特別企画乗車券

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索
特別企画乗車券の例(「北海道フリーきっぷ」)

特別企画乗車券(とくべつきかくじょうしゃけん、通称トクトクきっぷ)とは、旅客に対する利便性向上や割引サービスの提供などを目的に、旅客鉄道会社(JR)が特定の制限を持って発売する乗車券である。略して「特企券(とっきけん)」とも呼ばれる。

個々の乗車券に関しては、特別企画乗車券一覧を参照。

目次

[編集] 概要

特別企画乗車券であることを示すマーク(一日散歩きっぷ

日本国有鉄道1970年に定めた割引乗車券制度の一つで、券面には丸で囲んだ「企」のマークが付けられている(制度設定以前から存在していた周遊券(現・周遊きっぷ)(丸で囲んだ「遊」のマーク)を除く)。1959年に季節割引制度の一種として、夏季・冬季のレジャー客向け、著名観光地などの混雑地向け、閑散期向けの3種類を設定して発足した臨時特殊割引乗車券制度と、1960年に発足した座席指定券付きの座席指定観光乗車券制度が由来。1967年にこれらを特殊観光乗車券と特殊往復乗車券の2制度に整理し、このうち特殊観光乗車券を改称して本制度が発足した。

特別企画乗車券は国鉄本社および各鉄道管理局がそれぞれ独自に設定することが可能で、取り扱いについて職員と旅客の双方が混乱する事態も見られたことから、国鉄の経営改善を目指して各種増収策が強力に進められた1983年、本社旅客局が主導する形で特別企画乗車券の設定状況をまとめ国鉄部内に周知させる体制を整えるとともに、一般に制度の周知を図るために「トクトクきっぷ」の愛称とラクダのシンボルマークを定め、積極的な商品設定と販売が展開された。

かつては特定の著名観光地を巡る用途を目的とした「周遊券」(現・周遊きっぷ)や「フリーきっぷ」など観光回遊型の乗車券が代表的だったが、現在は需要の掘り起こしや競合交通機関(航空路線、高速バス、他社路線など)への対抗を目的とした回数券商品も多い。

[編集] 制限

割安な料金で利用できる条件として、多くの特別企画乗車券は何らかの利用制限を設けている。以下に利用制限の代表的な例を示す。

有効期間
多くのものが時期や曜日により利用可能な期間が限られる。特に多客期には利用できないものが多い。通年発売されているもので多客期に利用できない商品では、多客期にかかる場合はその日数だけ多客期後に有効期間がずらされる。また一部は乗車日より一定期間前などと発売期間も制限される。有効期間はまちまちだが、往復乗車券タイプは往復乗車券の有効期間を踏襲している場合が多い。
途中下車
長距離の乗車券であっても、制限される場合が多い。目的地まで全くできないもののほか、一部の区間でできないものや指定した駅に限り途中下車ができるものが見られる(企画目的によっては逆に特定区間に限り乗り降り自由のものもある)。
乗車券の変更
基本的に区間及び経路の変更はできないが、使用開始前であれば1回に限り経路の変更が可能なものも一部にはある。また乗車券の一部でも使用した場合、回数券の表紙を紛失した場合には払戻しできないものがある。特急券がセットされたものでは、列車が遅れた場合などに払い戻しがないものがある。座席が指定されるタイプで、事前に座席の指定を受けずに乗車、または希望の座席が満席であった場合には自由席または立席の利用となる。
利用列車
普通列車用の乗車券では、所定の料金を払っても優等列車等に乗車できない場合がある。また東海道・山陽新幹線では、回数券タイプ以外の商品は大半が「のぞみ」を利用できない。さらに、同じ列車種別であっても時間帯などにより利用できる列車を限定するものもある。利用可能な列車または座席が限定されているものでは、希望する列車が満席となった時点で購入不可能となる場合もある。
利用座席
乗車する列車について、利用できる座席の種別を限定しているものがある。この場合、基本的には利用可能な座席との差額を支払っても上位種別の座席には乗車できない。ただし、座席の種別を変更するための料金券を別の特別企画乗車券として販売する場合もある。
利用資格
年齢や特定組織への入会、あるいは国籍などによって利用者を限定する場合がある。なお、学生割引は特別企画乗車券とは異なる制度である。
発売箇所
日本全国で発売されている乗車券はわずかで、大半は発着駅周辺および使用可能地域でのみ発売されている。地方都市と大都市を結ぶ往復乗車券タイプの商品の場合は、地方都市側でのみ販売されているものが多い。

