶祝すべき事柄を記念して発行する乗車券類を記念乗車券という。同様の目的・理由で発行される「記念入場券」もある。

観光路線などでは「乗車の記念」「観光の記念」で発行されるものもある。また、定員制のイベント列車の「乗車の記念」というものもある。

多くの場合、普通乗車券として発行されるが、国鉄を中心に1970年代頃は急行券特急券等の料金券で発行された例も見られた。極めて珍しい事例として、定期券で発売されたこともある[4]

戦前から1960年代までは1枚もので、初乗り運賃相当の乗車券として販売されるケースが多く見られたが、その後に複数枚をセットにして販売されるものが増え、高額化する傾向になった。

1970年代頃からは、大きさや形状、デザインも個性的なものが出現し、紙以外の素材を用いたり、立体的な造形のものまで発売され、ピンバッジなどの記念グッズと組み合わせて販売されるものもある。

1990年代になると発売数が減少する一方、乗車カードの普及により記念カードの形で発行される事例が増えた。この後、ICカードの普及で関東では記念カードの発売件数が激減したが、記念Suicaで発行される例がある。

以上の様に発売件数は減少したものの、高額化の傾向は維持されており、近年は特に、硬券乗車券もしくは入場券を大量にセット化された商品が目立つ。

縁起物の乗車券[編集]

入場券同様、縁起の良い駅名を組み合わせた乗車券が人気を集めることもある。代表的なものには以下がある。

乗船券[編集]

新日本海フェリー小樽・舞鶴航路の乗船券(乗船・下船時に半券回収済み)
ハートランドフェリー稚内・利礼航路の乗船券

の場合、長距離フェリーや外洋航路のように、長時間の航海を行う航路では、特等・1等・2等と船内の設備に差をつける等級制を採っていることが多い。この場合、特等運賃、1等運賃、2等運賃の形になり、運賃自体の格差が設定されており、日本の鉄道でいうグリーン券寝台券などの付加料金が含まれた形とは別の形態である。

鉄道連絡船を含むフェリーの場合、自動車を航送する場合には、自動車航送料に運転手一人分の2等運賃が含まれており、上級船室を利用したい場合には、上級船室に空席があれば2等運賃と1等・特等運賃の差額を支払うことで、上級船室に変更可能である。

但し、短距離のフェリーや渡船などのように等級制を採用していない場合には、鉄道・バスなどの乗車券と同じ形となる。外洋航路の場合、いわゆる賄い料(食事代)を含む形態を取る場合もある。

券面にミシン目が入った乗船券を発行している航路もある。乗船時に半分を切り取って回収し、下船時に半券を回収する。短距離の渡船では運賃を直接収受し、乗船券を発行しない航路もある。

一般に、発行形態は他のものと変わらないが、フェリーにおいては「航送指示書」をもって乗船券に代える場合もある。また、短距離のシャトル航路以外では、乗船時に幼児を含む同行者全員の乗船名簿を記載する必要がある。これは海上保安庁の通達によって義務づけられており、不実の情報を記載すると万一の遭難の際に身元確認が困難になる。よって「乗船券」は航空券同様に「記名式の有価証券」と言える。鉄道連絡船では青函連絡船がこれに該当し、乗船名簿記入が義務づけられていた。

航空券・搭乗券[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 徳江茂 『きっぷの話』 成山堂書店、1994年ISBN 4-425-76011-5
  2. ^ 一例として、岳南鉄道吉原本町駅北近畿タンゴ鉄道野田川駅峰山駅網野駅大井川鐵道家山駅松本電鉄新島々駅近江鉄道日野駅秩父鉄道など。いずれも窓口販売に限る。
  3. ^ マルス・POS端末が普及した現在では、簡易委託駅発行の乗車券・特急券や、地紋が赤色の青春18きっぷを中心に発売されている
  4. ^ 阪急電鉄において、1976年6300系ブルーリボン賞受賞記念で発売された例がある。

関連項目[編集]