太平洋フェリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
太平洋フェリー株式会社
Taiheiyo Ferry Co, Ltd.
Funnel mark of Taiheiyo Ferry.jpg
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
450-0002
名古屋市中村区名駅4-24-8
(EME名古屋ビル)
設立 1982年4月8日
業種 海運業
事業内容 自動車並びにその他車両及び一般旅客の航送、旅行業、貨物自動車運送取扱事業、倉庫業他。
代表者 代表取締役社長 安藤克己
資本金 20億円
売上高 132億円(2011年度)
従業員数 339名(2012年3月31日現在)※太平洋フェリーサービスのサービス部員を含む
主要株主 名古屋鉄道、名鉄グループ各社
主要子会社 太平洋フェリーサービス株式会社
外部リンク http://www.taiheiyo-ferry.co.jp/
テンプレートを表示
「いしかり」(3代目、大阪港)
※就航前の寄港時に撮影。
「きそ」
(2代目、福島県相馬市沖)
「きたかみ」(福島県相馬市沖)

太平洋フェリー株式会社(たいへいようふぇりー)は、名古屋市中村区に本社を置く海運会社。名古屋 - 仙台 - 苫小牧間において定期航路(フェリー)を運航している。

ファンネル(煙突)のマークは、「太平洋」と「フェリー」の頭文字、TとFを重ね合わせたものである。名鉄グループ

概要[編集]

1982年に「太平洋沿海フェリー」の営業権を引継ぐ形で設立された(なお、「太平洋沿海フェリー」は1970年に運航を開始しているが、現会社ではこの年を「創業年」と位置づけている)。

充実した個室や設備等により、船旅を扱う雑誌などでトップクラスの評価を得ている。また、ピアノの演奏やコンサート等のイベントなども運航毎に行われ、船長のトークショーなど珍しい企画も行っている。福島県沖での僚船との対航のさい、極めて接近して行き違うのも乗客へのサービスのひとつである。

歴史[編集]

  • 1970年 - 太平洋沿海フェリー設立。
  • 1972年 - 名古屋 - 那智勝浦 - 大分航路就航。
  • 1973年 - 名古屋 - 仙台 - 苫小牧航路就航。
  • 1981年 - 名古屋 - 那智勝浦 - 大分航路廃止。
  • 1982年 - 太平洋フェリー設立。太平洋沿海フェリーの営業権を承継。
  • 1987年 - 「きそ」(初代)が就航。
  • 1989年 - 「きたかみ」が就航。
  • 1991年 - 「いしかり」(2代目)が就航。
  • 2005年 - 「きそ」(2代目)が就航。「きたかみ」リニューアル。
  • 2011年
    • 3月11日 - 東北地方太平洋沖地震発生にともない全便の運航を停止する。
    • 3月23日 - 仙台港を除き、貨物に限定した暫定運航を再開する[1][2]
    • 3月24日 - 仙台港への、貨物に限定した暫定運航を再開する[3][4]
    • 3月25日 - 「いしかり」(3代目)が就航[5][2]
    • 5月26日 - 臨時ダイヤで旅客運行を再開。なお名古屋行き便は仙台からの乗船はできなかった。
    • 6月5日 - 仙台港フェリーターミナルが仮復旧し、この日より通常ダイヤ運行を再開。翌6日より仙台港での乗降が可能となった。

航路[編集]

接岸中の「いしかり」
(2代目、名古屋港)

運航中の航路[編集]

  • 定期航路名古屋港(フェリー埠頭) - 仙台港(フェリー埠頭) - 苫小牧港(西港))
    • 全区間を運航する便を隔日運航している。また、その間に仙台 - 苫小牧間の折り返し便を運航しているため、同区間では毎日運航となる。
    • 例年、1月後半から2月にかけてがドック期間となっており、この間は変則運航となる。また、年末年始に休航日がある。
    • 名古屋 - 苫小牧間の直通旅客は、仙台港停泊中に一時下船(実質2時間30分程度)が可能だったが、震災後は津波を警戒して、中止されている。

過去に運航していた航路[編集]