[編集] 形態

[編集] 回数券タイプ

回数乗車券と違い、特急券と乗車券をセットしたり、普通の回数乗車券に比べて利用時間・曜日などの限定・枚数を減らすなどして割安にする設定がある(2片道分で回数券とするタイプさえ存在する)。また、定期券所持者向けに特急グリーン車、在来線並行区間の新幹線を利用できる料金券の回数券もある。

[編集] 往復乗車券タイプ

航空便や高速バスと対抗するため、近距離から長距離まで幅広い距離帯で都市間に設定されている。経路や乗り換え駅が複数あったり、並走して寝台特急列車がある場合には、それら考えられる複数の経路から選択できるタイプのものもある。最近では、東京へ向かう往復乗車券で東京近郊のフリー乗車券をセットするもの、事前に購入すれば安くなる乗車券がある(新幹線で設定されている)。普通車指定席・普通車自由席用の乗車券は、こども用は半額となる(例外あり)。なお、九州内の往復割引きっぷはすべて回数券タイプの「2枚きっぷ」へ変更されている。

また、航空会社が特定の航空便に対して早期の予約・購入で運賃を割り引く「特定便割引」「早期購入割引」に対抗して、新幹線や在来線の特急券と乗車券をセットした往復乗車券で同様の設定をする乗車券類も発売されている。早期購入又は列車限定による割引のほか、土・日曜日に限り割引となるものも発売されている。一部は航空会社と同じく、座席数限定、購入後変更不可である。

[編集] 入場券付き乗車券タイプ

以前は「エック」と呼ばれていた部類の乗車券である。テーマパーク博覧会などの入場券とそこまでの往復の乗車券(遠距離であれば、加えて特急券)がセットになって割引されている。

[編集] フリー乗車券タイプ

主に観光客を対象とした、旅行先の主要区間が乗り放題となる割引の乗車券である。ある条件のグループのみが利用できるものもある。フリー区間内で乗れる列車はまちまちであるが、基本的に普通車利用となる。普通車指定席・普通車自由席用の乗車券は、一部を除いてこども用は半額となる。フリー区間内での扱いは定期乗車券とほぼ同様である。また、往復乗車券タイプの乗車券には目的地付近がフリー区間となっているものも存在する。

[編集] その他

[編集] 料金券に対する回数券・定期券

指定席を連結した普通列車・快速列車や、ホームライナーなど乗車整理券を必要とする列車について、その座席を利用する権利を回数券あるいは定期券の形で発行するものがある。また定期券と同時に利用することを条件とした特急料金についての回数券も一部区間で設定されている。詳しくは定期乗車券#特急料金定期券を参照。

[編集] 新幹線定期券

通勤用は「FREX(フレックス)」、通学用は「FREX(フレックス)パル」、九州新幹線では「つばめエクセルパス」の愛称があり、新幹線の停車駅から200~300kmの区間内で設定されている。定期乗車券と同様の形態をとるが、特別企画乗車券として扱われている。詳しくは定期乗車券#新幹線定期乗車券を参照。

[編集] 会員限定の割引乗車券

JR九州のナイスゴーイングカードを利用した九州一周の片道切符の例

ある条件を満たす会員サービスに入会し、定められた条件(距離や曜日)を満たす乗車券を購入する際に会員証や指定するクレジットカードを提示することで運賃・料金の割引を受けられるものもある。この場合、発売される乗車券は特別企画乗車券となる。JRグループの会員サービスにはジパング倶楽部大人の休日倶楽部エクスプレス予約などがある。

[編集] 脚注

[ヘルプ]

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス