フェリー

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日本におけるフェリー(Ferry)とは、旅客や貨物を自動車ごと運搬できるようにしたのことである。

フェリーは貨客船であり、貨物船の一種で自動車の海上輸送に用いられる「自動車専用船」とは分類上異なる。カーフェリー(Car ferry)、自動車渡船自動車航送船などとも呼ぶ。

  • 渡し船については本項目では詳しく扱わない為、渡し船を参照のこと。
フェリー「M/S Mariella」 - ヘルシンキフィンランド

目次

[編集] 名称

「フェリー」の車両甲板。様々な種類の車両が積載されている。(こんぴら2

日本語の「フェリー」の元となった英語の「Ferry」の原義は「渡し船」「渡し場」の意味であり、英語圏においても車輌を載せない客船も含まれる渡し船の意味の「Ferry」では無く、自動車も運ぶという意味で「Car ferry」と呼ばれていた。日本にこのような船が導入された当時から、和訳されて「カーフェリー」と呼ばれ、しばらくは現在のフェリーに対して使われていたが、やがて「カー」が省かれ、21世紀初頭現在の用法である「フェリー」だけで表現されるようになった。

英語圏でも、「Car」にはトラックやトレーラーは含まれないため、多様な自動車すべてを運ぶ船を「Car ferry」と呼ぶと違和感があるため、近年では ROPAX(roll on/roll off passenger) vessel や Ro-Pax Ferry と呼ばれる場合がある。 日本で「ローパックス・フェリー」という表現が定着するかは不明である。[1]

[編集] 分類

[編集] 旅客船兼自動車渡船(フェリー)

旅客船と貨物船の2つの機能が求められるため、建造と運航がコスト高となる。
  • 旅客船:必要な安全設備と客室設備や快適性のための減揺装置や高速航行性を備える。
  • 貨物船:多数の雑多な自動車を短時間のうちに安全に個人運転者の操縦によって自走乗船・自走下船させ固縛し、運搬する設備や能力が必要となる。
長距離フェリー
日本長距離フェリー協会[2]による定義では、片道300km以上の航路に就航しているフェリーであり、陸上輸送の代替として物流の効率化に貢献している。
国際フェリー
国際航路に就航しているフェリーであり、安全基準などは海洋関係の国際条約SOLASなど)により規定されている。
鉄道連絡船(車載客船)
カーフェリーは車載客船を基に自動車用としたもので、自動車航送を並行している例もある。

詳細は「鉄道連絡船」を参照

[編集] 貨物車両渡船(鉄道連絡船)

鉄道連絡船のうちの車両渡船(旅客を搭乗させず鉄道車両のみを航送)。

詳細は「鉄道連絡船」を参照

[編集] 国土交通省・日本の法規による分類

[編集] 距離による分類

国土交通省では、片道100km-300km未満のフェリー航路は中距離フェリー、300km以上のものは長距離フェリーとされている[3]

[編集] 速度による分類

高速客船
22ノット以上で走る客船は高速客船と呼ばれ、普通運賃に加えて高速船料金が徴収できる。公式ではないが40ノットを越えて走る客船は超高速客船と呼ばれる。

[編集] 航路の違いによる分類

船舶安全法において、旅客船に限らず日本船籍の船舶が航行できる区域は、それぞれ以下のとおり定められている。

  • 遠洋区域:世界中を航海できる。
  • 近海区域:東経175度から94度、南緯11度から北緯63度の中だけで航海できる。
  • 沿海区域:沿岸から20海里以内の水域と特定の定められた水域だけ航海できる。
  • 平水区域:湖、川、港湾、内海などの比較的波の穏やかな特定の水域だけ航海できる。

以上の航行区域を持つ船舶は、それぞれの船舶の航行区域、航行時間、総トン数などに応じて船体構造、通信設備、救命設備、旅客定員などが規定されている。 また、このほかにもその近海区域、沿海区域などの航行区域を持つ船舶のうち、その航行区域を港などの陸岸に近い区域にのみ限定しているものも多数存在する(航行区域を限定することによって必要な構造・設備が軽減されるメリットがある)。 これらの航行区域は公式ではないが通称「限定近海区域」、「限定沿海区域」、「湖川港内限定区域」などと呼称される。


日本の内航客船の多くは、その航行区域が「沿海区域」か「平水区域」であるが、「遠洋区域」や「近海区域」の航行区域を持つ船舶を内航客船に使用しても構わない。 逆に「沿海区域」の航行区域を持つ船舶を外航客船に使用しても(その航行区域を外れない限り)構わない。

