不正乗車
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不正乗車(ふせいじょうしゃ)とは、運送機関の旅客が、その旅行(乗車)において、定められた乗車券類を所持せず、運賃・料金を不正に免れようとすることをいう。この項では、特に鉄道に関する不正乗車について取り扱う。
目次 |
[編集] 手法
[編集] 無賃乗車
「無賃」の語は、法令や運送機関の定めにより、旅客に正当に無賃で利用させることを指す場合もあるが、不正乗車としての「無賃乗車」は、運送機関が認める場合を除き、旅行に必要な乗車券類を購入しないまま乗車し、支払いを免れようとする行為を指す。後述の「キセル」に対して、「完全無券」と呼ばれることもある。
[編集] キセル
キセルあるいはキセル乗車(中間無札(ちゅうかんむさつ))とは、旅客の旅行区間において、有効区間が連続せず乗車駅および下車駅についてのみ有効な乗車券を所持し、中間の区間の運賃支払いを不正に免れようとする行為を指す。中間無札はとりわけ定期乗車券(定期券)や回数乗車券、および入場券や初乗り区間の乗車券でしばしば働かれる行為といえる。
- 言葉の由来は、煙管では吸い口とタバコを乗せる部分である雁首(がんくび)にのみ金属を使用することから、「入るときと出るときは金を使うが、中間には金を使わない」意味といわれる。
- キセル乗車は鉄道の不正乗車として最もよく働かれる行為であるため、特に若年層の間で「不正乗車行為全般」を指す言葉として「キセル」と誤用されることもあるが、本来の意味は中間無札である。
【例】
A駅 - B駅 - C駅 - D駅
- という区間がある。ここでA駅からD駅まで旅行する場合、本来はA駅からD駅まで、有効な乗車券の区間が連続していることが必要なのだが、A駅~B駅間の乗車券とC駅~D駅間の乗車券のみを所持し、B駅~C駅間の運賃を支払うことなくA駅から乗車し、D駅の改札を出ようとするような行為がキセル乗車である。
[編集] 不正な復乗
特例が定められている場合を除き、旅行の目的地と反対方向の列車にいったん乗車し、列車の始発駅等まで乗車してから折り返し、もと来た経路をたどって目的地へ向かうような乗車、および旅行経路の一部区間を折り返して乗車する場合、折り返した区間は往復乗車(復乗)となり、往復乗車に有効な乗車券が必要となるが、この復乗の運賃を免れた場合、不正乗車となる。
【例】
A駅(目的地) - B駅(改札を入った駅) - C駅(A方面列車の始発駅)
- 図のような区間で、B駅から乗車してA駅に向かう場合、空いている始発駅から座って行こうとB駅から折り返し駅であるC駅まで乗車し、C駅から折り返してA駅まで乗車するような場合については、B駅からA駅ゆきの乗車券のほか、B駅~C駅間の復乗に有効な乗車券が(C駅で改札を出ない場合であっても)合わせて必要となり、B駅~C駅間の往復運賃を支払わずにこのような乗車をした場合、不正乗車となる。
このような不正な復乗はキセル乗車と異なり、乗車駅から目的駅までの運賃自体を免れようとするものではないかもしれないが、乗車券は原則として実際の乗車区間の通りに購入しなければならないことを心得るべきである。
なお、特例として、
- 運行列車上、目的駅までの通常の乗車経路に復乗の区間が生じる場合(例1)
- 特急列車などが路線の分岐する駅を通過し、至近の主要な駅に停車する場合(例2-1;2-2;2-3)
- 列車が分岐駅を過ぎた駅で折り返す場合(例3-1;3-2)
- 駅施設の都合上、復乗により他駅で乗り継ぐことを認める場合(例4)
- 復乗となる経路で運賃計算される場合(例5)
などの各場合について、無賃で復乗することが認められている区間(または列車)があり、運送機関の旅客営業規則などで指定されている。ただし、JR線においては当該無賃復乗区間内の駅で途中下車をすることはできない。
- 途中下車が可能な片道101キロ以上の乗車券を所持し、その旅行途中にこのような特例区間で復乗をする場合、復乗区間で改札を出る場合は、その区間の往復運賃を別途支払えば足りる。また、分岐駅からその駅までの復乗(往復)運賃を精算窓口で収受し、その際に復路専用乗車券を発行する折り返し駅もある。
