アメリカ合衆国の鉄道

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アメリカ合衆国の鉄道の歴史はイギリスと並んで古く、1830年代には蒸気機関車の運行が始められている。路線が充実し、馬車や川蒸気船に取って代わった1900年前後の数十年間がその全盛期で、旅客輸送に関していえば、国内輸送のシェアの9割を占めたといわれている。1916年には路線長がピークに達し総延長が40万キロとなる。その後は自動車や飛行機の発達で特に旅客輸送において衰退するが、貨物輸送においては陸上輸送の主役を務めている。2006年の時点における総路線長225,500kmは世界最長である。

事業者[編集]

特徴[編集]

アメリカの鉄道の一番の特徴は、創業期から民間企業によって運営されていた事で、その例外は、第一次世界大戦下のUSRA、北東部の各鉄道会社の経営危機によって設立された貨物鉄道公社コンレール、旅客輸送を担うアムトラック、各都市圏の都市交通事業者など一部でしかない(但し、北米全体でいえばこれは当てはまらない。カナダとメキシコには全国的に路線網を持つ国有鉄道が存在していた)。

民間企業が経営を行っている為に、アメリカの鉄道では過去、現在を通し、激しい競争が繰り広げられている。競争は、シカゴロサンゼルス間などの長距離ルートでも行われ、過去の旅客列車に見られる高速運転や、現在のダブルスタックトレインに象徴される高効率の大量輸送を実現したが、他方で、過当競争による経営危機や不当な運賃の切り下げ、独占区間における高運賃、合理化に伴う輸送混乱といった問題を引き起こしてきた。

貨物列車の編成の長さは数キロメートルに及ぶが、貫通ブレーキは自動空気ブレーキのみで応答性が悪く、踏切内で自動車が停まってしまった時など、緊急時で低速であっても日本の列車以上に簡単に停まれない。ディーゼル機関車は片運転台・電気式で大きく、数重連で牽引される。踏切事故で大型トラックトレーラーが大破しても機関車は小破で済んでいるほど重く堅牢である。

アメリカの貨物鉄道路線の多くは列車の本数が少なく、車高6メートル超のダブルスタックトレインを運行したり、それらの列車長が数キロに及び機関車数重連で牽引するための電力供給上非電化路線がほとんどであるが、一部には大電力を供給できる交流電化で交流電気機関車数重連で牽引する鉄道会社もある。

近年では鉄道会社の統合が進んでいる。幹線鉄道を運営する一級鉄道はかつては数十社あったが、現在では統合が進み、8社のみの存在となっている。旅客輸送を行うアムトラックは、ワシントン~ボストン間と、ミシガン州の一部に独自の路線を持つのみで、残りの列車はこれら8社の線路を借りるかたちで旅客列車を運行している。なお、この8社とアムトラックの他に、近距離輸送を行う中小の鉄道会社が無数に存在する。

ショート・ラインも参照

前述の通り、アメリカの鉄道は数多くの民間企業によって運営されているが、それらの鉄道事業者を統括する団体としてアメリカ鉄道協会(AAR:Association of American Railroads)があり、鉄道技術の標準化、列車運行の調整、鉄道技術の研究開発など、アメリカの鉄道に関する幅広い業務を行っているほか、アメリカの鉄道事業者の代表として世界鉄道連合(UIC)に加盟している。

一級鉄道[編集]

アメリカの鉄道会社は、一級鉄道二級鉄道三級鉄道に区分される。この区分は主に鉄道会社の売上によって行われている。現在の一級鉄道の区分条件は、売上が2億5590万ドルを上回る事である。

一級鉄道も参照

現在の一級鉄道事業者[編集]

現在のアメリカ合衆国の一級鉄道事業者は以下のとおりである。

近年まで存在した、イリノイ・セントラル・ガルフ鉄道はカナディアン・ナショナル鉄道(かつてのカナダ国有鉄道)に買収され、コンレールは、CSXとノーフォーク・サザン鉄道に分割吸収、サザンパシフィック鉄道はユニオン・パシフィック鉄道と合併している。

なお、バーリントン・ノーザン鉄道とユニオン・パシフィック鉄道が、シカゴの通勤列車の運行管理業務の一部を行っている他は、これらの会社は貨物専業で、長距離列車はアムトラックに、通勤列車は地域の輸送公社などがその線路を借りて経営している。

公営事業者[編集]

現在の北米の幹線貨物鉄道は民間によって運営されている。しかしながら、都市鉄道の運営には必ず地域自治体が関与している他、都市間旅客鉄道の運営は公社形態のアムトラックによって行われている。

過去には、第一次世界大戦期に、全国の鉄道が連邦政府の監督下におかれた他、ペン・セントラル鉄道の他、北東部の主要な鉄道会社が経営危機にあったときに、やはり公社形態のコンレール(統合鉄道公社)が設立され、北東部の鉄道事業の再建に大きく貢献した経緯を持つ。 なお、最近民営化されたが、隣国のカナダとメキシコには国有鉄道が存在した。

電気鉄道[編集]

アメリカの鉄道路線の多くは北東部や都市鉄道を除き非電化路線がほとんどであるが、20世紀のはじめには電気鉄道が全盛を極めた時期がある。

この時期、中西部や南カリフォルニアを中心に都市間を連絡する電気鉄道であるインターアーバンが大発展を遂げ、都市では市街電車が網の目のような路線を張り巡らせていた。ロサンゼルスのパシフィック電鉄は800キロの路線網を有し、シカゴの路面電車会社であるシカゴ・サーフェス・ラインは軌道延長1800キロの路線網と3500両の車両を保有していた。

全盛を極めた電気鉄道であるが、1920年代からの自動車交通の発展(モータリゼーション)と不況の影響により、1930年以降は急速に衰退した。一部を例外としてインターアーバンと路面電車のほとんどが廃止され、通常都市の基幹交通となりうる地下鉄路線であっても、廃止(ロチェスター地下鉄)や完成直前の建設中断(シンシナティ地下鉄)の事例が存在する。あまりの衰退の早さから、自動車の販売を促進し、ガソリンの消費増を狙うGMや石油会社が電気鉄道会社を買収し、故意に路線の撤去を図ったとする陰謀説が公言されているほどであるが、実際の理由は、低密度の都市開発が指向され、自動車の大気汚染や渋滞問題がそれほど意識されなかった当時において、高密度大量輸送における電気鉄道の利点がそれほど重要視されなかったことにあると考えられる。

また、鉄道関係者は航空機、自動車の攻勢にただ手をこまねいていたわけではなく、メトロライナーBARTといった復権に向けた取り組みや近年アセラ・エクスプレスを登場させる等、積極的に都市間輸送の向上に取り組んでいる。

かつての主要な電鉄会社[編集]

車両メーカー[編集]

一時期は黄金時代を築いたが、鉄道事業の衰退と共に軌を同じくする。

かつての鉄道車両メーカー[編集]

現在の車両メーカー[編集]

関連項目[編集]