日本国内での規定
日本の国内航路に就役する船舶は必ず、日本国内のいずれかの港に籍を置く、日本国船籍でなければならない。
また、日本国籍船を個人が保有する場合は、当該個人が日本国籍を持っていなければならず、会社(日本の法令により設立したものに限る)が保有する場合はその会社の業務執行取締役の2/3以上が日本国籍を持っていなければならない。(ただし、左記以外の法人の場合は取締役全員が日本国籍を持っていなければならない。)


[編集] 歴史

[編集] 日本

渡し舟と初期のフェリーの違いは判然としないため、いつの時点から日本での最初のフェリーと呼んで良いかは断言できないが、1つの例として示せば、1934年に今の北九州市の若松区と戸畑区の間の400m程を結ぶ航路に43総トンの2隻のカーフェリー「第8若戸丸」と「第9若戸丸」が就航した。これらのフェリーは船の前後に舵とスクリューを備えた両頭船であり、最大でもトラック2台とオート3輪を4台載せられるだけであった。 1944年には鹿児島桜島との間を結ぶ156総トンの木造船、「第一桜島丸」が就航した。

その後、下関門司の間を3.8kmを結んだ「第3関門丸」、「第4関門丸」、「第5関門丸」の3隻が就役した。1953年に宇野(岡山県)と高松(香川県)間の「第一航走丸」150総トン、1954年明石-岩屋(兵庫県)間の「あさぎり丸」220総トンによって明石海峡横断航路と福良(兵庫県)-鳴門(徳島県)間の「若潮丸」220総トンによって鳴門海峡航路が開設された。1955年には宇野-高松間に55総トンの木造船「玉高丸」を就役させた。

昭和40年代(1964年以降)には中距離フェリーが現われ、またこの頃を境に自動車が爆発的に普及をはじめてカーフェリーの需要が急増し、1973年には168航路(1980年には241航路)にまで増加した。

1973年からの第一次オイルショックと1979年からの第二次オイルショックにより、国内観光の需要が激減し、カーフェリー会社の経営を圧迫した。これによって多くの航路が閉鎖された。 平成に入ってからの大きな変化は、本州四国連絡橋の完成によってそれまで瀬戸内海を結んでいた多くの航路が役割を終えて閉鎖されたことである。 2007年に青函航路に超高速大型フェリーである「ナッチャンRera」が就航した[3]

ここ最近は、高速道路でのETC普及やそれによる割引制度の充実により、自動車輸送の利用率が低迷するカーフェリー会社が増加している。特に、2009年4月から政府の経済対策の一環として土曜休日にETCを搭載した普通乗用車、軽自動車を対象に、地方区間なら通行料金最大1000円ということが大きな痛手となっている。これにより、一部では自動車輸送料金の値下げで対抗するフェリー会社もある。

[編集] 日本の航路

詳細は「航路」を参照

[編集] 内航航路

日本では内航の旅客航路は一般旅客定期航路、特定旅客定期航路、旅客不定期航路の3つに分類される。

2007年4月時点では、純客船も合わせた日本国内の内航客船事業者は964業者あり、1,659航路に2,385隻、計136万総トンが運航している。内航フェリーだけでは158事業者、187航路に366隻, 計118万総トンが運航している。この数字からカーフェリーが船の中ではかなり大きいこと、航路数は内航客船の航路数全体に比べてそれほど多くないことが判る。2005年の国土交通省の国内輸送実績のデータでは、フェリーを含めた客船・貨客船での輸送は、旅客:1億320万人、輸送人キロ:40億2,500万人、トラック:537万台、乗用車:1,119万台となっている[3]