[編集] 復乗の特例
- 例1 東北本線の尾久から山手線の西日暮里へ行く場合、最短の経路は日暮里経由であるが、尾久を経由する列車(東北本線)は日暮里を通過するため、一旦上野まで乗車し、京浜東北線または山手線で折り返し乗車となる。この場合、運賃は日暮里から西日暮里方向へ計算し、そのまま日暮里~上野間を復乗できる(この区間の乗車券不要)。
- 例2-1 七尾線の七尾から北陸本線の富山へ行く場合、分岐駅の津幡に停まらない特急列車などに、逆方向となる金沢から乗車したい場合は、運賃は津幡から富山方面へ計算し、そのまま金沢まで乗車して乗り継ぎできる(但し、特急料金等は金沢から計算する)。なお、津幡に停車する列車同士の乗り継ぎ(普通列車・快速列車および特急列車の一部)である場合は適用されず、金沢で乗り継ぐ場合は津幡~金沢間の往復に有効な乗車券が必要となる。
- 例2-2 中央本線の鶴舞から東海道本線の浜松へ行く場合、同様に分岐駅の金山から逆方向の名古屋まで乗車し、東海道新幹線に乗り継ぎができる。通常、運賃計算上は新幹線と在来線とを同一の線として取り扱うが、新幹線も東海道本線の特急列車とみなして特例の対象となる。この特例は熱田方面から東海道本線の普通列車に乗車し、金山に停まらない中央本線の特急列車に名古屋から乗車して千種・塩尻方面へ行く場合にも適用される。
- 例2-3 名古屋鉄道名古屋本線の一宮方面から犬山線犬山方面へ、もしくはこの逆へ行く場合、東枇杷島駅が分岐駅だが、普通列車しか停まらないため、東枇杷島~名鉄名古屋の間は普通乗車券・定期券共に区間外乗車が認められているが、区間外乗車している区間での途中下車はできない。
- 例3-1 特急「ソニック」で博多から別府に行く場合、同一列車が西小倉~小倉間を往復する運転となるが、運賃・料金は西小倉から別府方面に向かって計算し、そのまま西小倉~小倉間を復乗できる(運賃・料金とも不要)。
- 例3-2 名鉄は名古屋本線豊橋~名鉄空港線中部国際空港間で直通特急を運行しているが、神宮前の構造上列車の折り返しができないので、神宮前~金山駅を重複走行する。そのため、名古屋本線堀田駅以遠各駅(知立方面)と名鉄常滑線豊田本町以遠各駅(太田川方面)の各駅相互間発着の乗車券を所持し、堀田以遠~豊田本町以遠を金山で折り返して直通運転する列車に限り区間外乗車ができる。
- 例4 筑豊本線の直方から鹿児島本線の赤間まで行く場合に、筑豊本線~鹿児島本線の直通列車に乗車すると、折尾駅で直通列車は別駅舎に停車し、乗り換えに不便なため、陣原や黒崎まで乗車し、折り返すことが認められている(陣原駅は2000年開業で、それに伴う制度の改定がないため、現在でも黒崎まで復乗できる)。※1988年以前は折尾駅に直通列車のホームがなく、例2に近い状態だった。
- 例5 横須賀線の新川崎から山手線の有楽町に行く場合、横須賀線で品川まで行き、山手線もしくは京浜東北線に乗り換える経路と、湘南新宿ラインから大崎で山手線に乗り換える経路が存在する。後者の経路を進む場合、列車は大崎支線に入り、品川を経由せず大崎へ向かう。一方、運賃計算上は品川駅経由で計算されて、新川崎→品川→大崎→品川→有楽町という経路として扱われるが、この場合には品川~大崎の乗車券なしで(前者の経路による乗車券で)後者の経路に乗車できる。
また、列車を間違えたり、居眠りして目的地を過ぎてしまったような場合、旅客の申し出に対し係員が不正の意図なき気の毒な事情と認めれば、運賃を請求しないで引き返しを認める取り扱い(無賃送還の一種)が定められている。
そのほか、大都市近郊区間のように運賃計算経路(最短経路)に関わらず区域内の乗車経路を任意に選択できる(正当な)規定があるが、この制度による乗車は、乗車の経路が重複しない場合に限られる。乗車から下車(出場)まで「改札を出ない限り乗り放題」という訳ではなく、規則上、乗車経路がもと来た経路に重なった場合は実際の乗車経路に従った運賃が必要となる。従って、同じ経路を何周も乗車している場合などは、不正乗車を問われる場合がある。