  • 名古屋 - 那智勝浦 - 大分
    • 太平洋沿海フェリー時代に運航していた定期航路。営業譲渡前の1981年4月に廃止されている。

船舶[編集]

「いしかり」
(3代目、エントランス)

就航中の船舶[編集]

いしかり」「きそ」「きたかみ」の3船体制で運航している。

「いしかり」は3代目にあたる。2008年、三菱重工業に発注され下関造船所で建造[6]された。2010年8月26日進水し、2011年3月13日に苫小牧発の便から就航予定であったが、東北地方太平洋沖地震にともない延期となった[7]。その後、暫定運航開始にともない同月25日に就航した[5][2]

「きそ」は2代目にあたる。なお、同船は雑誌「クルーズ」(海事プレス社)が選出する「フェリー・オブ・ザ・イヤー」を2005年から2010年まで6年連続で受賞している(なお、2代目「いしかり」も同賞を1992年から2004年まで13年連続で受賞し、3代目「いしかり」が2011年に受賞)。

「きたかみ」は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生時には通常運行のため仙台港に停泊中であったが、大津波警報の発令を受け緊急離岸し速やかに湾外退避を行なったため、津波による被害を免れた[8]

船舶要目
船名 いしかり[9] きそ きたかみ
建造 三菱重工業下関造船所 三菱重工業下関造船所 三菱重工業下関造船所
竣工 2011年3月 2004年1月 1988年12月
就航 2011年3月 2005年 1989年
総トン数 15,762トン 15,795トン 13,937トン
全長 199.9m 199.9m 192.5m
全幅 27.0m 27.0m 27.0m
航海速力 - 23.2ノット 21.5ノット
最大速力 26.5ノット 26.73ノット 24.94ノット
最大出力 24,000kW(32,640馬力) 32,200馬力 28,800馬力
旅客定員 777名 768名 792名
トラック積載数 184台 174台 176台
乗用車積載数 100台 113台 150台
エレベーター 4基 3基  1基


客室等級

以下の一覧には、ドライバー室を含まない。

「いしかり」
(3代目、カードキー)
いしかり きそ きたかみ
ロイヤルスイートルーム ロイヤルスイートルーム -
スイートルーム スイートルーム スイートルーム
セミスイートルーム セミスイートルーム セミスイートルーム
特等客室(洋室) 特等客室(洋室) 特等客室(洋室)
特等客室(和室) 特等客室(和室) 特等客室(和室)
1等客室(和室) 1等客室(和室) 1等客室(和室)
1等客室(和洋室) 1等客室(和洋室) 1等客室(和洋室)
1等客室(洋室) 1等客室(洋室) 1等客室(洋室)
S寝台(1段ベット) S寝台(1段ベット) -
- - A寝台(カプセル)
B寝台(2段ベット) B寝台(2段ベット) B寝台(2段ベット)
2等(和室) 2等(和室) 2等(和室)


ギャラリー

※すべて「いしかり(3代目、現在就航中)」の画像。



引退した船舶[編集]

