QRコード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
QRコード(内容はウィキペディア日本語版のURL

QRコード(キューアールコード)とは、1994年デンソーの開発部門(現在は分離しデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型二次元コードである。なお、QRコードという名称(および単語)はデンソーウェーブの登録商標[1](第4075066号)である。

QRはQuick Responseに由来し、高速読み取りができるように開発された。当初は自動車部品工場や配送センターなどでの使用を念頭に開発されたが、現在ではスマートフォンの普及などにより日本に限らず世界的に普及している。

概説[編集]

QRコード概念図

バーコードは横方向にしか情報を持たないのに対し、QRコードは縦横に情報を持つ。そのため、格納できる情報量が多く、数字だけでなく英字や漢字など多言語のデータも格納できる。また、推奨はされていないが、濃淡の判別が可能な色あいであれば、も付けた状態でも読み込むことも可能である。

QRコードには、最初に作られたモデル1と、大型化に対応したモデル2がある。大きさはバージョン1の21×21セルからバージョン40の177×177セルまで、4セル刻みで決められている。

3隅の四角い切り出しシンボル(位置検出パターン、ファインダパターン)が特徴的である。加えて、7列目と7行目などのタイミングパターン、随所に入れられた小さい四角のアラインメントパターン(モデル2のみ)が固定で、それ以外の部分に符号が記録される。

現在、日本で販売されているカメラ付き携帯電話のほとんどがQRコードの読み取りに対応している。また、Googleの携帯電話用OSであるAndroidでも、一次元・二次元バーコード処理ライブラリ「zxing」[2]オープンソースとして提供されており、多くのQRコード読み取りアプリで採用されている。

容量[編集]

QRコードの容量
数字のみ 最大7,089文字
英数 (US-ASCII) 最大4,296文字
バイナリ(8ビット) 最大2,953バイト
漢字・かな (Shift_JIS) 最大1,817文字

最大容量は、バージョンを最大 (40)、誤り訂正レベルを最低 (L) にした場合の値。

規格[編集]

QRコードの使用例。広告にQRコードが配されており、詳細な情報の載った携帯電話サイトへアクセスすることができる。

1997年10月、AIM International規格になり、1998年3月にはJEIDA規格、1999年1月にはJISのJIS X 0510、さらに2000年6月にはISO規格のISO/IEC 18004となった。普及状況は近年まで日本国内にとどまってきたが、イギリスなど海外でもQRペディアが使用されるようになるなどその範囲は広まっている。またデンソーウェーブはシンガポールを拠点に東南アジアへの展開を進めている[3]

特許権[編集]

特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言している。なお、近年QRコードの中に文字や画像を組み込んだものが一部で使われるようになっているが、これらの多くはQRコードの上に単に文字や画像を載せたものに過ぎず厳密にはQRコードの規格に準拠していないため、QRコードのエラー訂正のレベルや読み取り機器の性能によってはコードが正常に読み取れない場合がある。このためデンソーウェーブでは、規格に準拠していないコードについて「QRコード」と呼ぶことはできないとしているほか[4]、規格外のコードの使用に対しては特許権を行使することもあり得るとしている[5]

主な用途[編集]