[編集] 経路外乗車
一部の特例を除いて、乗車券類の券面以外の経路を乗車してはならないことになっている。たとえば、国府津駅から沼津駅まで行く場合、経由が東海道本線の乗車券で御殿場線に乗ることはできない。乗車券の経路を変更せずに御殿場線に乗車し沼津までいった場合不正乗車となる。ただし以下のような例外がある。
- 例外となる場合
- 大都市近郊区間相互発着の普通乗車券、普通回数券を利用する場合で、その区間内のみを重複せずに乗車する場合。
- 経路特定区間、列車特定区間、選択乗車などの特例が適用される場合
- 輸送障害が発生し、係員の許可を得て迂回乗車する場合。
[編集] 自動改札機の強行突破
自動改札機の赤外線センサーをふさぐ、あるいは前の人に寄り添う、また体力任せで全速力で自動改札機の通路を乗車券なしで通り抜ける(バー有りの自動改札機でも、転倒による事故を防ぐため脚で押せば容易にバーは開く)ことで、無賃乗車を実行する者もいる。キセル乗車の場合は乗車駅と降車駅の改札を通り抜けるための乗車券はそれぞれ用意するが、これらの行為は自動改札機の盲点を突いた全くの無賃乗車である。渋谷駅のハチ公口改札などで問題となっている。不正乗車であることはもちろんであるが、自動改札機を破損した場合は、民事上の損害賠償を請求されるばかりでなく、刑事上の責任(器物損壊罪)をも問われることになる。
[編集] 駅改札口以外からの出入り
駅構内などの柵を登ったり、駅売店やドリンクベンダー、清掃会社などが利用する通路、駅構内の隣の踏切などから出入りする行為を指す。住居侵入罪として罰せられることもある。
[編集] 虚偽の申告などによる不正割引
事実と異なる申告をしたり、割引対象者を装ったりして不正に運賃の割引を受ける不正乗車もある。例としては、中学生が私服で乗車する際、体格が小学生に見えることを悪用して小児運賃により乗車したり[1]、小学校入学前~低学年の子供が周囲にいる全くの赤の他人である大人を自分の同伴者であるかのように見せかけて運賃を支払わず乗車したり[2]する例が見られる。
- ^ 一般に小学生までは小児運賃が適用され、中学生以上は大人運賃が適用される。
- ^ 一般に小学校入学前の子供は小学生以上の同伴者1人につき1~2人まで無料だが、それを超える人数や同伴者なしで乗車する場合は小児運賃が必要となる。
また、その他の例として、無人駅では事実上自由に入出場ができるようになっているため、例えば
A駅-B駅-C駅-D駅-E駅
と並んでおり、A駅のみが有人駅であるという場合、A駅でB駅までの切符を購入し、そのままE駅まで乗車し出場したり、逆にE駅から無賃で乗車し、A駅で「B駅から乗車した」と偽って支払うケースが見られる。これに関しては、降車駅が無人駅の場合は車掌が切符を回収したり、無人駅には乗車駅証明書発行機を設置する等の対策がなされている。
また、乗車券をなくしたと虚偽申告する例も見られる。例えば
A駅-B駅-C駅-D駅-E駅
と並んでいて、A駅からE駅まで行きたいとする。このときA駅からB駅までの料金と、D駅からE駅までの料金の合計が、A駅からE駅までの料金より安い場合において、A駅からB駅までの乗車券を買って乗車し、E駅の有人改札で「D駅から乗ったが乗車券を無くした」と申告する。乗車券を無くした場合、通常は申告した区間の運賃をもう一度払うことで改札を通してもらえるので、これで通常より安い運賃で目的地まで到達できるわけである。最近ではこの不正行為への対策として、乗客が申告した区間の運賃を駅員が逆に聞くようになってきている。
[編集] 乗車券の偽造など
乗車券を偽造したり、乗車券の券面の有効期限などを書き換えたりして乗車する不正乗車行為を行う者もいる。
[編集] 他人の定期券の使用
本来は記名者本人しか使用できない定期乗車券を他人が記名者になりすまして使用する行為もれっきとした不正乗車となる。ただし記名をせず、持参者が自由に使用できる「持参人式定期乗車券」を発売している事業者もある。例えば、東京都交通局(都営バス)では「都バスフリーカード」、大阪市交通局では「共通全線定期券」という持参人式の定期乗車券を発行している(詳しくは、「都営バス#料金と乗降方式」および「大阪市交通局#共通全線定期券」の項目を参照のこと)。