いしかり(2代目)東京都港区台場
  • いしかり(2代目)
    1990年7月竣工、1991年就航。14,257総トン、全長192.5m、幅27.0mm、出力29,540馬力、航海速力21.5ノット(最大23.3ノット)。
    旅客定員812名。車両積載数:トラック176台・乗用車150台。三菱重工業神戸造船所建造。
    1992年から2004年まで、フェリー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
    2011年3月10日をもって引退し売船[10][11]
  • きそ(初代)
    1987年10月就航。13,730総トン、全長192m、旅客定員850名、車両搭載台数:トラック176台、乗用車120台
    ラグジュアリー路線をコンセプトにした第1船。
    2005年引退後、日本国外へ売却され地中海方面で運航。一時期2隻の「きそ」が同時運航したことがあったため、営業上の配慮から2代目が「ニューきそ」と呼ばれていた。
  • だいせつ
    1975年6月就航。11,879総トン、全長175m、旅客定員905名、車両搭載台数:トラック136台、乗用車105台[12]
    トラックの搭載能力をかなり重視しながらも、2層建ての展望室や和風レストランのほか、当時としては比較的珍しい展望浴室を設けていた。
    1985年に引退後、東日本フェリーに売却され「ばるな」(初代)に改称。
  • いしかり(初代)
    1974年12月就航。11,880総トン、全長175m、旅客定員905名、車両搭載台数:トラック136台、乗用車105台[12]
    だいせつの同型船。1980年代には船体延長工事、「きそ」(初代)就航後はロビースペースの拡充が行われた。
    1991年、「いしかり」(2代)就航に伴い引退しギリシアに売却。
  • あるごう
    1973年6月就航。6,949総トン、全長132m、旅客定員699名、車両搭載台数:トラック55台、乗用車94台。
    他の船舶より全長が短いため、ピッチングに悩まされたという。
    1980年に引退後、関西汽船に売却され「フェリーこがね丸」に改称。
  • あるなする
    1973年4月就航。6,934総トン、全長132m、旅客定員695名、車両搭載台数:トラック55台、乗用車96台。
    「あるごう」の同型船。
    1975年に引退後、日本カーフェリーに売却され「えびの」に改称。
  • あるびれお
    1973年2月就航。9,750総トン、全長167m、旅客定員925名、車両搭載台数:トラック95台、乗用車75台[12]
    近海郵船「まりも」の改良型。1978年、車両甲板の増設工事を行う。
    1989年、「きたかみ」就航に伴い引退しギリシアへ売却。
  • あるかす
    1972年10月就航。9,779総トン、全長167m、旅客定員925名、車両搭載台数:トラック95台、乗用車75台[12]
    あるびれおの同型船。1977年、車両甲板の増設を行う。
    1987年に、きそ(初代)就航に伴い引退しギリシアへ売却。

運賃・料金[編集]

この項目では、特に記載がない限り定期航路の運賃・料金について記述する。

特徴[編集]

  • 期間別運賃
    • 本州北海道の航路は需要面で強い夏期波動が現れるため、従来から夏期運賃を設定して通常運賃より若干高めの運賃を適用しているが、最近では、通常運賃的な位置付けとなるA期間、繁忙期運賃のB期間、最繁忙期運賃のC期間に区分され、ゴールデンウィークや年末年始にも割増運賃の適用が拡大されている。
  • 使用船舶別運賃
    • 比較的船齢が高い「きたかみ」には、「いしかり」・「きそ」よりも割安な運賃が適用される。
  • 船室貸切料金
    • 個室の相部屋利用は行っていない。なお、定員に満たない人数で利用するさい、他社では不足する人数分について大人正規運賃の50%前後に相当する船室貸切料金を徴収するのが一般的だが、当社はA期間に限りこの扱いを行っていない(B・C運賃期間は船室貸切料金(不足する人数につき大人基本運賃の半額)が必要)。
    • 個室を定員の半数に満たない人数で予約することはできない。これはB・C運賃期間において船室貸切料金を支払う場合も同様である。(定員に幅がある部屋種別の場合、定員の最低人数の半数で計算する。また、半数の計算は端数切り上げ。)

割引制度[編集]

  • インターネット割引
    • 自社サイトからインターネット予約した場合に割引が受けられる。
    • 旅客乗用車オートバイ自転車に適用
    • A期間 10% 割引、B・C期間 5% 割引
    • 車両のみの予約は不可。
    • ランチバイキングクルーズも5%割引になる。
  • 往復割引
    • 往路を正規運賃で乗船し、往路乗船日までに復路乗船券を購入した場合、往路乗船日を含め15日以内の同一区間の復路が割引となる。
    • 旅客・乗用車・オートバイ・自転車に適用
    • 復路運賃が 10% 割引
  • 学生割引
    • 学生証の提示により割引が受けられる。
    • S寝台以下の旅客に適用
    • 10% 割引
  • JAF会員割引
    • 日本自動車連盟 (JAF) 会員証の提示により割引が受けられる。
    • 旅客・乗用車・オートバイ・自転車に適用
    • 10% 割引(ただし、B・C期間は適用除外)
    • JAF会員証1枚に付き乗用車(二輪車)1台とその定員内の同乗者、徒歩乗船の場合は会員本人を含めて最大5名まで。
  • 身体障害者割引・知的障害者割引・被救護者割引
    • 身体障害者手帳療育手帳を提示した場合、または所定の保護施設・救護施設などが交付する旅客運賃割引証を提出した場合に割引が受けられる。
    • S寝台以下の旅客に適用(ただし、介護者(被救護者は付添人)付きの場合は全等級、本人と介護者(同)1名に適用)
    • 50% 割引