QRコードが描かれた看板。コード以外の情報が無く、看板を見上げる人々は携帯電話をかざしてURLを読み取らないと何の広告か分からない。
長良川鵜飼、船着場の長良川岸壁に取付けられた鵜舟のネームプレート。観光客のために携帯電話で情報が表示出来るようQRコードが付いている。
自動車部品生産
開発当初は自動車部品生産の現場で使われたが、その後は様々な商品の生産・運送・保管・販売などに広く使われるようになった。
携帯電話
カメラ付き携帯電話・PHS端末の多くがQRコード対応になっており(携帯電話・PHS内蔵カメラでコードを撮影し、QRコードの情報内容を認識させることができる)[6]、後述の利用法でも用いられている。
具体的には、印刷媒体(広告地図など)やウェブ画面において、詳細情報のあるウェブサイトや、携帯端末向けウェブサイトの、URLを記録したQRコードを表示し、これらサイトへのアクセスを容易にすることや、個人データを格納したQRコードを名刺に印刷し、携帯電話機のアドレス帳登録を容易にすることなどである。また、ネットショッピング等の決済等でも使われ始めている。
航空券
大手航空会社ANAとそのグループ航空会社では、2007年12月20日よりSKiPサービスと称して磁気式航空券を全廃して、日本の航空会社では初となる、情報の入力されたQRコードを用いて従来の航空券のかわりとする方式に完全に移行した。
投票券
2014年現在、日本中央競馬会 (JRA) や主要の地方競馬(南関東、名古屋、兵庫など)、一部の競艇、競輪の発売所で発売される最新モデルの投票券(富士通フロンテック製および日本ベンダーネット製)はQRコードを使用したものになっている(一部地方競馬では磁気式と併用)。
従来の磁気式投票券に比べると投票券に磁性体を使用する必要が無くなるため、紙の製造コストが削減され、紙の再利用も容易になっている。また発行機も印字用ヘッドで機械読取用情報を印刷でき、磁気記録用ヘッドに相当する部品を省略できる。なお、JRAのI-PAT方式電話投票で実際に購入した馬券の写しをプリントアウトしたものにもQRコードが入っているが、その内容は発売窓口で発券したものとは違い、JRAのサイトのURLが入っているだけの「飾り」である。
QRコード自体は複製が容易なので、投票券には正当な投票券の用紙で発行されたか判別できるように特殊な加工を施した感熱紙を利用していることが多い。
入場券
北海道日本ハムファイターズ東北楽天ゴールデンイーグルスコンサドーレ札幌札幌ドームのみ)のホームスタジアムの試合において、QRコードを用いてチケットレスで入場できるシステムを導入している。球団のHPにインターネットで予約すれば、携帯電話にQRコードが送信される仕組みである。
乗車券
沖縄都市モノレールでは、自動改札機の更新に合わせて、従来の磁気式乗車券の廃止し、普通乗車券をQRコード化した。海外においては、台湾高速鉄道において、スマートフォンアプリを利用した予約サービス、コンビニで発券された乗車券において、QRコードを採用している。

マイクロQRコード[編集]

11×11セル - 17×17セルの、QRコードの小型版である。切り出しシンボルは1つしかない。データ量は数字で5 - 35桁と、従来のバーコードと同程度だが、同じ桁数で比べて10 - 100分の1の面積に印字できる。

マイクロQRコードは、2004年11月、JIS X 0510として規格化された。

iQRコード[編集]

iQRコードは、デンソーが開発した、QRコードの新規格で、性能が上がっている。

性能

長方形で作ることができる他、情報量が増え、それに伴ってセル数も増えている。従来のQRコードでは、最大サイズのもの(177×177セル)でも、7000ケタの情報しか記録できなかったが、iQRコード(422×422セル)では、40000ケタまで記録できる。また、サイズも小さく、長方形のものも作れるようになり、既存の1次元バーコードと差し替えたり、印字が難しいとされていた円筒形のものへの印字も簡単になっている。

QRコードの用語[編集]

最新(2004年11月20日改定)のJIS規格書 (JIS X 0510) の「適合条件」の中では、新規用途またはオープンシステム用途にあってはQRコードシンボルのモデル1は推奨されないシンボル形式となっている。よってここではQRコードシンボルのモデル2について記述する。