[編集] 外航航路

日本では外航貨物定期航路事業、外航旅客定期航路事業、外航不定期航路事業に分類される。

  • 外航旅客定期航路事業一覧(フェリー航路のみ記述)
航路 船名 船籍 運航会社
稚内港←→コルサコフ港 アインス宗谷 日本 日本・ハートランドフェリー
博多港←→釜山港 ニューかめりあ 日本 日本・カメリアライン
下関港←→釜山港 はまゆう 日本 日本・関釜フェリー
下関港←→釜山港 星希 韓国 韓国・釜関フェリー
下関港←→青島港 ゆうとぴあ パナマ 日本・オリエントフェリー
下関港←→太倉港蘇州 ゆうとぴあⅣ(旅客扱い一時休止) パナマ 日本・上海下関フェリー
大阪港←→上海港 蘇州号 中国 日本・上海フェリー
神戸港←→天津港 燕京 中国 日本・チャイナエクスプレスライン
大阪港、神戸港←→上海港 新鑑真 中国 中国・中日国際輪渡有限公司
大阪港・神戸港←→釜山港 パンスター・ドリーム
パンスター・サニー
パンスター・ハニー[4]
韓国 韓国・パンスターフェリー
(サンスターライン)
境港←→東海港←→ウラジオストク港 イースタンドリーム 韓国 韓国・DBSクルーズフェリー
小樽港←→ホルムスク港 サハリン7 ロシア ロシア・サハリン船舶会社
伏木港←→ウラジオストク ルーシ号 マジュロ ロシア・極東船舶会社(FESCO)
那覇港平良港宮古島)・石垣港←→基隆港高雄港 クルーズフェリー飛龍21
クルーズフェリー飛龍
日本 日本・有村産業 (会社精算-廃止)
金沢港←→釜山港 パンスター・ハニー パナマ 日本・東日本フェリー(会社精算-廃止)

[編集] 日本以外の航路

バルト海
税金が比較的高いと言われる北欧のスウェーデンフィンランド等を結ぶ国際フェリー船内では、酒や煙草が免税価格で買えることから、買物目的を兼ねた渡航者で賑わっている。同地域に就航するシリヤラインヴァイキングラインでは、豪華客船に匹敵する設備を持った50,000トンクラスのフェリーを就航させている。なお、周囲の国々がEUに加盟した現在では非EUの小島に寄港することによって国際航路の条件をクリアしている。
ノルウェー
南端のベルゲンからフィヨルド沿いに北上、ノールカップを回って北端のヒルケネスを往復する沿岸急行船が有名。生活航路であると同時に観光ポイントを巡ることからクルーズ船としての性格を持ち合わせている。船体は古いものから新しいものまで様々だが年が若くなるにつれて設備が豪華になっている。
フィリピン
諸島国であるフィリピンではフェリーが交通手段として頻繁に使われている。日本航路からリタイアした船が使われているが、乗客数を増やすために改造されているケースが多く、当初設計時の定員より大幅な超過状態で運航された結果、海難事故がたひたび起きている。

[編集] 船内設備の例

[編集] 船室

2等船室の大部屋の例(川崎近海汽船

短距離航路では1から2クラスの船室区分となっているものが多いが、長距離になるほど多様な料金体系による船室区分が見られる。また、従来の等級に縛られない命名法(商船三井フェリーの場合、スイート、デラックス、スタンダード、カジュアル、エコノミーの5段階)も見られるようになってきた。

  • 特等船室 - 定員2人から4人の個室。1等の2人部屋の設備を強化したようなものとホテルスイートルームに相当する豪華な客室の2種類に分かれる。大抵は特等止まりでスイートルームまで備えているフェリーは少ない。上部デッキの見晴らしが良い場所に割り当てられる。
  • 1等船室 - 定員2人から4人の個室。4人定員の場合には2段ベッドの船も多いが、日本のフェリーでは和室(6畳ないし8畳)も存在する。2人部屋の場合は特等に比べて設備が簡素化されている他、窓のない内部屋に設定されていることも多い。短距離航路では個室ではなく、大部屋にリクライニングシートを備える形式の船室も存在する。 
  • 2等寝台 - 大部屋に2段ベットを大量に設置した部屋で、最低限ではあるがプライバシーが確保される。主な設備はライトにコンセントと枕といったところで、シーツは自分で敷く。合理化の一環として2等寝台のみという長距離フェリーも現れてきている。バリアフリーの一環として寝台の梯子をなくしたり、ベッドとテレビが備わった小部屋タイプ(いわゆるカプセルホテル形態)が増えてきている。
  • 2等船室 - 仕切りが無いじゅうたん敷きの大部屋。1部屋あたり数十人単位の定員となる。短距離航路では、大部屋に椅子を備える形式の船室も存在する。じゅうたんに直接座る形を取るのは極僅かな国々に限られており、大抵の国では椅子式が主流になっている。多客時には展望室や食堂などのスペースを臨時席にするケースもある。自由席が基本だが長距離航路では2等船室でも座席を指定するケース(関西汽船ダイヤモンドフェリーなど)もある。
  • ドライバーズルーム - 船会社と契約している輸送会社のトラック運転手専用客室。2段ベッドと談話室を組み合わせた客室が標準的であったが、近年は個室を備えるフェリーも登場している。一般客の2等船室よりも良い接遇サービス環境にあることから、ドアなどでキャビンが仕切られており一般客が出入りできないようになっている。