[編集] 他人の乗車券の使用
一度使用開始した乗車券を有効なまま他人に譲り、譲られた人が引き続いてその乗車券を使用する行為も禁止されており、行った場合はやはり不正乗車となり、有償・無償の別を問わない。ただし使用開始前であれば他人に譲ってもよい。「青春18きっぷ」や「土・日きっぷ」などで多いといわれている。ただし「青春18きっぷ」の場合は1つの回数分を複数人で使用しなければ合法である。
[編集] 整理券を誤魔化す
整理券を本来乗車した駅やバス停よりも目的地に近い駅やバス停で取り、正規区間の運賃を支払わないというもの。
[編集] 切符のエクスチェンジ
途中の駅で待ち合わせて切符を交換する手段もある。
の場合Aが岐阜から140円の切符を買い、Bが中津川から140円の切符を買う。そして名古屋で切符を交換し、それぞれの目的地で(Aは中津川から140円の区間、Bは岐阜から140円の区間)下車する手段もある。この場合現行犯で捕まえる他摘発手段がない。但しこのやり方はお互いの生活パターンを把握している場合でないと使えない。
[編集] 特別料金を要する列車や車両への不正乗車
本来は運賃のほかに別料金を必要とする特急列車・急行列車やグリーン車などの自由席に所定の料金を支払わずに乗車する不正乗車もある。また、自由席特急券を車内で購入するつもりで乗車したが、検札が来なかったので払う機会が結局ないまま下車、ということもある。これを防ぐために優等列車専用の中間改札口(新幹線でよく見られる)と専用のプラットホームから乗降できるようにしたり、乗降できるドアを制限して乗車時に係員が特急券や座席指定券を確認したりする例がある。
[編集] 車外への不正乗車
乗客が乗車できるのは本来車中の旅客乗用に供する部分のみであり、車両の屋根や外部側面など車外への乗車や荷物車・乗務員室などへの乗車も不正乗車とされる。このような乗車方法は、運賃・料金の不正を禁ずる観点とは若干異なり、乗客の生命に危険が及ぶため禁止されている(鉄道営業法第33条など)。
日本では太平洋戦争終結後の混乱期に一時見られ、日本国外でも一部の国で列車の屋根や側面にしがみ付く乗車方法が散見される。2000年代に入ってからも、停車駅で列車の連結部外側面にしがみ付いて乗車し、通過駅(JR神戸線住吉駅)で走行中の列車から飛び降り下車する乗客が確認されているが、この乗客は鉄道営業法違反容疑で捜査対象となっている[1]。
[編集] 交通機関の対処・対策
[編集] 対処
不正乗車が発覚した場合、その交通機関の約款ないしは旅客営業規則による処分により、正規運賃のほかに追徴金(一般的には始点-終点の運賃の2倍の金額 合計で通常の運賃の3倍)を徴収されることがある。
なお、定期券を使用しての不正乗車は、定期券の有効開始日から不正発覚日までの日数に同区間の往復運賃をかけた金額の3倍となる。不正乗車に使用した定期券や回数券、普通乗車券、乗車カードは無効となる場合もある。また常習の場合や悪質な場合は鉄道営業法違反行為や詐欺行為として刑事告訴され、場合によっては逮捕・起訴され、刑罰・損害賠償・裁判を受けることもある。キセル乗車について詐欺利得罪(二項詐欺罪)の成立が認められた判例もあるが、これについては運輸判例百選を参照のこと。また、信用乗車方式についても参照されたい。
[編集] 対策
[編集] 自動改札システムの改良
1994年(平成6年)9月、阪急電鉄が自社の定期券を対象に自動改札機で入場処理と出場処理を交互に行わなければ改札を通過できないようにするシステム「フェアライドシステム」を導入[2]。以降、ストアードフェアシステムの導入による自動改札機の更新などにあわせて、これと同様のシステムの導入を進める事業者が増えた。また、入場から出場までの時間が規定時間を超えている場合、改札を通過できなくする事業者も増えている。ただし、この規定時間を超えるだけでは不正乗車とはならないので、通常利用においてもありえる行為(例:改札内のファーストフード店で数時間居眠りしてしまった等)の場合、またはやむを得ない場合(例:列車の大幅な遅延等)の時は駅係員に説明することで改札を通ることができる。
