タグボート

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タグボートの図解
海外のタグボート一例
小型のタグボート(手前)
2000トン級のオーシャンタグ・日本サルベージの「航洋丸」

タグボート英語: Tugboat)は、船舶や水上構造物を押したり引いたりするための船。

引船曳船(ひきぶね・ひきふね、曳船はえいせんとも)、あるいは押船(おしぶね)と言う。青函連絡船では補助汽船と呼ばれた。

特徴[編集]

サイズはさまざまであり、港湾で船舶が岸壁・桟橋に着岸・離岸するのを補助したり、河川運河(はしけ)などを動かしたりするために使われる数十トン級の小型のものから、外洋で海難救助などの作業に従事したり、大型プラントを海上輸送するために使われる数千トン級の大型のもの(オーシャンタグ)まで幅広い。

自身の船体を輸送対象に直に接触させて押すこともあるため、船体の外周には防舷物として古タイヤや樹脂などの緩衝材(フェンダー)が設けられている。

作業性を求めて作業デッキは低い位置に設けられている船が多く、一般的に荒天にはあまり強くないといわれる。

動力[編集]

6万トンを超える空母ジョン・F・ケネディの接岸を補助するタグボート

動力は自身の船体を動かすだけでなく、自身よりはるかに大きく重い他船や構造物をも動かす必要があるため、自身の船体サイズには不相応な強力なエンジンを搭載している(たとえば、2000トン級では10000馬力程度のエンジンを搭載していることが普通である)。ただし、エンジンやスクリューは速度よりもトルクを重視した低速型のセッティングになっており、馬力の割に速度は出ない。

港湾内などで使われるタグボートの場合、小さな船体に機動性が求められるため、スクリューには特殊な構造が用いられ、舵の機能を持たせたものが多い。

アジマススラスター
プロペラが水平方向に360度回転する。アヒルが水中で脚を動かす状態を連想するためダックペラともいわれる。代表的なものとしては新潟鐵工所製ゼットペラ (Z-peller)、IHI製ダックペラ (Duckpeller) がある。
フォイトシュナイダープロペラ (Voith-Schneider Propeller, VSP)
円周上に配置された複数の羽を水平方向に回転させて推進力を得る方式。現在は上記の方式に代替されている。

作業[編集]

対象物をある程度長い距離移動させる場合は、タグラインと呼ばれるロープやワイヤーを掛けて牽引・曳航する。大型船舶の接岸を補助する場合などで進行方向に十分な作業スペースを取れない場合や、比較的細かい位置の調整を行う場合などは、防舷物(古い航空機用タイヤなど)を介して自身を対象に直に接触させて押す。

通常は1隻で作業を行うが、対象のサイズや周囲の状況によっては複数のタグボートを使用して、互いに連携しながら作業を行う。

外部リンク[編集]