[編集] その他

  • 食堂 - 長距離フェリーでは必須の設備であるが、オーシャン東九フェリーの「おーしゃんのーす」「おーしゃんさうす」のように食堂を廃止して自販機に置き換えるケースもある(同社では両船を「カジュアルフェリー」と呼称している)。また一定料金のバイキング方式を採用するところも増えている。また夕食の残りは夜食用の弁当で販売するケースが殆どである。
  • 売店・自動販売機 - ほぼ大半のフェリーに備え付けられている。菓子やご当地のお土産などを販売している。また自販機は飲料やカップラーメン、アイスクリームなどがある。長距離フェリーや夜間便に関しては深夜時間帯に関しては原則として売店を閉鎖している。
  • 浴場 - 日本国内の長距離フェリーでは大抵備え付けている設備。展望式になっているものが主流である。沖縄航路ではシャワーのみ、あるいは浴槽に水を貯めていないなどの処置を取っていることもある。
  • 展望室 - 船首側にある場合は夜間閉鎖またはカーテンを全閉されることもある。また、混雑時には2等船室の臨時席にする都合で、展望室とは名ばかりでカーペット敷きの大広間になっている例も少なくない。二等の客が展望室のベンチで横になっているケースがあるがマナー違反である。
  • 通信 - 長・中距離フェリーでは衛星電話を使った公衆電話が設置されている。日本国内ではNTTドコモ衛星携帯電話ワイドスター」が利用される。通話料金は一般の公衆電話と比べやや割高であるが、通常の電話とあまり変わらない品質で通話ができる。高高度の衛星を使っているため、通話は0.2秒ほど遅延する。

[編集] 運賃・料金

これは一般的説明なので、必ずしも各社の規定がこれに合致するとは限らない。

フェリーの運賃は、鉄道などと多少異なり、大人1人につき小児1人まで無料となる、と定められている。また、指定されている座席または寝台を1人で使用する場合を除き無料となるのは、1歳未満の小児(鉄道でいう「乳児」)に限られる。   また、自動車を載せる際の運賃には大人1人分の2等船室運賃があらかじめ含まれているので、2等船室に乗船する際には改めて運転士の運賃を支払う必要はない。ただし、1等船室に乗船する場合は、その差額が必要となる。

手回り品は、20kgまでは無料となり、超過分は有料となる。持ち込むことができるのは30kgまでであるが、30kgまで無料というわけではなく、30kg持ち込んだ場合は10kg分は有料となる。ただし、車椅子身体障害者補助犬は上記の重量制限に含めない。[要出典]

[編集] 輸送経済性

カーフェリーは陸上の輸送手段に比べて経済性が比較的良いが、貨物輸送の経済性では貨物船での輸送が優れる。以下に経済性の比較を示す。

長距離カーフェリーと他の輸送手段との経済性比較(海事産業研究所)
  • フェリー利用の無人15トントラック - 100
  • フェリー利用の有人10トントラック - 142-146
  • 内航RORO船 - 95-96
  • 内航コンテナ船 - 61-75
  • 10トントラック陸送 - 182-205[3]

[編集] 旅客から貨物に転換

日本では1970年代に運輸省が全国自治体に働きかけて旅客フェリー設備の整備が進められたが、港湾設備が整うと運航側が旅客営業を廃止し貨物船などに転換する「ただ乗り」現象が多発している。大阪港神戸港四国九州の各港を結ぶ旅客フェリー航路は複数存在する一方、東京港から北海道方面に向かう旅客フェリー航路は大洗港などに拠点を移した。

[編集] ギャラリー

[編集] 日本のフェリー(10,000トン超)

[編集] 日本のフェリー(4,000-10,000トン未満)

[編集] 日本のフェリー(1,000-4,000トン未満)

[編集] 日本のフェリー(1,000トン未満)

[編集] 日本に就航する国際フェリー

[編集] 出典

  1. ^ 池田良穂著 「図解雑学 船のしくみ」 ナツメ社 2006年5月10日初版発行 ISBN 4-8163-4090-4
  2. ^ ※2007年現在、日本長距離フェリー協会には11社が加盟している。
  3. ^ a b c d 池田良し穂著 『内航客船とカーフェリー』 成山堂書店 平成20年7月18日新訂初版発行 ISBN 978-4-425-77072-4
  4. ^ パンスターライン、釜山~大阪路線でクルーズ船運航 - 聯合ニュース

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク