アムトラック
| 種類 | 公社 (GOC) |
|---|---|
| 略称 | アムトラック (Amtrak) |
| 本社所在地 | ワシントンD.C. |
| 設立 | 1971年5月1日 |
| 業種 | 陸運業(相当) |
| 事業内容 | 旅客鉄道 |
| 従業員数 | 1万9000 |
| 主要株主 | アメリカ合衆国連邦政府 |
| 外部リンク | http://www.amtrak.com |
アムトラック(Amtrak)は、アメリカ合衆国で1971年に発足した、全米をネットワークする鉄道旅客輸送を運営する公共企業体。正式名称は、「全米鉄道旅客公社 (National Railroad Passenger Corporation)」で、連邦政府出資の株式会社という形態をとっている。アムトラックの名称は、"America"と"Track" (線路、軌道などの意)の二つの語から合成されたものである。
目次 |
[編集] 概要
アメリカには、国有鉄道が存在した時代がなく、全土の鉄道ネットワークは私鉄の集合体であった。第二次世界大戦後、航空や自動車輸送の台頭により、アメリカの鉄道旅客輸送量は減少の一途をたどっていたが、その傾向は1960年代に加速し、この時期、多くの鉄道会社が旅客営業の廃止に踏み切った。残存するわずかな旅客列車についてもその存続が危ぶまれたことから、鉄道旅客輸送を維持するために、各地域の鉄道会社の旅客輸送部門を統合した全国一元的な組織として設立されたのがアムトラックのはじまりである。
形態としては、日本のJRの旅客会社と日本貨物鉄道(JR貨物)を逆転した形になっており、アムトラックの自前の路線は「北東回廊」と呼ばれるボストン市-ニューヨーク - ワシントンD.C.間とミシガン州の一部区間のみで、その他の地区では各貨物鉄道会社の線路を借りてアムトラックが自前の旅客列車を運行する形になっている(日本でいう第二種鉄道事業者に近い)。また、都市圏の旅客列車の一部の運行委託を請け負っている。
発足直後に起こったオイルショックは、石油類高騰に伴う車や航空機の燃料コストの増大から、コスト面で安価である鉄道輸送にとって有利に働いた時期もあったが、1980年代の「1978年航空規制緩和法(Airline Deregulation Act of 1978)」等による航空産業の規制緩和を契機に、アメリカ南西部を中心にサウスウエスト航空が勢力を伸ばした他、世界規模での格安航空会社の成功とビジネスモデルの確立により、中・長距離都市間連絡路線を中心に鉄道の利用客を奪われる形となった。利用が低迷したため鉄道運行技術も世界的に見ても決して高いとはいえず、こうした事情もあり、経営状態は最近に至るまでも厳しいもので、連邦政府や運行地域の一部の州からの財政援助に頼ってきたのが現状である。
2001年9月のアメリカ同時多発テロの後、アメリカ人の多くが民間航空機による移動を避けてアムトラックなどの航空機以外の移動手段を選択したため、一時的に業績は回復を見せたものの、2000年頃から脱線・転覆事故など重大事故を毎年のように起しており、その度に都市間旅客鉄道事業そのものの廃止が取沙汰されている。また、沿線の特に一部の無人駅舎には大量のゴミと落書きが頻繁に見受けられ、その環境の悪さも旅客離れなどの原因の一つである。
[編集] 列車設備・利用者層など
基本的には指定席で予約を入れる必要があるが、自由席もある。なお、窓口で購入する際にはセキュリティのためパスポートなどの身分証明書の提示が必要である。
北東回廊線およびカリフォルニア州の3路線を除き、基本的には寝台車(スリーパー)と座席車(コーチ)で構成されている。列車によってはビジネス席、食堂車(ダイナー)、ラウンジ、カフェ合造車(コーチカフェ)、荷物合造車(バゲージコーチ)、車運車(AutoTrain用オートラック)が組み込まれる編成もある。低所得層、鉄道ファン、時間にゆとりのある観光客、定年退職後の熟年層の利用が主である。
寝台車の客と座席車の客では待遇にかなりの差がある。例えば、寝台車のシャワーを座席車の客が使うことはできず、寝台車の客がソフトドリンク飲み放題なのに対し、座席車の客は全て有料である。また、座席車の客には枕しか提供されない。
北東回廊線は、アムトラックのドル箱路線であるが、都市間バス(グレイハウンド、トレイルウェイズ、中華系資本会社など複数あり)や国内航空(シャトル便)との競合が激しく、ビジネス客の獲得に力を入れている。カリフォルニアの3路線(キャピタル・コリドー、サン・ヨアキンス、パシフィック・サーフライナー)も、経営的には苦しいながら幅広い客層で一定の乗客数を確保している。2008年8月現在、無人駅への自動列車案内システムの導入やカリフォルニア州でBART、カルトレインといった地域交通機関との連携も積極的に進めている。
2005年6月10日時点で、駅数は528[要出典]。年間乗降客数1位の駅は、ニューヨーク(8,814,975人/年、24,150人/日)である。2位以下は、10,000人/日以下となる。
[編集] アムトラック・ルート
アムトラックはそれぞれの列車に名前を付けている。北東回廊線や一部の短距離都市間列車を除いて、1日1本から週3本程度の運行である。
[編集] 現在運行しているアムトラック・ルート
| 列車名 | 英文列車名 | 始発 | 終着 | 頻度 |
| アセラ・エクスプレス | Acela Express | マサチューセッツ州ボストン | ワシントンD.C. | 毎日 (高速列車) |
| アディロンダック | Adirondack | カナダ・ケベック州モントリオール | ニューヨーク州ニューヨーク | 毎日 |
