バンクーバー・スカイトレイン

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バンクーバー・スカイトレイン
(Vancouver SkyTrain )

Vancouver Skytrain train flickr.jpg
スカイトレイン新型車両
基礎情報
所在地 カナダの旗カナダ
ブリティッシュコロンビア州
バンクーバー市
種別 ラピッド・トランジット新交通システム
路線数 3(建設中1)
駅数 47(建設中6)
日乗客数 361,500人/日(2014年
運営
開業日 1985年12月11日
運営者 トランスリンク
列車全長 2・4~6連結
仕様
路線総延長 68.6km(10.9km建設中)
軌間 1435mm
最高速度 90km/h
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バンクーバー・スカイトレイン: SkyTrain)は、カナダバンクーバーの中心街と、バーナビーニューウェストミンスターサレーリッチモンドなどのバンクーバー周辺都市やバンクーバー国際空港とを結ぶ鉄道系の公共輸送機関。メトロバンクーバーの交通行政を所管するトランスリンクと呼ばれる組織が運営している。

カナダ・ラインの車両
カナダラインの車両2

概説[編集]

スカイトレインは、カナダの鉄道車両製造技術とコンピューター制御技術を世界に誇示するために、1986年のバンクーバー国際交通博覧会(Expo 86)に関連して、中規模都市のためのマス・トランジット・システム(大量輸送機関)のモデルとして計画・完成された。開通当時のルートは、バンクーバー市のウォーターフロント駅とニューウェストミンスター市のニューウェストミンスター駅間のみであった。なお、この交通博を記念して、基幹となっている部分の線をエキスポ・ラインと呼んでいる。

編成は2両、あるいは4両となっている。列車はコンピュータ制御で自動運転され、一般の鉄道で使われている固定式の閉塞を用いていないため、列車同士が非常に近づくことができ、2分から5分という短い間隔で列車がやってくる。ドバイ・メトロに次いで世界で2番目に長い距離を走る無人(コンピュータ制御)電車である。

車両は、鉄車輪と鉄レールで支持・案内されるが、駆動や制動は車上のリニアモーターで行う鉄輪式リニアモーターカー方式が採用されている。インフラ関係の建設は、SNC-Lavalin社が行っている。

路線と駅[編集]

全部で3路線(エキスポ・ラインミレニアム・ラインカナダ・ライン)あり、1路線(エバーグリーン・ライン)が建設中である。エキスポ・ライン、ミレニアム・ラインではバンクーバー中心部(ダウンタウン)で地下を走りそのほかの地域では高架になっている。カナダ・ラインはバンクーバー市内の住宅地を通るため、ほとんどが地下鉄となり、空港には高架で入る。

エキスポ・ライン、ミレニアム・ラインと建設中のエバーグリーン・ラインは同じシステムを作用し相互乗り入れ運転が可能であるが、カナダ・ラインは車両や運行システムが異なる。

Vancouver SkyTrain Map.svg

エキスポ・ライン(Expo Line)[編集]

バンクーバーの中心にあるウォーターフロント駅からキングジョージ駅までを結ぶスカイトレインとして1986年に開かれたバンクーバー国際交通博覧会に合わせて1985年に最初に完成した路線で、2002年にミレニアム・ラインが完成するまでは、路線名はつかずにスカイトレインと名乗ってた。バンクーバーの中心街とメトロタウンと言う大規模なショッピングセンターと高層住宅が立ち並ぶバーナビーや歴史的な都市のニューウエストミンスターを通り、バンクーバー最大の衛星都市であるサレーまでを結ぶ路線である。

始発のウォーターフロント駅から途中のコロンビア駅まではミレニアム・ラインが乗り入れている。ウォーターフロント駅からグランビル駅までのバンクーバー中心部(ダウンタウン)では地下を走る、その他の大部分は高架を走り、スカイトレインの命名理由となっている。

ミレニアム・ライン(Millennium Line)[編集]

