バス・ラピッド・トランジット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

バス・ラピッド・トランジット: bus rapid transitBRT)とは、バスを基盤とした大量輸送システムである。真実のBRTシステムは概して、システムの質向上や典型的な遅延の原因の除去を目的とする特殊なデザイン、サービス、社会基盤を有する。BRTを考慮すると、バスの運行経路の重要箇所では交通渋滞を避けるため、バスレーンのような交通の優先権を完全に用いてバスは運行すべきである。さらに、真実のBRTシステムは以下の要素のほとんどを有するものである。

  • 道路中央における配列 (典型的な歩道の縁石側の遅延を避けるため)
  • 停留所での車外運賃徴収 (運転手への支払いに関連する乗車及び降車の遅延を減らすため)
  • バスの床面に合った停留所のプラットフォームの高さ (段差に起因する乗車及び降車の遅延を減らすため)
  • 交差点におけるバスの優先権 (交差点の信号による遅延を避けるため)

世界初のBRTシステムは、1974年開業のブラジルクリティーバRede Integrada de Transporte ('Integrated Transportation Network') である。同システムは、2000年開業のコロンビアボゴタTransMilenioを例として、ブラジル及び世界中の多くの類似システムに刺激を与えた。2013年11月時点で166都市以上がBRTを運行し、路線の総延長距離は4,336kmに達する[1]。世界の1日当たりのBRTの乗降客数は約2,700万人と推計され、そのうち世界最多の55路線を有するラテンアメリカの乗降客数は約1,700万人と推計される[1]

2011年及び2013年、BRTシステムに存在する多くの差異及び明白な特徴により、Institute for Transportation and Development PolicyBRT Standard Technical Committeeを組織した。同委員会は、BRTとしての資格を有するシステムにはどのような特徴を備えるべきかという最低限の定義を設定し、既存のシステムを評価するBRT Standardを創設した[2]

語源[編集]

世界初のBRTシステムである、ブラジルクリチバRede Integrada de Transporte (1974年開業)

「バス・ラピッド・トランジット」の名称は、英語で都市高速鉄道を意味する「レール・ラピッド・トランジット」を由来とする。都市高速鉄道は交通の優先権を有し、短い運転時隔で多数の車両を運用し、伝統的な路面電車及びバスより長い停車間隔で運用する大容量の都市公共輸送システムである。BRTは、混合交通、平面道路でのバス専用車線、他の交通から分離したバス専用道路を含む多種多様な優先権でバスを運用する。

主な特徴[編集]

BRTシステムは通常、以下の特徴のほとんどを有する。

バス専用車線[編集]

バスは交通渋滞を避けるため、分離車線を使用する。バス専用車線は所要時間を短くし、混合交通での渋滞による遅延回避を確保する。分離優先道路は、高架道路、地下道路、トンネル、あるいは廃線となった鉄道路線を使用し得る。トランジットモール又は「バス・ストリート」は、中心市街地に創設もされ得る。

バス専用道路[編集]

車道の中央又はバス専用通路でのバスの運行は、乗用車やトラックが停車、一時停止、方向転換し、交通量の多い歩道の縁石側からバスを離す役目を担う。

車外運賃徴収[編集]

バス内での運賃支払いの代わりに停留所での運賃支払いを行うと、バス内での乗客の運賃支払いに起因する遅延を除去できる。

交差点での待遇[編集]

バス専用車線を横切った方向転換の禁止により、バスの遅延は大いに減少する。バス車両優先システムは、通常の順序と比較し、必要方向での青信号の時間を拡大し、赤信号の時間を縮小することにより遅延を減少させるため、信号交差点でよく提供される。方向転換の禁止は交差点を通過するバスの移動に最も重要な方策になり得る。

乗降口の高さ[編集]

迅速で容易な乗降のため停留所のプラットフォームをバスの床面の高さにすることで、車椅子、体の不自由な乗客、ベビーカーにとって完全に利用しやすくし、遅延を最小限に抑える。

高床式のバスに合わせた高さのあるプラットフォームは、プラットフォームの外側での停車や高さのあるプラットフォームでの通常のバスの停車を困難にするため、BRTの停車は他のバスの停車とは完全に分離される必要がある。鉄道車両とは対照的に、バスとプラットフォームの危険な間隙の高い危険性もまた存在する。

増加傾向にあり人気ある異形は、ドアでの段差がない低床バスである。低床バスは容易な乗降や他のバスと互換性のある停車を可能にする。

各地のBRT[編集]

都市 BRTシステム
広州市 GBRT
ボゴタ Transmilenio
クリチバ Curitiba BRT
(Linha Verde)
リオデジャネイロ TransOeste
リマ Metropolitano
グアダラハラ Macrobús
メキシコシティ Mexico City Metrobús
メヒコ州 Mexibús
メデジン Metroplús

日本においてBRTと呼ばれることがある交通システム[編集]

日本国内でも、バス専用の走行空間を有する輸送システムや、運行車両に連節バスを用いた一般バス路線が各地に存在している。定時性確保かつ大量輸送実現の指向に基づき、近年、それらをBRTと呼ぶことが日本では好まれる動きがある[3]

ガイドウェイバス[編集]

バス専用道路を運行する路線[編集]

一般道上のバスレーンを運行する路線[編集]

  • 基幹バス(名古屋市):2号系統では一般道の中央部に専用レーンや停留所を設置し、交差点ではバス優先信号を使用。

連節バス[編集]

  • 岐阜市:市の施策の一環として、市内の幹線バス路線に連節車両を導入し、輸送効率を向上[8]

構想中の路線[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b Global BRT Data
  2. ^ Greenfield, John (2013年3月12日). “Taking the Guesswork Out of Rating BRT: An Interview With Walter Hook | Streetsblog Chicago”. Chi.streetsblog.org. 2014年2月24日閲覧。
  3. ^ 国土交通省は「BRTの導入促進等に関する検討会」の中でBRTを「連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステム」としている。
  4. ^ a b 鉄道ファン』2012年7月号「BRTの現状と実例」p.42
  5. ^ 新交通(BRT)導入 - 日立市
  6. ^ 気仙沼線におけるBRTの運行開始について (PDF) - 東日本旅客鉄道仙台支社プレスリリース(2012年11月19日)
  7. ^ 大船渡線におけるBRTの運行開始について (PDF) - 東日本旅客鉄道盛岡支社プレスリリース(2013年1月31日)
  8. ^ 「岐阜市型BRT」の導入について - 岐阜市(2013年1月22日)
  9. ^ 新潟市BRT第1期導入計画 - 新潟市(2013年3月14日)
  10. ^ 都心と臨海副都心とを結ぶ公共交通に関する方針を策定 - 東京都(2014年8月29日)