| アムトラック・カスケーズ | Amtrak Cascades | カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバー | オレゴン州ユージーン | 毎日数便 |
| オート・トレイン | Auto Train | バージニア州ロートン | フロリダ州サンフォード | 毎日 |
| ブルー・ウォーター | Blue Water | イリノイ州シカゴ | ミシガン州ポートヒューロン | 毎日1往復。Michigan Servicesの一路線。 |
| カリフォルニア・ゼファー | California Zephyr | イリノイ州シカゴ | カリフォルニア州エメリービル | 毎日 |
| キャピトル・コリダー | Capitol Corridor | カリフォルニア州オーバーン | カリフォルニア州サンノゼ | 毎日数便 なお、途中のサクラメント-オークランド間は日に15便程度あり。 |
| キャピトル・リミテッド | Capitol Limited | ワシントンD.C. | イリノイ州シカゴ | 毎日 |
| カーディナル | Cardinal | ニューヨーク州ニューヨーク | イリノイ州シカゴ | 週に3日。シンシナティを経由する。 |
| カール・サンドバーグ | Carl Sandburg | イリノイ州シカゴ | イリノイ州クインシー | 毎日。Illinois Serviceの一路線。 |
| カロライニアン | Carolinian | ニューヨーク州ニューヨーク | ノースカロライナ州シャーロット | 毎日 |
| シティ・オブ・ニューオーリンズ | City of New Orleans | イリノイ州シカゴ | ルイジアナ州ニューオーリンズ | 毎日 |
| コースト・スターライト | Coast Starlight | ワシントン州シアトル | カリフォルニア州ロサンゼルス | 毎日 |
| クレセント | Crescent | ニューヨーク州ニューヨーク | ルイジアナ州ニューオーリンズ | 毎日 |
| ダウンイースター | Downeaster | メイン州ポートランド | マサチューセッツ州ボストン | 毎日数便 |
| エンパイア・ビルダー | Empire Builder | イリノイ州シカゴ | オレゴン州ポートランド ワシントン州シアトル |
毎日。スポケーンでシアトル発着とポートランド発着が連結/分離する。 |
| エンパイア・サービス | Empire Service | ニューヨーク州ニューヨーク | ニューヨーク州ナイアガラフォールズ | 毎日数便 |
| イーサン・アレン・エクスプレス | Ethan Allen Express | バーモント州ラットランド | ニューヨーク州ニューヨーク | 毎日 |
| ハートランド・フライヤー | Heartland Flyer | オクラホマ州オクラホマシティ | テキサス州フォートワース | 毎日 |
| ハイアワーサ | Hiawatha | ウィスコンシン州ミルウォーキー | イリノイ州シカゴ | 毎日数便 |
| フージアー・ステート | Hoosier State | インディアナ州インディアナポリス | イリノイ州シカゴ | 毎日 (カーディナル号運行日にはその一部として運行) |
| イライナイ | Illini | イリノイ州シカゴ | イリノイ州カーボンデール | 毎日。Illinois Serviceの一路線。 |
| イリノイ・サービス | Illinois Service | イリノイ州シカゴ | イリノイ州クインシー/カーボンデール、ミズーリ州セントルイス | Carl Sandburg/Illini/Illinois Zephyr/Lincoln Service/Salukiの5路線を統合した名称。 |
| イリノイ・ゼファー | Illinois Zephyr | イリノイ州シカゴ | イリノイ州クインシー | 毎日。Illinois Serviceの一路線。 |
| キーストーン | Keystone | ニューヨーク州ニューヨーク | ペンシルベニア州ハリスバーグ | 毎日数便 |
| レイクショア・リミテッド | Lake Shore Limited | ニューヨーク州ニューヨーク/マサチューセッツ州ボストン | イリノイ州シカゴ | 毎日。オールバニでニューヨーク発着とボストン発着が連結/分離される。 |
| リンカーン・サービス | Lincoln Service | イリノイ州シカゴ | ミズーリ州セントルイス | 毎日数便。Illinois Serviceの一路線。 |
| メイプルリーフ | Maple Leaf | オンタリオ州トロント | ニューヨーク州ニューヨーク | 毎日 |
| ミシガン・サービシズ | Michigan Services | イリノイ州シカゴ | ミシガン州ポートヒューロン/グランドラピッズ/ポンティアック | Blue Water/Pere Marquette/Wolverineの3路線を統合した名称。 |
| ミズーリ・リバー・ランナー | Missouri River Runner | ミズーリ州カンザスシティ | ミズーリ州セントルイス | 毎日 |
| ノースイースト・リージョナル | Northeast Regional | マサチューセッツ州ボストン/スプリングフィールド | バージニア州ニューポートニュース | 毎日 |
| パシフィック・サーフライナー | Pacific Surfliner | カリフォルニア州サンルイスオビスポ | カリフォルニア州サンディエゴ | 毎日数便 なお、ロサンゼルス-サンディエゴ間は日に7-8便あり。 |