ミレニアム・ラインのザッパートン駅
ミレニアム・ラインの車両

2002年に開通した路線で、始発のウォーターフロント駅からコロンビア駅まではエキスポ・ラインに乗り入れており、同じ駅に停車する。そこからサイモンフレーザー大学などのあるバーナビー北部を通り、VCC-クラーク駅までの運行形態となる。

2016年にエバーグリーン・ラインが開通すると、ミレニアム・ラインはウォーターフロント駅からコマーシャル・ブロードウェイ駅までを走り、そこからミレニアム・ラインの専用路線を通って、ローヒード・タウンセンター駅までの運行に変わる予定である。代わりにエバーグリーン・ラインがローヒード・タウンセンター駅からザッパートン駅からブレイド駅を通り、エキスポ・ラインに乗り入れてVCC-クラーク駅までの区間を運行する予定である。

VCC-クラーク駅からバンクーバー市外にあるブリティッシュコロンビア大学(UBC)までの延伸が検討されている。

コロンビア駅から先

エバーグリーン・ライン(Evergreen Line)(建設中)[編集]

エバーグリーン・ラインは、コキットラム市を走る新線として2012年に着工され、2016年の完成が見込まれている。もともとはトラムとして計画されていたが、エキスポ・ラインやミレニア・ムラインと同じシステムとして建設されることとなった。完成後はローヒード・タウンセンター駅から、ブレイド駅、ザッパートン駅を通り、コロンビア駅でエキスポ・ラインに乗り入れ、コマーシャル・ブロードウェイ駅からミレニアムラインの代わりにVCC-クラーク駅までの運行となる予定である。

カナダ・ライン(Canada Line)[編集]

現代ロテム製のカナダ・ラインの車両
カナダ・ラインのランズダウン駅
カナダ・ラインの車両内装
カナダ・ラインのイエールタウン・ラウンドハウス駅
カナダ・ラインのランガラ・49番アベニュー駅

2010年のバンクーバーオリンピックの開催に合わせてバンクーバーの中心部と郊外のリッチモンドにあるバンクーバー国際空港を結ぶ空港連絡鉄道として整備され2009年に開通した。計画段階では、RAV・ライン=Richmond-Airport-Vancouver Rapid Transit Lineと呼ばれていた。始発駅のウォーターフロント駅からマリンドライブ駅の手前までの区間は地下を走る地下鉄となっており、その先は地上に出て、フレーザー川を超え、ブリッジポート駅でバンクーバー国際空港へ向かう路線とリッチモンド市中心部へ向かってリッチモンド・ブリグハウス駅まで行く二つの路線に分かれる。

始点より分岐駅(ブリッジポート駅)まで
分岐駅よりリッチモンド中心街方面
分岐駅より空港方面

供用路線の主要データ[編集]

路線 開業年 延長(km) 駅数 ターミナル駅 車両 閉塞方式 運行間隔(分) 旅行時間(分)
ピーク オフピーク
エキスポ・ライン 1985 28.9 20 ウォーターフロント キング・ジョージ 鉄輪式リニアモーター駆動 コンピュータ制御 2.7 6 – 8 39
ミレニアム・ライン* 2002 20.3 13 ウォーターフロント VCC-クラーク 同上 同上 5.4 6 – 8 27
カナダ・ライン 2009 19.2 16 ウォーターフロント リッチモンド・ブリグハウス /
YVRエアポート
鉄輪式通常モーター駆動 3.8** 3.8 – 10** 25 / 26
* ミレニアム・ラインは、ウォーターフロント駅コロンビア駅の間(15駅区間、21 km)はエキスポ・ラインと路線を共用しており、その部分も含めた旅行時間としては57分となる。
** カナダ・ラインでは、リッチモンド中心街方面との運行および空港方面との運行がそれぞれ交互に行われる。そのため、分岐駅より先の区間での運行頻度は、分岐駅までの区間の1/2となる。
  • エキスポ・ライン、ミレニアム・ラインおよびカナダ・ライン

特徴[編集]

