GOトランジット

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GOトランジット
ロゴマーク
基本情報
カナダの旗 カナダ
所在地 オンタリオ州トロント
種類 通勤鉄道路線バス
開業 1967年5月23日 (56年前) (1967-05-23)
運営者 メトロリンクス
公式サイト www.gotransit.com
詳細情報
総延長距離 526 km (鉄道)
2,801 km (バス)
路線数 7路線
駅数 68駅(鉄道)
停留所数 バスターミナル15箇所
バス停留所多数
軌間 1,435 mm
路線図
路線図
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GOトランジット(ゴー・トランジット、: GO Transit)は、カナダオンタリオ州トロントを中心とした地域都市間輸送を行う公共交通機関。現在、メトロリンクスMetrolinx)というオンタリオ州公社によって運営されている。

GOトランジットの交通機関の利用者数は、鉄道とバスを合わせて年間のべ約5,000万人にのぼる。鉄道路線は「GOトレイン」(GO Train)と呼ばれ、ディーゼル機関車が二階建て客車を引く形で運行されている。バスは「GOバス」(Go Bus)と呼ばれ、荷物スペースのある大型バスによって地域都市間で運行されている。

営業地域[編集]

GOトランジットの営業地域は、グレータートロントハミルトン地域(GTHA、Greater Toronto and Hamilton area)で、トロントとハミルトンの他、ダラムヨークピールハルトンを含みそれぞれの地方自治体に営業所を置いている。

GOトランジットはGTHA外のナイアガラシムコー郡ダファリン郡ウェリントン郡にも限定的ではあるがバス路線がある。バリーブラッドフォードには例外的に、GOトレインの駅がある。

全体として、GOトランジットはトロント市街地から140km以上の距離に広がる1万平方キロ、700万人の人口の地域にサービスを提供している。西はハミルトン、キッチナーまで、北はオレンジビル、バリー、ビーヴァートンまで、東はポート・ペリー、ニューキャッスルまで運行されており、南はナイアガラフォールズ まで運行している。

鉄道[編集]

日本の各通勤路線(中央線東海道線常磐線など)に該当する。 GOトランジットの鉄道路線は「GOトレイン(GO Train)」と呼ばれる。GOトレインの路線図にはトロントユニオン駅発の7路線が掲載されており、そのほとんどは終着地をとって名付けられている。路線の色とアルファベットも記載されているが、通常は路線名で呼ばれることがほとんどである。また、カナダでは珍しく、日本国の鉄道事業者で行われている、「指さし確認」を導入している。日本国の指さし確認に興味を持っていた関係者が、休暇で日本国を訪れた際に、目の当たりにしたのが採用のきっかけである[1]

路線[編集]

レイクショア・ウェスト線のAldershot駅までの区間とレイクショア・イースト線は日中はほぼ30分間隔に運行され、朝夕のラッシュ時には10分間隔前後が運行されるなど、この2つの路線は最も利用客数が多い。リッチモンド・ヒル線のみ土曜、日曜、祝日は運休する。

レイクショア・ウェスト線、レイクショア・イースト線、キッチナー線、ミルトン線では快速運転も行われており、先に発車した各駅停車が後続から来る快速列車の通過待ちを行う列車もある。2015年に開通したトロント国際空港と中心部のユニオン駅を結ぶユニオン・ピアソン・エクスプレスはGOトレインの路線に含まれない。

乗り方[編集]

多くの駅では駅係員が配置されていない無人駅である。乗車券定期券PRESTOカード英語版ユニオン駅空港など、ごく一部の駅でのみ購入可能である。

乗車時は日本のSuicaに相当する、主にオンタリオ州の公共交通機関で利用可能な乗車カードであるPRESTO、もしくはきっぷを買って乗車する。 きっぷは各駅の待合室、ホーム上付近の自動券売機、もしくは直接車内で車掌から購入する。PRESTO利用時は車内又は駅のホーム上に多数設置されている緑色の簡易読み取り機にカードをタッチする。一部機械には、残高確認のためのボタンも設置されている。なお、全ての駅で自動改札機は設置されていない。 また、トロントの地下鉄(TTC)とは異なり、乗車距離に応じて運賃が変わるため、乗車駅と降車駅それぞれでタッチする必要がある。タッチをし忘れた場合は正しく乗車していないとみなし、罰金が課される。