| パルメット | Palmetto | ニューヨーク州ニューヨーク | ジョージア州サバンナ | 毎日 |
| ペンシルベニアン | Pennsylvanian | ニューヨーク州ニューヨーク | ペンシルベニア州ピッツバーグ | 毎日 |
| ペレ・マルケット | Pere Marquette | イリノイ州シカゴ | ミシガン州グランドラピッズ | 毎日1往復。Michigan Servicesの一路線。 |
| ピードモント | Piedmont | ノースカロライナ州ローリー | ノースカロライナ州シャーロット | 毎日 |
| サルーキ | Saluki | イリノイ州シカゴ | イリノイ州カーボンデール | 毎日。Illinois Serviceの一路線。 |
| サン・ホアキンス | San Joaquins | カリフォルニア州オークランド | カリフォルニア州ベーカーズフィールド | 毎日数便 |
| シルバー・メティオ | Silver Meteor | ニューヨーク州ニューヨーク | フロリダ州マイアミ | 毎日。Silver Serviceの一路線。 |
| シルバー・サービス | Silver Service | ニューヨーク州ニューヨーク | フロリダ州マイアミ | Silver Meteor/Silver Starの2路線を統合した名称。 |
| シルバー・スター | Silver Star | ニューヨーク州ニューヨーク | フロリダ州マイアミ | 毎日。Silver Serviceの一路線。 |
| サウスウェスト・チーフ | Southwest Chief | イリノイ州シカゴ | カリフォルニア州ロサンゼルス | 毎日 |
| サンセット・リミテッド | Sunset Limited | フロリダ州オーランド[1] | カリフォルニア州ロサンゼルス | 週に3日 |
| テキサス・イーグル | Texas Eagle | イリノイ州シカゴ | テキサス州サンアントニオ | 毎日。サンセット・リミテッド号運転日はサンアントニオで連結し、ロサンゼルスまで向かう。 |
| バーモンター | Vermonter | バーモント州セント・アルバンズ | ワシントンD.C. | 毎日 |
| ウォルヴァリン | Wolverine | イリノイ州シカゴ | ミシガン州ポンティアック | 毎日3往復。Michigan Servicesの一路線。デトロイトを経由する。 |
[編集] 廃止になったアムトラック・ルート / 列車名
- Ann Rutledge / Kansas City Mule / St. Louis Mule (2009年、Missouri River Runnerに統合)
- Black Hawk
- Broadway Limited
- Clocker
- Colonial
- Desert Wind
- The Federal 寝台車の連結を取りやめ、Regionalへ統合
- Floridian
- George Washington
- Hilltopper
- International
- James Whitcomb Riley
- Kentucky Cardinal
- Lake Cities
- Metroliner ニューヨーク州ニューヨーク - ワシントンD.C. Acela Expressに置き換え
- Montrealer
- The National Limited
- NortheastDirect →Acela Regional→Regional →Northeast Regionalに改称
- North Coast Hiawatha
- Patriot
- Pere Marquette
- Pioneer
- Senator
- Shawnee
- Shenandoah
- Silver Palm
- Southwind
- Spirit of California
- Spirit of St. Louis
- State House
- Three Rivers
- Twilight Limited
- Twilight Shoreliner The Federalへ改称の後、寝台車の連結を中止し、Regionalに統合。
[編集] 関連項目
- アメリカ合衆国の鉄道
- グレイハウンド (バス)(米本土全土に路線網を持つ長距離路線バス会社)
- スーパーライナー (客車)
- コースト・デイライト(アムトラックの発足で廃止された昼行旅客列車)
- ツイン・シティ400(アムトラックの発足で廃止された旅客列車)
- 上下分離方式
- エドワード・アルマン(地理学者、元・アムトラック取締役)
[編集] 註
- ^ Amtrak Service To Resume November 4 Between New Orleans And San Antonio. Amtrak. 2005年10月21日.
2005年のハリケーン・カトリーナおよびハリケーン・リタの影響により、サンセット・リミテッド号は無期限でルイジアナ州ニューオーリンズ以西のみの区間運行となっている。復旧のめどはまだ立っていない。
[編集] 外部リンク
- アムトラック公式サイト(英語ページ)
- Amtrak Historical Society(英語ページ)
- Amtrak Towns - アムトラックと旅の記録
- 写真集・アムトラックで行くアメリカ、カナダの旅
- アメリカ合衆国旅客鉄道ガイド
- アムトラックで行った米国大陸鉄道旅行