モジュール (Module)
QRコードのシンボルを構成する最小の単位セル。モジュールの大きさは型番により決定され、データの1ビットが1モジュールに相当する。
型番 (Version)
1から40の番号で表されるシンボルの大きさ。最小は「型番1」の21×21モジュールで、最大は「型番40」の177×177モジュール。
誤り訂正レベル (Error Correction Level)
QRコードに汚れなどがあっても正確に読み取れるように、読み取り不能や読み取り間違いのモジュールを修正するために付けられる誤り訂正語のデータ語に対する割合。下記の4レベルがある。
  • レベルL - コード語の約7%が復元可能
  • レベルM - コード語の約15%が復元可能
  • レベルQ - コード語の約25%が復元可能
  • レベルH - コード語の約30%が復元可能
モード (Mode)
QRコードの中に定義される文字列の表示方法を表す。一般的にはよく使われるモードは、数字データモード、英数字データモード、8ビットバイトデータモード、漢字データモードの4つと、その4つを組み合わせた混合モードである。
モード指示子 (Mode Indicator)
次のデータ文字列がどのモードで符引化されるかを示す4ビットの識別子
文字数指示子 (Character Count Indicator)
モードの中でデータ文字列の長さを定義するビット列
マスクパターン参照子 (Mask Pattern Reference)
シンボルに適用されるマスク処理パターンのために使用するビットの識別子。
マスク処理 (Masking)
QRコードを読み取り易くするために行う処理。マスク処理パターンは8種類用意されており、その中で最も、明モジュールと暗のモジュール数を均一化し、画像の高速処理の障害となるパターンの発生が抑えられるマスクを採用する。マスク処理は、符号化領域のビットパターンとマスク処理パターンをXOR(排他的論理和)する。
コード語 (Code Word)
実際QRコードで読み取りたいデータが書き込まれたデータ。
誤り訂正語 (Error Correction Word)
QRコードに汚れなどがあってもデータ語を正確に読み取れるように、読み取り不能や読み取り間違いのモジュールを修正するために余分に付けられるビット。誤り訂正語はデータ語から計算して作成される。
埋め草コード語 (Pad Code Word)
空のコード語位置を埋める目的で使用するデータを示さない仮のコード語。コード語の数がシンボルの容量に満たない場合に使用される。
埋め草ビット (Padding Bit)
データビット列の終端パターンの後にある最終コード語の空の位置を埋める目的で使用するデータではないゼロのビット。
残余ビット (Remainder Bit)
符号化領域が8ビットのシンボル文字で割り切れない場合に、最終シンボル文字の後にあるシンボル符号化領域の空の位置を埋める目的で使用されるデータではないゼロのビット。
残余コード語 (Remainder Code Word)
データ及び誤り訂正コード語の総数が、シンボルの容量を満たさない場合に、シンボルを完成させるために空のコード語位置を埋めるために使用する埋め草コード語。
終端パターン (Terminator)
データの終りを表すビット列。データの最後に使用し、0000のビット列になる。

関連特許[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 使用範囲は「理化学機械器具、測定機械器具、配電用又は制御用の機械器具、電池、電気磁気測定器、電線及びケーブル、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、眼鏡、加工ガラス(建築用のものを除く。)、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、ロケット、回転変流機、調相機、電気アイロン、電気式ヘアカーラー、電気式ワックス磨き機、電気掃除機、電気ブザー、消防艇、磁心、抵抗線、電極、映写フィルム、スライドフィルム、スライドフィルム用マウント、録画済みビデオディスク及びビデオテープ」。なお別分野で他者(個人)が商標登録しているので注意を要する。
  2. ^ http://code.google.com/p/zxing/
  3. ^ “QRコードをアジアで展開:デンソー、日本外の市場開拓”. NNA.ASIA. (2010年12月10日). http://nna.jp/free/news/20101210spd002A.html 2011年2月15日閲覧。 
  4. ^ QRコードの読み取りトラブル - QRCode.com
  5. ^ よくあるご質問・QRコードに付いて - QRCode.com
  6. ^ なお、携帯電話で初めてQRコードに対応したのは、J-PHONE(現・ソフトバンクモバイル)のJ-SH09である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]