記号 路線名 終着駅(上)と自治体(下) 主な沿線自治体 距離 年間利用者数
(2010年)
営業最高
速度
開通
A レイクショア・ウェスト線
(Lakeshore West line)
Hamilton
ハミルトン
Niagara Falls
ナイアガラフォールズ
バーリントンオークビル
ミシサガ
セントキャサリンズ
132km 14,849,600人 153 km/h 1967年
B レイクショア・イースト線
(Lakeshore East line)
Oshawa
オシャワ
ウィットビーエイジャックス
ピカリング
50.5km 11,818,800人 153 km/h 1967年
C ミルトン線
(Milton line)
Milton
ミルトン
ミシサガ 50.2km 7,348,200人 120 km/h 1981年
D キッチナー線
(Kitchener line)
Kitchener
キッチナー
ゲルフハルトンヒルズ
ブランプトンミシサガ
102.7km 4,634,200人 128 km/h 1974年
E バリー線
(Barrie line)
Allandale Waterfront
バリー
ニューマーケットオーロラ
ヴォーン
101.4km 3,462,500人 130 km/h 1982年
F リッチモンド・ヒル線
(Richmond Hill line)
Bloomington
リッチモンドヒル
マーカム 45.9km 2,330,700人 105 km/h 1978年
G スタウフビル線
(Stouffville line)
Lincolnville
ウィッチチャーチ=スタウフビル
マーカム 49.6km 3,597,900人 145 km/h 1982年
UP ユニオン・ピアソン・エクスプレス
(Union Pearson Express)
Pearson Airport Terminal 1
ミシサガ
ミシサガ 23.3km 145 km/h 2015年

車両[編集]

MP40PH-3Cディーゼル機関車

車両は機関車、客車共に緑と白の2色に塗り分けられ、客車は2階建てで横にのばした八角形のような形をしている。この2階建て車両はボンバルディア・バイレベル・コーチと呼ばれ、もともと1970年代にGOトランジットのために設計されたが、現在北米の数都市で通勤列車として使用されている。GOトレインは通常、プッシュプル方式で運行されている。

2025年頃に電化が完成すると電化対応の新型車両が導入される予定となっている。

将来計画[編集]

延伸・新線計画[編集]

多くの路線で本数が少なく利便性に欠けることから、現在、メトロリンクスMetrolinx)とオンタリオ州政府による大規模な新線や延伸計画(MoveOntario 2020)が進行中である。将来的にはパリRERのようなシステムへと変貌する計画もある。電化も進められており完成すると大幅に増発となる予定である。新線としてボルトン線(Bolton line)、シートン線(Seaton line)、ロカストヒル線(Locust Hill line)の開通も計画されている。

電化と増発[編集]

以下の区間が2025年頃までには電化される予定であり運行本数も電化区間は日中でも15分間隔での運行となる予定、パリRERなどの運行形態に近くなる予定であり、「GO Regional Express Rail」と名づけられた[2][3][4]

  • レイクショア・ウェスト線のAldershot~Union間(55.7km)
  • レイクショア・イースト線のOshawa~Union間(50.5km)
  • キッチナー線のBramalea ~Union間(29.8km)
  • バリー線の Allandale Waterfront ~Union間(101.4km)
  • スタウフビル線のOld Elm ~Union間(49.6km)

バス[編集]

アレクサンダー・デニス・エンバイロ・500ノンステップバス

各鉄道駅から出発する形で、「GOバス」(GO Bus)の路線が運行されている。鉄道が通じていない地域や、運行外の時間にバスが運行されている場合も多い。トロントのダウンタウンには、ユニオン駅に隣接したバスターミナルに乗り入れている。長距離路線の場合は高速道路を走行する場合もある。トロント・ピアソン国際空港にもミシサガ中央部及び地下鉄ヨーク・ミルズ駅から乗り入れている。 ほとんどのバス車両は都市間交通用の50人乗り大型バスを使用しており、2008年4月に2階建てバスを一部路線で採用した。

GOバスの路線には15カ所のバスターミナルがあり、それぞれ地域のバス会社、交通局などと共用の場合が多い。

関連項目[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]