これらのシステムの導入の背景として不正乗車の廃絶による運賃の正常な収受が挙げられており、これを導入する事でこの行為も多少は防げるとも言われる。一例として、東日本旅客鉄道(JR東日本)が中心となって導入しているSuicaについては、入場と出場の記録がないとカードが使えなくなる機能を有している。しかし、乗車券に入場処理をする事業者であっても、入場記録や出場記録のない定期券で出場しようとした際に「入場記録がありません」「出場記録がありません」と自動改札機の画面に表示するにとどめ、そのまま改札を通過できるようになっていることも少なからずある。(自動改札機の故障や事故・イベントによる多客などのため入出場フリーとした場合など)
その他に、
- 東京地下鉄・東武・西武[多摩川線除く]・京成・東急・小田急・東京都交通局・新京成(フェアスルーシステム)
- 京王
- 京急
- 東京都交通局(ご乗降確認システム)
- JR東海
- 名鉄(乗車券確認システム)
- 京阪
- 阪神・山陽電鉄・神戸電鉄・北神急行電鉄・神戸高速鉄道・北大阪急行・大阪モノレール・神戸市交通局(フェアライドシステム。阪急と共通)
- 近鉄[一部線区除く](フェアシステムK)
- 大阪市交通局(フェア2システム)
- 京都市交通局(定期券 入出場確認システム)
- 西鉄天神大牟田線(フェアトリップシステム)
- 福岡市交通局・JR筑肥線[姪浜~筑前前原](サブフェアシステム)
などで、同様のシステムが導入されている。
入場記録、出場記録などの類は、キセル乗車の減少には役立っているが、他人の使用済み乗車券類や折り返し乗車に関してはあまり効果をあげているとはいえない。もともと他人が使用したかどうか、また乗客がどういう経路で乗車したかなどを完全に調べ上げることは事実上不可能であり、常習的に不正乗車が見られる駅や列車を除いて、これといった対策が行えていないのが実情である。そのほかには、車内改札の強化によって不正乗車を少しでも多く発見するという方法しかない。
関連記事としてICOCAを使った犯罪を参照されたい。
[編集] 鉄道以外の不正乗車
[編集] タクシーへの不正乗車
タクシーの不正乗車も近年になって目立っている。タクシー業界では建物を通り抜けて逃げるものを「かご抜け」、所持品を置いて逃げるものを「置き抜け」と呼ぶ。前者のケースは「道案内をする」と言い、巧みに運転手側のドアが開けにくい狭い路地に案内した後に車から抜け出して料金を踏み倒す。後者のケースは携帯電話やカバンなど(実際には価値の無い安物)を車内に置いて運転手を油断させた後に「料金を取りに行く」と言って車から抜け出したまま逃走し料金を踏み倒す。また所持する物品(安物の陶器など)をわざと破壊し、恐喝して弁償させることによって料金を踏み倒す事例も起こっている。
タクシー会社によると女性の犯行が増えており、また賃金が歩合制の為に警察での手続きに追われるよりも街で損を取り返すことを選び自腹を切る運転手が多いため、実際に警察に届けられるケースはごく少数となっている。
[編集] バスへの不正乗車
定期乗車券の改竄やカラーコピーなどによる複製での手段など、バスにも不正乗車の事例がある。
[編集] 有料道路の不正通行
有料道路(高速道路など)にも不正通行というものがあり、東名高速道路などで不正通行により摘発されたケースがある。代表的な不正通行は途中のサービスエリアなどで通行券を交換し、交換した通行券の入口に近いインターチェンジで出るというものだが、珍しい例としてフリーウェイクラブによる「無料通行宣言書」というものがある。同団体は首都高速道路公団(現・首都高速道路株式会社)の通行料金値上げに抗議して値上げ分不払いを宣言したのが始まりで、後に日本全国の高速道路無料通行宣言に発展した。鉄道の改札口強行突破に近いが、料金所係員の目前で堂々と「無料通行宣言書」を渡して通り抜けるという手段は他に類を見ない。また、現在ではETC専用レーンを強引に突破するケースもある。両方のケースとも警察当局は最初「民事不介入」を理由に取り締まりに消極的だったが、現在は道路整備特別措置法に基づき取締りを強化し、摘発・逮捕例が増加している。