電車内、駅構内はすべてバリアフリーで、全駅にエレベータ設置。電車とホームの間は2cmから5cmと狭いので、車椅子でも手助けなしに乗降できる。コンピュータ制御なので、時間が来ると車内で発車サイン音が鳴り、ドアが自動的に閉まる。人が挟まれたり、無理矢理乗り込もうとするとドアが開いていると感知し、再びドアを少し開ける。

駅には駅員もいないことからあまり治安が良くない交通機関とされたため全駅構内に防犯カメラを設置しスカイトレイン警察隊(鉄道警察)が結成された。この警察隊は、普通の警察官と同じ法律による拘束力があり犯人逮捕も出来る。当初この警察隊は拳銃を所持しないはずだったが、最終的には所持することになった。車内には無音アラームという身に危険が迫った場合でも犯人に気づかれること無く通報できるシステムがある。窓枠の黄色いストラップ上のボタンを押すことで作動し、数分で警察隊が現場に急行するとされている。

電車内では禁煙、飲食禁止、スピーカでのラジオ禁止になっているが、携帯電話の使用は制限されておらず、車内にはしばしば着信音や話し声が響いている(なお、携帯電話の車内での通話がマナー違反とされるのは日本以外にほとんど例がない)。ペットを乗せる場合は小さいケージに入れないといけない。

エキスポ・ラインおよびミレニアム・ラインは、車両はリニアモータ駆動、無人運転(コンピュータ制御)による先進交通システムで、最高時速は90km/h。ピーク時を除いて、1車両につき2台まで自転車を乗せることができる。電車が来ると、駅のホームにある電光掲示板に路線名と行き先が交互に表示されるが、接近放送などは一切ない。古い車両には方向幕などは設置されていないが、停車中に車内の自動放送が路線名と行き先を案内する。電光掲示板は、電車が来ない時には時計と案内スクロールの交互表示となっている。また、治安上の理由から、駅には化粧室が設けられていない。

カナダ・ラインは、車両は通常モーターによる駆動で、最高時速は80km/h。

トランスリンクの運賃ゾーン

運賃[編集]

導入が進む自動改札機
チケット券売機

切符は駅のコンコース、またはホームにある券売機で購入し乗車する。但し、スカイトレインの駅には改札が無かったが、カナダ・ラインの駅を中心に自動改札の導入が進められている。たまに職員による検札が行われることがあり、特に休日は、職員と警察によって行われやすい。無賃乗車の罰金は、150カナダドルほどが課せられる。

一度お金を払えば90分間トランスリンクの乗り物であるスカイトレイン・バス・シーバスなどは購入したゾーン内を乗り降り自由にできる。

スカイトレインの自動券売機は、1セントを除くすべてのコインと紙幣が使える。デビットカードクレジットカードも使える。また6ヶ国語切り替えに対応しており、日本語表示の際にはタイトル部に明朝体で「単一運賃の即時購入」と表示される。

カナダ・ラインで普通乗車券でバンクーバー国際空港内の3駅から市内までを利用する場合は$5の追加運賃がかかる。また、カナダ・ラインのバンクーバー国際空港内の3駅内(テンプルトン駅シーアイランドセンター駅YVRエアポート駅の区間内)の利用は無料である。

大人[編集]

運賃は、運賃はゾーン内での利用か別のゾーン地域への利用かによって料金が変わってくるゾーン制を敷いており3つのゾーンに分かれている。同一ゾーン内利用が$2.75、2ゾーンをまたいでの利用が$4、3ゾーンをまたいでの利用が$5.50となっており、平日の夜6時半以降と土日休日は全ゾーン利用可能でで$2.75と安くなっている。支払い時に受け取る切符(トランスファー・チケット)を所持する事で、同一料金エリア内での乗り降りが自由となる。更に、平日の午後6:30以降と土日祝日は空港のあるシー・アイランドから乗車した場合を除き一律2.50カナダドルでどこでも行ける。

子供とシニア(65歳以上)[編集]

