近鉄1420系電車

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近鉄1420系
近鉄1420系 1421F
近鉄1420系 1421F
編成 2両編成
設計最高速度 120 km/h
最高速度 110 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度 4.0 km/h/s(常用最大)
編成定員 340名 (新造時) [1][2]
車両定員 170名 (新造時) [1][2]
全長 41,440 mm
全高 4,150 mm
車体長 20,720 [1][2] mm
車体幅 2,740 [1][2] mm
車体高 4,015 (クーラキセ上部まで) [1][2] mm
車体材質 普通鋼 [1][2]
車両質量 Tc車:35.5t (新造時) [1][2]
Mc車:39.0t (新造時) [1][2]
編成出力 660kW
主電動機 MB-5014-A [1][2]
主電動機出力 165kw×4 [1][2]
歯車比 5.73 (86/15) [1][2]
駆動装置 WN接手平行カルダン [1][2]
制御装置

GTO-VVVFインバータ制御

型式:三菱製SIV-G135 [1][2]
台車 近畿車輛KD-88B・KD-88A [1][2]
制動方式 HSC-R [1][2]
製造メーカー 近畿車輛 [1]

1420系電車(1420けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道が保有する通勤形電車の一系列。

概要[編集]

1420系はVVVFインバータ制御試作車として登場した1421Fのことで、1984年(昭和59年)9月3日1250系の1251Fとして製造された[2]。近鉄のVVVFインバータ制御車第1号であり、また架線電圧1500Vの鉄道線では初めての新製VVVFインバータ車両である[2]。本形式の登場により、1450系が引退している[1]

三菱電機製GTOサイリスタ素子のVVVFインバータ制御装置を搭載した2両編成であり、登場時は1250系(初代)を名乗っていたが、1987年(昭和62年)の1250系(2代)の1252F(現在の1422系1422F)以降の車両登場時に同形式と区別するため、車番はそのままで形式名のみを1251系に改番。1990年(平成2年)に1230系(1233系、1249系)の増備のため、再度現在の形式名に変更されている。

電算記号は、登場当初はVC51であったが、その後上記改番により大阪・名古屋線系統の宇陀山地と新青山トンネルを通過できる2両編成を意味するVW21に変更されている。

走行機器・性能[編集]

1984年(昭和59年)当時の世界最大の高耐圧である4,500V、2,000AのGTOサイリスタ素子を使用している[1][2]。主制御器はSIV-G135形を使用[1]。主電動機に三相交流誘導電動機であるMB-5014A(165kw)を装備し[1]、従来の直流直巻電動機と比較して整流子やブラシが無いためにフラッシュオーバーの危険が無くなり[1][2]、点検部分を大幅に低減させたためメンテナンス・フリーを実現している。また、直流電動機や複巻電動機よりも約30%の重量削減を実現し[1]、誘導電動機の特性上粘着率が高く取れるため従来の抵抗制御車に比べて加減速度の向上を実現し、回生制動の作用範囲も拡がっている[1]。上り勾配での起動時でも周波数を一定に電圧のみを制御する方式で最急33‰勾配でも円滑な起動を可能とし[1][2]、連続勾配下降時でも抑速回生で下降するが回生失効を考慮し[1]、回生失効時は自動的に発電制動に切り替えるために抵抗器を搭載して急勾配区間での保安性も確保している[1][2]。制動装置は抑速ブレーキ・回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ(HSC-R)方式を採用し、従来の界磁チョッパ車や抵抗制御車との混結も考慮している[1][2]。電空演算システムを採用し、本来Tc車が受け持つべき制動力の一部をMc車の電力回生制動力に分担させている[1]。MGはHG-77463-Oir形(70kVA)をTcに設置している[1]。CPはTcに当初D-3-F形を設置していたが[1]、後にHS-10形に変更している。最高速度110km/h、大阪線新青山トンネル22.8‰上り勾配では103km/h以上の登坂性能を確保し、33‰上り勾配においても均衡速度は97km/hを確保している。