他に、特大車としか思えない右翼団体所属の街宣車が料金所を通過する際に、脅迫的な口調で係員を脅して軽自動車料金で通行する例があった。
また、環状的に大回り走行し最後は入場したインターチェンジの近くで一般道に出て、通行料金を安くする方法もある。通行料金は安くなるものの燃料費がかさむため、一般的には意味が無い方法と考えられているが、沿道の風景を楽しみたい場合や、単にドライブが楽しみたい場合、新しく開通した区間を体験したい場合などに実行するドライバーがいるとされる。特に悪質なのはサービスエリア・パーキングエリアやハイウェイオアシスの近くに観光地がある場合などで、それらの駐車場から徒歩で観光地に向かい、観光を済ませたあとで環状走行により元のインターチェンジ近くに戻る方法である。
例えば関越自動車道のあるインターチェンジから下り線に入り、長岡ジャンクションで北陸自動車道下りに入った後、上越ジャンクションから上信越自動車道に入り更埴ジャンクション、藤岡ジャンクションを経由し関越道の最初に乗車した隣のインターチェンジから下りたとする。この場合、かなりの距離を走行したのにもかかわらず、料金は一区間分しか掛からない。この方法は一見合法のようにも見えるが、高速道路の場合最短距離の2倍を越えるルートを走行すると、走行ルートに沿った料金を払う必要があると定められており、不正である。
京都から長野に行く際に、最短の名神・中央・長野道経由でなく、1.5倍近くの距離がある名神・東海北陸・北陸・上信越道経由で行く場合など、最短経路の2倍以内で収まる場合は問題ない。また、このような経路は各高速道路会社のホームページで経路検索を行った場合にも、下位の候補として表示される場合があり、公認の経路であることがうかがえる。
なお、2003年に高松自動車道の高松中央~高松西間が開通したことにより倉敷Jct→坂出Jct→三木Jctを経由して一周するルートが完成したため、一見このケースが実行できるようにも思えるが、実際にはJBからNEXCO西日本に戻る地点(神戸西・上り、鳴門・下り、早島・上り、坂出・下り)で本線料金所が存在するため、この方法は不可能である。東名阪道の名古屋均一料金区間を通過する場合なども同様である。
いずれにせよ、大回り走行を実施した場合は最終出口の係員に異常な所要時間の説明を求められることや、ETCを利用した場合でも時間制限超過によりバーが閉まることがある[3]。この場合において虚偽申告をすると、不正通行として考えられる最遠距離の3倍の料金を取られた上、場合によっては詐欺罪で逮捕される場合もある。
夜間に無料になる有料道路(例:無料開放前の藤枝バイパス)や高速道路のETC時間帯割引で、無料や割引となる時間帯の直前に本線車道やランプウェイ、非常駐車帯で駐停車して待機する例がある。高速道路のみならずそうでない有料道路でも駐停車禁止になっている道路が多いので、このような理由で駐停車すると駐停車違反になる。
[編集] 航空機への不正搭乗
さらに韓国では航空機に不正乗車ならぬ不正搭乗して同じく当局に摘発されたケースがある。 [4]
[編集] 脚注
- ^ 「時速100キロの新快速から飛び降り、平然と去る――JR住吉駅」『神戸新聞ニュース:総合/2002.07.04/時速100キロの新快速から飛び降り、平然と去る JR住吉駅』神戸新聞社、2002年7月4日。
- ^ 阪急の場合、出場記録がなくても入場が可能となっており、他社線への乗越しや「フリーパスゲート」(学生専用出口・通勤専用出口、現在は廃止)への対応が図られていた。現在も南方駅など一部の駅で、定期券を係員に提示するだけで出場できる臨時出口が存在する。外部リンク阪急電鉄 - フェアライドシステムに関する「よくあるご質問」にもその旨説明されている。
- ^ 「ぐるり1周激安珍料金 東海の高速道路ループ化」中日新聞 2005/10/03
- ^ 飛行機のトイレから「無賃乗車」大学生を摘発 朝鮮日報、2008年4月25日。

