バス・ラピッド・トランジット

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バス・ラピッド・トランジット: bus rapid transitBRT[1]とは、バスを用いて大都市およびその都心域の大量公共旅客幹線輸送を実現するシステムを指す。和訳では「バス高速輸送システム」(バスこうそくゆそうシステム)がある。

主に北米(および中国)で用いられる用語である。他にメトロバスや、欧州やオセアニアではバスウェイ(専用走行空間を持つバス輸送システムを意味する)という呼称が主に使用される。

なお日本では単純に形態のみをとらえ、専用走行空間を有する又は運行車両に連節バスを用いる路線バスを指して「BRT」と呼称する例がしばしば見られる[2]ため、本稿では簡単な説明を行う。

概念[編集]

世界初のBRTシステムである、ブラジルクリチバRede Integrada de Transporte (1974年開業)

バス・ラピッド・トランジット(BRT)とは、地下鉄等に相当する大都市の大量輸送型の都心軌道系交通(ラピッド・トランジット都市高速鉄道)を軌道ではなくバスを用いて実現した旅客輸送システムを指すために北米で作られた言葉である。輸送量は1時間当たり5千人以上(片方向)の大量輸送を可能とする[3]

これを実現するために、常設の専用走行空間(専用バスレーン、もしくは専用道か高架道)を有する形態が多く、一般道・一般レーンにおける交通信号による停止指示や通行速度状況(渋滞等)の影響からは隔離され、高頻度の定時運行による大量輸送を都心域で実現する。連節バスを運行する形態も多い。欧州やオセアニアのバスウェイではガイドウェイバスの事例がある。

また改札口やプラットフォームを持つ駅施設およびバス車体中央付近の広い乗車口を採用し、地下鉄なみの高い乗降効率を実現する事例が多い。

BRTは、1970年代前半に都市鉄道計画が頓挫したブラジル・クリティーバ市で都心域にバス専用レーンを整備し都心基幹交通に仕立てたのが嚆矢とされる。世界各地で、都心大量輸送システムを、地下鉄およびライトレールなどの建設よりも低コストで実現する目的で採用する都市が見られる[4]

調査・研究[編集]

研究機関インスティテュート・フォー・トランスポーテーション・アンド・ディベロップメント・ポリシー(Institute for Transportation and Development Policy、ITDP)は、BRTに関するレポートをいくつか発行し[5][6]、各市のバス輸送システムに対して、どの程度「BRT」を実現しているかの評価も行っている(評価が100点満点で50点以上をBRTと呼べるとしている)。このような一定以上の水準のBRTを「BRT Standard」と呼んでいる。

専用道を有するシャトルバス[編集]

専用道を有する都市内シャトルバスの形態も、場合によってBRTと呼ぶことが見られる。前述のITDPは都心基幹交通としてのBRTの性格は弱いと見なしている。

各地のBRT[編集]

都市 BRTシステム
広州市 GBRT
ボゴタ Transmilenio
クリチバ Curitiba BRT
(Linha Verde)
リオデジャネイロ TransOeste
リマ Metropolitano
グアダラハラ Macrobús
メキシコシティ Mexico City Metrobús
メヒコ州 Mexibús
メデジン Metroplús

日本においてBRTと呼ばれることがある交通システム[編集]

日本国内でも、バス専用の走行空間を有する輸送システムや、運行車両に連節バスを用いた一般バス路線が各地に存在している。定時性確保かつ大量輸送実現の指向に基づき、近年、それらをBRTと呼ぶことが日本では好まれる動きがある[7]

ガイドウェイバス[編集]

バス専用道路を運行する路線[編集]

一般道上のバスレーンを運行する路線[編集]

  • 基幹バス(名古屋市):2号系統では一般道の中央部に専用レーンや停留所を設置し、交差点ではバス優先信号を使用。

連節バス[編集]

  • 岐阜市:市の施策の一環として、市内の幹線バス路線に連節車両を導入し、輸送効率を向上[12]

構想中の路線[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ラピッド・トランジットとして用いられる、北米での都市公共旅客輸送システムにおける「rapid」(「高速」と和訳されることが多い)とは、路面電車ライトレールとは異なり、都心域で地上の道路交通とは隔離され、従って交差点信号等にも一切阻害されずに都心域で高い定時性をもって円滑に大量輸送を行う意味を表す(→都市高速鉄道)。
  2. ^ 国土交通省資料
  3. ^ 広州市のBRTの輸送量は1時間当たり2万人以上(片方向)に達する。
  4. ^ ただし障害を克服できずに大量輸送の実現から後退を余儀なくされる都市も見られる(→連節バス#大韓民国)。
  5. ^ The Brt StandardInstitute for Transportation and Development Policy、2012年
  6. ^ Recapturing Global Leadership in Bus Rapid Transit: A Survey of Select U.S. CitiesInstitute for Transportation and Development Policy、2011年
  7. ^ 国土交通省は「BRTの導入促進等に関する検討会」の中でBRTを「連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステム」としている。
  8. ^ a b 鉄道ファン』2012年7月号「BRTの現状と実例」p.42
  9. ^ 新交通(BRT)導入 - 日立市
  10. ^ 気仙沼線におけるBRTの運行開始について (PDF) - 東日本旅客鉄道仙台支社プレスリリース(2012年11月19日)
  11. ^ 大船渡線におけるBRTの運行開始について (PDF) - 東日本旅客鉄道盛岡支社プレスリリース(2013年1月31日)
  12. ^ 「岐阜市型BRT」の導入について - 岐阜市(2013年1月22日)
  13. ^ 新潟市BRT第1期導入計画 - 新潟市(2013年3月14日)