台車は車体直結式のスタビライドを使用した近畿車輛製KD-88シュリーレン型横剛性空気バネ台車で[1][2]、Tc車は1400系と同一のKD-88Aであるが、Mc車は新開発のKD-88Bを装備する。基礎ブレーキは両抱き踏面制動で[1]、大阪線における本系列単独での山岳区間運用を考慮して制輪子は鋳鉄制輪子のままとなっている。車体更新の際に踏面清掃装置が追設されている。製造当初はモニタ装置を搭載していた[1]が、現在は撤去されている。

車体デザイン[編集]

1420系のステンレスプレート式VVVFロゴ。

界磁チョッパ車の1200系(現・1201系)などと同じ普通鋼製の片側4扉車体を持つため[1][2]、1422系や1220系、6400系と異なり裾が絞られていないスマートな車体をしており[1][2]、側面方向幕は当初から装備している。空調関係も1200系と同等のものを採用し[2]、運転台は青に塗装されている。車内デザインも2050系9200系6600系に準じた暖色系で、側面化粧板と妻面は淡いベージュを基調とした「サンドウェーブ柄」[1]、天井化粧板は白を基調とした「こもれび柄」とされた[1]。登場時はマルーンレッド一色の塗装で登場し、3200系登場後にシルキーホワイトとのツートンカラーに変更されている。また、シリーズ215800系L/Cカーを除くVVVFインバータ制御車は、車体側面の運転室扉と乗降扉間にVVVFと三相交流をデザイン化したシンボルマークが銀色のシールで貼り付けられているが、本編成は当該部分に窓があるため、シンボルマークは乗降扉側に寄せてある[1][2]。しかも、本編成のみが立体のエンブレム状であるために他系列と容易に見分けることができる。

改造・車体更新[編集]

2006年(平成18年)4月より休車となっていたが、2007年(平成19年)12月より車体更新工事に着手した。2008年3月に更新工事を完了し、同年4月より営業運転に復帰した。更新により、車体外装材の張り替え、7020系に準じた内装デザインへの変更、運転台計器色が青からベージュ系に変更され、車端部への転落防止幌車椅子スペースも設置されている。同時に制御器の更新も行われ、一部部品の交換が行われている。スイッチング素子自体はGTOのままであるが、ゲート制御マイコンが32ビットとされたほか、スイッチングパターンを記録した基盤も更新されている。

編成・配置と運用線区[編集]

← 大阪上本町・近鉄名古屋
Tc
ク1520形
Mc
モ1420形

2014年4月1日現在は高安検車区に所属しており[3]、前述の通り1421Fの1編成しかない。

試作車であるため、登場から前述の車体更新までは不慮の故障発生時を想定して、運用時には同じく試作車的要素の強い界磁チョッパ制御の1400系1401Fと半固定編成を組んで青山町駅以西の普通列車で使用されることが多かった。ただし2005年(平成17年)9月以降、年間に数回の割合で名古屋線近鉄名古屋駅鳥羽線鳥羽駅まで運用の関係で入線することがある。更新後は1422系・1437系1253系と共通運用され、編成単独で名張駅 - 伊勢中川駅間でも運用されている。信貴線には専属編成である1430系1431F・1432Fの代走運用として入線することもあるが、1編成しかないことから2410系や1422系・1437系などの2連車が充当されることが多い。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al 『1250系通勤車両』近畿日本鉄道 1984年発行 2008年8月1日復刻版 近鉄車両エンジニアリング株式会社発行
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ネコ・パブリッシング 復刻版 私鉄の車両13 近畿日本鉄道Ⅱ (通勤車他) p.6 - p.9・p.164・p.165・p.182 ISBN 4-87366-296-6
  3. ^ 鉄道ファン』2014年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2014 車両配置表」

参考文献[編集]

  • 『1250系通勤車両』近畿日本鉄道 1984年発行 2008年8月1日復刻版 近鉄車両エンジニアリング株式会社発行
  • ネコ・パブリッシング 復刻版 私鉄の車両13 近畿日本鉄道Ⅱ (通勤車他) p.8・p.9・p.164・p.165・p.182 ISBN 4-87366-296-6

関連項目[編集]

外部リンク[編集]