運賃は、1ゾーン内が$1.75、2ゾーンが$2.75、3ゾーンが$3.75。支払い時に受け取る切符を所持する事で、同一料金エリア内での乗り降りが自由となる。更に、子供またはシニア用の定期券を所持している場合や平日の午後6:30以降と土日祝日は一律1.75カナダドルでどこでも行ける。

使用車両[編集]

エキスポ・ラインおよびミレニアム・ライン[編集]

車両はいずれも2両固定編成となっており、通常は同形式を繋いだ4両編成で運転される。車番は 001-002 や 211-212 のように連番となっているが、どちらの車両の数が小さいかは、車両によってまちまちである。

Mark I[編集]

Mark I(2008年3月)
Mark I車両の内装

片側2ドアの12m車両である。エキスポライン開業時である1984年から、キング・ジョージ駅延伸の1994年までに、計150両が製造された。2両固定編成であり、最大6両で運転できる。

  • 外観 : 前面形状は窓を埋めたような形状で、車体断面は車体上部向かって絞られている。前照灯は丸型のものが下方に、尾灯は上方に設置されている。先頭部分が機械室になっており、その結果、前面の窓は貫通扉にしかなく、前面展望性は非常に悪い。塗装は、白いボディーに赤と青のラインが配われているが、一部Mark IIに準じた色に塗り替えられている。
  • 内装 : 白色の壁に赤い仕切り板が用いられており、ドア内側も赤く塗装されている。ドア横の仕切り板にはアクリル板が設置されており、横に立った人と接触しないようになっている。また、シートは一人分に分かれた藍色のビニル素材のものであり、クッション性がある。蛍光灯は広告と一体化した電球色のものであり、車内は若干暗い。編成によって、センターポールが設置されているものもある。天井には、大きなファンデリアが設置されている。
  • メーカー : アーバン・トランスポーテーションディベロップメント・コーポレーション
  • ドア : 外釣り式の片側2ドアとなっている。
  • シート配置 : 車両中央を向く形の集団見合型セミクロスシートとなっており、先頭部の貫通扉部分には、折りたたみ式の補助シートが設けられている。
  • 制御装置 : GTO素子VVVFインバータ
  • その他 : 車両間は繋がっていないため、走行中に他の車両へ移動することは不可能。また、車内には路線図があるが、案内表示器などは設置されていない。

Mark II[編集]

ミレニアム・ラインを走るMark II車両

ミレニアムライン開業時の2002年から、計60両が製造された。

  • 外観 : 大きめな縦長一枚窓の、丸い形状の前面となっている。前面下部に四角い前照灯があり、尾灯は窓の上部に一体化している。塗装は、白いボディーの側面に青と黄色の弧状のラインやSkyTrainのロゴが描かれており、前面窓の下に、TRANS LINKの文字が入っている。先頭部の窓脇は、Mark I同様機械室となっている。
  • 内装 : 全体的にホワイトでまとめられている。手すりの形状は、曲線を帯びており、上部が黄色く塗られている。シートは布製の藍色で、Mark Iよりも座り心地が改善されている。蛍光灯は、広告と一体となったものの他にダウンライトが設置されているため、Mark Iよりも明るくなった。
  • メーカー : ボンバルディア・トランスポーテーション
  • ドア : 外釣り式の片側3ドアとなっており、幅がMark Iよりも若干広い。
  • シート配置 : ほとんどの座席は、進行方向右側は進行方向を、左側は逆向きを向く形のクロスシートとなっており、先頭部には前面展望用の一人がけのシート、その脇には中央向きの一人がけシートがそれぞれある。また、先頭部付近に車椅子スペースが用意されている。
  • 制御装置 : IGBT素子VVVFインバータ
  • 車両間が繋がっており、走行中に他の車両へ移動することが可能であるが、4両運転時での編成間の移動はできない。また、車内には路線図があるが、案内表示器などは設置されていない。

カナダ・ライン[編集]

カナダ・ラインの車両は現代ロテム製の車両である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]