セットプラン等[編集]

以下のプランは、いずれも事前決済が必要となる。電話予約の場合の決済方法は、クレジットカードコンビニATM収納、郵便振替のいずれかとなる。

  • 早割
    • 期間限定、客室数限定で、28日前までの予約 50% 割引となる。設定期間内でも便によっては設定がない場合もある。
    • 旅客・乗用車・オートバイ・自転車に適用。ただし、早割運賃で車両のみの航送はできない。
    • インターネット予約のみ
  • クルーズパック
    • モーニングバイキングつきプラン
    • インターネット予約または電話予約
  • マイカープラン
    • 仙台~名古屋間限定。旅客と乗用車航送をセットにした割引プラン。
    • インターネット予約または電話予約
  • 往復フェリーフルパック
    • 往復利用全食事つきプラン
    • 仙台~名古屋間、苫小牧~名古屋間で設定。
    • 電話予約のみ

補足事項[編集]

  • 任意ISM取得
    • 2007年10月までに会社及び保有3船すべての任意ISM(国際安全管理)を取得した。この取得は外航船においては強制だが、内航船については任意のものである。
  • 営業倉庫
    • 苫小牧港近くの北海道苫小牧市あけぼの町に、営業倉庫として定温倉庫2棟と常温倉庫1棟を有している。
  • 業績推移
年度 売上高 従業員数
2009年(平成21年)3月期 120億円 335名
2008年(平成20年)3月期 147億円 346名
2007年(平成19年)3月期 140億円 334名


参考文献[編集]

  • 日本船舶明細書I 2008年版 - 社団法人 日本海運集会所(2007年12月30日発行)
  • 太平洋フェリー社史

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 貨物限定での苫小牧⇔名古屋航路 運航再開について - 太平洋フェリー(2011年3月22日付、同月29日閲覧)
  2. ^ a b c 太平洋フェリーが苫小牧-名古屋臨時運航開始します(みなとのニュース) - 苫小牧港管理組合(2011年3月18日付、同月29日閲覧)
  3. ^ 太平洋フェリーが苫小牧-仙台臨時運航開始します(みなとのニュース) - 苫小牧港管理組合(2011年3月23日付、同月29日閲覧)
  4. ^ 仙台港にフェリー到着 震災後初、物流回復へ一歩 - 河北新報(2011年3月26日付、同月29日閲覧)[リンク切れ]
  5. ^ a b 新造船フェリー 25日初出港 苫小牧 - 北海道新聞(2011年3月22日付、同月29日閲覧)[リンク切れ]
  6. ^ 太平洋フェリー 新「いしかり」来春就航 147個室装備 - 河北新報(2010年6月10日付、同月12日閲覧)[リンク切れ]
  7. ^ 新造フェリー、運航開始延期 太平洋フェリー - 北海道新聞(2011年3月12日付、同月13日閲覧)[リンク切れ]
  8. ^ 塩釜港湾・空港整備事務所 (2011年3月11日). “フェリー『きたかみ』仙台港脱出の記録”. 国土交通省 東北地方整備局. 2012年12月26日閲覧。
  9. ^ 船内見学会にて配布のパンフレットより。
  10. ^ 運航日程表(2011年1月-同年9月) (PDF) - 太平洋フェリー(2011年3月29日閲覧)
  11. ^ details/ref.no.ss32795 (Ship for Sale) - shiplink.info(2011年3月29日閲覧)
  12. ^ a b c d 竣工時の要目。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]